『ニューイヤーズ・イブ』は大晦日のニューヨークを舞台に、複数のカップルのこの日一日の思い思いの過ごし方を絡みあわせた群像型のロマンティック・コメディで、『プリティ・ウーマン』のベテラン、ゲイリー・マーシャルの新作。前作『バレンタインデー』(2010)は未見なのだが、どうやら同工の企画であるようだ。大向こうを狙うというようなことはせず、大晦日という一日の中で起こりうる小さな事柄、大晦日という日の特殊性の中でこそ浮かび上がってくる人々の生き方、悔悛、やり直しなどが、ずらずらと並べられていく。
物語のちょうど中間点ぐらいのところで、カウントダウン用の機材が故障し、これをカバーするために苦しまぎれにおこなったヒラリー・スワンクの時間かせぎ演説が、テレビやラジオを通じて全米に思わぬ感動を呼び起こすあたりは、非常によくできている。そして、故障したエレベータに閉じ込められたバックコーラスの女(リー・ミッシェル)が、タイムズ・スクエアのショーに出演中のボン・ジョヴィのヴォーカルに空間を飛び越えて呼応しつつ歌い上げる、などという馬鹿馬鹿しいカットバックも照れもなくやってみせる。
この作品では自動車も、それが自分の役割だと主張せんばかりに、あっさり故障する。カウントダウン用の機材が故障し、エレベータが停止するのもすべて喜劇上の約束事として起こるのだ。何かが故障すると、その故障をカバーするために誰かが何かに努力をしなければならないし、故障を修理するためのおもしろい人物を召喚することもできる。『ニューイヤーズ・イブ』の画面は、そのような論理で繋がっているようだ。
* * *
さて、今年もあとおよそ30分を残すのみとなりました。皆様にとりましては、どのような1年だったのでございましょうか。今年は、取り返しのつかない惨事が起きてしまったので、難しい年でしたし、これはもうなかったことにすることはできませんが、それでも来年という年が、皆様にとりましてよりよき1年、実り多き1年となることを祈念しつゝ、ご挨拶申し上げます。有難うございました。
『ニューイヤーズ・イブ』は、12月23日(金)より丸の内ピカデリーほか全国で上映中
http://wwws.warnerbros.co.jp/newyearseve/
物語のちょうど中間点ぐらいのところで、カウントダウン用の機材が故障し、これをカバーするために苦しまぎれにおこなったヒラリー・スワンクの時間かせぎ演説が、テレビやラジオを通じて全米に思わぬ感動を呼び起こすあたりは、非常によくできている。そして、故障したエレベータに閉じ込められたバックコーラスの女(リー・ミッシェル)が、タイムズ・スクエアのショーに出演中のボン・ジョヴィのヴォーカルに空間を飛び越えて呼応しつつ歌い上げる、などという馬鹿馬鹿しいカットバックも照れもなくやってみせる。
この作品では自動車も、それが自分の役割だと主張せんばかりに、あっさり故障する。カウントダウン用の機材が故障し、エレベータが停止するのもすべて喜劇上の約束事として起こるのだ。何かが故障すると、その故障をカバーするために誰かが何かに努力をしなければならないし、故障を修理するためのおもしろい人物を召喚することもできる。『ニューイヤーズ・イブ』の画面は、そのような論理で繋がっているようだ。
* * *
さて、今年もあとおよそ30分を残すのみとなりました。皆様にとりましては、どのような1年だったのでございましょうか。今年は、取り返しのつかない惨事が起きてしまったので、難しい年でしたし、これはもうなかったことにすることはできませんが、それでも来年という年が、皆様にとりましてよりよき1年、実り多き1年となることを祈念しつゝ、ご挨拶申し上げます。有難うございました。
『ニューイヤーズ・イブ』は、12月23日(金)より丸の内ピカデリーほか全国で上映中
http://wwws.warnerbros.co.jp/newyearseve/