ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

正直、こわい。

2016-09-30 00:25:32 | 日記
マリコ&モンスターズが帰ってきてから1週間。
※9/15の「マリコ&モンスターズ、リターン」参照

体調が戻ったからと病院からウチに帰ってきたマリコであったが
その晩から痰がらみが激しくなる。

そりゃそうだ。
病院ではひっきりなしに痰吸引してもらったらしいが
ウチに医療サービスはない。

ゼロゼロと喉の奥に痰が絡まり
マリコが「苦しい」と懸命に訴えても
訪問看護師がやってきて痰吸引をするまでに
早くても30分から1時間かかるのである。

それを承知でウチに戻ってきた奴らだが
大切なオバアチャンが苦しんだ挙句に死んでしまったら
私たちにどんな制裁を下すかわかったものではない。

とにかくあのモンスターズの首領である娘のキョーコは
ただものでない。
化粧しなければ恐らく誰だかわからないような濃いアイメイク。
いったいどこで買ってくるのか不思議でならない
時代と国境を超えた衣装。
そして私たち介護職員はおろか
ウチの責任者や医師にまで平気で無理を押し通す妙な威厳は
どこかの国の最高指導者そっくりだ。

ヤツは指示する。
ウチで最期まで面倒見よ!と。
「だってさあ、うちのオバアチャンはここが気に入ってるんだから
ここでみんなに囲まれて最期を迎えたほうが幸せじゃない?」

ごもっとも、だ。
でも、それを叶えるためにはこの先しばらく
痰絡みで苦しむマリコを見守り続けなければならない。

夜勤中にひどくなったら
在宅診療所か訪問看護師を呼ぶことになっているけれど
彼らが到着するまで
心臓が張り裂けそうな思いでマリコに寄り添いつつ
他の利用者のオムツ交換に回ったり
徘徊する人に気を配ったり
激しいコールにも対応しなければならない。

ぎゃ~~~!!!と叫びたくなる。

仕事に行きたくない。
めったにそう思わないが、今がそんなときだ。

そっか、生理か・・・

2016-09-25 03:18:23 | 日記
かわいい姪っ子たちと会うことになった。

一人は30歳のネイルアーチスト。
もう一人は27歳のブライダルコーディネーター。
ともに、我が最愛の姉
若年性アルツハイマーを患う姉の娘たちである。

小さい頃からかわいがっていた二人は
「遊ぼーよ」というオバチャンからの誘いに
すぐ、乗ってくれる。

何して遊ぶ?
今回は私から3つのプランを提示した。

1、移転前の築地市場で新鮮な魚介を食べる
2、様変わりしたらしい原宿に行ってランチと買い物を楽しむ
3、ウチの近くにできたスパに行って癒される

子育てと仕事に疲れている娘たちは
迷うことなく3番のスパを選んだ。

ところが当日の朝
長女の方からメールで「スパには行けなくなった」と連絡が。
なぜかと思えば「生理がきそうなの」と言う。

お、おお。生理か。

自ら閉経して久しく
さらに、日ごろ天国に近いジジババたちに囲まれた生活をしている私は
生理のことなんぞすっかり失念していた。

旅行やスパを阻む要因として
頭痛、めまい、倦怠感、腰痛、膝痛くらいしか想定していなかったが
そーか、女子には生理ってヤツがあったんだ。

スパに行けなかったのは残念だが
女子の身体構造を目の当たりにして
新鮮に感動する。

そっかあ、生理ね、生理。
女子にはそういう厄介ごとがあるんだったわね。

ジジババたちに囲まれて生活していると
どうも調子がずれてくる。
そして、それがフツーに思えてくる。

いかん、いかん。
たまには若者と触れ合わなければ。

道を切り拓く男

2016-09-20 23:48:58 | 日記
8月に台風がやってきて
東日本に大きな被害をもたらしたとき
テレビでこんなニュースを取り上げていた。

岩手県の牧場で、生乳を出荷するための道路が寸断されてしまった。
2、3日はお役所の助けを待っていたが
遅い。これ以上は待てない。

牧場主である朴訥(ぼくとつ)なオッチャンは決断する。

――じゃあ、自分たちで道を作るっしかなかっぺよ。

彼はショベルカーを手足のごとく動かして
ダダダッ、ダダッ、ダダダダダと土砂を取り除き
生乳を運搬するに十分な道を拓いたのだ。

台風の被害を伝えるニュースであったが
私はこのオッチャンに感動した。

目の前に障害があったら己の手でそれを取り除き
進む道をつくる。

これこそ、道を切り拓くってことなんだよなあ。

ああ、オッチャン、アナタはなんてカッコいいんだ!?

