スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

フォーク・ミュージシャンの心得?

2007-03-31 23:38:28 | スウェーデン生活
今日は、仕事のある人や遠方の人のためのディスタンス・コースが開催される日。
夜はその人たち向けに、アンデシュ・リリフォシュとボッセ・ラーションによるコンサートがあった。
私達は、学校で行われるイベントには自由に参加できる。
時間に間に合うように、冷凍チキンをオーブンでじゅうじゅう焼いて、冷凍野菜をいため、タイのチリソースをかけて食べた。
アンデシュは、フォークミュージックに貢献した人に送られる金メダル所持者。
ボッセは、ウップランド地方の有名フィドラー、ヴィクスタ・ラッセの甥にあたる。(写真左)
その後のFIKA(ティーブレイク)では、ハロンのチョコケーキ(写真右)。

それから、今夜も恒例セッションです。
(セッション:みんなで一緒に自由に弾くこと)
延々、弾いていると夜中の1時をまわっていた。
そして、こ腹がすいたねぇ、と数人で学校のキッチンをあさり、再びFIKA!
黒いパンに、バターをたっぷり塗り、チーズをのせ…こんな夜中に食べていいのか!?

ところでこういうセッションでは、うちの学校の生徒(ディスタンス・コースのことではなくて)はあまり出てこない。
出てくる人はだいたい決まっていて、約3分の1。

スウェーデンのフォーク・ミュージック(民族音楽)演奏者は、私の勝手な分類によると2つに大別される。
ミュージシャン・タイプか、フォークミュージシャン・タイプか。
注:どちらもプロかアマチュアかは関係ない。

ミュージシャン・タイプの人は、肩書きあるような立派な人とは弾きたがる。
でも、普段の生活で同じように学んでいる人達とはあまり弾きたがらない。
セッションが「交流」だという感覚があまり無い。
「作品」としての音楽、「芸術性」のほうに目が行きがちで、日々の練習は怠らないし、もちろん向上心もある。

フォークミュージシャン・タイプの人は、伝統的にセッションが「交流」であることを意識しているので、
レベルに関わらず色んな人とセッションをする。
自分の知らない曲をそこから仕入れたり、人の手法を盗んだり、自分の好きな曲をみんなに教えたり、
音楽談義を他の人と楽しんだりする。

さて、日本にも来日コンサートしたヨハン・ヘディン(Johan Hedin)はどちらでしょう?
人から聞いた話からすると、後者。フォークミュージシャンだと思う。
色んな集まりに顔を出しては、楽しくみんなと弾く様子をよく聞く。
同じく来日コンサート経験者かつ優れたプレーヤーである、ビョーン・シュトービ(Björn Ståbi)、
ペーテル・ヘドルンド(Peter Hedlund)などはどうでしょう?
彼らも、私は後者だと思う。
実際に、その辺の草むらで老若男女みんなと戯れながら演奏を楽しむ姿を何度も目にしている。

「伝統」という言葉は少々かたい感じに聞こえるけど、ここでいうフォークミュージックの「伝統」とは「交流」のことで、
この「交流」があったからこそ「伝承音楽」(口伝えの音楽)が成立し、クラッシック音楽と違って
地方や村ごとの個性をぷんぷん臭わせながら独自の文化を形成してきたのだと思う。

かっこいいフォークのCDが出回り、コンサートが頻繁に行われ、ロックとの融合も進み、
フォークミュージックの「伝統」に対する考えが若い人の間で二極化していっているのかもしれない。
若さゆえ他の「交流」に忙しいだけかもしれない。

まあ、固い話はおいといて。
昨夜は、ケーキも食べれたし!カッコイイ曲も仕入れたし!
夜中のチーズを囲んでの雑談は、みんなどこかネジがゆるんでいて楽しかった。
木曜のハリング・ダンスで未だにまともに歩けない足を引きずって部屋に戻ったのは02:30am。
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復活祭

2007-03-30 23:44:10 | スウェーデンのこと...
今朝はグンナルを講師に、復活祭(Påsken)のお話。
宗教的な視点ではなく、あくまで文化的、民俗学的視点から。

クリスマスは日本にも入ってきているのでなじみがあるけど、復活祭はほとんど入ってきていないに等しい。
私はベーシックな知識すらない(学校で習ったことがあるけど、なじみが無さすぎて忘れてしまった)。

復活祭は、キリストが金曜に亡くなって日曜に生き返ったとされている、そのお祝い。
これと春の生命の息吹というのか、そういったものがミックスされたお祝いなので、土地柄、文化的な要素が入り混じる。

カナダにいた頃は、その日、親戚が集って食事会をするという友人宅に招待された。
隠してある卵を探したような気もする。
けど、恥ずかしながら、当時はもっと若かったので土着文化を知りたい!欲求は低かった。
記憶のほとんどが食べた七面鳥やグレービーソースの美味について。

先週末のブログ(ゆで卵の食べ方)に、デコレーションした卵がやたら売っていたと書いたように、
この卵を飾ったり隠して探したりする。
その時も書いたけど、宗教よりも伝統行事的な意味のほうが強い。

友人に聞くと、子供の頃は復活祭の前日には卵に絵を書いていたらしい。
そして、茶色のウサギのような動物(ウサギではないと言っていた。スウェーデン語はhare)が、
卵を隠しに家にやってくると信じていたそう。
「クリスマスのサンタみたいな感じね」とその友人。

実践している人は現代ではあまりいないだろうけど、昔の伝統の話。
復活祭の40日前からスウェーデン語でfastanと呼ばれる期間がはじまる。
この期間は肉と白いものを口にしてはいけないそう。
白いものとは、白いパンやミルク、チーズなど。
なので、fastanが始まる直前には親戚で集まったりして、豪勢なごちそうをたらふく食べていたのだとか。
セームラ(1/242/20に写真あり)というスウェーデンのお菓子もこの時食べるものだと初めて知った!
元々はそのシーズンに出回るお菓子らしい。

ただし、ほんの40~50年前まで、現在のセームラの姿とは全然違っていて「白いパンをミルクで煮る」
「ホットミルクの入ったスープ皿に白いパンをひたす」といったものだったらしい。
なので、セームラというお菓子はスウェーデンのものだけど、原型のほうの食べ方は
ヨーロッパのいくつかの国(オーストリアやドイツなど)に同じ名前で存在するそう。

このfastanの話を聞いていて以前見た映画を思い出した。
フランスの田舎を舞台にした映画「ショコラ」。
ジョニー・デップがいい味をだしていた。
一昔前の、断食のような期間から復活祭までの雰囲気が伝わって面白いと思う。
凍えるような断食期間と春の訪れとともにわーっと復活祭を祝う対照が、
話を生命感あふれる風にぐいぐいと盛り上げていた。
ただし、舞台はフランスということで、スウェーデン流とは違うと思うけど。

