ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

認知症を嘲笑う認知症の性悪女。その2

2016-04-26 01:21:37 | 日記
性悪女キワについて書いたのは、2月6日のことだった。

「認知症を嘲笑う認知症の性悪女」と題したそのブログに
ウチの義母とそっくり!とカキコミをくださった女性もいて
意地の悪い認知症の姑を介護するお嫁さんは
どんなに苦労されていることかと思ったものだったが…

さて、その後ますます“性悪”に磨きをかけ
認知症で10分前のことも忘れてしまうユキエさんを
馬鹿にし続けているキワ。

彼女がついに、ユキエさんの反撃に遭った。

夕食時、どうでもいいことをユキエさんにしつこく問いただし
その都度
「知らない」「わからない」「忘れちゃった」と
答えているユキエさんに向かって
「なんでそんなこともわからないの? あなた、馬鹿なんじゃないの?」
と、またしてもニヤニヤ笑いながら暴言を吐くキワ。

そのキワに、ユキエさんがコップの水をぶちまけた。
キワの衣服に水が飛び散り、夕食のお膳も水浸しだ。

ひゃ~っ!と悲鳴を上げ
誰か、誰か、来てえ。この人が私に水を撒いたのよお!!!と
パニック状態で周囲に助けを求めるキワ。

うっせ~、クソババア!

私の目の端にその光景は映っていたが
あえて、放置。

内心、よくやったぜ、ユキエさん!と絶賛する。

幸か不幸か衣服は少し濡れた程度で
食事も、それをのせたお盆が水浸しになったくらいで
ご飯やおかずは事故に遭わなかった。

チェッ
どうせなら頭から水をかけて
ご飯も食べられないくらい水浸しにしてやればよかったのに。

あの方はすぐに忘れちゃうんですよ。
それがイヤだったらいろいろ質問したりしないでくださいね。
お食事も離れた席になさったらいかがですか?

これまでもずっと、キワにそう言い続けてきた。

し・か・し
その助言を忘れて同じことを繰り返す。
お前こそ一番手のつけられない認知症なんだぞ~!

クレイジー・ミヨも物盗られ妄想のケイコも
援助は大変だが愛おしい。
だけど、キワ
お前のことはだ~いっキライだ。

神様が・・・

2016-04-22 00:37:55 | 日記
コール魔のマリコが、
「寒い」「怖い」しか言わないマリコが、
私の目をじっと見てこう言った。

「オンタイ、あなたには神様がついています」

耳を疑い、そして
彼女の目は見えないはずのものを捉えているのかと
思わず私の背後を確認する。
もちろん、何もいない。少なくとも私の見る限り。

え? もう一度言って。私には神様がついてるの?

「はい。神様がついています」

頻繁なコールにもはや傾聴する気も失せていたが
こういう言葉は素直に信じよう。

ありがとう、マリコさん。

そう言って、私はマリコの柔らかい手をさすり続けた。

明日からはもっと優しくしよう。
そう、私は現金な女だ。

ミチコはめでたい。

2016-04-20 23:46:00 | 日記
物盗られ妄想のケイコと
同じく認知症で潔癖症で、関係ないけど住職の妻であるミチコが
廊下で立ち話をしていた。

最近、夫と10年前に亡くなった息子を混同しているケイコ。
隣の部屋に住んでいる夫・ハルオを気遣うつもりが
出てくる言葉は「息子は今、どうしていますか?」

ハルオさんですか?
ご主人のハルオさんならお部屋で休んでいらっしゃいますよ、と
職員はやんわりと訂正して次の会話に進むのだが
認知症でオシャベリで、さらにオッチョコチョイのミチコの場合
そうはいかない。

おそらく「息子を見かけませんでしたか?」とでも訊ねられたのだろう
ミチコは素っ頓狂な声を上げてこう答えていた。

「あら~、あの方ご主人だとばかり思っていたけれど
息子さんだったのぉ!?」

90を超え、頭髪は白く薄く
ヘルパーに車椅子を押されている夫のハルオ。

息子のわけがない。


ジジイ化する私

2016-04-18 00:58:08 | 日記
深夜、友だちとスカイプをしていたら
ライターのオイルがなくなった。

タバコに火がつけられない。
困ったぞ。

いつもなら使い捨てライターの1本や2本どこかにあるのだが
その日はそれもない。

インカムを耳に当てながら、火を求めてうろうろする私。

こうなりゃ仕方ない。
ガスコンロから火をもらうとしよう。

そうして私は、スカイプと酒とタバコを
1時間ほど楽しんだのだった。

さて翌朝。
洗面台の鏡に写った自分の顔を見て、愕然とする。

パーマのかかった前髪が茶色く、チリチリとしている。
なんだ、こりゃ!?
焦げているじゃないか~!!!

そういえばきのうの夜、タバコに火をつけようとして
ガスコンロに顔を突っ込んだっけ…

ああ、オヤジ化を通り越して、ジジイ化している私。

やばいぜ。

私は戦争を知らない

2016-04-10 23:37:25 | 日記
点眼の援助をするために
90代のおじいちゃまの部屋を訪ねたときのこと。

棚に、ズラリと太平洋戦争のドキュメンタリーDVDが並んでいた。

その手のものに興味のある私が
「面白そうですねえ」とDVDを眺めていたら
おじいちゃまが言った。

「太平洋戦争の頃、あなたはどこにいらしたの?」

は? もう一度、は?

おい、こら、このへっぽこジイサン。
少しくたびれちゃいるが
この私、戦後生まれどころか
「戦争を知らない子どもたち」を歌って育った世代なんだよ。
太平洋戦争のころにはまだ、私の種もなかったわあ!!!

怒りを当人にぶつけるわけにもいかず
ここに吐き出す。