女房も子どもも孫も従業員も
そんなアナタをどれほど頼もしく思っていることだろうか。

それにしても
夜中から明け方にかけて関東地方を駆け抜けると言われている
今回の台風だけれど
ただいま、午前0時15分。
外は相変わらずのしとしと雨である。

どうなっちゃってんのかねぇ?





結婚記念日

2016-09-18 23:44:00 | 日記
今日はおっさんと私の33回目の結婚記念日。

ともに休みをとったこの日
横浜で映画と食事と夜景を堪能してきた。

映画は「シンゴジラ」。
50後半の夫婦が結婚記念日になぜゴジラ?と思われそうだが
それについては二人とも見たかったから、としか言いようがない。
それにロマンチックな映画を選んで
おっさんにヘンな気持ちを抱かれても困るしね(笑)

そろそろ帰ろうかという時刻
夜空に鮮やかな光彩を放ちながらゆっくりと回る大観覧車が
二人の目を釘付けにした。

あれに乗ろうか?
いいね。

実を言うと観覧車には思い出がある。
おっさんが倒産して破産して心身ともボロ雑巾のようになり
はじめて心療内科を訪ねた日の帰り
同じ観覧車を遠くから眺めた。

いつか立ち直ったら、あの観覧車に二人で乗ろうね。

そう、約束したのだ。

奇しくも、それは8年前のちょうど今頃のこと。

そう、私たちは8年間かけてこんなにも元気になったのだ。
今こそあの観覧車に乗ろうじゃないか。

まるで次なる旅路の扉を叩くかのように
私たちは観覧車のチケット売り場に立った。

しかし、「50分ほどお待ちいただきます」というチケット係りの言葉に
二人の思いは打ち砕かれる。

無念! いや実は安堵。
実はともに高所恐怖症で、大観覧車なんぞ、とんでもないのである。

ははは、ま、50分待ちじゃ仕方ないね。
そうそう、50分も待てないね。

かくして家に帰り、改めてビールで乾杯。

なんか、いい夫婦だ。
おっさん、これからもよろしくな。

モンスターズ、リターン!

2016-09-15 23:40:44 | 日記
そういえばずいぶん長いこと、マリコを忘れていた。

※マリコについては「マリコ・コール」(4/2)を参照のこと。

実は彼女、頻回コール癖がぴたりと止んでいい子になったと思ったら
点滴や痰吸引が必要なほど衰弱して
先月から入院していたのである。

バンザ~イ、バンザ~イ!!!
いけないことだが、介護職としてはもちろん
人としてもいけないことだが
管理者もケアマネも常勤職員も登録ヘルパーも
もれなくその入院を喜んだ。

マリコはいい。
我がままだが、かわいいところもあるし
頻回コールさえなければお世話のしがいもある。
だがあのモンスターファミリーとの付き合いには
たいがい、うんざりだ。
エラソーでクレーマーで細かくて無理をごり押ししてくる奴らには
介護職員もいつも顔が引きつったし
担当のケアマネージャーなんぞ
その対応で始終イタタタタ~!と胃を痛めていたっけ。

「恐らくもう戻っては来ないでしょう」
責任者のそのひとことに、私たちは感涙した。
マリコさん、どうかどうか、元気でね。
でも絶対、ぜ~ったい、戻ってこないでね。

ところがきのう、入院先の病院から
退院が決まったのでケアカンファレンスを実施したいと連絡が。

うそだ! そんなのうそだ! 何かの間違いだろーーー???

ケアマネの話によれば
あの家族には病院でもさんざん手を焼いたらしい。
そりゃそうだ。
そして家族は
大切なオバーチャンが退院するならウチではなく
24時間医療体制が整っていて
なおかつ自分たちのわがままを押し通せる施設を探したが
どうやらなかったらしい。

で、帰ってくることになったマリコ&モンスターズ。

みんな泣いている。
そして退院日である22日までの束の間の平和を
いま、噛み締めている。