写真左:グンナルが持ってきた東欧(ロシア等)のデコレーション卵
写真右:グンナルが描いた復活祭、絵巻物。セームラの絵も書いてある
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ダンスでダウン

2007-03-29 23:49:04 | 授業 ダンス
今朝は演奏の授業から。主に装飾音を中心に。
例えば、ソの装飾音
Prall:ソラソ
Modent:ソファソ
Dubbelslag:ソラソファソ、またはソファソラソ
などなど。
そして、政府から教育関係者が集まって会議があり、歌と演奏とダンスをちょっとだけ披露。

ところで、3日ほど前から風邪気味で朝一にはジャイ子みたいな声になる。
それに、夜は宿題(グループワーク)やミーティングが連日続き、解放されるのは22時くらい。それから提出物の準備をしたりする。

そんなこんなで今日の午後のダンスのレッスンは休もうかと思った。
とりあえず着替えて行ってみると、
「今日はハリング(Halling)をやります」(3/22写真参照)
おっと、そうなんだ!じゃあ、頑張る!
ハリングの重いビート(楽譜では2拍子や4拍子で書かれ、ゆったりした重いビートが特徴)が好きで、前から習いたかった。
伝統的に男性のダンスなので教えてくれないのかと思っていた。

まずは、曲にあわせて歩くことから。
延々と、リズムが体になじむまで。それにハリングではこの「歩き」も重要。
各ビートでとる。オフビートはとらない。

フリースタイルのアクロバティックなダンスなので、簡単な動きや小技を教えてくれる。
例えば、簡単な4拍の動きを紹介すると…
1拍目 左足を前に(宙に)。
2拍目 前に出した左足先を右手でバンっと大きな音をたてて叩く。
3拍目 左足おろす時に床を音をたてて踏む。
4拍目 右足を後ろに蹴り上げ、同時に右手でバシっと大きな音を立てて叩く。
(他の動きも知りたい方はリクエストしてください)

ジャンプやターンも習った。習った動き自体はシンプル。
ただ、いかに足を高く上げられるか、どれだけ高くとべるか、いかにでっかい音をたてられるかなど
アクロバティックな動きを追求するならとても難しい動きだ。
先生のアンドレアスからは「Jätte fint!」「Snyggt!」(「いいねー!、キマッテるねー!」みたいなこと)を
言われたので、一応、様にはなってるかな?

そして、習った動きは好きに組みあせて自由に踊る。
靴のくるぶしあたりをバッチン、バッチン叩くので手が痛くなってくる。
結構、続けるとハードで、次から次にリタイア続出。

そんな頃、ちょっと難しめの動きを教えてくれた。
あー、調子にのってやるんじゃなかった。
1拍目 しゃがんで片足前に(コサックダンス風)
2拍目 立ち上がる
これを繰り返すのだ!
4回目くらいのトライで、両太ももが即効ぷるぷるしはじめた。
両膝はカクカクする。
す、すごい、これは!翌日に筋肉痛というレベルでは無い。

即、歩行困難レベル。

みんなバテてしまったので、先生のアンドレアスにハリング・ダンスを見せてくれとリクエスト。
私たちに教えてくれたのは「小技」なので、「大技」続出。
ターンをしながら、さっきの「しゃがんで立ち上がる」を連続で、
しゃがむ位置は徐々にターンしながら”低く”→”高く”なり、
最後は立った状態で高速スピン!
これはまさに、筋力によるフィギュア・スケートですな!
その後も息をきらす風でもなく、体の軸を斜めに倒しスピン&ジャンプしながらターンをしてフィニッシュ。
拍手

それにしても… 終了後、部屋に戻ってシャワーを浴びると、手の平がぱんぱんにはれてシャワーが握りにくい。
「ぐー」をするのがつらい。足はガクガクだし。

写真は、その後の夕食。
にんじんとじゃがいものスープにサワークリームを添えて。
おかわりしたのはもちろんのこと。
今夜は今夜で音楽とダンスイベントがある。行けるかな。
恐るべし、ハリング。
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アレンジ授業

2007-03-28 23:48:35 | 授業 その他
昨日は、ニクラスの宿題をめぐってあっちもこっちも喧嘩になって大変だった。
今朝は、みんな大丈夫かな?と心配していたけど、そこまで子供ではなかった。
元々、発端となった子(最初に怒った子)は、昨日の行動パターンから分かるようにあまり人がどう思うかというのは気にしない。
なので、今朝はそんなことあったっけ?という感じでご機嫌。
まぁー、元通りで一安心。

そして何も知らないニクラスを前に、授業は宿題の発表から。

宿題は、4編成のアレンジを考えてくるもの。
今回のルール: 曲前半はリズム中心のriff、曲後半はベースとコード。
3度で動くようなハーモニーは使わない。

ニクラスの宿題は毎回気が重かったのに、だんだん面白くなってきた。
4つの音(4編成なので)が重なったときにどう聞こえるか、自分のイメージを音として作り出す。あーでもない、こーでもない、といじるのは楽しかった。
みんなも同じように感じているみたい。

午後からは、今までの総まとめとして、
・リズミカルなリフ
・3度(4度や5度も)で動くハーモニー
・コード
・ベース
・ベースと一緒に動く伴奏
の全部を含んだ伴奏の実例を。
とても、複雑な動きのものだった。

そして、効果的なリズムや、くずし方の例。
一つ興味を弾いたのは「Hemiol」。
名前があるとは知らなかった。
この例はビス・カレの一番有名な曲(Polska No.32)のBメロで見られる。
メロディーが2拍で1セットになっているため、3拍子なのに2拍子的に聞こえるのだ。
伴奏についても、こういう曲で2拍子的なフレーズを使うとスウィング感が出る。

それから、効果的なイントロ、アウトロ、メラン・スペル(間奏)についても。

最後のアレンジ授業の発表は、まるでコンサート風にしたいとニクラス。
次回は、最後の曲のアレンジ計画書(?)みたいなものを作らないといけない。

そこで、私。
「ハイ!ニクラス先生、質問!」
素朴な疑問。ニッケルハルパ・オーケストラ(N.H.O.)でアレンジを考えるとき、実際どうやったのか。
適当に弾きながらカッチリしたアレンジを組んでいったのか?
すると、3枚のCDはアプローチ法が異なるのだそう。
「頭で考えてみんなで弾きながら決めた("Till Eric", "Byss-Calle")。3枚目は、それぞれを誰かが考えて全てのアレンジを譜面にして弾いた」のだって。

