風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

巨星墜つ ~追悼 津川雅彦~

2018-08-09 09:02:42 | 名バイプレーヤー










この方の役者人生は、決して順風満帆なものではありませんでした。



2枚目スターとしてデビューしたものの、会社を移籍したところ、これが当時の映画会社間で結ばれていた「5社協定」に抵触するのではないかとクレームを付けられ、仕事を干されてしまいます。


津川さんは知り合いの監督のつてを頼り、初期の必殺シリーズの悪役など、テレビドラマを中心にアクの強い脇役を多く演じるようになっていきます。



こうして、「性格俳優」津川雅彦が出来上がっていくこtになるのです。



私が学生の頃の津川さんのイメージは「金持ちの嫌なスケベオヤジ」、といったようなもので、あまり良いイメージではなかったように思う。映画などで、若い娘さんを愛人に囲ってる嫌な奴みたいな役ばかりを演じていましたからね。


このイメージが変わってきたのは、故・伊丹十三監督の作品に出演するようになってからですかね。特に『マルサの女』で演じた税務調査官は大きかったように思う。この役あたりから、ただのスケベオヤジじゃないと思えるようになってきましたからね(笑)


嫌な奴とかスケベオヤジとか、散々なことを云ってきましたが(笑)、この方は人間の持つ「業」というものを面白おかしく演じることができる、そんな役者だったのでしょう。それは大河ドラマで2度演じた徳川家康などで遺憾なく発揮され、ドラマの質を何段も上げていたように思う。



主役級の役者さんではありましたが、私の中では稀有な、本当に稀有な


超がつくほどの、「名バイプレーヤー」でした。




【巨星墜つ】なにか本当に、時代が「終わった」感じがします。この喪失感。これほどの役者が、今後出てくることがあるだろうか……。




今はただただ、ご冥福を想うばかり。その稀有なる役者魂に、敬意と感謝を込めて




合掌。