ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

思い出話

2017-02-06 21:49:25 | 日記
半年振りくらいで姉と会った。

以前も書いたが、姉は若年性認知症。
確定診断されてからちょうど1年たったが
記憶障害はすすみ
薬もまったく効果がないように感じられる。
(薬を飲んでいなかったらもっとすすんでいた可能性はあるけれど)

会おう!と言ってから今日まで
何度電話やメールでやりとりしてきたことだろう。
2度、3度の連絡では
約束したことをまったく覚えてもらえない。
苛立ちを抑えながら、あきらめずに4度、5度…。
外でランチを食べる。
その約束をする。
たったそれだけのことなのに、私のストレスは溜まるばかりだ。

そして今日。
ランチを済ませてからブラブラと買い物を楽しむ。

「ねえ、このセーター、50%OFFだって!
もともとが4900円だから、2500円くらいになるよ。
買っちゃおうかな?」

姉はお気に入りのセーターを見つけて嬉しそうだ。

しかし同じところに陳列されている他のセーターを見てから
また、さっき買おうとしていたセーターを手に取り

「ねえ、このセーター、50%OFFだって!
もともとが4900円だから、2500円くらいになるよ。
買っちゃおうかな?」
と、同じ言葉を繰り返す。

これを、4回やった。
わずか10分ほどの間に――。

その後コーヒーを飲みながら小さい頃の話になった。

「ほら、お母さんがいなくなってから
お父さんと3人で箱根に行ったじゃない?」と、姉。

え、そうだったっけ?
私はちっとも覚えていない。

「あら、覚えてないの?
あの時お父さんは娘たちを気遣って
いろんなところに連れて行ってくれたのよ。
万博にも行ったし、那須高原にも行ったし
那須の牧場ではアナタ白い馬に乗ったんだけど
それがお腹に赤ちゃんがいるもんだから
なかなか歩かなくてさぁ」

姉が記憶しているエピソードを糸口に、姉妹ならではの昔話で盛り上がった。

お姉ちゃん、よく覚えてるわねえ。
そう言って笑いながら、心の中には雨が降る。
せつないね、昔のことは鮮明に記憶しているというのに。

まあいいか。
姉は病気だが、私だってもはや若くない。
これから先の人生、姉と私で小さな頃の思い出話に笑い合おう。



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