荻野洋一 映画等覚書ブログ

http://blog.goo.ne.jp/oginoyoichi

内村美術店の納涼会

2010-08-07 01:03:00 | アート
 日本橋人形町の美術商「内村美術店」主催による納涼会が催された。時同じくして同店内「一粒舎ギャラリー」では、肉筆浮世絵、花鳥画などの一般展観が行われ、決して嫌いではない私としては、大いに感興を誘われるばかりであった。
 優美さの極致のごとき鳥文斎栄之の絵に、蜀山人(大田南畝)が讃を寄せている軸が、店内入口から向かって左側に2幅掛けてあって、これがすばらしかった。歌麿ほど妖艶ではないものの、鳥文斎栄之はやはりいい。値は、訊ねなかった。

 甘酒横丁を横断して、旧・芳町見番の向かい、テレビドラマ『新参者』のたいやき屋ロケで使われた道筋に、伊東旅館という老舗の宿があり、夕刻、そこの座敷で納涼会第1部として、寄席が催された。出演は音曲師の柳家紫文と、女性2人組の三味線デュオ、東京ガールズ。
 紫文師匠が披露した新内流しの三味線、この音色は、往年の芳町花柳界たるこの人形町の街中で聴くと、また一段と生々しさというか艶めかしさのようなものが増して、非常に眩惑的なものであった。自慢にならないが、私は映画の劇中以外で新内を聴くのは、これが初めてである。

 納涼会第2部、これは「世界湯」近くの居酒屋「い」にて無礼講。主催者である美術店の店主、浜町・明治座筋向かいの「魚とら」主人夫妻、今は人形町の居酒屋を引き払い、房州・館山で骨董を営む「万華鏡」元主人、東京ガールズのリーダー・柳家小糸さん、板橋区立美術館館長など、様々なる人と歓談し、夜更け過ぎに解散す。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
板橋区立美術館 (中洲居士)
2010-09-09 02:29:27
文中、板橋区立美術館の館長さんについて書きましたが、侮ることなかれ、この板橋区立美術館というのは、都内に数多くあるミュージアムの中でも、府中市立美術館とならんで、有数の先鋭的な場所です。

ことに、今開催されている曾我蕭白、中村芳中らの《諸国畸人伝》という展覧は、この美術館らしいコアな企画でありますし、11月から来年1月にかけて開催されるシュルレアリスムの《福沢一郎》展も必見でありましょう。
返信する

コメントを投稿