goo blog サービス終了のお知らせ 

 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

時代劇二題

2020-10-12 10:35:59 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

 

昨夜、WOWOWにて1979年制作の角川映画『戦国自衛隊』が放送されておりました。

 

今みたいに、タイムスリップものが安易に粗製乱造される遥か以前のこと。当時としては新しかった、時代劇とSFと、青春映画とがミックスされた、贅沢な作りになってました。

 

千葉真一率いるジャパンアクションクラブ創立10周年記念ということもあり、およそ30分に及ぶ戦闘シーンは、JACによる派手なアクションてんこ盛り、千葉さん自身の乗馬アクションはカッコイイし、当時無名のド新人だった真田広之が、自衛隊のヘリコプターから、命綱もつけず身一つでダイブするシーンをワンカットで撮ったり、まあ頑張ってましたね。

 

この映画、かまやつひろしさんが長髪のままで、自衛隊員役で出ていたり、『復活の日』の主演俳優、草刈正雄氏が農民姿でカメラ前を横切ったり、角川春樹社長が真田昌幸に扮して、真田鉄砲隊を指揮していたりと、カメオ出演者も面白かったりするのですが、

なかでも特筆すべきは、当時中学三年生、15歳の受験生だった

薬師丸ひろ子ちゃんです。

 

この時の薬師丸さんは受験生ということで、芸能活動を1年間自粛していたんです。ですからこの作品では、撮影は僅か1日のみの特別出演というかたちで、撮影が行われました。

立派な具足を身につけた、きりっとした若武者姿で登場し、竜雷太氏演じる自衛隊員を槍で突き刺す。そしてその竜さんに拳銃で撃たれ即死。

ほんの数分の出演シーンでしたが、まあ大したイケメンぶりで、10代の少女特有の、性を超越した「美しさ」がありましたね。

 

 

この「目」が良い!

 

 

ところで、この若武者が背中に掲げている旗指物、これがちょっと

変なんです。

 

この旗指物の染め抜かれている家紋。これは「赤鳥紋」と言われる紋で、実はこの紋

かの桶狭間の合戦で織田信長に破れた武将、「海道一の弓取り」と謳われた今川義元の旗印なんです。

 

 

赤鳥紋

 

 

 

設定では、自衛隊は長尾景虎後の上杉謙信の側について、川中島合戦を戦う。つまり敵は、武田信玄率いる軍勢なわけです。

武田勢の中に何故、今川義元の旗印があるのか?おかしい、説明が付かない。

 

おそらくは倉庫にでも置いてあった旗指物の中から、なにも考えずに適当に選んだだけなのではあるまいか。

だとしたら、とても残念。

 

荒唐無稽と言って良い映画だからこそ、こうした細かいところはちゃんとして欲しかった。

 

 

本当に、残念だ。

 

 

 

 

 

 

後の15代将軍・足利義昭(滝藤賢一)と、織田信長(染谷将太)との考え方の違いが、愈々浮き彫りとなってきましたね。

明智光秀(長谷川博己)の、本能寺の変へと至る布石が愈々打たれ始めた感があります。今後の展開に

 

注目!

 

 

室町幕府15代将軍・足利義昭(滝藤賢一)

 

 

ところで、『麒麟がくる』のメインライターである池端俊策氏は、同じくNHK大河ドラマ『太平記』の脚本を書いていた方でもあります。

その『太平記』で、バサラ大名・佐々木道誉を演じていた陣内孝則さんが、今回は堺の豪商、今井宗久を演じておられます。

佐々木道誉といえば、ちょっと癇に障る高笑いが印象的でした。大河ドラマ、での陣内さんを見ると、ついついあの高笑いが出るんじゃないかと、妙に身構えてしまう(笑)

 

良くも悪くも、強烈な役でした。

 

 

堺の豪商、今井宗久(陣内孝則)

 

 

 

今まで何度も書いてきましたが、歴史は「視点」です。

 

足利尊氏の側に視点を置くことによって「建武の新政」の別の側面が見えたし、明智光秀側に視点を置くことによって、「本能寺の変」の別の側面が見えてくる

 

かもしれない。

 

それこそが、歴史の面白さ。

 

今後のドラマの展開、実に興味深いです。

 

 

やはりやはり、今年の大河は

 

あなおもしろし!

