入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (66)

2019年05月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

             「霧中山桜」           Photo by Ume氏(タイトルも)

 牧場にも、待望の花の季節がやってきた。100本と言っても多分大袈裟ではない山桜が、あちこちで花を咲かせ始め、少しづつだが落葉松の葉にも、薄い緑が季節の刷毛で描かれ出した。かなり気を持たされたが、恐らくここら辺りの自然もやっと躊躇することなく「山笑う」季節へと進んでいくだろう。
 毎朝、目覚めると、まだ6時にならないうちでも家を出る。時間は決めていない。とにかく朝、じっとしていられない。今朝は車の燃料を入れなければならなかったから止む無く、時間つぶしにゆっくり朝風呂に浸かってから来た。艶めかしい春宵もいいが、この時季の朝はもっといいと、やっとそれが分かるようになった。
 今朝はヤマガラ、ホオジロを見たし、たくさんの鳥の声に混ざってミソサザイの声も聞いた。

                  写真撮影会のお知らせ
                     ・・・
 
 もうすぐコナシの花が咲きます。美しい新緑の始まる時期でもあり、牛の入牧前に一部の牧区を開放して、写真撮影会をやったらどうかと考えています。普段は入れない場所からの絶景を、存分に堪能して作品にしてください。 
 
 期日:a)6月1、2・・b)6月4,5・・c)6月7,8日の3回、1泊2日、定員はa,b,c,各回とも先着10名。
 費用:山小屋宿泊費1名3千円と入牧料1千円。食事、飲み物などは各自負担。ただし豚汁もしくは鹿肉を無料提供しま     す。
 応募:通常通りの予約方法の他に、朝8時半から9時半まで、及び12時から13時までは小屋の電話(0266-62    -4122)でも受け付けます。万一留守電になっている場合は、電話番号を残していただければこちらから対応    します。性別および年齢不問。
 好評であれば、他の季節も考えます。I東T彦さまもF破さんも是非!

 明日はまた、かんとさんに案内してもらい宇宙へ。Ume氏の新作も届いています。

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     ’19年「春」 (65)

2019年05月15日 | 入笠牧場からの星空

              M101、通称「回転花火」       Photo by かんと氏

 いかに通称とはいえ「回転花火」というのはどうだろう。メシエが聞いたら笑うだろうか。シャルル・メシエ、18世紀フランスの天文学者で星雲、星団の目録「メシアカタログ」を作成した彼は、元来は彗星の研究者であり、20個以上の彗星の発見者として名を高めた。
 Mは彼の姓の頭文字で、同カタログには103の天体が掲載されたが、その後に別の人の手も加わり110に増え、M110はメシエの功績をたたえて彼の名が付けられた。フランス語では穀物番を意味するのだとか。
 星座にしてもそうだが、奇妙な名前が多い。例えば三角座、コップ座、かみのけ座等々、全部で88の星座の中にはもっと奇抜な名前もあるはずだ。
 そもそもわれの銀河でも英語では「Milky Way」、それをわれわれは「銀河」と呼ぶが、この方が名付け方として余程優れた感覚ではないかと思う。うしかい座の主星「アークトゥルス」も熊の番人という意味らしいが、これを日本人は「麦星」と呼んだ。麦の穂が熟する時期に天頂に目立つ星だったからだという。素晴らしい。この春、毎晩のように天竜川の河畔からこの星を眺めたのは、麦秋と言うには少し早い夜桜の美しいころだった。

 メシアカタログが作られたのは18世紀、北半球からの夜空が対象だったが、その後観測の対象空域は南半球にも及び、彼の時代には思ってもみなかった観測技術の進歩で、カタログは「NGC」、「IC」、「Sh-2(シャープレス)」などができ、NGCに付された番号は2000番を越え、さらに増加するだろう。なにしろ宇宙は無限と言っても良いのだから。

 本日の知ったかぶりは、前にも参考にした「星の歳時記(石田五郎著)」などにお世話になりました。

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     ’19年「春」 (64)

2019年05月14日 | 入笠牧場からの星空

               M51、通称「子持ち銀河」        Photo by かんと氏

 浮いている。巨大な二つの銀河がまさに「無窮の遠(おち)」に浮いている。考えてみれば不思議な話だ、この宇宙、星や銀河を浮かべている空間は、超と付けてもいい何もない真空のはずなのに、夥しい数の天体をその何もない空間が軽々と浮かべている。もっとも、もし、この不思議な浮力が与えられていなければ、では生まれてしまった天体はどこへ落ちていったらよいのか、これも分からない。何もないはずの空間が、星や銀河を支えている。近傍の空間を少し凹ませながら、まるで水のように。
 いつか、もっと研究が進めば、どうして極小の宇宙が突如誕生し、以来100億年以上もひたすら「膨張」を続け、ばら撒かれたように多大な天体が生まれたそのからくりを知るようになるのだろうか。やがて遠いとおい遥か未来に訪れるだろう宇宙の終局を、夜空を眺めつ星の配列を神話になぞらえた人たちにも分かるよう、説明できるだろうか。
 138億年という時間の長さは膨大だが、まだ宇宙は誕生したばかりだと言う人もいる。一般人の時間の感覚を飛び抜けた話を、羊飼いの少年の知識とあまり差のないわれわれ世代が理解できる日は、恐らく期待できないだろう。しかしそれでもいい。
 宇宙の神秘にいつまでもこだわるのは、死後の世界についてあれこれと頭を悩ますようなもので、しばらく病で、"病気"が治ったらあとは専門の人に任せ、無言のまま我々を見下ろしている夜空を受け入れる。そして、別れた人を思い出すように時々星の煌く夜空を眺めながら、宇宙の神秘を懐かしむというくらいで充分だと、そう思う。
 入笠牧場からの夜空・・・、軽々しくは吹聴しない。

