日本人はもっと人生をエンジョイするべくお金を使うべき／日本の経済構造が米国型にシフトしてきている

　週刊ポストの情報サイトは21日、
　「世界人口2％に満たない日本人　保険料は世界約18％のシェア」
　と題する記事を掲載した。

　この記事は
　「自分が契約している保険の内容を覚えていない加入者が驚くほど多い」
　などの問題点を指摘したものとなっている。

　全く同じような内容の記事が、12月10号のBloomberg Businessweek誌に
　掲載されていた。

　題して「Japan's Fear of Risk is Getting Dangerous」
　（日本のリスクに対する恐れが危険なレベルにまで達してきている）
　というものである。

　指摘されている事実はほぼ同じで、
　「日本は人口が米国の2.5分の1に過ぎないにも関わらず、保険料は米国と同じ額」
　だということである。

　日本人は「年金」も収めつつ、「保険」にも加入し、
　さらに「貯蓄額」は世界一ということになる。

　一体どれだけ将来を守ろうと必死なのか、
　全く理解できないというところだろう。

　この原因は政府が信頼されていないからだ。

　政府＝国家に対する信頼が厚ければ、3つのうちの1つだけで充分なはずだ。

　しかし信頼できないから、老後を3重に防御せざるを得ないのだ。
　そのために、やりたいことを我慢している。

　こんな状況だから、景気は一向に回復しないのです。

　おまけに多くの人が、貯蓄型の保険を契約している。
　貯蓄型は掛け捨て型に比べて、かなり利回りが悪くなる。

　「そもそも何を目的として保険をかけるのか？」ということを考えて明確に
　していれば、ほとんど日本人は掛け捨て型で良いはずだと私は思う。

　サラリーマンの人なら、子供が成人するまでは何かしらの事情で収入が
　ストップしたときのために、と考えれば良いだろう。

　それならば、事故保険やがん保険の掛け捨て型で十分だ。

　それに加えて、「老後の貯蓄」にもなるように考えてしまうから、
　貯蓄型の保険になり、結果として2.5倍の人口を抱える米国と同じ額の
　保険料に膨らんでいるのである。

　私は何度も述べてきたが、そういう
　「お金を使いたくないという不安心理」が景気回復を妨げる
　根本的な原因だ。

　もっと人生をエンジョイするつもりで、お金を使うことも
　考えるべきだと私は思う。

　財務省が19日発表した11月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を
　差し引いた貿易収支が9534億円の赤字となったことが分かった。

　欧州や中国の景気減退で輸出が上向かないことに加え、
　11月はスマートフォンなど通信機器の輸入が急増。

　これにより今年の貿易赤字は合わせて6兆円を超え、
　年間で過去最大だった1980年を大幅に上回ることが確実となった。

　エネルギー問題、中国問題などの影響で輸出が大きく減少したのも
　確かだが、日本が米国型の経済構造に変化してきているということ
　のほうが重要だ。

　すなわち、製造業の多くが海外に拠点を移し、その海外に移った
　自社工場から輸入するため、輸入額が大きく増加してしまうである。

　あるいは、海外で委託生産をして輸入する場合もあるだろう。

　これはかつて米国が陥ったパターンと全く同じだ。

　こうした経済構造の変化によって、米国も貿易赤字に転落したのである。

　日本もかつては毎月5000億円輸出が多く黒字だったものが、
　今では完全に反転してしまった。

　また注目したいのは、輸入額に占める鉱物性燃料の割合が非常に
　増えてきているということだ。何とかこの割合を減らしたいと思っても、
　原子炉の再稼働を認めないという状況下ではまず不可能だと思う。

　むしろ原子炉を動かさなければ、2兆円～3兆円分増加することは
　避けられない。

　「鉱物性燃料の輸入を減らすためだけに原子炉を動かせ」というのは、
　乱暴な議論だと思うが、CO2排出量の問題にも関係するから、
　結果としては2兆円～3兆円輸入が増えているという事実は頭の片隅に
　おいておく必要があると私は思う。