ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

認知症、陰と陽。

2018-10-20 23:55:03 | 日記
エツ子の壊れ方は、まるでホラーだ。

おとといのこと。
夜勤のS子が定時の排泄介助に行ったら
エツ子はベッドに座っていた。

ただ座っていたのではない。
頭と片方の腕を
ラップでぐるぐる巻きにしていたのだという。

いったい何が起こったのか!?
S子が尋ねると、エツ子はこう答えたそうだ。

「おにぎりをサランラップで巻いておこうと思ったんです」。

それも、どんよりと暗く、抑揚のない声で…。
闇の底にずるずると引きずられそうな
くぐもった声で…。

プロとして言い方は正しくないが
認知症にもかわいいタイプと怖いタイプがある。

「ありがとさ~ん」を繰り返すトヨは
かわいいタイプの筆頭であり
毎日毎日同じ言動を繰り返すカヨもミネも十分に許容範囲。
“ケイコ日記”でお馴染みのケイコだって
手は焼けるが愛おしい。
食堂でズボンを脱いで排便してしまっても
食べる、歩くという簡単な動作がわからなくなってしまっても
それでもかわいいし
死ぬまでお世話したいとさえ思っている。

しかしエツ子はかわいくない。
かわいくないどころか、怖い。
死ぬまでお世話?とんでもないわ!

この違いはなんだろう?
職員の何人かで話をしたことがあった。

陰気だからじゃないですか?
誰かが言った言葉に、一同、そうだ~!

キツイ介護の仕事だからこそ
私たちは微笑ましいエピソードに摩り替える。
こんなことがあってさぁと
ことごとく笑いに変えて乗り越える。
じゃなきゃ、やっていられない。

しかしエツ子の場合は、それができない。
暗すぎて、こっちまで引きずられてしまうのだ。

ああ、明日はわが身。
もし認知症になったとしても
せめて笑いに変えられるタイプでありたいものだが…。











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