 

 


織田信長の「承認欲求」

2020-09-28 07:30:01 | 時代劇

 

 

 

 

昨日の『麒麟がくる』織田信長(染谷将太)のセリフに、こんな意味のものがありましたね。

「儂はいくさが嫌いではない。いくさに勝てば、皆が喜んでくれるからじゃ」

 

光秀と信長が初めて会ったのは、信長が漁を終えて、湊に帰ってきた時でした。釣れた魚を浜辺で捌き、土地の者に安く分け与える。それは皆の喜ぶ顔が見たいからでした。

 

信長は幼い頃から両親の愛情を感じられずに育った。だからずっと、誰かに愛されたい、認められたいと思っていたわけです。徳川家康の実父を殺害したのも、父親・織田信秀に認められたい一心でした。

 

やがて信長は、美濃のマムシと謳われた斎藤道三の娘・帰蝶を娶ります。帰蝶は信長をとても褒めてくれる。そこから信長の行動原理は「帰蝶が褒めてくれる」ところとなり、結果今川義元を打ち果し、帰蝶の故郷である美濃を盗った。

 

 

誰かが喜んでくれる。認めてくれる。この承認欲求の異常な強さが、信長の行動原理となっているという設定は、ある意味とても「現代的」で面白いですね。純粋故の狂気を持つ男、信長の根底には、満たされぬ愛への強い希求があった。

なるほど~。

 

 

一方の光秀は伝統を重んじる保守的な人物。将軍を頂点とした秩序立った世にすることで平和が訪れ、麒麟がくると信じている。後の15代将軍足利義昭と対面し、義昭の貧しき者たちを救いたいという強い想いに触れ、このお方を将軍に推戴すれば、世は平らかとなり、麒麟がくるのではないかという想いに至るわけです。

 

今回の足利義昭像は、今までの描かれ方とは180°違った「好人物」として描かれていることは、とても重要な点だと思いますね。おそらく今後の展開では、光秀の行動原理はすべて、「義昭を支える」という一点に絞られていくのではないでしょうか。信長に仕えるようになるのも、将軍・義昭公をお支えせんが為。

 

うーむ、見えてきましたね。

 

 

信長は、光秀が斎藤道三に言われたという「誰にも攻められぬ大きな国をつくれ」という言葉に強い興味を示します。二人はこの言葉を通じて共感し合った、かに見えましたが

本当は違う。

 

光秀はあくまでも、世を平かにするために、大きな国が必要だと考えた。しかし信長は微妙に違う。

喜んでくれるものを好とし、喜んでくれないものは悪しとする、そんな魔王・信長の行き着く先は…。

 

 

今回の大河で描かれるであろう「本能寺の変」の片鱗が、見えてきたように思います。

 

 

これはあくまでもドラマです。真実がどうであったかなど、問うてはおりません。

ドラマとして面白いか否かが重要。そういう意味では、やっぱり

 

今年の大河は

 

めっちゃ面白い!

 

 


紋次郎と「ねこまんま」

2020-09-20 05:41:56 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上州無宿の渡世人、紋次郎。

 

人との関わりを避け、困っている人がいても、基本、助けることはしない。例え女が犯されていようと、例え死体を見つけようと、「あっしには関わりのねえこって」と通り過ぎていく。

人呼んで『木枯し紋次郎』

 

幼いころに親に間引きされそうになった経験から、人の情というものを信じることができない。それ故に他人との関わりを拒絶し続ける紋次郎さん。「人様の言うことは信じねえことにしておりやす」「あっしには人との繋がりはござんせん」と嘯く紋次郎さん。

そんな紋次郎さんに関わろうと、執拗に寄ってくる者たちがいる。

 

大概は腹に一物ある者たちばかり。そうして紋次郎さんは、人の世の穢さ、哀しさばかりを見ることになる。

 

 

 

こんなエピソードがあります。紋次郎さんが旅先で出会った母と子。母親(北林谷栄)は、生きるために自分の息子(寺田農)に「寄生」し、息子を意のままに操るため、息子と駆け落ちしようとした女性を縊り殺し、その罪を紋次郎さんになすりつけようとします。

