ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

夜勤の年越し。しかし私はこんなにも元気だ。

2014-12-31 02:02:30 | 日記
“ゆく年くる年”が夜勤であるため
その前に一年の締め括りを書こうと思っていた。

が、ただいま深夜2時。
そろそろ眠い。

それでもとにかくなんとか、締め括ろう。

研修期間を終え、今の介護現場で働くようになって早、1年。
仕事に夢中だった。
仕事が楽しくてならなかった。

もはや耳障りかもしれないが
おっさんが自己破産してからの6年と数ヶ月が経つ。

“お先真っ暗”の日々から脱却し
生き延びるすべを模索しながら歩み続けた時代を経て
今がある。

こんなにも仕事を楽しめる日がこようとは
思いもよらなかった。

この6年と数ヶ月の歳月の中で
私、一番輝いていたかもしれない。

お陰さまで、笑って年越しできそうである。

さあ、明日は大晦日夜勤。

初日よ、見ておくれ。
私はこんなにも元気だ。

我が母につける薬はない。

2014-12-25 18:52:33 | 日記
ああ、母よ、母よ、かわいい母よ。
そんなに頼りなくて
よくもまあ、80年間生きてこられたものだ。

もともと外出を好まない専業主婦一筋の母は
一年前に父が他界してから
ますます“ひきこもり”になった。

ひざが痛くて歩けないのかと聞けば
それは注射で治まっているとのこと。
しかし
一人で外を歩いていて何かあったらどうしよう!
倒れて救急車で運ばれることになったら大変!
そんな不安から、外出を避けているのだと言う。

心臓に爆弾を抱えているわけではない。
何らかの発作を起こす持病があるわけでもない。
つまり、究極の心配性なのである。

そんな母も、デイサービスと病院に通うべく
週に2回は外出せざるを得ない。

そのときのスタイルを見て驚いた。
家の権利書、年金手帳、生命保険証券、貯金通帳、印鑑の束
そして緊急連絡先を書いたノート…
これらをすべてリュックに詰めて、背負っていくのだ。

「だって、もし家が火事にでもなったら大変でしょう?」

心配性もここまでいけば、病気である。

だがその一方で…
役所から支給された緊急通報ベルがある。
いつどこで倒れても事故にあっても
それを押せば速やかに対応してもらえるという老人お助けグッズだ。
それが
きれいなビーズのポーチに入って
リビングのフックに壁飾りのごとく吊り下げられている。

おい、おい、これこそ外出時に持っていったり
寝るとき枕元においておくものでしょーが!?

「こら!!!」と、初めて母を叱る。

でも、でもね…と、やや怯みながらも母は言った。
「このボタンを押すような事態を想像するのが怖いの。
これを持って出かけると
本当に転んだり倒れたりしちゃいそうで怖いの」

なんのこっちゃ!?

ああ、母よ、母。頼りなくかわいい我が母よ。
アナタにつける薬はない。








彼女と私は前世から繋がっていたのだろうか?

2014-12-23 18:40:17 | 日記
「御大(オンタイ)」

93歳の女性入居者Hさんが私のことをそう呼ぶと
10日付けのブログに書いた。

彼女だけが使う私のニックネームは
実はこの半年でさまざまに変わっている。

最初は、「ボス」だった。
ほとんど寝たきりの老婆にいきなり「ボス」と呼ばれ
驚いたことは言うまでもない。

次が「社長」で、たまに「先生」。
ここ2、3ヶ月の間に、現在の「御大」に落ち着いた。

最初はもちろん「なんで?」と戸惑ったが
毎日のようにそう呼ばれていると
しかも60代の娘や30代の孫娘までもがそう呼ぶようになってくると
こっちもだんだん馴染んでくる。
「御大」と呼ばれることで
反対にこっちのほうが安心感を得られるようになってきたのだ。

そんなところへ
おとといまた、新たなニックネームが生まれた。

同僚がHさんの援助をしているとき
突然言われたそうだ。
「まじめに働かないと、オーナーに怒られるわよ」
え? オーナーって誰のこと?
当然そう質問する同僚に、Hさんはこう言った。
「オンタイのことよ」

いよいよこの私、オーナーにまで登りつめたか!?

