大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

日本には、チャレンジ精神・起業家精神を育む教育改革が必要

2006年12月12日 | ニュースの視点
全米ベンチャーキャピタル協会などがまとめた調査によると、1990年から2005年に米ベンチャーキャピタルの投資先上場企業356社の約25%が、米国外生まれの起業家が創業した企業になるとのこと。

また、1980年以前から米VCが投資した上場企業の累計725社のうち、144社を占める米国外生まれの起業家の出生地別ランキングを見てみると、インドが32社で断トツの首位。2位:イスラエル(17社)、3位:台湾(16社)と続く。

肝心の日本はと言うと、トップ3はもちろんのこと、14位:ベルギー・ハンガリー(2社)にも及ばずランク外になっている。

アメリカという国との親和性や、経済レベルにおける国の大きさを考えてみると、日本がベルギー・ハンガリーよりもアメリカで活躍できていないというのは異常なことだと思う。

これは、これまでの戦後教育がチャレンジ精神・起業家精神の薄い国民性を作り上げてきた結果だと思う。

そんな日本をよそに、今後は、アメリカ側からも、ヨーロッパ側からも、新興国地域に、資金とチャンスが流れていくことになるだろう。

米国外生まれの起業家が創業した企業数の時代別の推移をみると、年々その割合が上昇している。

80年代以前の6.5%から比べると、今では、約25%だから、実に約4倍近く拡大している。

これは、米国のベンチャーキャピタルの投資先が、徐々に米国内だけではなく、国外の地域にシフトしてきているということだろう。

同じようなことが、ヨーロッパ側のベンチャーキャピタルの動向からも伺い知ることができる。

例えば、ルクセンブルグのマングローブ・キャピタル・パートナーズ。

この会社は、スカイプ社を米イーベイに180 millionドル(約200億円)で売却し巨額の利益を得た会社だ。

この会社の幹部陣は、今後の投資注目先として、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ロシアを挙げている。

残念なことに、こういった世界の情勢から日本は蚊帳の外にいる情けない状況だ。

この状況を打破するためには、教育を見直す必要があるだろう。

教育基本法の改正にあたっては、国際社会の中で日本人が活躍できる素養を身に付けることができる真の教育改正につながる変革を期待したい。