ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

おっさんに、嫉妬。

2014-09-12 01:02:57 | 日記
折り紙に夢中のおっさんが
来月、作品をフリマに出すと言う。

折り紙に目覚めてから約半年
不細工な天道虫を折っていたデビュー当時とは
比べようもないほど腕を上げ
彼が折り紙で作ったペンダントを身に着けて出かければ
事情を知らない人から
「ご主人はアーチスト?」なんて言われるほど。
もはやその作品は折り紙の枠を超え
立派なペーパークラフトへと進化したのである。

自己破産してからちょうど6年。
痩せ衰えて生命力を失って
かわいく明るく逞しい恋女房なくしては
一歩も歩けなかったアナタが
よくもまあ、こんなにも元気になったものだわ。

めでたし、めでたし。

いや、ちゃうで。
なんか、ちゃう。

おっさんを支えて頑張ってきた私は
今、月に6回の夜勤でぼろぼろになっている。
おっさんと違って友達に恵まれているから
飲みに行ったりカラオケに行ったりして
ストレスはどうにか発散しているとは思うけれど
そんなイベントでもない限り
家ではほとんど“眠り姫”。
工房と化した我が家でおっさんが楽しそうに折り紙している間
私は疲れと睡眠不足で眠りこけている、だけだ。

なあんでこうなった!?

支えられている人が元気になって
支えている私が余暇を楽しむ余裕もなく疲弊している?
こんなの、ヘンじゃないか!?

まあ、いいか。
私はおっさんを立ち直らせようとして頑張ってきて
その目的が果たせたわけだ。

いや、ちゃうで。
なんか、ちゃう。

仕事は面白いが
それにかまけて自分をすり減らしているんじゃ
どーしよーもない。

ああ、人生を楽しまんと。人生を楽しまんと。


サンドイッチマン

2014-09-09 02:55:36 | 日記
介護度の重い利用者が増え
人手は足りない、データを読む時間どころか座る時間もない。
今月からはいよいよ休日出勤を要請され…
疲れ果て
わ~い、今日は初めて寝坊だ~い!!!
(仕事にはギリギリ間に合ったけれど)

そして明日は夜勤。
少しでも夜更かしして、昼まで寝て
夜勤に備えなければ。
(この睡眠のコントロールがなかなか大変なのだ)

身体に溜まる老廃物。
頭皮に湿疹ができるほどのストレス。
大切な職場だが
やってらんね~!!!と、たまには叫びたい。

くさくさして
ネットでお笑いコンビ“サンドイッチマン”のライブを観る。

爆・爆・爆
ありがとね、サンドイッチマン。
私の疲労とストレスの解消には
アナタたちが効果的です。

予期せぬことが、しょっちゅう起こる。

2014-09-07 23:54:10 | 日記
骨折で入院していたOさんは
退院後、うちの住宅に入居することになっていた。

はじめのうちは車椅子が必要だが、それも時間の問題。
軽い認知症症状はあるが日常生活にそれほど支障はなく
入居しても援助することはほとんどないだろう、とのこと。

そう、契約の時点ではまだ問題がなかったのだ。

ところが入院中に事態が一変する。
原因は不明だが、突然、コミュニケーションが取れなくなってしまった。

ほとんど問題ないはずが
発語はなく、こちらの声かけにも無反応。
気分が乗らなければ立つことも食べることも介助が必要。
そんな状態で、うちへの入居となったのである。

そんなOさんをめぐって
どう援助をしていこうかと試行錯誤の中…

先日の私の夜勤中に思わぬことが起きた。

深夜おむつ交換をしようと訪室。
こんな時間にごめんなさい。おむつの交換をさせていただきますね。
そう声がけしながら入っていくと
にわかに覚醒したOさんが言う。
「ちょうどいいところに来てくださいました。
○○(誰かの名前らしい)、この方のために電気をつけて差し上げて」。
そしておむつ交換を終え
はい、終わりましたよ。では私はこれで失礼いたします。
と、挨拶して出て行こうとしたら
「ありがとうございました。
お茶もお出ししませんで、大変失礼いたしました」
と、まるで良家の夫人のようなお言葉。

喋れんのかい!?
しかも、おむつ交換に丁寧なねぎらい言葉かい!?

このOさん、なかなか興味深い。


今年の絵日記

2014-09-04 01:54:28 | 日記
午前1時55分。
窓の外から涼しい風がそよ吹き
その風が、ギギギギギという虫の音を運んでくる。

ああ、秋だ。

何のバカンスもスキャンダルもないまま
夏が終わってしまった。

しかし何より残念だったのは
『24時間テレビ』で城嶋くんがゴールするところを
見られなかったことだ。

今年ほど見たい24時間テレビのマラソン・コーナーはなかったのに。

その日は夜勤。
午後9時少し前にハッと気づいて
あわてて食堂に行くと
食事ラッシュを終えて人気がなくなったそこに
おとぼけキャラのK三さんが
車椅子に乗ったまま一人で日本テレビを見ていた。

ああ、K三さん、あなたも城嶋くんを応援していたの?

「そだよ~。今ちょうどゴールしたとこ」

わあ、終わっちゃったの? でもゴールしたの?

「うん、ゴールしたよ。頑張って時間内に完走したよ」

やった~!
K三さんと手を取り合い、城嶋くんの完走を喜ぶ。

2014年、夏。
空白だらけだった絵日記の最後のページに
K三さんと私が手を握り合う感動の瞬間を描くとしよう。




たまには言うよ、おっさん、ありがとう。

2014-09-03 00:29:04 | 日記
どちらも夜勤明けで
おっさんが休みで家にいたときのエピソードである。

夜勤をこなしたあとにカンファレンスと研修に出席し
どろどろになって帰宅。
午後2時過ぎにようやく布団にもぐりこみ
5時間後におっさんに起こされる。

「お~い、映画『寅さん』はじまったぞ。
ご飯もできたぞ」

寅さんとご飯!?
好物を突きつけられ、私はハッと覚醒する。

なあんて幸せなんだろう…

そして今日の夜勤明け。
久しぶりの快晴だ。
あと5時間で仕事から解放される未明
光を放ちながら闇のベールを脱いでいく空の下で
私は心から思った。

―ああ、洗濯したい!

たいした重量もないのにずしりとくるバッグを肩にかけ
家路をたどる。

家まであと10メートル。
目に飛び込んできたのは
ベランダにずら~っと干された我が家の洗濯物だった。

ああ、おっさん
私が今日一番したいことをわかってくれてたんだ。

面倒くさい奴!と思いながらも
仕事で疲弊して帰った日は
おっさんの優しさが心底ありがたい。