ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

誰が好んでアナタのズラを盗むものか!?

2019-11-29 01:28:00 | 日記
10月11日付のブログ「巡り巡るミチコの世界」で紹介した
物取られ妄想の激しいミチコ。

彼女が今日も、血相を変えて事務所にやってきた。

ドアを開けたものの、一瞬誰だかわからない。
小さなお爺さん?
いや、よく見るとミチコだ。
そっか、いつものズラを被っていないんだ。

どうしました?

「大変なんです。私のカツラが盗まれたんです」
「さっき来たヘルパーが盗んだに違いありません」

今度はズラか、やれやれ、うんざりだぜ。

しかしそう突き放すわけにもいかず
一緒に探しましょうと部屋に戻る。

ほ〜らね、ありましたよ、大切なカツラ。
それはベッドの掛け布団の下から
いとも簡単に発見されたのだった。

なんでもかんでもヘルパーが盗んだと大騒ぎするミチコ。
現金ならまだわかるが
ズラだぜ、ズラ。
んなもん、誰が盗むかってえの!?

そしてもう一人。
この人が入浴援助を利用することになったら
いったい誰が引き受けるのか!?と
ウチの職員を怯えさせていた巨漢のタエコである。

まだかろうじて一人で入浴しているタエコだが
このところ認知症がひどくなり
銀行の通帳やカードを盗まれたと言っては
事務所を訪ねてくる。

今日は、通帳でもカードでもなかった。

「誰かが間違えて私のコートを着て行った。
部屋にあるのは私のコートじゃない」
と、汗だくになって事務所へ。

はいはい、じゃ、とりあえず確認しましょうと
一緒に彼女の部屋へ行く。

クローゼットのハンガーにかけられている白いコートを指差し
「ほら、これよ。これは私のものじゃないの」
「私のはもっと素材がいいし、高いヤツなの」
「だれかが間違って私のコートを着て行ったのよ」
と、興奮して訴え続けるタエコ。

私は言う。「困ったわねえ」
彼女も言う。「そうなの、困ったわ」
同じ「困った」でも、互いの意味は違うのだが…。

ミチコのズラと同様に、タエコにも言いたい。
巨漢のアナタにしか似合わないそんな大きなコート
誰が好んで盗むものか!?

赤ちゃんのお尻❤️

2019-11-25 00:34:00 | 日記

「あんた、そこに愛はあるんか?」
大地真央が登場するアイフルのCMには
いつも笑わされる。

今流れているフランス映画篇なんぞ
おととい遅ればせながら初めて観たおっさんをも
大爆笑させていたっけ。

宝塚ファンではないが
大地真央という人、おもろいなあ。

こんな風に笑わされてくれるCMもあれば
なんだか癒されるCMもある。

私の場合、赤ちゃん用おむつのCMだ。

画面に映し出される
すべすべとしたシルクのような赤ちゃんのお尻。
心地よい弾力性で
ぷりん、ぷりんとお母さんの指を弾き返す
まあるい赤ちゃんのお尻。

たとえオシッコをしていてもウンチをしていても
そのお尻に頬を寄せたい、チュッとしたい。

毎日毎日ジイさん、バアさんの
黒ずんだタルタルとしたお尻を見ている私は
赤ちゃんのお尻が映し出されるおむつのコマーシャルに
とてつもない幸福感をいただいているのである。



アイフル「映画館」篇のCMでは、映画館のスクリーンに映し出されるフランス映画に、日本語で喋りながら登場する女将役の女性、女優の大地真央さんが出演していますよ。



母の人生

2019-11-20 01:36:00 | 日記
実母の話。

私が9歳のときに若い男と駆け落ち(のちに結婚)した実母の話は
これまで何度も書いている。

今年になってその男が亡くなったと知らされたことも
この間書いた。

今回はその続編である。

細かい話は省くが
母の成年後見人となった男性から、先週、電話があった。

夫を亡くし
引き取ってくれる身寄りもなく
その上認知症による記憶障害が激しくなった母は
生活保護を受け
社会福祉士が成年後見人となって
今月からグループホームのお世話になっているという。

「亡くなったご主人の財産を整理したところ
1000万ほどの貯金がありまして」と、成年後見人。
そのうちの何割かを男の弟が相続し残りは母のものになるが
母は生活保護を受けているため
ほとんどが没収されるのだそうだ。