ニクラスって、毎回書いているけど、本当に本当に上手い。
左指の世界選手権なんてのがあったら、間違いなく優勝。
(置いてある楽器をつかむ手も早い!)
左指は誰よりも早く誰よりも正確で、感心するよりあきれてしまう。
どれだけ早いフレーズでも指が物足りなそうにしているのが見て分かる。
せっかちではない。きっと頭の回転が早いんでしょう。
理論についての質問、実例など、間髪いれず早口でわーっとまくしたてながら、指が同じ速さでついていく。
他のプレーヤーなら、一呼吸(2秒とか)はおくね、きっと。
ニクラス、ばんざい
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ネッケンと女トロールの曲

2007-03-27 23:34:47 | スウェーデン生活
写真左は本日のご飯。
よく出てくるチキンのクリーム煮。刻んだオリーブやハーブがたっぷり。

さて、写真中央
今日は春の日差しで、FIKA(ティーブレイク)はみんなコーヒーを持って外へ。
見ていて面白いことに、一人また一人とみんなやって来ては椅子を持って太陽に向かって一列に座ること。
(唯一、背を向けている人は、テーブルで本を読んでいる)
そういえば、北国スウェーデン人は太陽が大好きと聞いたことがある。
もちろん私は陽に背を向けて、みんなのほうを向いて座った。
だって、肌に悪いし、まぶしいし。
「なんでこっち向くのよ!?」と言うので「日本は世界のあっち側にあるから陽に背を向けるんだ!」と
自分でも意味不明なことを返すと「Jaha-!!(そっか)」と妙に納得された。

そうそう、春といっても雪は解けきれていません(写真右)。

今日はいつもの体育、演奏の授業、それから歌の授業。

演奏の授業では、「あの曲ならいたい!というのがあったら録音用に弾くから言って」と、ディッテ。
みんな、どんどんリクエストする。
うち一つは、3/21に書いた、ネッケン(水の精=悪魔)と女トロールの曲
その時は「靴をめぐって争う話」と聞いたのでそう書いたけど違ったみたい。
土地をめぐって争う」曲なのだそう。
この曲には色んなバージョンがあり、ディッテのバージョンは?と尋ねたのだ。
私が知っているのは、ヴィクスタ・ラッセのバージョン。ディッテはオーガスト・ボリンのバージョンだった。

靴をめぐって争う話」はこれとは別で、ディッテが教えてくれた。
ネッケンとトロールが靴を賭けて競争をしたそう。
とても仲の良い夫婦(恋人かも)をどちらが仲を引きさけるか、という競争。
ネッケンはトライするも失敗。
この女トロールは、男の人に「彼女は夜、あんたを殺しにやってくる」と吹きこんだそう。
そして、何もしらないその女の人は、喜ばせるためのサプライズを計画していて、夜中にそうっと部屋に入ってきた。
で、勘違いした男の人がその女の人を殺してしまい、勝負は女トロールの勝ち。
そして、ネッケンがこのトロールに靴を渡すのだけど
「参りました、あなたは私より怖い悪魔だ」と側に近づけず、ながーい棒の先に靴をかけて遠くから渡したんだそう。
そして「悪魔が長い棒の先に靴をつけてトロールに渡す絵」というのが、テンスタ(Tensta、ウップランド地方)の教会に残っているらしい。
一度みてみたい。

夜は明日のニクラスの宿題。
4編成のアレンジを考えてくる宿題で、4人探してきてその曲を練習もしておかないといけない。

今日は、ある人の用意してきた2拍子の曲から。
出だしのカウント(例えば「ワン、ツー」とカウントしてから「♪ラララ」と歌いはじめる)に、なぜか私がついていけなくて戸惑ってしまった。
彼女のカウントは「en och två och」(英語なら、ワン・アンド・ツー・アンド)という。
スウェーデン語の「och」のタイミングで入ってくれと言うのだ。
でも、彼女のカウントが始まると私の脳内で勝手に自動翻訳機のスイッチが入るのか、出遅れるのだ!
やれやれ!と思っていた、そんな時。

私達が練習している部屋に一人、入ってくるなりぶちキレて怒鳴りはじめた。

その人は、自分の宿題を弾いてくれる人を探していたらしい。
そして、その人は誰からも誘われなかったらしい(小さな誤解があった)。
スウェーデン語は分からないが、自分だけノケモノにして!と言っているみたい。
もちろん、私は状況が良くわからないので成り行きを息をひそめて見守る…。

でも、突然どなられると、人は普通、気分を害すもの。
「誘われなかったって言うけど、自分から尋ねもしなかったくせに何言ってんのよ!」みたいなこと(想像)を他の人たちが言い返し始めたのだ。
すると最初にキレた子は「Skit samma!」とはきすて飛び出していった。
スウェーデン語は分からないといっても、skitが「クソ」だということくらい分かる。
いいのかな。ほっといても。

と思っていると、次は新たに二人やってきて、私達に向かって怒鳴り始めた。
同じく想像力をフルに働かせると、どうやらブチキレタ子が寮に戻って(すぐ隣の建物)みんなの前で号泣したようなのだ。
で、「あんた達、なんでそんなひどいことしたのよ!」みたいな喧嘩が新たに勃発。
そのうち一人は怒って飛び出し、一人は泣いて飛び出した。

結局、ついていけない私は傍観するばかりだけど、そのうち何やら声のトーンは落ち着いていき、泣いてとびだした子も戻ってきた。
そして、みんなでハグ(抱き合う)していた。
いやはや、これは大変だ。
これはスウェーデン流なのか(?)。

みんなが落ち着いた頃をみはからって、そうっと尋ねてみた。
「skit」って「クソ」でしょ。「skit samma」って何?
なあーんだ、聞いてほっとした。
「もういい!」って投げ出した状況のときに使う言葉なんだって。
明日のニクラスの授業では機嫌を直してくれているといいけど。
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洗礼式

2007-03-26 23:10:50 | スウェーデンのこと...
スカンジナビにこのブログが登録されました。
スカンジナビ(北欧在住者によるブログのリンク集)

今日から、キッチンにもう一人スタッフがやってきた。
キルギスからの移民だそうで、英語は話せないらしい。
スウェーデン語は少しだけ話せるとのこと。

スウェーデンでは、近年、色んな人種の人をみる。
主な理由は二つあって、どちらも日本では見られないもの。
、政治的な理由などによる移民。
、養子。
2は、いつの日か日本にも浸透するのかな。
不妊夫婦の選択肢(もちろんそれ以外の事情でも)として、インドや中国からの養子が多いらしい。
私が今いるような田舎でも養子のインド系の子供をみかけるので、かなり浸透していると思う。