鬼の形相で紋次郎を睨みつける母親に、紋次郎さんのセリフ

「やはりこの世に、おふくろなんてえもんは、おりやせんでした」

 

 

もう一つ、何日も飯が食えず、倒れそうになっていた紋次郎さんに、一杯の粥を恵んでくれた、お熊婆さん。

このお熊さんはホントに良い人で、この土地の親分はいい人だから、草鞋を脱ぐように勧めます。しかし、どこの親分さんの下にも草鞋を脱がないと決めている紋次郎さんはこれを断ります。

「良い親分さんなんだけどねえ」と、残念そうなお熊婆さん。

しかしお熊さんは、その親分の手下どもに間違って斬り殺されてしまう。

その手下どもを斬り、用心棒をも斬った後の、紋次郎さんのセリフ。

「お熊さん、世の中なんてこんなものでござんしょう」

 

 

私が『木枯し紋次郎』のドラマで特に印象に残っているシーン。それは食事のシーンです。

飯に汁をぶっかけ、おかずやら漬物やらも全部ぶっこんで、いわゆる「ねこまんま」状態にして一気に掻き込む。食べるというより「飲む」といった勢いで腹に入れてしまう。

子供の頃から満足な食事にありつけず、だから誰にも食べ物を盗られないように、そんな食べ方をするようになったとか。

 

紋次郎さんが持つ、他者への不審と拒絶。そして孤独。

 

紋次郎さんの生き方を象徴している、そんな食事シーンのように思えます。

 

 

 

そんな、乾ききった心の紋次郎さんですが、いつかそんな心を潤す「水辺」にたどり着ける日が来るのだろうか?紋次郎さんならおそらくこう言うでしょう。

「そんなもの、ほんとにありやしょうか?おそらくはござんせんでしょう、あればいいとは思いやすが…あっしはそんなもの、はなから信じちゃおりやせん」

 

木枯し紋次郎。

 

哀しき男。

 

 

 

 

 

『紋次郎喰い』

 

 

 

【木枯し紋次郎、上州新田郷三日月村の、貧しい農家に生まれたという。

10歳で故郷を捨て、その後一家は離散したと伝えられる。

天涯孤独の紋次郎、何故、無宿渡世の世界に入ったかは

定かでない。】

ナレーション:芥川隆行


『麒麟がくる』放送再開記念!大河ドラマbest10 その2

2020-08-30 23:57:17 | 時代劇

 

 

 

 

 

第5位 『黄金の日日』1978年1月~12月

原作 城山三郎。脚本 市川森一。長坂秀佳。

出演、市川染五郎。栗原小巻。根津甚八。川谷拓三。夏目雅子。唐十郎。高橋幸治。緒形拳。丹波哲郎。鶴田浩二。

自由を求め、権力に抗う者達。貿易商人・呂宗助左衛門(市川染五郎)。織田信長を狙撃した男・杉谷善住坊(川谷拓三)。大坂城に潜入し、豊臣秀吉の命を狙った男・石川五右衛門(根津甚八)。彼らの前に立ちはだかる権力者、豊臣秀吉(緒形拳)は徹底的に悪役として描かれている。善住坊は「鋸引き」という残忍な処刑をされ、五右衛門は釜茹での刑に処せられ、自らの意思で背中から釜の中へ落ちていく。助左衛門は国外追放、自由を求めた男たちの行く末は厳しかった。誇り高き反逆者たちの物語。

 

 

第4位 『真田丸』2016年1月~12月

脚本、三谷幸喜。

出演、堺雅人。草刈正雄。大泉洋。高畑淳子。長澤まさみ。黒木華。斉藤由貴。山本耕史。片岡愛之助。小日向文世。内野聖陽。

三谷脚本らしい、明るくどこかコミカルでありながら、人の世の哀しさ厳しさを深くついた名編。大坂夏の陣以外、活躍の場がない真田信繁という人を主人公に、よくぞあそこまで面白く作ったものだ思う。脚本の力は偉大だ。

 

 

