入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     「初冬」 (13)

2015年11月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  突然、まだ20代のころのことを話題にするが、当時は喫茶店でコーヒーなどを扱うバーテンダーのことを、「ソフトのバーテン」と言い、バーなどで酒類を扱う場合は「ドライのバーテン」と呼ばれた。今でもそういう言い方をするのかは知らない。とにかく遠い昔の話である。
 一応、両方を経験した。で、思うのは、そういう世界の変わり方である。例えばコーヒーなどはもはや、かつてのそれと比べたら別種の飲み物と言ってもいいだろう。薄いアメリカンが一般的になり、ミルクや砂糖を入れる人などついぞ見かけなくなってしまった。また、ブレンドが大勢だったのに、ストレートが好まれるようになった。ブレンドにはそれなりの理由・訳があるのだが、流行りに負け、格まで落として一時期すっかり居場所を狭くした。
 またサイホンを使うと味が薄く、軽っぽくなってしまうのにもかかわらず、何故かそれでも一時流行った。このころから、コーヒーの味や飲み方は変わったのかも知れない。
 
 こっちでは滅多なことでもなければ、外で飲むことはない。だからよくは分からないが、カウンターの中で蝶ネクタイをして、チョッキ姿で粋にシェイカーを振るバーテンなぞ、もう、ここらにいるとは思えない。女の店主が品のない笑い声を上げながら、グラスから溢れそうになるまでワインを注いでくれた店なら、連れていってもらったことがある。ビールでなく素性の知れないワインを出すのは、その方が利益率が高いからに決まっている。
 ホテルのバーほど硬くなく、しかし照明を落とした洒落たフロアー、重厚な雰囲気のカウンターを備えたバーが、新宿にあった。50代とおぼしきバーテンダーのSさんと、新潟から出てきたというM子と、気に入らない女主人が閉店間近に来るまで、よく飲んで、話した。会社の先輩のK氏は、このM子が身体を悪くして帰省してしまったときは、雪の新潟まで追いかけて行った。爾来氏は独身を通したようだが、それがM子のせいであったのかどうかまでは、聞いていない。
 
 風俗の世界も、その様相が変わり、古い面影が大分消えてしまった気がする。その一因に、ひょっとしたら焼酎でも関係するのだろうか。
 家にはコーヒーミルや一杯づつ立てるドリップ式の用具、それにアラジンの魔法のランプのようなポットもあったはずだ。山が終わったら一度、遠い昔のコーヒーの味にこだわってみたい。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。 
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