ところで外国人といえば、私だってここでは外国人!
そんな外人の私には、郵便物なんてほとんど届くことがない。
友人とはeメールで事足りるし、宣伝のDMは私には届かない。
何か届くときって、事前に誰かに頼んでいるものだったりする。

それが、今日は予期せぬ郵便物が。
紫の封筒に手書きで宛名が書いてある。
誰だろう?
差出人は流れるような筆跡で判読しにくい…。

中を開けてみると…、エスビョンちのチビっ子が、どーんとでてきた!
さっそく友人に解読(翻訳?)してもらうと、今度、教会で4月28日にバプタイジング(洗礼式)をする招待状みたい。
「僕の洗礼式にきて!よろちくね!」みたいな文面らしい。

洗礼式って見たことない!どんな風なんだろう。
聞いた話では、スウェーデン人は宗教心はあまりなく、クリスマス、復活祭、この洗礼式など、伝統や文化の一環として捉えているそう。
場所は、2/22に中を覗いた中世からの古い教会、Tegelsmoraにて。

マナーを聞くと、出席者は何かプレゼントを持っていくものらしい。
何をあげよう?
とっても楽しみ。
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サマータイム

2007-03-25 23:25:42 | 楽器製作
今日はエスビョンは午後にはミーティングがあるとのことで、午前中だけ行くことに。
10時頃「今からいくよー!」と電話をして気づいた。
今は「11時」だって。

サーマータイムが知らないうちに始まっていたらしい...。
土曜の夜(つまり日曜の朝)から時間が変わるらしい。
1時間損した気分。ともかく、行くだけ行くことにした。

さっそく行って、またまたびっくり!
なんと楽器のキーボックス部分が出来ていた!
夜中のうちに小人さんがせっせと作ったのでしょう。(←そんなことはない)

ここは非常に精密にならないといけない部分。
仕上げまで時間がない超特急コースの私に特別に作ってくれたみたい。
(普通にエスビョンの講義を取ると全部で2年がかり)
でも、この先は自分でつくらないと。

エスビョンは楽器の作り方の本を出すそう。
で、グランという木(スプルース)の、楽器に適した成長の話や、道具についてもたくさん書いてる。
ちなみに私の楽器につかうスプルースは、スウェーデン西部はヴェルムランド地方の、ある一定の高さと斜面のある山で育った木。
良い木を育てるには間引きをしないといけなくて、でもグランは根が下向きではなく地面に沿ってはるらしく、間引くときに隣の木を傷めないようにする作業がお金がかかるのだとか。

そのエスビョンの書いている本の話から、道具の話になった。かんなのコレクションをたいそう持っていて、色んなパーツの説明を聞いた。
ちなみに写真右上の小さなおもちゃのようなかんなは本物。

その後なぜか、「弾いてみなさい」と楽器を渡された。
ボンドポルスカとワルツを弾くと、結構、ダメだしされてしまった。
エスビョンの視点は「ウップランド的奏法」。
ウップランド一拍目はもっとこんな感じで、と弾いてみせてくれた。
これはかなり初めの頃に習った曲だ。今まで何を練習していたんだろうという気になり、ショック。
でも、こうやって気づかないと、先に進めない。

写真下二つは帰り道の「小人の森」(3/18にも書いた、自分がちっちゃくなった気がしてくる森のこと)。
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ゆで卵の食べ方

2007-03-24 23:15:55 | スウェーデン生活
エスビョンはスキーに行くといっていた。
なので、この週末は楽器製作はお休み。
久々に街(ウプサラ)に出よう!とはりきって駅に向かうと、電話が。

携帯ディスプレイには「エスビョン」と。
なんで?「スキー場から?」と電話にでると、「いやぁ、この週末はスキーやめたんだ!別のときに行こうと思って。で、何してるの?」とエスビョン。
そうなんだ。今でかけるところと言うと、明日の都合を聞かれた。
明日の午前中だけ行くかもしれない。
最近、ゆっくりしたお休みがないので疲れ気味。

ウプサラにつくと、さっそく、ティーショップ(10/22, おススメショップで以前書いたTehornan)へ。
今日買ったのは、ルイボスベースにベリーとヨーグルト(!)の入ったブレンド。
あまーい香りがします。

そして、ぷらぷら歩いていると、あっちもこっちもお店は卵ばっかり。
復活祭(イースター)関係のもの。卵の飾りを家のあちこちに飾るんだって。
へーんなの。(←尋ねたスウェーデン人も、変よねぇ…と言っていた)

写真左:霧の景色。春霞?(でも、日本仕様の手袋だと指先が冷たくなるくらい)
写真右:卵グッズ。
そして写真中央は、朝食で食べるゆで卵置き。
かわいかったのでパチリ。

ここで、スウェーデン流ゆで卵の食べ方を紹介。
×タブーな食べ方…卵置きから卵をつかみ、テーブルでコツコツとヒビをいれ、むいた殻をお皿におく。
○正しい?食べ方…卵置きにのせたまま、スプーンで卵の頭をカチカチと叩く。卵を手に取り、むいた殻は卵置きの中にいれる。
ちょっとしたことだけど、タブー版をしてしまうと生理的に「!?」と感じるものがあるらしい。
とはいえ、うちの学校にいる若者にはマナーなんて存在しない。

さて、その後は行きつけのCD屋さん。
やはり、ここに来るとついCDを買ってしまう。
イマドキのもの(←といってもジャンルはフォーク)は品揃えがよくないので、90年代とかの古いマニアックものを購入。(でも…これもヤフーオークション行きかな。あまり好きではなかった)
レジで並んでいると、前にいた人がレジ奥の棚を指さして「アッレ・メレルちょうだい!」とおっきな声で言っていた。
まるで行きつけの酒屋でおじちゃんが「熱かん一丁!」って叫んでるみたいなかんじで。無愛想のひげ面おやじが「ハイよ」と棚から持ってきた。
指した指先の棚には最近出た「アッレ・メレル・バンド」のCD。
アッレ・メレルって、フォーク(伝統音楽)界ではとっても有名な人。
どんなのか気になるけど、最近、買いすぎてるのでやめた。

その後は、学校のスタッフとばったり会ったので、Waynes coffee(おススメショップ参照)でお茶して帰った。
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特別講師、アンデシュ・ラーション

2007-03-23 23:43:39 | 授業 その他
昨夜この学校でコンサートをした「Anders och Patrik」は、めちゃめちゃ良かった!
みんなが楽しみにしていたのも納得。
知らなかったけどかなり有名だそう。

私の場合、コンサートはいつも一発目の曲で好きかどうか決まる。
この二人はまさに一発目ノックアウト・タイプだった。
アンデシュがマンドーラと歌。
パトリックがバイオリンとハーディンフェーレ(ノルウェイの民族楽器)。
(パトリックは、今はマールンの有名なフォーク・バイオリンの学校で先生もしている)
レパートリーはスウェーデン西部やノルウェイ中心。
(私的には「ヘビー級のビートと遠く響くメロディ」系)

この二人の演奏のかけあいは、漫才でも見ているかのようでゲラゲラ笑える。
言葉じゃなくて目線や表情だけで笑えるって不思議。
だけど、ホントに見ててハラがよじれる。
アンデシュは、「不思議の国のアリス」に例えるなら、白バラを赤いバラに必死で塗りなおしている庭師。パトリックは女王の側でラッパでも吹いてそう。
絶妙のコンビ!

