ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

妄想・必殺介護職人

2017-12-22 22:09:41 | 日記
キワが転倒した。

キワといえば、認知症を嘲笑う認知症の性悪女。
その性格の悪さゆえに
食堂で話をする相手もいなければ
お茶でも出してやろうという優しさを見せる職員すらいない。

新しく入ってきた人や孤独な入居者には積極的に声をかける私だが
キワだけはお断りだ。

さあて、そのキワが部屋で転倒した。

朝、服薬介助で訪問してみると
ベッド脇で、下半身スッポンポンのキワが仰向けに倒れている。
しかも大失禁!
全身、オシッコの海にひたっているではないか。

意識はある。
どこも怪我してない、痛くもないと、はっきり言う。

とにかくキワを助け起こし
シャワーで身体を洗浄してから服を着せた。
それから彼女をソファに座らせ
オシッコの海のお片づけ。
あ~あ、夜勤明け早々、なんでこんな不運に見舞われる!?

しかしこれも仕事だ。
相手がキワだからといって見捨てるわけにいくまいよ。

が、腹が立ったのはそのあとのキワの態度である。

私がせっせと床のオシッコを雑巾で拭いていると
まるで何事もなかったように
ソファに深く座り優雅なマダム然としている彼女が言った。

「ね~え、○○さんって、東大出身なんですってね?」

○○さんとは男性の入居者さんのこと。
キワは高学歴と一流企業が大好物なのだ。

さあ、よく知りませんけどと私がすっとぼけると
「ウチの主人は慶応なの。あなたのご主人は?」
と、きやがった。

オマエよぉ、それ、今する話か!?
だいたいオマエは、つい数分前まで
下半身スッポンポンでオシッコの海にひたってたんだぞ!
その後始末をしている私に「ありがとう」を言うどころか
夫の出身大学を聞いてくるとは
いったいどんな了見だ!!!

ふつふつと込み上げる怒り。
どうしてくれよう。

あ、今ひらめいた。
この間から目を患っている彼女に
私たちが1日6回、点眼の介助をしている。
そうだ、それを狙おう。

チャララ~ン!という音とともに登場する
必殺介護職人チカ。
目薬の代わりにラー油を垂らし
激痛に悲鳴を上げるキワに
“世の中、舐めなさんな”とひとこと吐いて
クールに去っていく。

うん、これイイね、イイね、イイね!

(もちろん、やりませんけどね。
妄想しただけで怒りが少し治まりましたので)


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