入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (75)

2019年05月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうも五月晴れのいい天気だ。これだけ好天が続くと、今は太平洋上にいて日本列島を窺っている梅雨前線が、そのうち北上して鬱陶しい梅雨の季節をもたらすはずだから、できればこの晴天の幾日かを、そのころのために取っておきたくなる。

 午前6時半、今朝はまだ里。ここにいても鳥の声がよく聞こえ、いい一日の予感がする。緑滴るあの山室川に沿った林道が早く来いと呼んでいるが、もう給油してからでなければ上には行けない。1日100キロ近くを走ることもあるから、燃料補給は頻繁になる。とりあえず、カラスの行水に近い朝風呂で時間を潰し、給油所が始まるのを待っている。
 1日のうち、下で過ごす時間が10時間を切るようになった。しかし遠い昔、残業が100時間を超えた会社勤めとは全く違う。当時のように仕事に強制されているわけではなくて、今はこの季節の自然と、そして老化に強いられるせいで、苦痛ではない。まあ今思うと、ああいう時代があったから山にも行くようになったのだろうし、その後ウン十年、巡りめぐっていまの仕事に就き、ついに定まったということになるのだと思う。

 この独り言を読んでくれている人は結構いる。ではこの呟きに誘われて、実際にはどれほどの人がに来てくれたのだろうかと思うと、はなはだ心許ない。独り言ちる癖と野生化は進むばかりだが、それでは弱る。安っぽい観光地になどしたくない、などと言ってしまうのがいけないだろうか。入笠の富士見側が常夏の国なら、伊那側は北の国であっていいと思っているからなのだろうか。嵐を待って来たいという人もいるようだが、それもいい。ただ、できたら多くの人には、この目の覚めるような新緑と、コナシやクリンソウの花を静かに見て欲しい。特に時間にゆとりのある中高年のみなさんには、それも平日に。今回の写真撮影会のなどプロでも羨む企画なのに、・・・。

 赤羽さん、そうですか。無理をしないで来てください。赤羽さんや海老名出丸さんは、別の機会もありますから。

 6月初旬に予定している撮影会の詳細については5月16日、No.66のブログをご覧ください。写生、探鳥も大歓迎です。
 営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。



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     ’19年「春」 (74)

2019年05月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 4時半に目覚め、いつものようにゆっくりと時間をかけて上まで来た。日中はかなり気温が上がるということだったが、早朝の窓を開けて走るにはいささか肌寒さを感じた。
 途中、「初の沢の大曲り」を過ぎてUme氏と出会い、言葉を交わし、管理棟に着いてからは昨夜から来ていた京都のKさんと小屋の前で茶を飲み諸事語り合う。そして、蝶の写真を撮ると言って出掛ける御年77歳の元気な姿を見送った。
 その後、大分経ってから開山祭のためJA上伊那の組合長や重鎮が来て、お歴々に牧場のことなどを話し、山小屋に新たに備わった木曽ヒノキと南部鉄でできた豪華な宴会用の卓を披露した。

 きょうも小入笠まで上がり牧柵の点検をしたが、状態は思いの外よく、何年か前に行った支柱の完全打ち直し、バラ線の張り直しなどの苦労の結果で、安心した。
 といった、作業日誌に記すようなことはさて置き、小入笠の山頂からはあれはホルンの音だと思う、そのくぐもった音色が風に乗って聞こえてきた。開山祭といっても、どんなことをやっているのか詳しいことは分からないが、きょうのような好天に恵まれたことは何よりだっただろう。
 小入笠は幾つもある牧場内の気に入ってる場所の一つであるから、しばらくは山を下りずに目の前の絶景を眺めた。そこから少し下ると、諏訪湖が見える。花火大会の夜に、諏訪湖の花火を見たいとせがまれその場所まで行ったものの、霧が深くて諦めたこともある。いろいろなことが次々と甦る、いい所だ。

 きょう、市長が諸々とテイ沢を下る話は聞いていた。もしかと思ったら、立ち寄ってくれた。市長からは、「入笠の原人」という有難い名前を頂戴しているらしいが、当然それらしく振舞って期待に応えた。噛みつきは、しなかった。

 6月初旬に予定している撮影会の詳細については5月16日、No.66のブログをご覧ください。写生、探鳥も大歓迎です。
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     ’19年「春」 (73)

2019年05月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牧場の仕事を始めてまだ1か月と少しか経っていない。キャンプ場の中を歩いていて、ふと、そんなことに気付き、改めて周囲の自然の変化を思い知った。何しろ1ヶ月前には林道の雪掻きをしていたのだから。
 普段は月日の過ぎていくことを早いと感じていても、こうしてみれば改元だか、10連休だか、牧場の作業などもいろいろとあったから、決して短くはなかった。すでに1年の半分を来てしまったのにもかかわらず、この1ヶ月はむしろ長かったと言えるだろう。