第3位 『新撰組!』2004年1月~12月

脚本、三谷幸喜。

出演、香取慎吾。山本耕史。佐藤浩市。鈴木京香。沢口靖子。堺雅人。オダギリジョー。山口智充。八嶋智人。藤原竜也。中村獅童。筒井道隆。江口洋介。

武士の時代が終わろうとするとき、あくまで武士であることに拘った男たちの物語。しかしそこは流石に三谷脚本、厳しさ、凄惨さのなかに明るさ、コミカルさを散りばめた、見飽きさせない、見応えあるドラマに仕上がっていました。山南敬助(堺雅人)の切腹シーンなどは歴史に残る名シーンですねえ。

 

 

第2位 『八重の桜』2013年1月~12月

脚本、山本むつみ。吉澤智子。三浦有為子。

出演、綾瀬はるか。西島秀俊。オダギリジョー。長谷川博己。斎藤工。長谷川京子。黒木メイサ。柳沢慎吾。綾野剛。西田敏行。

戊辰戦争最大の激戦、会津城籠城戦を経験し、明治の世を生き抜いた会津女性、山本八重の生涯を通じて、東日本大震災直後の東北にエールを送った作品。会津は決して朝敵にあらず!「ならぬものはならぬのです」のセリフは、今の世に鮮烈に響き渡る。

 

 

第1位 『獅子の時代』1980年1月~12月

脚本、山田太一。

出演、加藤剛。菅原文太。大竹しのぶ。大原麗子。永島敏行。近藤洋介。加藤嘉。岡本信人。三田村邦彦。鶴田浩二。

大河には珍しく、二人の主人公はどちらも架空の人物。元薩摩藩士の明治政府高官、苅谷嘉顕(加藤剛)と、元会津藩士で社会の底辺で生きる男、平沼銑次(菅原文太)。二人は奇妙な友情を育みつつも、立場の違い、考え方の違いから、真逆の人生を歩んでいく。この二つの視点を通して、明治という激動の時代を描いた傑作!これほどハマった大河は他にありません。誰が何といおうとこれが一番!間違いなし!

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。いつもの通り、これは私の個人的な好みです。不満がおありの点もままあるでしょうが、どうかご了承のほど。

 

 

 

今日の『麒麟がくる』。向井理演じる将軍様、良かったですねえ。

いやあ、やっぱり、今年の大河は

 

 

面白い!

 

 


『麒麟がくる』放送再開記念!大河ドラマbest10

2020-08-30 16:39:55 | 時代劇

 

 

 

 

第10位 『炎立つ』1993年7月~1994年3月

原作 高橋克彦。脚本 中島丈博。

出演、渡辺謙。村上弘明。渡瀬恒彦。古手川祐子。多岐川裕美。豊川悦司。佐藤慶。佐藤浩市。村田雄浩。長塚京三。野村宏伸。中島朋子。西村晃。里見浩太朗。

後半に行くに従ってどんどんつまらなくなっていく展開は、ドラマとしては大失敗でした。しかし、古代東北を舞台とし、歴史は中央でだけ展開されているのではないということを示したという点で、意義があるともうせましょう。里見浩太朗先生、大河ドラマ初出演記念作でもあります。

 

 

第9位 『葵 徳川三代』2000年1月~12月

脚本 ジェームズ三木。

出演、津川雅彦。西田敏行。尾上辰之助。岩下志麻。江守徹。すまけい。小林稔侍。

三代といっても、印象に残ったのは初代、徳川家康を演じた、津川雅彦さんなんですよね。津川さん一人で、このドラマを私の記憶の中に刻みつけたという点は、凄いとしか言いようがないです。

 

 

第8位 『元禄繚乱』1999年1月~12月

原作 船橋聖一。脚本 中島丈博。

出演、中村勘九郎。松平健。石坂浩二。東山紀之。宮沢りえ。村上弘明。萩原健一。大竹しのぶ。安達祐実。阿部寛。杉本哲太。

勘九郎(当時)さんの大石内蔵助が素晴らしかった。酒好き女好きの遊び人のようでいて、実は真面目でクレバーな忠義の士。単なる仇討ちではない、御公儀への意義申し立てとしての討入りを果たすため、苦労しながら浪士たちをまとめていきつつも、安達祐実演じる若い侍女お軽に子をはらませてしまうなど、どうしようもない「人間臭さ」を見せてくれました。大石内蔵助の多面性を見事に演じた勘九郎さんに、称賛の拍手を。

