ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ママさん、キレる!

2018-10-22 23:45:31 | 日記
キヨハル(96歳)は私のことを“ママさん”と呼ぶ。
大好きだった母親とどこかしら似ているんだそうだ。

ま、好きに呼べばいい。

きのうの夜勤は、そのキヨハルと大喧嘩した。

移動は車椅子に頼らざるを得ない彼のために
夜間、オムツ交換に行ったときだ。

尿量の多い彼は、夜間
テープ式のオムツにパッド、そして男巻き(チン巻き)で寝る。
ぐっすり寝ていても
イチモツに巻いてあるパッドだけを交換すればいいわけだ。

しかし、たまに夜中に目覚めて車椅子でトイレに行き
自分でオムツからリハビリパンツに交換してしまうことがある。
「起きる時間だから」
「自分でできるから」
それが、理由らしい。

きのうもそれをやってくれた。
部屋に行ってみるとすでにトイレの便座に座り
ヨイショ、ヨイショと小さな掛け声を発しながら
一生懸命リハビリパンツに脱ぎ替えている。

それを見た私は、もちろん、ストップをかける。

あのね、まだ朝じゃないの。
まだ寝るでしょ?
リハビリパンツだけで寝たら、オシッコ漏れちゃうから。
オシッコ漏れちゃったら、冷たくてイヤでしょう?

しかしキヨハルはウチで一番の頑固ジジイ。
赤ちゃん言葉で駄々をこねる、困ったジジイである。

なんと言っても聞かず
聞かないどころかヒステリックに怒り出すのだ。

「イヤだよ、イヤだよ。
僕はオシッコなんか漏らさないもの。
だから僕の好きにするんだあ!」

好きにしてあげたいところだが
このまま放置したらパジャマもシーツもビチャビチャになること必至。

よ~し、そこまで駄々こねるなら受けて立とう!
私はキレた。
介護職に就いてからはじめてキレた。

あ、そう? じゃあ好きにすればいいわ。
だなあんて言わないよ。
今回は絶対譲らない。
アナタと喧嘩しても、アナタから嫌われても
私はアナタの好きにはさせない。
だって、オシッコでビチョビチョになって
冷たいまま寝かせるわけにはいかないからね。
はぁ? 私が頑固者だって?
そうだよ、今夜の私はアナタ以上の頑固者だ。
なんて言われてもいい。
とにかく、つべこべ言わずにベッドに戻れ!

彼が履こうとしていたリハビリパンツを奪い取り
私は啖呵を切った。
(実際のところ、ここまで怒るとエネルギーの消費は激しく
そのあとどっと疲れたのであったが)

日ごろママさんと慕う私がここまでキレたので
圧倒されたのだろう。
勢いを失ったキヨハルはしおしおと車椅子でベッドに戻った。

まな板の鯉のごとく
元通りのオムツ姿にさせらている最中
彼は私に言った。
「ごめんね、ママさん。わがまま言って、ごめんね。
ママさんは僕のことを本当に思ってくれているから怒ったんだね」
そして突然、号泣。
「ありがとう、ママさん。(グスグス)ありがとう、ママさん」

私も言いすぎたね。
じゃ、これで仲直り。
そう言って彼の手を握ると、またしても号泣。
「鼻紙ちょうだい。ママさん、鼻紙~!」

やれやれ。

仕方ない。アナタを看取るまでこの仕事続けるわ。





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