ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ああ、風流。

2019-12-29 22:27:00 | 日記
査定でランクアップし、給料UP!
リーダー職に就任して、さらに給料UP!
もひとつおまけに
研究発表会で優秀賞をいただき
5万円GET!
(なぜか私個人にではなく会社に、なのだが)

口の悪い美容師が言った。
「1年分の運を使い果たしちゃったんじゃないの?」

やめてよ、縁起でもない。

しかし確かにラッキー過ぎた今年。
落とし穴がなきゃいいけれど・・・。

なんてことを考えながら1年を締め括ろうとしていたその時
やはり、落とし穴はあった。

突然、右足の裏と甲がパンパンに腫れ上がってしまったのだ。

熱感もあり、足をつくだけで激痛が走る。
とても歩ける状態ではない。

急いで皮膚科を受診すると
これは皮膚科レベルではない。すぐに紹介状を持って
大きな病院の形成外科で診てもらうように、とのこと。

形成外科受診のの結果、病名がわかった。
“粉瘤”だ。
本来なら垢となって剥がれ落ちるべき皮膚の表皮細胞が
皮膚の中に入り込んで形成した袋状のもので
私の場合、そこが膿んで炎症を起こしたらしい。

とにかく膿を出しましょう。
そう言って、美人の女医が容赦なく足の裏にメスを当てる。
麻酔なしの拷問。
髪をかきむしり、ハンカチをくわえて食いしばり
看護師に足を押さえながらの、まさしく拷問だった。

粉瘤そのものを除去したわけではないので
再発の可能性は十分にあるらしいが
ま、とりあえずこれで仕事は休まずに済む。
よかった〜。

言っておくが
この状態でも仕事は1日も休まなかった。
早番・遅番のときは
上司がオムツ用のパッドを重ねて特製サポーターをつくってくれたので
それを足裏に当てて痛みを緩和。
(もちろんそれでも痛みはあったから、ケンケンするように歩いたが)
そして夜勤の時は
なんと、車椅子に乗って建物内を走り回った。

じいさん、ばあさんたちが寝静まった夜の高齢者住宅。
誰もいない廊下を
私の車椅子がシャーッ!シャーッ!と走り抜ける。

足に苦痛を抱えてはいたが
それはそれで、面白い体験だった。
お陰で車椅子の操作もうまくなったし
利用する人の気持ちにもなれたし、ね。

足をぶつけても、ああ、風流、風流…
そういうのが禅の考え方だという。
(なんかで読んだ。間違ってらごめんなさい)

足が腫れても痛んでも、ああ、風流、風流。

お陰で貴重な経験ができました。
お陰でそこ以外は健康でした。
お陰でいい年でした。

ああ風流。ありがとう。



愛しの吉田くん、33歳。

2019-12-22 01:23:00 | 日記
貯金とお母さんとAKBとポケモンが大好きな吉田くん、33歳。

つまらん男である。

しかしあんまり素直で純粋で言うことをよく聞くので
最近、彼が愛おしく思えてきた。

3日ほど前、彼と二人で飲みに行った。

一応リーダー職についた私は
上司から特に吉田くんを育てるよう言われている。
そこで飲みながら彼の仕事への思いを聞こうと誘ったわけだ。

楽しい飲みの席で、私は彼にいくつかの提案をした。
その一つが
「吉田くんの笑顔はすっごくいいよ。
だからその笑顔を利用者さんにも見せてあげたら?」

腹の突き出たボディに:お世辞にもイケメンとは言い難いルックス。
おまけに仏頂面だ。
しかし時折り見せるクシャッとした笑顔は
なんともかわいい。
「その笑顔を見せてあげたら
おじいちゃん、おばあちゃんたち喜ぶと思うよ」
だから、そう言ったのだった。

それから2日の休みを経て出社すると
新しい社員証が出来上がっていた。
今回の社員証はお節介にも顔写真付きだ。

全員の社員証を机に並べて、上司が言う。
「見てよ、吉田くんのこの笑顔。
きのう社員証の写真を撮ったら、吉田くんやけにこだわるんだよ。
こんな仏頂面の写真じゃイヤです。とか
もっと笑顔の僕を撮ってください。とか
メガネを外して笑うから、撮り直してください。とか…
吉田くんがあんなに自分の顔写真にこだわるなんて、驚いたよ」

笑笑笑、大爆笑!!!
こんなにもすぐに実践するとは!?
素直すぎるぜ、吉田くん。

社員証の吉田くんの写真は本当にいい笑顔だった。

うん、鍛えがいがあるぞ、吉田くん。

おっさん、パプリカを踊る!