 

 

第7位 『風と雲と虹と』1976年1月~12月

原作 海音寺潮五郎。脚本 福田善之。

出演、加藤剛。吉永小百合。山口崇。草刈正雄。米倉斉加年。佐野浅夫。真野響子。露口茂。緒形拳。

東国で平将門(加藤剛)が、西海で藤原純友(緒形拳)が、ほぼ同時期に反乱を起こしたのは、両者が水面下で共闘していたからであるとする説を基にした、理想の国を作ろうとした男たちの、夢破れるさまを描いた物語。俵藤太(露口茂)率いる軍勢の放った矢にこめかみを打ち抜かれ、その矢を握ったまま馬上から落下し、絶命する将門。凄まじい最期でした。

 

 

第6位 『太平記』1991年1月~12月

脚本 池端俊策。

出演、真田広之。沢口靖子。根津甚八。萩原健一。フランキー堺。片岡鶴太郎。宮沢りえ。柳葉敏郎。大地康夫。柄本明。陣内孝則。後藤久美子。筒井道隆。片岡孝夫。武田鉄矢。緒形拳。

何かと評判の悪い足利尊氏ですが、尊氏には尊氏なりの理想があったのだ。本当は後醍醐帝を裏切りたくはなかったけれど、そうするしかなかったのだ、とする物語。歴史は「視点」、何処に視点を置くかで、良し悪しも変わる。尊氏はいつも迷っており、決して強い人物ではない。若い頃の過ちが、後々大きな代償となって帰ってくるなど、大きな業を背負っています。鎌倉幕府崩壊の場面は、凄惨かつ物悲しい。栄枯盛衰、一重に風の前の塵に同じ。誰がいいか悪いかではない、人間の持つ「宿業」を描いたドラマ。それが『太平記』。

 

 

この続きは後ほど。

 

 

 

 

 

 

 

 


麒麟が帰ってくる!!

2020-08-30 05:19:04 | 時代劇

 

 

 

 

 

『麒麟がくる』メインタイトル&タイトルバック

 

 

 

新型コロナウイルス感染予防対策のため、撮影が中断されていたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の撮影が再開され、愈々本日、放送再開となります。

 

待ってたぜー!!!

 

物語は佳境へと突入していきます。

 

みんな、目を離すな!


左利きの侍はいない?その3

2020-08-24 07:45:40 | 時代劇

 

 

 

 

 

剣道には左手だけで竹刀を握り、対戦相手を攻撃する技があるそうな。

この技、当然ながら左利きの方の方が得意。実際、左利きの有段者でこの技を得意とする方もおられると聞きます。

 

もちろん、竹刀と真剣では勝手が違うでしょうが、やはり左利きのの方がなにかと有利な点は、剣術にもあったのではないかと考えられます。

 

 

江戸250年の太平にあっては、武士は基本「役人」でした。その生涯において、一度も刀を抜くことなどなかった者たちが大半でした。

 

そんな世にあっては、「隠れ左利き侍」であったとしても特に支障はなく、左利き特有の技を修練する必要もなかったでしょう。

 

しかし、幕末乱世にあっては話が違う。命のやり取り、修羅場にあっては作法がどうのなど、言っていられない。

如何にして敵を殺すか、如何にして生き残るか。

 

そのような中、利き腕である左手での斬撃を修練した侍がいたとしても、不思議ではない、と私は考えます。

 

 

 

 

坂本龍馬の暗殺者は左利きだった。とする説があるそうな。

 

この点から、暗殺者は侍ではなく、我々一般人は知らない「影の軍団」のような者たちであるとする説を唱える方もおられるようです。

 

龍馬を殺したのは誰か?これを知るには、龍馬とはどのような人物であったか?なにをなそうとしていたか?を知らねばなりません。

 

龍馬が、司馬遼太郎氏が「創作」したような人物ではなかった事は、どうやらハッキリしているらしいですが、それ以上のことは、私には分からない。

 

