大好きな利用者さんが亡くなられた。
はるか岐阜から
娘さん夫婦の家に近いウチの施設に
ご夫婦で引っ越してこられたTさん。
亡くなったのは、ご主人の方である。
末期ガンで余命宣告されていたが
痛い、辛いと嘆くことなく
車椅子を押したり、手をさすったり
職員のそんな小さな行為にもいちいち手を合わせ
細い声で「ありがたいことです」と繰り返しておられた。
呼吸困難で深夜に緊急搬送されたときは
「死にとうない。まだ死にとうない。
こんな苦しい顔で死んだら
残ったもんがみんな悲しむやろ。
だから苦しがって死ぬことはできませんのや」
夜勤の職員の手を握り締めながら、そう仰ったそうだ。
それから2日後に、息を引き取られた。
この仕事をしている以上、そういうことは珍しくないし
就職してからわずか4ヶ月で
すでに4人の方とお別れしている。
けれども、生前のTさんの穏やかで謙虚なお人柄を思うと
やはり胸が詰まる。
Tさん、お世話させていただいて
ありがとうございました。
そして今日
葬儀を終えて3日ぶりに戻られた奥様K子さんを
食事のお誘いに伺う。
K子さんは抱きしめたくなるほど愛らしいオバアチャマ。
身体的な問題こそないが、認知はかなり進んでいる。
K子さん、お食事ですよ。
声を掛けると、いつもどおりふっくらとした笑顔で応対してくださった。
けれども
ご主人が寝ていたベッドをじっと見つめて仰る。
「私は誰かと一緒に暮らしておったんですかの?」
「はて、私には結婚しとる人はおったんかいの?」
玄関で靴を履こうとしたときも、首をかしげて仰る。
「なんだかここにもう一つ
大きな靴があったような気がするんやけどねえ」
ご主人が亡くなったことを知らせてもいいという通達を
ご家族から受ける前のことだった。
だから私は「ご主人は入院中で・・・」と言うべきところだったのだが
ウソも、事実も、口にすることができず
ぐっと涙をこらえながら
一緒に首をかしげる振りをするしかできなかった。
しんどいのぉ。
はるか岐阜から
娘さん夫婦の家に近いウチの施設に
ご夫婦で引っ越してこられたTさん。
亡くなったのは、ご主人の方である。
末期ガンで余命宣告されていたが
痛い、辛いと嘆くことなく
車椅子を押したり、手をさすったり
職員のそんな小さな行為にもいちいち手を合わせ
細い声で「ありがたいことです」と繰り返しておられた。
呼吸困難で深夜に緊急搬送されたときは
「死にとうない。まだ死にとうない。
こんな苦しい顔で死んだら
残ったもんがみんな悲しむやろ。
だから苦しがって死ぬことはできませんのや」
夜勤の職員の手を握り締めながら、そう仰ったそうだ。
それから2日後に、息を引き取られた。
この仕事をしている以上、そういうことは珍しくないし
就職してからわずか4ヶ月で
すでに4人の方とお別れしている。
けれども、生前のTさんの穏やかで謙虚なお人柄を思うと
やはり胸が詰まる。
Tさん、お世話させていただいて
ありがとうございました。
そして今日
葬儀を終えて3日ぶりに戻られた奥様K子さんを
食事のお誘いに伺う。
K子さんは抱きしめたくなるほど愛らしいオバアチャマ。
身体的な問題こそないが、認知はかなり進んでいる。
K子さん、お食事ですよ。
声を掛けると、いつもどおりふっくらとした笑顔で応対してくださった。
けれども
ご主人が寝ていたベッドをじっと見つめて仰る。
「私は誰かと一緒に暮らしておったんですかの?」
「はて、私には結婚しとる人はおったんかいの?」
玄関で靴を履こうとしたときも、首をかしげて仰る。
「なんだかここにもう一つ
大きな靴があったような気がするんやけどねえ」
ご主人が亡くなったことを知らせてもいいという通達を
ご家族から受ける前のことだった。
だから私は「ご主人は入院中で・・・」と言うべきところだったのだが
ウソも、事実も、口にすることができず
ぐっと涙をこらえながら
一緒に首をかしげる振りをするしかできなかった。
しんどいのぉ。