ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

思いやりの連鎖

2015-02-24 21:33:11 | 日記
どこに座ればいいか食堂でまごついている認知症の良子さんを
手に力が入らないためズボンもパンツも上げられず
半ケツ状態で歩いている久子さんがテーブルに案内し
その久子さんのズボンを上げてあげようと
認知症と不安神経症のユキさんが後ろからせっせと世話を焼き
そのユキさんがいつも薬を飲み忘れるから
私たち職員が薬を持って追いかけ
その私たちは
良子さんのふっくらとした笑顔にいつも癒されている。

ああ、思いやりの連鎖が地球を救う。





ヒジキ

2015-02-21 00:23:53 | 日記
昔、ある雑誌の読者投稿の欄に
「ナスの皮の部分を包丁で直径3、4センチに薄く切って
その辺に置いておくと、見た人はゴキブリと間違えます」
ってな記事があった。

わかる~!といたく共感したので
30年以上たった今も不思議と忘れられない。

さて、今日はヒジキと青大豆と豆腐入りの肉団子を作った。
乾燥ヒジキを水で戻してざるにあけると
そこからもれたヒジキが何本か、流しに残った。

げ、ゴキブリの足!!!

うまい具合に真ん中辺りで折れたヒジキは
叩いてやっつけたとき、ぽろっともぎれたアイツの足に似ている。

わかっているのに、ヒジキであることは百も承知なのに
毎度毎度、げっと驚く。
いい加減慣れろよと、自分に言い聞かせるのだが…。


キケンがいっぱい。

2015-02-20 19:12:38 | 日記
高齢者住宅はどこでも同じだと思うが
ウチもそれぞれの居室にキッチンがついている。
ご高齢の方にもフツーの暮らしをしていただくためだ。

もっとも、脳や手足に障害を持っている方の場合
家族が調理用具すら用意していないし
料理しようにもできないことがほとんどだから
火の不始末を心配することは、まず、ない。
(キッチンを使ってもIHだから危険は少ない、ということもある)

心配なのは、むしろ要支援
あるいはそれすら認定されていない元気な方々である。

実は今年に入ってから、すでに2回消防車を呼んだ。

いずれも
介護サービスを受けていないシャキシャキのおばあちゃまが
トースターでパンを焼いているときに火災報知機が鳴り
火は出なかったので「大丈夫です」と119に連絡をしたが
念のためにと消防車が駆けつけたのだった。

普通だったら、火災報知機が鳴るほどパンが丸焦げになることはないだろう。
しかし、原因はトースターに残っていたパンくず。
無頓着に、大量に放置されていたそれが焦げて
部屋に充満するほどの煙を出したようだ。

まだまだ一人で何でもできる方とはいえ、やはり高齢者。
“うっかり”や“物忘れ”は少なくないのである。

介護が必要な4割の高齢者を含めて
63人の利用者を抱えるウチの住宅。
“まだまだ一人で何でもできる”と胸を張りながら
実は危険要因を孕んでいる高齢者がたくさんいると思うと
ますます、ますます、夜勤が怖い。



引くわぁ

2015-02-20 00:40:53 | 日記
カンファレンスでの出来事。

夜の着替えを嫌がるおばあちゃまがいる。
パジャマの上着はなんとか着てもらうことができても
ズボンは「面倒くさいからいい」と頑なに拒否。
「今日もお着替えをさせてもらえませんでした」と
毎晩、ヘルパーさんが敗北の表情で退室するのである。

ズボンの上げ下ろしが面倒なのかもしれない。
だったら、パジャマじゃなくてネグリジェとか浴衣を提案したらどうか。
いっそのこと、いつもはいているスカートを
“寝巻き”ということにして着てもらったらどうか。

だいたいにして、入居したときに家族がパジャマを買ってきたから
私たちはそれに着替えてもらったほうがいいと考えているが
ここに来る前、果たして彼女はパジャマが常だったのだろうか?
そうだ、まずはそこを確認してみよう。
と、今度ご家族がいらしたら聞いてみることになった。

しかし…だね、彼女の家族といえば50代の息子さんが二人。
息子じゃわからないんじゃないでしょーか?

私の疑問を受けて、男性マネージャーがそれもそうだとうなづき
私の同僚である40代独身の男性職員Tに尋ねた。
「Tさん、あなたはお母さんの使っている化粧品の種類って知ってますか?」

するとソヤツ、真顔で答えた。
「はい、知ってます」

カンファレンスに出席していたT以外のメンバーが
思わず腰を引く。

同じ男性だからよけいに驚いたマネージャーが再度質問。
「でも、まさか金額まではわからないですよね?」

するとソヤツ、またしても真顔で
「いえ、大体の金額ならわかります」

一同、ゾワゾワッ!!!

カンファレンス終了後、Tをめぐって罵詈雑言が飛び交ったのは言うまでもなく
口の悪い女性職員Kさんなど
その日は一日、「マジ、あいつキモイわぁ」と罵っていたのであった。

母親と二人暮らしをしている40代独身のTは
きっと、母親思いの優しい息子なのだろう。
身体が弱いかもしれない母親の頼みで
化粧品の買い物なんかもしているのかもしれない。

同じく一人息子を持つ母親として一生懸命彼をかばおうとする私であるが
それでもやっぱり腰が引ける。
はっきり言って、キモイ。

あさっては息子の誕生日を祝おうと、彼をウチに呼んである。
久しぶりに母の手料理でも食べさせてやろうと
心を躍らせている。
その酒宴の席で、彼に釘を刺しておこう。
どこかで誰かに、「お母さんの化粧品についてご存知ですか」と聞かれたら
「知るわけがありません」と答えなさい、と。

ま、私自身が化粧品に無頓着だから
息子が知りようもないのだけれど
万が一息子が世間で私の化粧品や下着の種類なんぞを詳しく語ったとしたら
愛していても、引いちゃうわぁ。


どうか成仏してください。

2015-02-12 18:23:23 | 日記
認知症でパーキンソン症状を持つかわいいおばあちゃまが入居してきた。

自分の部屋が覚えられない。
「トイレはここです」と太いマジックで矢印を描いた紙を貼っておいても
毎朝、訪室すると玄関がおしっこの池になっている。
パーキンソン症状だから歩行も危なっかしく
ちょこちょこ、ちょこちょこ。

それでもいつも穏やかに微笑んでいて
だから母親としても、おばあちゃんとしても愛されているのだろう。
毎日のようにやってくる息子やお嫁さん、孫たちの
彼女を見る目がなんと温かいことか。

そのおばあちゃまが、私をとても気に入ってくれて
息子たちにいつも
「この方がとてもよくしてくださるの」と言ってくれる。

それは嬉しいのだが
きのう、ちょっと怖いことをおっしゃった。

食事時間にお部屋まで迎えに行ったときのこと。

「あ、あなたね。いつも本当にありがとうございます。
あら、きのうは赤ちゃんをおんぶしてらしたわよね。
今日はお一人?」

ちょいと、ちょいと。
もちろん私は赤ちゃんなんか背負っちゃいない。
幻視? 記憶障害? ただの勘違い?
ならいいけど…

背中の赤ちゃんが成仏してくれるよう、祈っておこう。