スウェーデンで「コンサートとダンス」と書いてある場合、前半1時間ほどコンサートをして後半はダンスの伴奏(もちろんお客さんが踊る)。
終了時間は、開催場所やプレーヤーによるけど私の経験では大抵「踊る人がいなくなるまで」。

そして、なーんと!
彼らは7時から23:30まで、4時間30分弾き通したのだ

休憩は2回だけ(うち一回は「ニッケルハルパを弾け」と言われ私たちが弾いた)。
さすがに23時を過ぎる頃には、演奏と演奏の合間の動作がスローモーションになっていた。(演奏自体はダレてない)

多分、相当つかれているはず。
二人が交互に(一緒じゃなく)演奏することが多かったので、それで体力をつなでたのかな。
でも、交互だと踊るほうもたまったもんじゃない。
間髪いれずメドレーのように二人が入れ替わり立ち代り音を出し続けるから、こちらだってノンストップだ。
(ハリングを踊る様子の写真、昨日のブログに掲載)

今回、特に面白かったのは、歌一本でダンスの伴奏をしていたとこ。
ソロの歌のみで踊る機会はそうめったにない。アンダシュはとても伸びのあるいい声だった。

写真左:前半のコンサート
中央:彼らのCD
写真右:ダンス伴奏の様子

かわいそうに。このアンダシュ、その翌日つまり今日、私達の歌の特別講師で授業をしないといけなかったのだ。

うちの学校のダンスコースの先生アンドレアスと、アンダシュは一緒によく活動しているようで、その関係でこのコンサートと授業が実現した。

まずは、タコみたいな軟体運動から。
体をほぐし、顔も両手でぐにゃぐにゃします。

それから発声練習(音階と、アイリッシュでいうところのロールをまぜたやつ)。
そして6曲くらいならった。
主に、歌につける装飾などを習った。
ダーラナ西部の歌に細かい装飾をちりばめると、まるでアラブ風な曲に聞こえてくるから不思議だ。

合間にいろんな話をしていたけど、スウェーデン語だったので分からなかった。
授業後、友人のノートを借りて説明をお願いした。

スウェーデンでは、歌がメインのステージというのが昔からなく器楽メイン。
なので、アンダシュはイギリスで学んだそう。レーナ、マリア、アグネタなど有名どころのフォーク・シンガーはノルウェイから取っていると言っていたらしい。
でも、何を?パフォーマンス・スタイル?歌のテクニック?と今さら友人に聞いても、意味がない。「深く触れなかったからわかんない」と返された。残念。

ちなみに、この時買ったマリア・レーヨスのCD、帰国したらヤフーオークションで売るつもり。ダーラナ地方の有名シンガーで、ほぼ歌のみ、伴奏なしでしっとりいい感じで歌っていた。が、私の好みで、弦楽器の音色がない歌だけというのはちょっとしんどい。
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ハリングの練習再び

2007-03-22 23:47:13 | 授業 楽器
今日は、2つニュースが。

一つは歴史に関する話で、ペール・ウルフ(論文など書いている)からメールがきた。
1410年頃のニッケルハルパにつていの描写がイタリアの教会から見つかったそう。ドイツ、デンマーク、フィンランドなどでも見つかっているけど、イタリアとは、また、ニッケルハルパの地理的分布がぐっと広がる。今後の研究に期待。

もう一つは、ヴェーセ(Väsen)の来日コンサート。
今日、ウロフとたまたま、この話をする機会が。
10月末か11月頃?に来日コンサート関東エリアでする。
と、思っていて「西日本も来てほしい」というと、
「関東のみ、なんて決まってないよ。××や○○など今、主催者と話してるとこ(どこまで公開していいのか分からないのでここでは触れません)」と言われた。
ということで、本人の認識としては開催地はまだまだ計画段階みたい。

ということで、今日はウロフの授業でした。
相変わらず、ショッピングやヤリヤリなどハードな弓の練習が延々何時間も続いた。

それから、ハリング(Halling)の練習も再び。弾きながら歩くなど、リズム感の練習。
ハリングって、楽譜では2拍子や4拍子で書かれる。
ゆったりした重いビートの曲。
ノルウェイや、ノルウェイ国境に近いスウェーデン西部に伝わるダンス曲。
ダンスは独特で、男の人がアクロバティック(屈伸運動みたいなのをする人も)に即興で踊るもの。ペアでは踊らない。

写真は、この日の夜あったコンサートでハリングを踊る様子。
でも、フェスティバルやこういったコンサートでは、男女関係なく、そして自由に踊る。
両手を真横に伸ばし回転する人、アクロバティックな技をする人、スレングポルスカのように二人で踊る人、ノルウェイのガンガルのように踊る人などそれぞれで、見ているとターンしながら陶酔してハイになっていく様子がよく分かる。
ハリングが入っているCDで日本で入手しやすいのはヴィルヴラ(ブート、BOOT)かな。
持っている人は、聞きながら両手を広げ、ビートに合わせてその場で(or 歩きながら)ターンしてみてください。
ヘビー級のビートが体で感じられるはず。

その後、録音タイム。次回の宿題としてジグを3つ録音。
うち一つは、「30 års-jiggen」というオリジナル曲(ヴェルデンス・ヴェーセンVärldens Väsen CD収録曲)。
今日はわざとのようにでっかい字で書いてくれた。

というのも、ウロフって字がちっちゃい。
ふと見たスケジュール帳は、字が1mmか2mmくらい。顕微鏡が要ります。
ウロフは190cm台の長身。
背の高さと字の大きさは反比例するのだろうか。
それで今日は前々から思っていた「字がちっちゃい上に、アルファベットが識別できない」と言ってやった。
なので今日の字はバカでかいのだ。

それはおいといて、今日は私は授業中にソロ演奏をしないといけない日だった。
けど、ウロフはすっかり忘れてるみたい。
シメシメとばかりに黙っていた。
あー、でも、どうせ次回に繰り越しになるだけなんだよな。