1000万円?
その額を聞いて、驚かずにいられない。

駆け落ちしてから10年ほど経って
母と男は東京に舞い戻ってきたが
男は仕事に恵まれず
決して裕福とはいえない生活を送ってきた。

たまに連絡を取っていたので知っているが
それは今の私からしても情けなくなるような
つましい暮らしぶりだった。

ところが、実は1000万円も貯金をしていたという。
子供を持たなかった二人は
老後に備えてコツコツ、コツコツとお金を貯めていたのだろう。

それが、結局は何の役にも立たなかった。
男は70代半ばで人生の幕を下ろし
母は何も理解できないまま
グループホームで余生を過ごすことになってしまった。

すべてを犠牲にした若き日の恋の逃避行。
その末路が、これか?

やりきれなくて涙も出ない。





“シニア”で映画を観る

2019-11-16 00:09:00 | 日記
渋谷で「Yestaday」という映画を観てきた。

ネットで席の予約をしていなかったので
窓口でチケットを買う。

「シニア一枚!」
そう言うのにも、だいぶ慣れてきた。

しかし毎回思う。
窓口の姉ちゃんよ
こっちが本当にシニアなのかどうかちょっとは疑えよ!

「シニア一枚!」の一言で
こっちが60以上だって簡単に信じんなよ!

「証明書のご提示をお願いします」
くらいのことを言ってみろよ!

何の疑いももたれぬままシニア料金1200円を要求され
内心、ムッとする。
1800円は払いたくないが
いとも簡単にシニアと認められて嬉しいはずがない。

そういえば何年か前、男の友人(当時50代)が
同世代の男友達と映画を観に行った時
「夫婦50割引」でチケットが買えたという。

「冗談で言ってみたんだけど、簡単にパスしたよ」
彼は笑って後述したのだった。

映画館の各種割引はありがたいが
なんだかねぇ…と、思わずにいられない。

追記
「Yestaday」はいい映画だった。
ビートルズのファンでなくても
あの世代を生きた人なら十分に楽しめるだろう。
しかし、隣に座ったジイさんが
上映開始直後に焼肉弁当を食べ始め
上映開始30分もしないうちに帰って行ったのには
腹立たしいやら呆れるやら、だったけどね。

Welcome to japan

2019-11-14 00:59:00 | 日記
なんにもない休みだったので
一人でぶらっと日帰り温泉を楽しんできた。

いくつもの湯に浸かり、そろそろ出ようかなっというとき
スラ〜ッとした外人女性が入ってきた。
年の頃、60半ばといったところか。
なんだかオドオドしていて
いろいろなお風呂に片足を入れては出し
しまいにはサウナのあとの冷水風呂に片足を入れて
ヒャッ!と慌てていたりしている。

初めてのニッポンなのか!?
初めての温泉なのか!?

見ていて気の毒になり
しばし逡巡した挙句に声をかけた。

ニホンゴ、ハナセマスカ!(英語で)

答えは「NO」

ま、まずい。
でも、彼女は救いを得たような顔をして私を見ている。

とりあえず
ハジメテデスカ?と聞いてみたら(拙い英語で)
彼女は日本が初めてか聞かれたと思ったらしく
(私は温泉が初めてかと聞きたかったのだが)
日本に来たのは2回目で
前に来たのは桜が綺麗な頃だったと答えた(ように思う)。

そこでやめておけばよかったのに
私はついつい、言ってしまった。

ゴアンナイシマショーカ?と(ボロボロの英語で)。

そんなこんなで
私は見ず知らずの外人女性を引き連れて
日帰り温泉の建物をあちこち案内する羽目になる。
(ここまでくればもうヤケクソ。ジェスチャーに頼るのみ!だ)

彼女はケープタウンからやってきて
息子は東京・新宿で働いているので日本語は堪能。
お母さんはイケバナが大好きで、自分の家の庭でも花を育てている。
今日は夫とここに遊びに来た。

気をよくした彼女はペラペラと英語で喋り続けたが
私が聞き取れたのはこれくらいであった。

30分ほど一緒にいただけで、精魂尽き果てた私。
ゴメンナサイ、ワタシ、カエリマス。
エンジョイ・ジャパン!

くたくたの英語で別れを告げ、最後は握手してお別れしたのだった。

お前よぉ…と、自分に言う。

英語も喋れないくせに外人に話しかけるなよ!
その度胸は認めてやるが
相手にとってはかえって迷惑だったんじゃねーのか!?

18歳のときに合格した英検2級。
その栄光を、今になって恥じる。