従って犯人の特定は、私には出来ない。

侍かもしれないし、影の軍団だったかもしれない。

 

ただ、これだけは言わせていただく。

 

いかに作法としての左利きが許されなかったからといって、左利きの侍はいなかったなどという、安易な結論に至るのは間違いです。

 

左利き侍はね、いたのですよ。

 

 

きっとね。

 

 

 

 

映画『龍馬暗殺』

監督、黒木和雄。出演、原田芳雄。石橋蓮司。桃井かおり。松田優作。

70年代の世相を反映させた世界観、竜馬は爽やかな男ではなく、ギラギラした欲望にまみれた革命家として描かれています。興味がある方はどうぞ。


左利きの侍はいない?その2

2020-08-22 15:15:59 | 時代劇

 

 

 

 

 

私はペンや箸を持つ手こそ右手ですが、それ以外は大概、左手で行います。

 

ボールを投げるときも左手、携帯電話を持つ手も左手。

ナイフや包丁を持つ手も左。リンゴの皮むきとか、上手いものです(笑)

 

エアギターを弾くときも、エアドラムを叩くときも左。スプーンは右手で使いますが、ラーメンとチャーハンを食べるときは、右手に箸左手にれんげを持って食べる。これに餃子がつけば最高!

 

マウスも初めは左手で操作していましたが、なにかと不便を感じ、今は右手で操作してます。

 

 

そうです、私は元々左利き。幼いころにそれを矯正された。箸とペンだけは右手で持つように矯正されたわけです。

 

私の場合は箸とペンだけですが、江戸時代の武士はもっと厳しく矯正されたことでしょう。しかしそれでも、100%完全に左利きで亡くすることなど、不可能だと思われます。

 

日本の文化、特に「道」がつく文化は完全に右利き用に出来ており、左利きであることは邪道、恥ずかしいことであるとされました。その感覚は江戸時代を通して広く庶民にも浸透していった。

 

私の両親は昭和一ケタ世代、まだそのような観念が強く残っていたのでしょう。だから私は矯正された。

 

 

近年では左利きは個性の一つとされ、無理矢理矯正されることはほぼなくなりましたね、よいことです。スポーツの世界などでは寧ろサウスポーは有利であるとすらされている。

 

大相撲の世界では、左利きの力士は江戸のころからいたんです。横綱にまで上りつめた左利きの力士がいたことは、ちゃんと記録に残ってる。近年では「黄金の左腕」と言われた横綱・輪島関が有名だし、朝青龍関も実は左利きでした。

 

マンガの世界では『巨人の星』の星飛雄馬。彼は本来右利きでしたが、野球には左利きの方が有利だからと、無理矢理サウスポーに矯正させられたという逆パターンでした。

 

そうそう、我らがももクロリーダー、百田夏菜子も左利き。天才の所以だね(笑)

 

 

江戸時代の武士道においては、左利きは恥ずかしい、武士にあるまじきこととする観念が強かった。だから左利きであることを隠している武士もいたことでしょう。だから記録には残りにくかった。

 

それでも、噂の類というのは残るものです。左利きであったという噂の残る武士たち、源為朝、松永久秀、上杉謙信、宮本武蔵、原田左之助、斉藤一等々。

 

これらの人々の中に、「隠れ左利き侍」が本当にいたという可能性は

 

十分にあり得ると思います。

 

 

 

 

麻丘めぐみ『わたしの彼は左きき』


左利きの侍はいない?

2020-08-21 05:22:00 | 時代劇

 

 

 

 

 

黒澤明監督作品、映画『椿三十郎』より。

 

 

このシーンの三船敏郎さんは、刀を左手で逆手に握り、抜きざまに仲代達矢さんの胴を払っています。その際右手は刀の背に添えられググっと刀を押し出している。

 

三船さん演じる椿三十郎と、仲代さん演じる室戸半兵衛は、剣の腕はほぼ同格。だから相手より一瞬でも早く斬るしかない。

 

そこで編み出されたのがこの技、というわけです。

 

