大前研一のニュースのポイント

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子供に責任を押し付けてはいけない。本当の教育問題の課題とは?

2007年03月20日 | ニュースの視点
7日、日本青少年研究所の調査の結果、日中韓の小学生を対象にした調査で、「将来のために今がんばりたい」と考えている小学生は北京とソウルで7割以上なのに対して、東京では半数以下だったことが分かった。

今回の結果は、ほぼ私が中国や韓国の子供たちを観察している印象と合致している。

日中韓3都市の小学生の「なりたい人間像」のアンケートの結果

・将来のためにも、今がんばりたい(東京:48.0%、北京74.8%、ソウル:72.1%)

・勉強のできる子になりたいか (東京:43.1%、北京78.2%、ソウル:78.1%)

・友達から好かれる子になりたい (東京:25.3%、北京59.4%、ソウル:53.3%)

・先生に好かれる子になりたい (東京:10.4%、北京60.0%、ソウル:47.8%)

これらの数字を見て感じるのは、中国や韓国の子供たちの反応は、まさにかつての日本と同じだということだ。

"豊かになりたい"という夢や希望を感じる。

一方、日本の子供たちは、自分自身でも、自分の夢が何なのか?何を目標にしたら良いのか?

ということが全くわかっていないと感じざるを得ない反応だ。

しかし、これは子供たちの責任ではなく、親による教育の結果だろう。

例えば、テレビを見ないで食事をすれば、話題を自分で作るという良い練習になるのに、親がそれを理解せず、一緒になってテレビを見ているのだから呆れてしまうばかりだ。

また別の問題として、教育委員会に対して国が厳重注意できるのかどうか?という議論がある。

私に言わせれば、こんな議論そのものが不要だ。将来、道州制になったら、基本的な人材育成の役割は道州に任せるべきであり、国にも教育委員会にもとても任せておけないと私は思っている。今の教育体制を作り上げたという失敗を犯した国も、未だに子供がホームページを作ることが妥当かどうか?など、的外れな議論をしている時代遅れの教育委員会も、どちらも人材育成の担い手になれないと感じるからだ。

道州が教育の下地を作り、その上で、それぞれの学校は、自らの教育哲学を打ち出すことが大切だと私は思う。

そして、それぞれの学校の教育哲学に賛同した子供たちが、意思を持って入学するべきだろう。

教育問題を考えるに当たって、まず今の日本の子供たちの現状を作り出している原因をしっかりと認識するべきだ。

それらに目を向けず、表面的な勢力争いをしても何ら解決には寄与しないだろう。

いち早く、教育環境の建設的な整備に着手してもらいたい。

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