どういうわけか知らないが
Hさんの中で、私はゴボウ抜きに
しかも業種を超えて出世しているらしい。

さて、こうした出世魚的なニックネームとは別に
この間、Hさんは私の顔をしばし見つめてひとこと放った。
「お姉さん…」

なに、ついに親族化か!?

「私よりもずっと若いのに失礼だけど
オンタイは私のお姉さんのような気がします」

Hさんと私
今生に至るまでのいくつかの前世で
どんな関係にいたのだろうか。

サチさん、行方不明になるの巻

2014-12-22 01:56:35 | 日記
サチさん(仮称)はケラケラ、ケラケラと
笑ってばかりいる。

ひどい認知症で発語にも障害のある
けれどもとびきりチャーミングな70代。
言葉によるコミュニケーションはとれないが
何を言っても楽しそうに笑うので
ときには涙を流して大笑いするので
誰もがサチさんといると
日常のウサを忘れて幸せ気分になれるのである。

そんなサチさんが、きのう、行方をくらました。
ウチの場合、施設や病院ではないから
誰でも外出は自由だ。
しかし自分の名前もいえない彼女を放っておくことはできない。

同僚と二人で館内を駆けずり回り
30分かけて付近を探し回ったが
その行方は、杳として知れず…

あ、こんなときにはアレだ。
そう思って防犯カメラを巻き戻してきると
彼女の姿は映っていた。
エントランスから出ようとして戻り
また出ようとして、踏みとどまり
そして最後に映ったのは、館内に戻る姿だった。

と、いうことは
この中にいる~~~!

マネージャーの許可をもらって一軒、一軒
居室を訪ねることにした。

すると、なんと2軒目でサチさんを発見。
そこは先週入居したばかりのKさん宅。
家族から捨てられたと思い込み
毎日眠れないほど嘆き悲しんでいるウツ状態のKさんのお宅に
サチさんは迷い込んでいたのである。

「いま、この方が遊びに来てくれて
私の話を聞いてもらってたの。
お引止めしちゃって申し訳なかったけど
お陰で少し心が軽くなったわ」と、Kさん。

何もわからなくても
おう、おう。うん、うん。と絶妙な相槌を打つサチさんに
Kさんはそうとは知らず
思いっきり不幸な身の上話をしていたらしい。

捜索に疲労困憊したけれど
サチさん
あなたは万人の心を癒す国宝級の介護士です。










青天の霹靂

2014-12-18 22:10:33 | 日記
吉川英治の「三国志」を読んでいる。

まさかこの歳になってそんなものに興味を持つとは思わなかったが
アマゾンのkindle本で10巻100円で売っていたので
それなら途中でギブアップしてもいいや!と
軽い気持ちで買ってみた。

しかしこれが面白いのである。
若き日に読んだというおっさんは主要な登場人物の名前を記憶しているので
共通の話題にもなり
若干渇き気味の夫婦関係にわずかな潤い効果もある。

さて、その中で小さな発見が。

「霹靂」(へきれき)という言葉が、単独で使われていた。
「青天の霹靂」なら知っているが
“へきれき”だけだと意味がわからない。

さっそく検索。
kindleは読んでいる途中で不明な言葉が出てきてもすぐに調べられるから
実に助かる。

霹靂・・・その意味はなんと“かみなり”だった。

このブログを読んでいる人がもし
「そんなこととっくに知ってたよ」というのであれば
この無知を一笑してくださってかまわないが
とにかく私はこの発見に感動した。

そーか
雲ひとつない青空に突然かみなりが鳴るってくらい予想できないこと
それが、青天の霹靂ということだったのか。

なんだかちょっとだけ賢くなった気分である。