ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

休暇―秋川渓谷・瀬音の湯にて。

2014-03-28 23:53:33 | 日記
「頑張ってくれたご褒美に」と上司がくれた夢の三連休。
こんなチャンスもあるまいと
昔からの旅仲間Cを誘って
秋川渓谷沿いにある「瀬音の湯」で食と温泉
そして森林浴を楽しんできた。

渓谷沿いのコテージはメゾネットタイプで
吹き抜けのリビングとロフトのようなベッドルームが一つ。
リビングも浴室も、大きな窓の向こうに
山と渓谷が広がっている。
なんだこりゃ!? まるで別荘だ。

昼は竹林に囲まれた会席料理店を予約して
贅沢に食を堪能したが
夜はコテージで、買ってきた惣菜やおにぎり、ビールを並べ
安く済ませる。

宿泊と朝食のみの利用だから
一人7500円と超安い。
(しかも朝食はバイキングなんぞではなく
和食処で焼き魚や湯豆腐、山の珍味、香の物がずらりと並ぶ素敵なお献立)

夜・朝二回楽しんだ露天風呂も
手を伸ばせば山に届くような贅沢なロケーション。
二日目に散策した道では山に咲く梅やカタクリの花を愛で
川の流れに沿って歩きながら飽きることなくオシャベリを楽しみ
あ~~~、なんて贅沢な休暇であったことか。

Cが車で待ってくれていた武蔵五日市駅まで
家から1時間45分。
時間やお金をかけなくても
こんなに素晴らしいところがあったのねえ。

しかし
休みをもらえたから一緒に旅しよう!と誘えば
「行く、行く!」と時間を割いて付き合ってくれる
中学時代からの友だち・C子。
彼女の存在が、何よりありがたい。

追記
露天風呂の縁を歩いていていたときにツルッと滑り
あろうことか、裸体で、空を仰ぎながら
風呂に転落してしまった私。
臀部からふくらはぎにかけてできた擦り傷と痣が
楽しい旅の余韻として今も疼いている。

おいくつですか?

2014-03-27 00:46:06 | 日記
滅多に笑顔を見せず
食堂でも誰とも交わることがない孤高の人・T子さん。
彼女が昨日、90歳の誕生日を迎えた。

誕生日おめでとうございます。おいくつになられたんですか?

昨日もいつもと同じように
一人で黙々とご飯を召し上がっているT子さんに
お祝いの言葉をかけた。

小さく首をかしげ、Tさんは言った。
「50・・・50いくつだったかしら?」

まさか(笑)

そして今日はそのTさんの入浴介助。
背中を流しながら、私は再び訊ねる。
おいくつになられたんでしたっけ?

すると今日も首をかしげて数秒間考える仕草を見せたあとで
「50・・・えっと、50・・・。あら?50いくつだったか忘れちゃった」

ジョークではなく
本気で50代であると思い込んでいるらしい。

そういえば
私も年齢を聞かれて咄嗟に「28歳」という年齢が頭に浮かんだ頃がある。
声を出して答えたわけではないが
なぜかふっと、頭に浮かぶのがその年齢だったのだ。

28歳といえば出産した歳であり
同時に自信を持って仕事に打ち込んでいた時期でもあった。
だから私は無意識のうちに
28歳という年齢を印象深く記憶していたのかもしれない。

80、90まで生きて、頭がおぼろげになったとき
私も歳を問われて言うのだろうか。
20・・・えっと、28歳だったかしら、と。

老いてもなお・・・

2014-03-25 00:44:53 | 日記
私が勤務する介護施設
(正しくは高齢者向け住宅であって施設ではないのだが
誰にでもわかりやすいよう、ここでは“施設”と表現させていただく)
がオープンして、早4ヵ月。

学校でいうなら
ちょうど夏休みを迎えるころである。

緊張していた春が過ぎ
一人一人の個性が光り始める夏休み直前。

そう、我が施設でもそんな風景が広がっている。

初めて施設に入って来られた方も
利用していた施設がよくなかったからとウチに来られた方も
そして入院していた病院から転居されてきた方も
はじめは誰とも口を聞くことなく
数少ない交流の場である食堂でも
頑なに自分の世界を守っていらした。

ところが3、4ヵ月もすると、景色は一変する。

小学5年生に例えると、こんな感じだ。
クラス替えによってぎこちなく接していた仲間たちが
だんだんと仲良くなりはじめ
リーダー的存在、引き立て役とポジションが決定付けられて
グループ化が見られるようになる。
そこへ、転校生の登場。
あるいは、「あの子がアナタの悪口を言ってたわよ」からはじまる
女子特有の仲間割れ。

忙しくて給食時間の風景を見ることがなかった担任教師が
ふと気づけば
教室の様子が変わっている。
グループ化から生まれた派閥。
新入生を迎えたことによって生じた絆と亀裂。
クラスのアイドル候補だったはずが
なぜか一人ぽつねんと給食を食べている子・・・。

