ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

被害妄想と食いしん坊の泥棒

2014-09-21 22:21:24 | 日記
「うちの冷蔵庫からどんどん食べ物がなくなる。
どうやら盗まれているらしい」

朝ごはんどきの食堂で
Kさん(80代・男性)が親しい人たちに話をしている。
しかしこのKさん、かなり耳が遠いから声の大きさハンパじゃない。
「盗まれたらしい」と漏らした声が
怒りを伴って食堂中に響き渡る。

認知症ではないはずだが
以前にも「部屋のものがなくなっている」と大騒ぎしたことがあった。
お部屋には鍵がかけられるようになっているし
Kさんの鍵は本人の希望により事務所でお預かりしていない。
だから盗まれるなんてことは、まずありえないのだが…。

さてさて、困ったことに
その火の粉が物盗られ妄想のA子さんにうつった。

一気に燃え上がるA子。
それまでまったく接点がなかったのに
よろよろと、しかし彼女なりの全速力でシルバーカーを押し
Kさんのところに向かう。

「お宅もですか、実はウチにもしょっちゅうドロボウが入って
お取り寄せの珍しいお菓子や人様から送っていただいた高価なお肉が
次から次へ盗まれるんですのよ」

大声でガーガー喋るKさんと
うろたえながら被害を訴えるA子さん。
二人を、ひまでひまでどうしようもないジジババ・ギャラリーが囲む。
手がつけられない。

いやいや、皆さん、ご安心ください。
この男性はもともと物事を大きくする壁のある方で…
この女性は物盗られ妄想の激しい方で…
そんなことを言ったらよけいに騒ぎを大きくするだけだし。

しかしお二人とも、被害は“食べ物”。
現金や通帳、貴金属でないところが
なんとも介護サービス付き高齢者住宅らしくて笑えるのである。

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