さて授業後のこと。
友人E「今夜のコンサート楽しみね」って。「え?何それ?」と私がいうと、「Oh!あんたって何も知らないのね」と言われた。
そりゃそう、誰かが英語で教えてくれるまで知らないことがほとんど。
何やら聞いたことのない人たちのコンサートがここであるそう。
どんなだったかは、明日のブログで。
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プーマの予告

2007-03-21 23:32:26 | スウェーデンご飯
ミートローフってどんな料理なんだろう?
どこの国の料理?
今日のランチはミートローフだった。
名前は知っていても、日本でも食べたことがなかったので初めて見た。
イメージは肉の塊を煮込んだものだったけど、これはミンチ肉。
でもスウェーデン風なところは、写真左側に友人Iが手にしたお皿が写っている。
そのお皿の肉にのっているリンゴン・ジャム(こけもものジャムまたはゼリーという人も)。
そうそう、こっちの人って肉にジャムつけて食べるのです
ソースにフルーツが煮込んであると思えばいいのだろうけど、見た目がモロ。
私が気持ち悪がっているの知って、校長のミッケは毎回「ほら、ジャムとらないの?」とわざと言ってくる。

でもこれって、北欧の食べ方ではなく、スウェーデンだけみたい。
陸つづきのお隣、ノルウェイでは肉とジャムはありえない。
(以前、このブログで書いたような気もする...?)
ここのスウェーデン人から聞いた話。ノルウェイに旅行にいって、ホテルで肉が出てきて「あれ?jello(ジャム)は?」と言うと、デザートと思われて、ぷるんっぷるんの「ゼリー」が出てきたって。
「そうじゃなくて、この肉につけるんですけど…」と言うと、

という反応だったそう。
北欧と言ってもさまざま。

そうそう、以前から気になっていた曲をサーチしに学校の図書館へ行ってきました。
鍵のありかを聞いているので、ここの学生なら夜でもいつでも好きなときに行ける。

週末、エスビョンと名前の分からない客と二人が弾いていたのを聞いていて、3曲ほど頭から離れない曲があった。
本人に聞こうにも楽器製作はしばしお休みなので、次はいつ会うか分からない。

初めて聞いた曲じゃないから、絶対楽譜があるに違いない!
頭からぬぐいさるためにも、一体何の曲なのかつきとめるべきだ。
と思い、サーチ開始。
まず、オーソドックスにSVL(1/24)の本から探した。
譜面を1ページ毎めくる。
ない、ない、ない。
大体、SVLって古い時代のコレクション。
エリック・サルストレム(1912~1986年、ニッケルハルパの絶滅寸前から復興へ尽力。来日しNHKにも出演)のレパートリーとか入ってないでしょ。

そうだ、その曲を弾いていたエスビョンって、エリック・サルストレムと一番よく弾いていた人だ。もっと新しい本にのっているかも。
ウップランド地方の団体が発行した手書き風でもう少し時代の新しい楽譜集4冊発見。
どれ、どれ。
1冊目、ない。2冊目、ない。3冊目、ない。
最後の4冊目、あった!とうとう発見。3曲ともここに入っていた。
一つは、ネッケン(水の精=悪魔)とスコエラ(トロール)のポルスカだった。この二人が靴をめぐって戦うとかいう曲。このお話は遠くはインドまで世界中で似た話があるそう。
後の二つは特にタイトルがなかった。

コピーして早速弾いてみると、頭にあるメロディとこの楽譜じゃ、バージョンが違うみたい。でも、違うと分かっても細部は覚えてないし困ったなぁ。

するとクラスメートSがやってきた。
彼女は私達の中で一番うまい
かつてPUMA(プーマ、ペーテル ヘドルンド(Peter Hedlund)の愛称)の元で習っていたという彼女は、指づかいがそれはそれは優雅。

私も数年前PUMAの家で開催されたレッスンを受けたとき、そういう指づかいを集中して教えていたのを思い出す。
カチカチ音がでないようにキーを押える、無駄のない指運び、など。
決して遠くの高いキーを小指でパッチンと叩いたりしません。PUMA流なら、そうっとジャンプしてわざわざ薬指で押えるでしょう。
ちなみに予告。PUMAは4/17に特別講師で来ます。

話を戻して、このSちゃん、絶対この曲しってるはず。
シメシメ。彼女に弾いてもらおう!
と、巧みに誘導をかけ、弾いてもらい録音できた。
ありがとう!
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松脂 JADE

2007-03-20 23:40:37 | ニッケルハルパ
最近「春になった」と書いたけど、中途半端。
日本のようなウェットな雪がちらつく。
(ウェットな雪とは、地面に落ちると解けてしまい積もらない)
写真は今日の学校前の様子。
日中の最高が10度近くになることもあるけど、まだ以前からの雪が完全には解けきれていません。

今日の午前は、前も来た人間工学!?とかいう恐ろしげな分野の専門家を迎えました。
しかーし!
今日はスウェーデン語オンリーだった。
目も合わせない、顔も見ない、という過去最高に存在を無視されました。
まぁ、仕方ない。恨むなら己の言語能力をウラメってとこか。

それでふと思った。
特別講師を時々迎えるのだけど、本当に個性というか人それぞれだなぁって。

ヨハン・ヘディン来たとき
「僕、ヨハン。みんなは?名前と出身と楽器の経験について教えて。」
と、端から順番に自己紹介タイムになった。ほのぼの。

ニッケルハルパ・オーケストラのメンバー、マルクス来たときのこと
「俺はマルクス。みんなの名前は、もう会うこともないだろうし、聞いったて覚えられないから聞かない。
じゃあ、授業を始めよう。何を教えて欲しい?」
マルクスの最初のセリフはインパクトだった。
でもねぇ、ここまでくるとカッコイイ。
クールでステキ!ってファンがつきそう。

午後からは音楽理論とアンサンブル。
なぜか今日は、シューベルト(多分)の軍隊行進曲。
クラリネットやコントラバス、フルートも入り、かなりそれっぽい。

今日も話があっちにこっちにそれてまとまりないですが「松脂」の紹介を。

松脂って、弓の毛に塗るもの。
(弦楽器をしない人は、ふーんって感じでしょうか。
弓の毛は馬のしっぽ。
このキューティクルに松脂をぬりぬりして、弦を弾くと音がでます。
塗らなければ音は雑音すらでません。)

さて、この松脂。
一番オーソドックスなブランドは、日本でも良く見るpirastro
ヴェーセンのウロフが使っているのは、フランス製のJADE
(フランス語の発音は分かりません。
スウェーデン語の発音では「ヤーデ」と読みます)

透明度のない抹茶色。
あのウロフが「今まで使ったなかで一番いい」と言うくらいなので、試す価値はある。
私が借りてみた感想としては、pirastroと使用感の違いを感じなかった。
ちなみに、以前日本で買った緑色の布にくるまれた松脂は(名前忘れた)、ニッケルハルパの音色が変わるほど非常に相性が悪かった

そういう意味では、JADEは安全圏だと思う。
(ヤマハの説明)
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スウェーデン特有?