2019-12-21 00:27:00 | 日記
クリスマスが近い。

おっさんが働くデイサービスもその準備に追われているようで
利用者を楽しませるための飾りつけや余興の練習で
毎晩帰りが遅い。

YouTubeでパプリカの振付けを見始めたのは
もう2週間ほど前になるか。

「まいったよ、みんなで踊ることになっちゃってさ」
最初は、なんだか渋々だった。

面白いから家で練習につき合う。
(というか、勝手にトレーナーを気取る)

ほら、そこで回って!
違う、そこは右から!
はい、パンパンパン(手拍子)! 遅い!!

とてもじゃないが、見ていられない。
昔から音痴とリズム感のなさは有名だったし
だいたい歳も歳。
うまく踊るどころか、振付けを覚えるのは至難の技だ。

ところがまじめなおっさんは、日々精進した。

今日、みんなで練習したという動画を見せてもらったら
なんと、踊れている。
しかも、若いスタッフよりちゃんと踊れている。
それどころか、一人で歌まで歌っているではないか!?

妻の私から言わせてもらえば
おっさんは本当に不器用だし、センスがない。
だけどそれを補って余りあるほど
彼は、まじめで集中力がある。

ともに61歳。
この歳になって夫を見直すなんて、思ってもみなかった。

夫婦。
いろんなことを経験しながら、長く連れ添ってみるもんだね。




沈黙の殺意

2019-12-16 00:27:00 | 日記
見てはいけないものを見てしまった。

96歳のタダシが
亀の歩みで車椅子を走らせていた。
のろのろ、のろのろ。
その先にある自分の部屋まで
いったいいつになったらだどりつくのだろう。

そこへ車椅子のユウコが登場。
食堂から出てきた彼女はタダシの車椅子の後ろに着く。

進む方向は同じだ。
廊下はそれほど狭くないから追い越せばいい。
しかしユウコはタダシの車椅子にピタリとついて
追走している。

ユウコはほとんど耳が聴こえず
そのせいで、誰とも会話をしない。
唯一のコミュニケーションツールは穏やかな笑顔。
そんな女性だ。

その彼女がわざわざタダシののろのろ走行の後ろにつき
やがて、思わぬ行動に出た。

背後から思い切りタダシの車椅子の車輪を蹴飛ばしたのだ。

遠くから事態を見守っていた私は
大慌てで現場に急行。
タダシの車椅子を押して部屋まで連れて行った。

どーしたの? 何があったの?
と、タダシはワケがわからないようだったが…。

恐るべし、ユウコ。
沈黙と穏やかな笑顔の裏に、彼女は凶器を孕んでいる。

ここは駆け込み寺ではありません

2019-12-13 01:38:00 | 日記
ヅラのミチコは事務所を訪ねるのが仕事である。
(ヅラが盗まれたと事務所にやってきたことは
この間ブログに書いたが)

ここは駆け込み寺ではないんだから
何でもかんでも相談にこないでくれよ!!

しかしその内容が面白いので紹介しておこう。
※「」内はミチコからの相談事。ーーはこちらの対応。

「背骨が痛いんです。メンソレータムをください」
ーーはい、今度息子さんに送ってもらいましょうね。

「おでこの裏側に血が流れているんです」
ーーみなさんそうですよ。心配ありません。

「今日。息子がきたんです」
ーーよかったですねえ。
「よくありません。言いたいことがあったのに言えなくて…」
ーー何を言いたかったんですか?
「それを忘れてしまったんです。
 私は息子に何を言いたかったんでしょうか?」
ーーさあ。そう言われましても…

ミチコの事務所訪問。
これって、死ぬまで続くのか!?