もちろんこれは、エンタメ上の話。三船さんはこのシーンのために通常より短い刀を特注で作らせています。普通の長さの刀では、あんな風に左手で逆手に持ったまま、鞘の中から一挙に抜ききることができない。必ず途中でつっかえてしまう。だから普通より短めの刀を使ったんです。

 

ネタ晴らしをしちゃえばそういうこと(笑)

 

 

江戸250年の太平が続く中、武士道はより作法が重んじられるようになっていきます。

筆も箸も左手で使ってはいけない。ましてや左手で刀を抜くなど以ての外。武士の子で左利きの者は徹底的に矯正された。

 

しかし、いかに矯正されたからといって、左利きの「名残り」は残るもの、完全に消し去ることなど出来ません。危うく転倒しそうになった時など、元々左利きのの人が咄嗟に伸ばす手は、大概左手だったりします。いざという時咄嗟に使う手は、やはり左なのです。

 

このようなことは例えば、命がけの斬り合いなどでも同じ、なのではないでしょうか。

 

寧ろ左利きの利点を最大限に活かした特殊な剣技を編み出し、相手の思いもよらぬ技を用いて倒す。

 

表向き普通の右利きのように見せて、実は左利き。そんな剣客がいたとしても

不思議ではない、気がします。

 

 

 

 

これはあくまで噂ですが、新撰組の原田左之助や斉藤一、また宮本武蔵などは、実は左利きだった、なんて話もあるんです。

ただの噂です。確証はありません。

しかし、彼らの強さの秘密が、もしやそんなところにあったとしたら…。

 

ハイ、エンタメかぶれの単なる妄想です。笑ってやってください。

 

 

この話、もうちょっと続く、かも。


ドラマ『荒神』 2018

2020-06-30 12:20:47 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒神とは竈の神、火の神などとされ、スサノオとの関連指摘される神ですが、このドラマの荒神はそれらとは一切関係がない。

 

何故『荒神』というタイトルなのか、説明がないままドラマは進んでいく。全編そんな調子で物語は進み、結局よくわからないまま終わる。

 

作中では「つちみかどさま」あるいは単に「怪物」と呼ばれる存在は、どうやら土着信仰と融合した陰陽道を司る、零落した陰陽師一族の呪いによって生み出されたものらしい。物語はこの怪物を軸として、人間の業や血の因縁などが複雑に絡みあった重厚で奥深いドラマ、だったはず

なのだが

残念ながらそうなりえていない。

宮部みゆきの原作はめっちゃ長い。この長い物語を100分程度にまとめるなど土台無理がある。結果ドラマは原作の上っ面をなぞっただけの、ダイジェスト的な感じになってしまった。

 

これでは内容がわかるわけがない。

 

いっそのこと『精霊の守り人』みたいに連続ドラマにすればよかったのだ。それくらいしなければ、

このドラマは伝わらないよ。

 

時代劇と怪獣モノの融合ということで、どんなものかずっと気になっていたドラマでしたが、結局消化不良で終わってしまった。

 

残念。

 

怪獣の描写の仕方は必ずしも悪くはない。巨大なガマガエルと目目連が合体したような姿は、怖いようでいてどこかユーモラス。古き良き日本の怪獣を彷彿とさせ、なかなか良い。その怪獣が砦を破壊するシーン。

 

どしんどしんという音と共に砦全体が揺れ、窓の外に巨大な影が迫る。窓を開けると、そこには怪物の目が!

 

怪物の全体像は見せず、砦が破壊されていくところだけ見せていく手法は、このての作品の王道。ゴジラでもジョーズでもジュラシックパークでも採られていた手法。

王道は好きなので、ここは好感のもてるシーンでしたね。

 

怪物が村を襲うシーン。ドローンを使ったりと動きのある画で悪くはなかったですが、惜しむらくはなぎ倒された作物の描写がなかったこと。建物は破壊されているのに、踏みつぶしたはずの作物が、何事もなかったように青々と実ったままなのはおかしい。こういう点が中途半端なんですよねえ。

 

ラストシーンはスペクタクル性に欠け、抒情性としてもやはり中途半端感は拭えない。どこまで行っても消化不良、もうちょっとなんとかならなかったものか。

 

返す返すも残念。