ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

舞妓はレディ

2014-09-27 02:56:27 | 日記
友人に誘われ、映画『舞妓はレディ』を観にいってきた。

レイトショーなら1300円だからと47歳の友人は喜んでいたが
いざチケットを購入しようとしたら
窓口に“Go Go 55”と、ある。

ふん、55歳以上はいつでも1100円だとさ。
ありがたくも腹立たしい。

さてその『舞妓はレディ』、なかなか面白い作品だった。
周防監督の映画はほとんど観ていると思うけれど
毎度毎度、新しい試みをするなあと感心する。

ま、映画批評は得意としないので止めておこう。
とにかく
主役がメッチャかわいかったなあ。
俳優・小林薫の元妻である中村久美(だっけか)を久しぶりに見たけれど
貫禄のある女優になってたなあ。
周防監督の大ヒット作『シャルウィ・ダンス?』を思い出させてくれるシーンが
あったりして、そこは笑えたなあ。
(渡辺えりの芸者姿は、それだけで笑える!)
(といっても、これはコメディ映画ではありません)

さあて、明日は夜勤。
面白い映画と楽しい友人、そして今飲んでいるお酒…
それだけあれば、明日もきっと頑張れる。








この温度差・・・

2014-09-24 23:37:45 | 日記
あ、焼酎がない。

早番の仕事から帰って夕食の支度を終え
午後8時に
ふと、それに気づいた。

おっさんはきっと帰宅途中だろう。
今電話をすれば、帰り道で買ってきてもらえる。

珍しく、電話はすぐにつながった。

いまどこ?
「あと2、3分でウチ」
あ…、そう。じゃ、待ってる。

なんだ、じゃ、焼酎頼めないじゃん!と落胆する私。
しかし電話の向こうの、妻のそんな表情に気づくことなく
おっさんは2、3分後にさわやかな笑顔で帰ってきた。

「心配して電話くれたの?」
は?
「いつもより遅かったから、心配してくれたんだ?」
私は真顔で応える。
ううん。焼酎勝ってきてもらおうと思ったんだ。
「ウソだろ? 心配したんじゃなかったのかよ!?」
え、マジ? 本気でそう思って…
あ、だからあんなに嬉しそうな顔で帰ってきたわけ?

おっさん、ガックリ!
私、びっくり!

いまだに妻に心配してもらっていると信じている夫と
夫より焼酎が残り少ないことを心配している妻。

温度差は、あまりに大きい。

被害妄想と食いしん坊の泥棒

2014-09-21 22:21:24 | 日記
「うちの冷蔵庫からどんどん食べ物がなくなる。
どうやら盗まれているらしい」

朝ごはんどきの食堂で
Kさん(80代・男性)が親しい人たちに話をしている。
しかしこのKさん、かなり耳が遠いから声の大きさハンパじゃない。
「盗まれたらしい」と漏らした声が
怒りを伴って食堂中に響き渡る。

認知症ではないはずだが
以前にも「部屋のものがなくなっている」と大騒ぎしたことがあった。
お部屋には鍵がかけられるようになっているし
Kさんの鍵は本人の希望により事務所でお預かりしていない。
だから盗まれるなんてことは、まずありえないのだが…。

さてさて、困ったことに
その火の粉が物盗られ妄想のA子さんにうつった。

一気に燃え上がるA子。
それまでまったく接点がなかったのに
よろよろと、しかし彼女なりの全速力でシルバーカーを押し
Kさんのところに向かう。

「お宅もですか、実はウチにもしょっちゅうドロボウが入って
お取り寄せの珍しいお菓子や人様から送っていただいた高価なお肉が
次から次へ盗まれるんですのよ」

大声でガーガー喋るKさんと
うろたえながら被害を訴えるA子さん。
二人を、ひまでひまでどうしようもないジジババ・ギャラリーが囲む。
手がつけられない。

いやいや、皆さん、ご安心ください。
この男性はもともと物事を大きくする壁のある方で…
この女性は物盗られ妄想の激しい方で…
そんなことを言ったらよけいに騒ぎを大きくするだけだし。