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     ’19年「春」 (63)

2019年05月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今の牧場の様子はほぼきょうの写真のようなもので、複雑な緑系統の色彩が谷を埋めるまでにはもう少し時間がかかる。しかしだから山桜の花が冴える。すでにオオダオ(芝平峠)近くのコブシの木には白い花が咲いたし、同じく白いクロモジの花も咲いた。これから自然のすることを目の当たりにできるということは、完成を急ぐ画家の作品を傍で眺めている助手のようなものかも知れない。

 第1牧区のどん底の左手、「舞台」と呼んでいる丘に2匹の鹿がいた。逃げていく姿を目で追っていくと、沢を渡りミズナラの疎林の斜面を登り、予想していた通りの侵入場所へと向かった。ところが、何故か牧柵の直前で停止した。鹿の跳躍力からすれば、そのまま柵を飛び越えるのは難しいことでも何でもない。と思ったその途端、まるでそれこそ電気にでも触れたかのように向きを変え、逆方向へ逃げ去った。
 いつもなら、あのままきれいな弧を描いて楽々と牧柵を越えて行ったことは間違いない。電気牧柵のことを知っていたか、あるいは急にその衝撃を思い出したのか、それしかあの奇妙な行動の説明はつかない。
 次第に鹿は学習していく。白いリボンワイヤーには途轍もなく恐ろしい痛撃力があるが、鼻で触れたりせず、自慢の跳躍力を活かして飛び越えれば安全だということを、やがては知ってしまうだろう。そして、電圧を維持するため、草刈りや保守に励む人間を「馬鹿なやつ」と言って嗤うかも分からない。
 猿を飼っていた人の話だが、毎日檻の中へ出入りする飼い主の行動をじっと観察していた猿は、或る日勝手に自分で入り口の戸を開けて出ていってしまったそうだ。飼い主の顔が目に浮かぶ。

 かんとさん、いつも素晴らしい天体写真ですが、今回はまた一段といい絵が撮れたのではないですか。傑作に添える言葉が難しいです。ありがとうございました。明日から掲載させてもらいます。

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     ’19年「春」 (62)

2019年05月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝も6時に目覚め、朝飯も食べずに上に来た。完全にこの季節の山に嵌まって、まさしく虜になっている。ようやく病んでいた両の目が治り、この目の覚めるような天然の美を存分に愛しむことができるようになったと、そういう心境だと言ってもいい。13年、毎春同じ景色を目にし、感動してきたが、その感動の度合いがますます強く、深まる。
 さっき登山者が二人、小黒川林道の方へと歩いて行った。その鈴の音が何ともいい音色で、山の静けさによく溶け合っていた。性別ははっきりしなかったが、多分中高年の女性連れではないかと見た。



 ご無礼な写真をお披露目してしまうが、ご容赦を。実はこれを撮ったのは昨日のこと。朝一番で第1牧区のどん底にあった太い白樺の木の倒木処理をして、その後第4牧区の小入笠へ登った。正面に中央アルプスの絶景を眺めつ、電牧の立ち上げの準備を始めたのだがこれは結構きつい仕事で、通常の作業道具に電気関係の道具の入ったザックと、玄能(大金槌)が加わる。嫌いな仕事ではないが、当然汗をかいた。そこで思い付いたのが露天風呂の入浴だったという次第。
 風呂釜の掃除をした後、しばらく水を浴槽に貯めておいたのですぐに沸いた。石油と薪を併用したから湯はまさにとろけるようで、しかもあの水で沸かした湯は不思議で、湯の中というよりか、まるで程よい暖かさの空間にいるような気がした。もちろんこれは、この風呂への人一倍思い入れの強い「一個人の感想」である、と断っておくべきかも知れないが、あながち間違えているとも思わない。
 ともかくそんなわけで、昨日は少し贅沢をさせてもらった。いや、「少し」と書いたが、今思い付く限りあれ以上の贅沢は他にない。だから、滅多にはしない、できない。この次は星空を眺めながら、クク。

 第2検査場の山桜が咲き出したと思ったら、初の沢の大曲りの花も誘われるように今朝は「朝日に匂」っていた。

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