 国土の7割を占める森林、その半分が人工林だということは知っていた。森林全体に占める国有林の割合は3割(約750万ヘクタール)で、さらにその3割(約220万ヘクタール)が人工林だと林野庁のホームページにある。「狭い日本」と言うけれど、これは膨大な面積で、我が入笠牧場が共用林野となっている国有林の分を含めても、300ヘクタールである。
 この広大な国有林を、数百ヘクタールの単位で、50年間にわたり伐採と、その木材の販売権をが民間業者に与えようとする法律の改正案が、現在参院で審議されているという報道を読んだ。
 この改正案の背後にはまたしても、小商人(こあきんど)のようなあの経済学者がいるようだが、それはさておき、日本の森林の将来が心配になる。皆伐が条件で、しかしその後の植林を義務付けると、木の所有権が植林した業者に移ってしまうなどと難しい法律上の問題もあるとか。
 そういうことにまでは言及できないが、昔、木炭製造のために森が消失してしまったという国に行ったことがあるが、機上から目にしたその時の衝撃を改めて思い出した。日本の森は大丈夫か?

 明日の早朝に用事がなければ、今夜は、上に泊まりたい気分だ。いい機会だと思ったが、撮影会は何故かあまり反響はなく残念。明日は入笠の開山祭。

 6月初旬に予定している撮影会の詳細については5月16日、No.66のブログをご覧ください。写生、探鳥も大歓迎です。
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     ’19年「春」 (72)

2019年05月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など




 山の朝、爽快の言葉しかない。見晴るかす千の丘に訪れた朝の光と、七つの水仙の代わりに咲き始めたクリンソウを送る。さっきからずっと聞こえてくる鳥の囀り、それを聞かせることができないのは残念だが、想像して欲しい。
 
 白樺の方がダケカンバよりか芽吹くのが少しだけ早く、ここら辺りの林には今、みずみずしい白樺の葉と、花の時季が終わっても渋い赤色を帯びた山桜の葉が競い合うように目を惹く。
 今の時季、山桜の木は緑の中に薄桃色に見えるがが、それはかならずしも花の色のせいだけではない。開きかけたばかりの花は薄っすらと桃色に染まって見えるが、爪部のワイン色や、緑の色に爪部と同色の赤みが混ざった複雑な色の葉を、白い花が白絵具のような役割をしてあの色を見せているのだ。
 背景となっている落葉松も、靄ったような緑の色を深めつつあり、真っ青な空の下で降り注ぐ日の光を浴びながら、大地からはもっぱら水揚げに専念しているところだろう。

 ここの自然は素晴らしい。きょうも撮影の下見が来る。
 それはいいが、そんな話が来るとやはり、この自然をいかにして守っていくかということを、考えてしまう。個人の努力や行政の一担当課などでどうこうできることではないし、やるべきでもない。多くの人が参加し、英知を絞って、しっかりとした今後の方針と目標を定め、前進キャンプを設営しながら進む極地法のように10年くらいをかけ、慎重にやるのがいいと思う。経済性ばかりを追求した、どこにでもある安っぽい観光地にだけはしないことを切に願っている。

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     ’19年「春」 (72)

2019年05月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

「春に競う」

            「春の陽受けて」

            「日溜りに咲く」

 もうすぐ見られなくなる牧場の山桜3点。2番と3番は同じ木を順光と、逆光から撮ったものものだそう。この「初の沢の大曲り」にある花は結構多くの人の目に触れているはずだと思う。

 昨日は午後から予報が当たり、よく晴れた。今年は牛の入牧頭数がいくらか増えるという話も来ていて、そうなれば大沢山の第3牧区が必要になるかも知れないと、牧区内の状況、特に電牧のことを中心に見て回った。鹿によってアルミ線がひどく切られた部分もあれば、意外に良い状態の個所もあり、まずまずは予想した通りというところか。チェーンソーを取りに戻り、2カ所の倒木の始末をしたが、クマササは通電する前にかなり刈らなければならない。課題が一つ増えた。
 2年続けてこの第3牧区には牛を出していなかったから、懐かしいと感ずる場所が幾つもあった。特に晴天が続けばこの牧区は水源に不安があり、そのために貯水にいろいろと工夫した苦労の跡が残っていた。
 ここでは牛の脱柵にも手を焼かされた。いくら追い戻しを試みても、一度感電している牛は怖がり、なかなか思うようにいかない。その牛を追って広い森の中の沼地のようなところを泥だらけになって走り回ったこともある。
 澄み渡った大きな空と、雄大な景色を目にしていると、10年を超える歳月の苦労と、喜びがともに交錯してきて、結局は目の前の慣れ親しんだ美しい自然、風景に感謝している自分に気付く。あの雄大な眺めがあって、あの季節の変化を伝える繊細な自然があって、それでこそ、長くこの仕事を続けることができたのだという思いが、しみじみと湧いてきた。

 まだ撮影会は余裕があります。滅多にない機会を生かしてどうぞ腕を奮ってください。
"I can show you morning on a thousand hills"

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