大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

米自動車業界と日本の自動車業界が抱える、それぞれの課題とは

2007年08月01日 | ニュースの視点
15日、米自動車大手のフォード・モーターが傘下の高級車ブランド「ボルボ」の売却の準備を始めた。

また、同時に、ルーマニアのクラヨバ自動車工場の買収計画も発表した。

ルーマニアの工場を買って、ジャガーとボルボという世界的ブランドを売却するというのは、私たちの常識では少し考えられない事態だ。

フォードは小型車を持っていないことに劣等感を感じていたためだと思うが、ここまで追い込まれている状況とは私も想像していなかった。

同じく米自動車業界の大手である、ダイムラークライスラーも、追い込まれた状況になっている。

予てから進めてきたクライスラー部門の売却が難航しているようだ。

これは、米国内のサブプライムローンの問題のため、金融機関が慎重になっているからだ。

低迷する米自動車業界に対し、日本の自動車業界では、また別の問題を抱えている。

それは、『BusinessWeek, July 23, 2007』で特集されていた「若者の車離れ」という現象だ。

若者の生活パターンが変わり、お金の使い道が、自己投資や車などの物欲を満たすためではなく、友人と食事に出かけるといったソーシャルな欲求のために使われる傾向が強くなっていると私は見ている。

確かに車の維持費という出費に対するコスト意識もあるだろうが、かつてのように親父の車を借りて乗るという若者が少なくなっていることからも、コスト意識以上に生活パターンの変容が大きな要因だと私は思う。

日本の自動車業界は、このような若者の性質を理解した上で対策を練っていかなければ、今までのような発展を続けることは難しいだろう。

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