2007-03-19 23:55:35 | スウェーデンのこと...
今日はソニアの授業。
前回はダーラナ地方のボーダ(Boda, Darlana)というところの曲を習った。
ダーラナ地方の曲はバイオリンで弾くもの。
なので、習った曲や他数曲(ボーダの曲)をソニアがバイオリンで弾いてくれた。

ソニアは、授業以外では必ずと言っていいほどバイオリンを弾く。
(ニッケルハルパではなくて)
今日、誰かが「どっちを先に習ったの?」と尋ねた。
「もちろん、ニッケルハルパ。壁に普通にかかっていたからね。一番簡単に手がとどくでしょ」と。
ソニアのお父さんはこの学校の名前にもなっている有名なニッケルハルパ奏者&楽器職人。
多分、想像ではエスビョンの家のように楽器がいっぱい転がってたんだろうな。
でも、そんなお父さんとお母さんは彼女にバイオリンの先生になって欲しくて、バイオリンを買い与えたそう。

写真左:クネッケブロード(knäckebröd)という乾パンのようなもので、お茶の時間や、食事の時のパンのように食べます。
スウェーデン以外に、この乾パンあるのかな?かなり保存がきくそうで、長い冬ならではの国の伝統的なもの。食物繊維も豊富。
カリカリで味はほとんどない。バターを塗り、チーズをのせて食べるのが一番オーソドックス。
学校で出てくるのは、小さくカット(WASA)してある。この写真のものは大きな円盤状で売っていて(Leksand)、食べたい人が手を伸ばしてバキっと割って食べます。

写真右:電車で一駅いったとこ。車窓より。
前から気になっていた。あの変なタワー(写真中央部分)はなんだ?
田舎の成金が庭に立てた回転レストランとか!?
と思ってブレッキンゲ出身のI に尋ねた。
すると、水道のタワーなのだそう。「水を高いところに引き上げて落とさないと、水を届けるための圧力が得られないでしょ?」と普通に言われた。
「えぇ!?」と驚く私に、向こうが驚いていた。
「じゃあ、日本はどうやって圧力を作るの?」
さぁ…、それは知らないけど。でも、あんなタワーは見たことない。
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お湯で曲げる

2007-03-18 23:36:58 | 楽器製作
今日は朝から雪。
自転車を雪の中こいでいくと、エスビョン宅には本日もお客さんが。
一人は朝やってきた小さなお客さん。
エスビョンの奥さんにピアノを習いにきた近所の子。
夕方には、ピアニストでギタリスト、ニッケルハルパも弾く人がやってきた。
名前を何度きいても覚えられない。色んなバンドで弾いているらしく、エスビョンに「知らないの?」と言われた。


ふと、その人の持ってきた弓をみると、例の(何度もブログで書いた)フランス人の弓を持っている!
私も注文中だけど、エスビョンは好きではないみたい。
伝統的なウップランドの力強い曲に向かないというのが理由。
エスビョンはウップランド地方の古くからの伝統にこだわりがある人なので当然だと思う。
このフランスの弓はエレガントで繊細な感じで全くスウェーデン的な感じがしないのだ。

今日もランチをごちそうになった。
何か手伝いたいと言うと「じゃあ、フライパンで肉を焼いているから加減を見てて」と。
見ると、ステーキがドカっとのっていた。
ひっくり返そうとすると「あぁ、ダメダメ!高温でしっかり片面焼いたらそれからサッとひっくり返す!」
はーい。仰せの通りに。ここでも指導が入ります。
いい具合に肉が焼けてきた。
するとエスビョン、濃口しょうゆをどばっとフライパンに。
あら、日本的?
と思ったら、次に生クリームをどばっ。
あら、これは何?そして「蓋して!」と言われ、落し蓋。
しばし、ぐつぐつ。
そして280度のオーブンでカリカリになったポテトを取り出しテーブルに。

どんな味なんだ?しょうゆと生クリームって?とおそるおそると食べてみると、
ん!?おいしい!何の違和感もない。
肉も外国にありがちなガムみたいな固い肉ではなかった。

エスビョンの家は100年以上も前の家を買い、自分でリフォームしている。
なのでキッチンの火は木を燃やすタイプ(もちろん電気も隣においているけど使ってない)。
左上の写真がその様子。その写真の上部には釜も写っている。
ここでパンやピザも焼ける。

食後は余熱でお湯をわかす。
なんのためかというと、そう。ニッケルハルパの上部板にカーブをつけるため。
以前から「お湯で曲げる」と聞いていたけどさっぱりイメージがわかなかった。

この時、ニッケルハルパ製作とバイオリン製作の話をした。
どう違うか。それぞれの作る魅力とは。
そして、今日はじめて知った。バイオリンのカーブは全て手で掘っていると。
すごい作業だなぁ。そしてクレモナ・バイオリン製作の話、ウップランド地方のニッケルハルパ職人との類似点についてなど...。
ここで紹介できるほど話を深くは掘り下げなかったけど、興味深い話。

そしてニッケルハルパのたどった過去と現在の話。
いくつも本が出ているけど、職人の視点では書かれていない、楽器のことを全く知らない人が書いていることが読むと分かると、エスビョンが言う。
また、「コントラバスハルパ→シルベルバスハルパ→現在のクロマチックと発展していった」という見方を一般的にするけど、厳密には「発展ではない」という意見。
シルベバスハルパの欠点がその後のクロマチックに受け継がれ、現在はコントラバスハルパの忘れられてしまった良い点を取り入れて「復興」という逆戻り発展であるという考え。
実際、エスビョンの楽器の音色が変化していっているのもコントラバスハルパ的に戻りつつあるのだ。
作り手側からみた楽器の流行というのか、「変遷」というものが無視されていて楽器の本質に触れていないと嘆いていた。

さてさて。
写真のように高級スプルースを木箱にいれ、熱湯を注ぎ5分ほど放置。
注意するのは板が浮かないようにすること、それからビニールで覆って湯気を逃がさないこと。
熱湯で柔らかくなった板を取り出し、欲しいカーブに合わせて作った土台にしっかりとおさえつけ、添え木をあて紐で縛る。
この押さえつける時に素人は板を割ってしまうことがよくあるらしい。
この方法は職人それぞれだけど「熱湯でカーブさせる」のはみんな共通だと言っていた。
(エスビョンからキットを買った人は、この土台部分は一緒についてこないけど、こういう土台と分かるように写真をCD-Rでくれるそう)