実は、こうした景色がウチの施設でも見え始めている。
80を過ぎたオバアチャマ同士が
たかだか30人ほどの中で派閥を形成。
「あの人は裏で私の悪口を言ってるの」と
一人を槍玉に挙げ
無視したり、のけ者にしたりしているのである。

で、のけ者になったオバアチャマはどうしているかというと
さっそく転校生、いや新入居者を見つけて楽しげにオシャベリ。
派閥が枝分かれしようとしているらしい。

ああ、女子はいくつになっても女子なんだなあ。


聞き間違いの妙

2014-03-21 00:12:47 | 日記
難聴の高齢者とのコミュニケーションに
日々頭を抱えている私だが
他人事ではない、という事例を3つ。

先日、28歳の大口男Sと軽い会話をしていた。
理屈っぽい彼をいつも冗談であしらっているのだが
その日、私が放った言葉に対して、彼がボソッとつぶやいた。
「ちかさんが20歳若ければよかったのに・・・」
え!?と驚いたあとで間髪入れず「惚れるなよ!」と言い返す。
戸惑うS。
当然だ。
「ちかさんにいじめられてばかりいる」
彼はそう言ったらしいのだから。

おかしいな。私の耳には
「ちかさんが20歳若ければよかったのに・・・」
と、聞こえたんだけど。

「俺、そんなこと言ってないし。
ちかさん、自意識過剰です!!!」

ごめ~ん!
でも、そう聞こえたんだもん。

今日は美容院に行った。
隣で、私より少し年配の女性が美容師と話をしていた。

「歳のせいか、聞き間違いが多いのよ。
この間も自転車に乗っていたら
自転車の盗難を取り締まっていたおまわりさんに止められて
“自転車に満足してますか?”って聞かれたの。
はぁ~!? なんでおまわりさんから
アナタは自分の自転車に満足してるかって聞かれるわけ?
でもよくよく聞いてみたら
“アナタはこの自転車の盗難登録してますか?”ってことだったのよね。
とんだ聞き違いだったわ」

隣でカットされながら、笑いを噛み殺すのに難儀した。
いるのねえ、私みたいな惚けた聞き間違いをする人が。

夜、久しぶりに会った友人Yの顔を見て
彼女の聞き間違いエピソードを思い出す。

数年前のことだが
彼女が働く会社に電気工事が入った。
Yの足元で電気コードをいじっていた作業員が
こう言ったという。
「うわあ、すごい大根足だなあ!」

太目の彼女は、ムカっとして聞き返す。
「なんですって!?」

作業員はこう答えた。
「いや~、すごいタコ足配線ですね」

老化は目から始まり、耳へと移行する。
そう聞いたことがある。
しかし、これは耳ではなく
脳の老化ととらえたほうがよさそうな気もしなくはない。



ワタクシ、本日、未熟者。

2014-03-19 23:45:50 | 日記
夜勤泣かせのNさん。
彼は大晦日にベッドから転落し
床の上で私と添い寝しながら年明けを迎えたというエピソードで
このブログにも登場しているが
そのNさんが、昨夜の夜勤でも泣かせてくれた。

毎朝5時、6時にお目覚めのNさん。
「何時ですか~?」
「起こしてくださ~い」
「着替えさせてくださ~い」
と非常ボタンを押しては叫び
まだ対応しかねることを繰り返し伝えていると
しまいには
「起こしてくれよっ!!!」
「アンタは忙しいかもしれないが
こっちは耳も聞こえないし足も動かない老人なんだ!!!」と
キレまくる。
言ってはナンだが、本当に困った御仁なのである。

夜勤の今朝も
目がご不自由で足の浮腫によって歩行も困難になってきた80歳の女性を
トイレで介助していた。
身体を支えながらリハパンを脱がせているから
私は両手どころか足も自由にならない。

そんな状況の中、Nさんから頻繁なコールが始まる。
やっとの思いで非常ボタンに繋がっているPHSを耳に当てると
何やら喚いていらっしゃるが、意味不明。
「もう少し待ってください」
どんなにそう言っても、再びコールが鳴る。

仕方ない。
とりあえずこちらがすぐに対応できない事情だけでも説明してくるか。
本来やってはいけないことだが
介助中の女性を便座に座らせ
「すぐに戻ってきますから、ここから動かないでくださいね」と
念押しして
私はすぐそばであるNさんのお部屋に急行した。

聴こえの悪いNさんの耳元に口を寄せて
「どうされたんですか!!!?」。
非常事態でもないらしい彼の様子を見て腹立たしくなり
私の言葉も自然、キツクなる。

するとNさんはこうひと言。
「私は寝ていてもいいんでしょうか?」

ああ゛~ん?
この忙しいさなか、「寝ていてもいいですか」と、それだけが言いたくて
延々と非常ボタンを押し続けてきたのか!?

ど・お・ぞ!!!
そう言い放ち、私は頭から蒸気を上げつつ退出したのだった。

介護職の先輩たちからしたら、不適切きわまる対応だろう。
わかってます。わかってますが、ね・・・。