ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

シークレット・スーパースター

2019-08-31 01:31:15 | 日記
たまには映画の話。

現在公開中のインド映画
「シークレット・スーパースター」を観てきた。

映画大国インドにあって
最も尊敬される人物とされる俳優アーミル・カーンが
製作・出演している映画である。

「きっと、うまくいく」
「PK」
「ダンガル、きっと強くなる」

彼が携わった映画はいずれも名作。
差別を含めたインドの社会問題を描いているのだが
いずれも深く、温かく、清々しい。
テーマは重いのに、なぜか重くない。

天才なんだよ、アーミル・カーンは!!

さてさて、今回の「シークレット・スーパースター」。

同じくアーミル・カーンの大ファンである友人と
後半はボロ泣きだ。

少女の夢、淡い恋心、希望、家族、母親の愛…
いろいろな要素があって語りつくせないが
とにかくいい映画だった。

映画ファンにはよく知られているアーミル・カーンだが
残念ながら、日本での知名度は高くないらしい。
もし興味を持ってくださったら
まずは彼が44歳のときに大学生を演じた名作
「きっと、うまくいく」からご覧ください。

「シークレット・スーパースター」は
ただでさえ上映館が少なく
そろそろ上映終了となってしまいそうなので
来年あたりDVDで観ていただくしかなさそうですが…。

追記
観終わってからビールを飲んで語ろう!と
友人と楽しみにしていたのだが
ビルの階段から友人が転落!
腕に10センチほどえぐられたような怪我を負い
飲むどころか
8針縫うことになってしまった。

そうしたことからますます
「シークレット・スーパースター」は
忘れることのできない映画となったのであった。

ボケてもマダム

2019-08-22 22:30:26 | 日記
フミコはもともと、えーとこの奥様だったんだろう。

そういえば5年前に入居してきたとき
フミコは美人で気品のある老婦人との呼び声が高く
口を開けば
田園調布に家を持っていたとか
二人の息子は慶應と立教を卒業したとか
そんな自慢話ばかりしていたっけ。

それが認知症が進み
今ではパジャマのまま食堂に来たり
たっぷりの便失禁をしていても気づかずに歩いていたり
“えーとこの奥様”の影もない。

しかし以前も書いたが
気位というヤツだけは老いても消え去らないらしく…。

食堂で座っていたフミコから強烈な便臭が漂うので
トイレに連れて行った。
案の定、すごい量の軟便だ。
ズボンを脱がせ、リハパンを便ごと捨て
仕上げに彼女のお尻をキレイにする。

やっとキレイになった。さあ。新しいリハパンを履かせよう。
ふうっ!と額の汗をぬぐったその瞬間
うわっ、またしてもお尻の割れ目から
やわらかく茶色いものがニョロ~~!
フミコは立ったままだから
それはボトボトっと床に落ち
今度はそこもキレイにしなくてはならなくなった。

フミコよ、今しばらく肛門に蓋をしてくれ!
じゃないと私の涙腺が崩壊しそうだ。

さて、この一連の仕事の最中
当のフミコはどうしていたか。

下半身の衣を剥ぎ取られ
立ったままお尻をゴシゴシ、ゴシゴシ拭かれながらも
彼女は悠然と微笑みながら言い続けたのである。
「大変なお仕事ですわねえ」と。

腐っても鯛、ならぬ、ボケてもマダム。
認知症が進んでもなお
フミコは優雅な世界で生きているらしい。

笑ってゆるゆる坂を下る。

2019-08-13 23:53:14 | 日記
先週のこと。

朝起きて洗面台に立ち
鏡を見て思わずヒッ!!!と悲鳴を上げた。
右目が、血を流したように真っ赤なのだ。

痛くもない。かゆくもない。
まぶたを閉じたら血が滴り落ちそうなのに
恐る恐る触れてみると
そこに血は溜っていない。

夜勤入りの前、あわてて病院へ。

「これは結膜下出血です。
よくあることだから心配しなくて大丈夫」

医師はそう言った。

よくあること?
そんなの聞いたことないぞ!?

しかし職場のじいさん、ばあさんたちに
見て見て!と充血したおぞましい目を見せながら話をすると
最初はギョッとしながらも
何人かが言った。
「ああ、私もなったことあるわ。驚いちゃうわよね」

そして眼科医を娘に持つばあさんは言った。
「娘の病院にも、おばあさんたちがあわてて診察に来るらしいわ。
先生、目から血が流れてるんです!って」

どうやらこれ、加齢のせいらしい。

重いものを持ったり興奮したりすることで
結膜の下の毛細血管が切れてしまうらしく
水泳のゴーグルの締めすぎが原因となることもある
とサイトに書いてあったら
私の場合、前日にスイミングに行ったから
恐らくそれが原因だろう。

いずれにしても加齢のせいで毛細血管がもろくなっているために
そういう症状が起こるんだそうだ。

ふん、加齢かよ!?

歳を重ねると、日常に変化はないと思っていた。
毎日が、ただただ凡庸に過ぎていくのだろうと思っていた。

ところがどっこい。
いろんなことが起きてくれちゃうのである。

ちなみに、今日は仕事中に
生まれて初めて鼻血を出した。
同僚と、穏やかに、なんてことない話をしている最中にだ。

60を超えても、毎日が新鮮!
いろんなことが起こる日常を受け止めながら
笑ってゆるゆる坂を下りていこう。




介護職員に恩恵を!

2019-08-03 01:02:16 | 日記
仲良しの同僚ナナミが、突然
父親と母親を同時に介護することになった。

それまで薬一つ飲んでいなかった両親なのに
父親が鼠径(そけい)ヘルニアの痛みから鬱病を患い
(たぶん、今日話題だったネプチューンの名倉と
同じなんだろうな)
夫の病気に心を痛めていた母親が
なんと、部屋で転倒して圧迫骨折!

「もうダメだぁ、絶望的だぁ!!」と嘆く父親。
「お父さんと二人で死ぬしかない」と喚く母親。

泣きたいのは私の方よ!と
予期していなかったW介護生活のはじまりに
ナナミは半べそをかく。

そしてもう一人の同僚、ミサキ。
こっちも大変だ。

心疾患で入院していた父親がやっと退院してきたと思ったら
今度は母親がナナミの母と同じく転倒して3カ所の圧迫骨折。
妻の入院によって
退院してきたばかりの父親が不穏になり
徘徊、転倒、失禁を繰り返すようになってしまったのだ。

ふふっと力なく笑いながら
「やってられないわ」とミサキは困惑を吐き出したのだった。

お払いじゃ! 
この会社にに魔物がおる!
さあ、みんなでお払いじゃあ!!!

冗談ではなく、私は本気でそう思った。
こんなに人様の介護で頑張っている人たちが
親の介護で苦労している。
可哀そう過ぎるじゃないか。
ああ神様、彼女たちに憑りつく魔物を払ってくだされ!

しかし、魔物は私のところにもやってきた。

ずいぶん前にも書いたが
私には、子どもの頃に駆け落ちして出奔した母親がいる。
その相手の弟と名乗る人物から届いた一通の手紙。
そこには、後に母の夫となったその男が入院先で亡くなった。
あなたのお母さんは現在、都内の施設に入所しています。
どうかあとのことはよろしくお願いします。
と、書かれていた。

まったく、やってらんないわ。

いつもいつも思う。
安い給料で高齢者の介護に従事している者に
「親の介護負担を軽くする」って恩恵を与えてもらえまいか、と。

そうすれば、日本全国で何万人も不足しているという介護職員が
たちまち人気職業ランキングに躍り出ると思うのだが…。