しかしお二人とも、被害は“食べ物”。
現金や通帳、貴金属でないところが
なんとも介護サービス付き高齢者住宅らしくて笑えるのである。

へろへろへろ~

2014-09-19 00:16:09 | 日記
おっさんとともに休みだった今日
遅めの朝食をとったあとにコーヒーを飲みながら
ふっと、水周りの汚れが目に留まる。

いやだなぁ。

いつもなら見て見ぬ振りすることが
今日はなぜか、そうできない。
わずかな汚れに、わずかな苛立ち。

洗剤とスポンジを握り締め
ちょっとだけ拭こう・・・と思ったら
これが止まらない。

気がつけば流し台からガスコンロの周辺、冷蔵庫、棚の扉と
汚れが気になるところを求めて
清掃活動は範囲を広げていく。

ふと手を休めると、背後におっさんが。

「オマエ、大丈夫?」

真顔で問う彼に「なんでさ?」と反発しながら
そういえば、私、変かも…

料理は好きだが
掃除はいつも二の次、三の次、だった私。
ストレスが溜まると拭き掃除をしたくなる
鍋を磨きたくなる
包丁を研ぎたくなる
そんな人の話を聞いたことがあるけれど
バッカじゃねぇの?と思っていた。

そんな私が、年末でもないのに時間も忘れて拭き掃除をしている。
そりゃ、確かに「大丈夫か?」。

そして夜。
今日はおっさんとの結婚記念日。
31周年を祝おうと、二人で飲みに行く。

「とりあえず生(なま)!」
続けて
「おしんこ、もずく酢、めかぶ!」

私のオーダーを聞いたおっさんが思わず私を二度見する。
「オマエ、どうしちゃったの?」
え、なにか変?
ああ、そういえばそうよね
本来の私だったら、肉料理と揚げ物をオーダーしてるもんね。
モズクやメカブといった海藻類は嫌いだったもんね。

部屋の汚れを気にすること
海藻類を食べること
それは、それが苦手だった私の“成長”(老い?)なのか
それとも「大丈夫?」と心配されるストレスの表れなのか…

うん。たぶん、きっと、後者だろう。

それほどに仕事で疲弊している、昨今の私である。

お化けより怖い現実のモンスター

2014-09-16 00:17:38 | 日記
見えるのね?
何かが見えちゃうのね?

脳梗塞によって右半身麻痺を抱え
なのにベッドから転落して骨折、入院となったÅさん(78歳・男性)が
ますます宇宙人化して帰ってきた。
宇宙人化…つまり、右半身麻痺による発語困難がさらにひどくなって
前にも増して何をしゃべっているのかわっから~ん!ってな状態で。

深夜にオムツ交換で彼の部屋を訪ねると
私の頭をベッドに引き寄せ
「△※?&#○$!×」と意味不明の言葉を発しながら
しきりに天井の角を指差す。

なに? ごめん、わからない。

理解できない私に苛立ったのだろう
彼はもっと力をこめて私の頭を自分の顔に近づけ
同じ目線でアレを見ろ!とばかりに
必死に天井の角を指差す。

あ、そうか、見えるのね?
何かが見えてるのね?

こういう職場にいると、決して珍しくない体験。
自分で見たことはなくても
利用者さんの言葉を通して
超常現象らしきものに触れることは少なくない。

はじめのうちは、気味悪かった。
こんなところで夜勤?とんでもない!

ところが勤め始めて1年近くなった今
そんなもんどうでもよくなる。
実際に遭遇していないから呑気でいられるのかもしれないが
今の私からしたら
お化けより現実のモンスターたち
高齢者住宅という館に住まう人々のほうが
不安と恐怖をつきつけてくるお相手なのである。