ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

またしてもコント婆

2021-02-05 00:29:00 | 日記
コント婆。いや、今のテーマで言うならヒリヒリ婆・ミチコ。
彼女はついに婦人科を受診した。

朝食を食べにこないので、ミチコの部屋を訪ねた。
時間をかけてやっとドアを開けた彼女は
入れ歯も入れていなければご愛用のヅラも頭に載せていない。
「ご飯は結構です。なんだか体調がすごく悪いんです」
と、ミチコ。
そりゃそーだろう。
1日に居室と事務所の往復を何十回。
それをここ1週間ずっと続けているのだから
彼女の体力も限界に違いない。

がしかし、今日こそ彼女を婦人科に連れて行ってやる!
職員一同、その思いはブレることがなかった。

案の定、彼女は抵抗する。
「なんで私が婦人科に行かなくちゃならないんですか!?」
「どこも悪くないのに、私を病院に連れて行くんですか!?」

もはや、問答無用。
メンソレータムを隠部に塗り続けたことによって
アナタは毎日、子宮の入り口がヒリヒリする、
どうか病院に連れて行ってくれと訴え続けているのだ。
ならばアナタの望みを叶えて差し上げましょう。

かくして
自分の言動を全て忘れている彼女を半ば強引に婦人科に連れて行ったのだった。

診察結果は明らか。
「あ〜、あ〜、なんでメンソレータムなんか塗っちゃったの?
すっごく炎症を起こしちゃってるじゃない」
呆れた女医は1週間分の膣剤と軟膏を処方してくれた。
「メンソレータムは万能薬じゃないのよ!」
締め括りにそう言い放って・・・。

病院から帰ってきてしばらくは、おとなしかったミチコ。

…アナタは陰部にメンソレータムを塗りすぎたことによって
ヒリヒリという痛みを感じました。
だから今日、病院に行って診てもらいました。
結果、メンソレータムの塗り過ぎがよくなかったと医師に言われました。
明日から毎朝ヘルパーが治療のためのお薬を持っていきますから
どうか安心してください…。

ケアマネ・ショーコが書いたこのメッセージが功を奏したのか?

いいや、ミチコはそんなに甘い認知症ではない。

早くも翌日からミチコの事務所襲撃は再開した。

「あのぉ、お恥ずかしいんですが、子宮の入り口がヒリヒリとして…」
だからね〜。
「あのぉ、婦人科に連れて行っていただきたいんですが」
だからね〜。
「この近くでメンソレータムを売っているところはありますか?」
だからね〜。
「ひどい人ですね。私のメンソレータムを盗んだんでしょ!?返してください!!」
だっからよお!!!(怒)

エンドレスに続く、ミチコとの不毛なやりとり。
ダメだ、ダメだ、私たちの精神が崩壊する。

言葉を尽くしても、メモを取らせても
優しく言っても、強い言葉で言っても
メッセージを書いた紙をバッグに入れても、ドアに貼っても
まったく効果がない激しい短期記憶の欠落。

どうしたらええんや!?(涙)

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