ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

“鉄腕”山口くんに泣かされた日

2018-04-26 00:33:02 | 日記
遅番の上に残業して、午後10時に帰宅。

リビングでくつろいでいたおっさんの顔を見るなり
私は吐き出した。

「男なんて、うぐっ、男なんて、もう信じない!」

吐いた言葉を追いかけるように
涙がつつつと頬を伝う。

え? な、何があった!?
妻の尋常ならぬ姿に、おっさんはうろたえる。

「うっ、うぐっ、山口くんが~~~!!!」

あ、TOKIOの…。
職場でニュースを見たらしく
このひと言でおっさんは妻の涙を理解した。

しかし
これまで妻が芸能人の不祥事に怒ったり嘆き悲しむ姿を
見たことのないおっさんは
オロオロするばかり。

な、泣くなよ。元気出せよ。
うんうん、そーだよな、ショックだよな。
でも、頼むから泣くなよ。

励ましながら、おっさんまで泣きそうだ。

毎週日曜日、夜7時からの4チャンネルを
私がどれだけ楽しみにしていたかを
おっさんは知っている。

おっさんが破産して家を失って絶望のどん底にいたときでさえ
「鉄腕DASH」の人気企画である村づくりや島の開拓に
季節の移ろいを教えてもらった。
“太陽”を感じさせてもらった。

その企画の牽引車である山口くんのタフさや腕っ節に
20年間惚れ続けてきた私は
おっさんを前にぬけぬけと言ったものだ。
「結婚するなら山口くん!」と。

だから、傷ついた。

バッカじゃないの!?と蔑むもう一人の私を追いやって
本当に本当に、傷ついた。

これがファン心理ってヤツなんだろう。
はじめて知った。

ぽろぽろと涙を落とす私の隣に座り
元気出せよと言いながら
おっさんはやさしく肩をポンポンする。

鼻をチ~ンとかみながら、私は言った。
「こうなったらもう、アナタでいいわ」




これも介護。あれも介護。

2018-04-22 22:15:59 | 日記
これも介護職員の仕事なのか?そう思う仕事が
サービス付き高齢者住宅であるウチにはたくさんある。

たとえば、だ。

洗濯が趣味の、認知症のサナエ。
タオル一枚でも洗濯機を回すのだから
水と洗剤の消費はハンパじゃない。

家族からは水道代が何でこんなに高いのかと
クレームが来るし
他の利用者からは
あの人がしょっちゅう洗剤をもらいに来るので迷惑していると
やはりクレームが。

ひどい記憶障害だから
自分ではそんなに洗濯なんかしていないと、サナエは言う。
人から洗剤をもらったことなんかない!とも、サナエは言う。

あれこれ策を講じてきたがどれもこれも失敗で
こうなったら最後の作戦!と
今日からいよいよ洗濯用の水道の元栓を締めることにした。

もちろん常時ではない。
洗濯の日と決めた週3回だけは元栓を開き
それ以外の日は元栓を締める。
そう決めて、その仕事を早番の職員が受け持つことになった。

これで解決すればいいが…と思いながら
ふとよぎる疑問。
これって、介護職員の仕事なのか?

他にもいろいろある。

徘徊の危険性があるヤスコのためには
週3回、靴につけたGPSの充電をしなくてはならない。

1日中部屋でジグソーパズルをやっているミネのためには
それが完成したころを見計らって
バラバラにしにいかなくてはならない。

時折り不穏になって暴れだすツヤのためには
家族に用意してもらったかわいい動物ビデオを流し
それが終わったころに新しいビデオをセットしなければならない。

認知症の高齢者にも自分らしい生活を!
だなんて謳うサービス付き高齢者住宅の職員ならではの
いろいろなお仕事。

これ、介護なのか?
はい、これも立派な介護です。

時折りよぎる疑問を封じて
私はこの仕事を楽しんでいる。



ガンバレ、吉田くん!

2018-04-21 01:19:39 | 日記
ドケチで有名な同僚の吉田くんが…
たった15分でも残業代を求める超ドケチな吉田くんが…
なんと、2万円も払って女性と焼肉を食べてきたという。

吉田くんは今日でちょうど32歳。
小さいながらもマンションを買い、貯金も相当ある。
しかし
「あとは嫁さんだけです」と言いながら
自分の年齢と彼女いない歴の年数が同じの
実に悲しい男なのである。

そんな吉田くんが女性と焼肉!?
それも、ご馳走した!?

彼から打ち明けられた。
「実はその人に告白したんです」

マ、マジかぁ!?
歳は5歳上の37歳。
前の職場の同僚で、もちろん独身だという。

で、どうした?
「玉砕です」
そ、そうか。残念!