この状態で2、3週間放置。
カーブが安定するまで時間がかかる上に、来週末からエスビョン一家はスキー旅行に行ったり次の週末も色々あるそうなので、製作もしばし小休憩

それかr、このカーブした板がのる本体のほう、先週私がおそるおそるナイフで整えた部分にエスビョンが最後の仕上げをした。
写真は棒のようなヤスリ?みたいなもの。
この後、紙やすり(60)で仕上げます。

夕方には、お客さんで来ている名前のよく分からない人とエスビョンが演奏しはじめてしまった。
エスビョンの0歳の子とお客さんが連れてきた子をあやしながら演奏に聞き入っていたら、ふと外を見るともう薄暗い。

いかん!自転車なのでもう帰らねば!するとおいしそうな匂い。
「夕ご飯の用意できたけど…」と言われた。
でも、甘えっぱなしで悪いし暗くなるし、やはり帰ることに。

エスビョンの家から、まず野原をしばらく進むと中世の教会と湖が左手に見える。
そこを左折し、また野原。
街灯のある小さな森を抜け野原を進む頃には、日の出前の青白いような薄暗さになっていた。
でも、明るいうちに帰りたかった理由の「森」がここからはじまる。
私が勝手に「小人の森」と呼んでいる。
数メートルある見上げるほどの高さのモミの木の中をアップアンドダウンしながら続くクネクネ道。
森を抜けてしまうまで街灯は無い。家も無い。
そして日当たりも悪いので道には雪も残っている。
周囲に木以外に何一つ無いので大きさを比べる対象が無い。
見上げるような木に囲まれ、自分が小人になっておとぎの世界に迷いこんだような気がしてくるのだ。
ともかく、坂を越えたとこで車にでもはねられたら洒落にならないので必死で自転車をこいだ。
最後の坂をびゅーんと降りると、野原と街灯が見えてきた。
「TOBO」を指し示す標識も見えた。
そして林とまばらな民家を抜け、赤い伝統的な古い家の集落を抜けると見慣れた景色。学校に到着。
ただいま!
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ダニエル・ペテション

2007-03-17 23:47:16 | 楽器製作
朝食を食べながら友人Sと雑談していた。
ウロフのニッケルハルパとニクラスのニッケルハルパ、どちらもエスビョンが作ったのに音色が違うことについて。
確かなことは聞いてみないと分からないけど、ニクラスのハルパを見たとき、通常よく見るタイプの弦じゃなかったことを覚えている。
今度、聞いてみるつもり。

そんな話をしていると、電話がなった。出るとエスビョンからだ。
「やあ!まだ来ないの?」
おっと、そんな時間!?「行く、行く!今出るとこ!」とあわてて自転車にまたがり猛ダッシュ。

着くなりさっそく「話はウッレ・プランから電話で聞いたよ」とエスビョン。(3/12)
私→ウロフ→ウッレ→エスビョン→私ということで、話しが回りまわってきた。
なんだかんだで修理か交換を依頼することになるので気を悪くしてなかったらいいのだけど。と心配ぶつけてみると「全然そんな感じじゃなかったよ」って。
良かった。

「でも、どのみち、もう1台手にすることになるからね。今作っている楽器は出来上がるとこんな感じの音だよ」と、SlattaのCD(ブログで紹介)をエスビョンがかけながら言った。
Slattaで演奏しているダニエル(Daniel Petersson、うちの学校の卒業生)は、エスビョンの楽器を使っている。

そこで、今朝、友人Sとの会話を思い出し尋ねてみた。
「ウロフとニクラスでは音色の種類が違うよね」と。
すると「オーイエス。だってデザインから作りから全く違うからね。今はウロフ・タイプの楽器は作ってないよ。
今はどちらかというとニクラスタイプやこのダニエルタイプの音色だね」とエスビョン。
なんでも北欧風ノルディック・サウンドを追求した結果、デザインが変化していったらしい。
“遠く豊かにクリアに響く共鳴弦の音色と、芯では暖かみのある音色”というのを表現したいそう。

そして、「ほほう、このCDいいねぇ。ダニエルはやっぱり上手いねぇ」と言いながら、
「ウメオから飛行機で来ることになってるんだ。もう着いてもいい頃だけど」って。
え?ダニエルが?
本当に毎回、色んなお客さんが来るものだ。

そう言ううちに、ダニエルご一行さま到着。
私はslattaをはじめ、青いCD、赤いCD(CDの名前は忘れてしまった)、フランス版のCDと、ダニエルのCDは全部持っている。
こんなとこでお目にかかるとは思ってもいなかった。

今回、ダニエルはハッセ・イッレ作のコントラバス・ハルパを持ってきていた。
Kvartston(クウォータートーン。例えばドとド#の間にもう一音ある) のあるハルパで、そのkvartstonをもっと増やしたいという。
それと私のようにlöv(ポチポチ部分)に問題がありその相談。
なんで作った本人のとこに持っていかないのか不思議だけど
すぐに出来るらしく、さっそく大分解(写真左)。

作業の間、少しだけ話をした。「青いCDにhaikuってタイトルの曲があるよね?」と聞いたら
「そう。日本の文化が大好きなんだ。俳句もそうだし、絵や音楽、日本の伝統文化は素晴らしいと思う」とダニエル。
伝統を大事にし、現代文化も西洋などから取り入れその社会の器としてのあり方云々…熱く語っていた。
ここにも親日家。スウェーデンってひょっとして多いかも?

そんなこんなで、今日は新しい作業に取り掛かる予定だったけど、エスビョンから取り残されってしまったので、未だ不ぞろいのペグを何とかきれいに整えることに集中することにした。(そう。まだ出来上がってなかったのです)
なので細かいナイフ遣いで削っていると、思わず指を切ってしまった。
無傷目標を掲げていたのに…。
それを見たダニエル「もっと切って楽器に血をしみこませなきゃ!」
他人事だと思って。全く。
夕方には、改造と修理を終えた楽器を手にダニエルは満足そうにbyggnanを弾いてくれた。(コントラバス・ハルパ時代(17~18世紀?)のビス・カレ作曲)

エスビョンちの2歳の子、言葉が通じない私におかまいなく、しょっちゅう名前を呼んだりしがみついてきたりする。今日も帰ろうとするとbolibompaを一緒に見ようといわれた。子供向け番組らしい。
でも、暗く前に帰らないと自転車だからね、と言って帰って来た。
いつか2歳児に負けないくらいのスウェーデン語を話せる日が来るのだろうか…。
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