聞けばその女性には、3年前にも告白して振られたのだとか。
懲りないヤツだなあ。
でも、その根性は認めてやろう。

私は彼に言った。

あきらめるな!
3年後にもう一度、告れ!
そのとき彼女は40歳。
そろそろ親の介護や自分の将来に不安を感じて
結婚でもしちゃおっかな~、と思うはず。
そこを狙うんだ~~~!!!

素直だけが取り得の吉田くんは
鼻を膨らませて「はい!」と答えた。

からかっている気持ちも、なくはない。
でも
高齢者相手の仕事をしていると
青年の恋心がとってもとっても新鮮で
密かに男・吉田の成長を楽しみにしている私である。


くたばりやがれ~!!!

2018-04-19 00:52:05 | 日記
あんなバアサンには絶対なりたくない!

そう思う対象は数人いるが
自立組のチサコはその筆頭。

外面(そとづら)はいいが
自分が中心でないと不愉快で
仲のいい人が自分以外の人と親しくしているのを見ると
周囲を強引に巻き込み
その友人を徹底的に無視して仲間外れにする。

悪い意味で、“女子力”が桁外れに高いバアサンなのである。

今日、ユイさんという穏やかで優しい利用者さんから
ちょっと悩みを聞いてと部屋に招き入れられた。

「これ、読んで」

ユイさんから見せられたのはチサコからの手紙だった。

――あなたの心無い言葉に私は傷つけられました。
私は6年間も花粉症に悩まされ
今年は特に辛い思いをしています。
そんな私に、あなたは「最近身体が弱っているみたいね」と
言ったのです。
なんてひどいことを言ったのか…
あなたが忘れても
私は生涯その言葉を忘れることができないでしょう。

チサコとユイさんは麻雀仲間である。

仲間なのに、仲良くしていたつもりなのに
なんでこんな手紙をもらわなくちゃいけないの?
私、あの人の身体を気遣っただけなのに。

そう言って、泣き震えながら手紙を見せたユイさん。

「身体が弱っているみたいね」の、どこが悪いのか?
チサコの怒りの所在が、どうしてもわからない。

手紙を読んだ私はモーレツに腹が立ち
ユイさん、こんな手紙破って捨てちゃいましょう、と言った。
そして二人でその手紙をビリビリに破り
ゴミ箱に捨てたのだった。

いい人気取りの女王様・チサコの影で泣いている女性利用者は
他にもいる。
離れたい。でも、彼女を怒らせたら
ここで暮らしにくくなる。
そうやって我慢している女性利用者がいることを
私は知っている。

スイミングと体操教室に通って
ヒジョーに元気な84歳のチサコだが
他の善人を生かすために
“早くくたばりやがれ!!”と
心の中で私は叫ぶ。



娯楽のためなら夫も使う。

2018-04-16 22:59:27 | 日記
アーミル・カーン。
彼の名をご存知だろうか。

映画ファンなら知っている人も多いだろうが
インド映画の名作「きっと、うまくいく」や「PK」の主役で
インドでは、国民から尊敬する人物の一人に上げられている俳優である。

今日、会社を辞めて20日間一人でインドを旅してきた友人と
飲んできた。

彼女も大の映画好きなのだが
向こうでアーミル・カーンのファンだと言ったら
どこでも大歓迎されたという。

すごいな、アーミル・カーン。

私も「きっと、うまくいく」や「PK」は
大大大好きだ。

さてさて、彼の映画が今、日本で上映されている。

「ダンガル きっと強くなる」

二人の娘をレスラーとして強く育てていく父親の話。
実話である。

絶対、観たい!

しかし今月
レディースデイである水曜日はいずれも出勤。
イオン系の映画館なら50歳以上はいつでも1100円で観られるが
この映画、イオン系の映画館では上映していない。

でもなあ、いかに映画が好きでも1800円は高すぎる。
できれば割引サービスを使いたい。

あ!!!
そうだ、そうだ、こんなときはあの手があった。

似合わない猫なで声で、おっさんに言う。
「ね~え、今度二人の休みが重なったら、映画でも観に行かない?」

シッポを振りながら、おっさんが応える。
「いいね。行こう、行こう」

夫婦50割引。
そう、このサービスを使えばいいのだ。

夫とハサミは使いよう。

というわけで、二人の休みが重なった明日
おっさんと映画「ダンガル きっと強くなる」を観てまいります。

ダンガル きっと強くなる
ならぬ
ちかさん さらに強くなる(笑)