スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

日本でニッケルハルパを弾く人は何人いるのか?(北欧フェア演奏のお知らせ)

2021-08-27 14:25:28 | ニッケルハルパ
今日の話題は3つ。
1.日本のニッケルハルパの人数
2.Grind Hans Jässpôdspolskaとは
3.9月の北欧フェア、演奏のお知らせ
 
1.日本のニッケルハルパの人数
よく日本でどのくらい普及しているのか人数を聞かれるのですが、適当に100人くらいと答えていました
 
たまたまニッケルハルパ協会(関東)の会長さんから私の知る範囲で何人いるかを聞かれ、他の人にも聞きながら1人、2人...と、数えてみました
 
ただし、一人で趣味で弾いている人(北欧音楽のコミュニティに参加せず)、専門の職人以外が作った楽器を所有してる人(無名の作家だと噂が入ってこない)など、そういう場合はカウントから漏れてしまいます。ニッケルハルパの特殊性から(専門の職人が10名くらいしかない、独特の演奏法、メンテナンス面など)、漏れがあっても少ないのでは?と思います。
 
フォークダンス関係者は人脈から入手しやすく、ダンス関係者が多くて、西日本では約28名です。
(兵庫、大阪、奈良、京都、和歌山、滋賀、三重、福岡)
 
※引っ越した場合、私が知っている居住地でカウントしています。(数字としては同じ)
※手放して他の方が所有している可能性もあります。(数字は同じ)
※一人で2-3台持っている、使わないから貸している等、カウントに迷うものは状況で振り分けています。
 
会長さんによると、東日本は48-50名とのこと。
全国トータルで、およそ78名。
でも...そうはいっても...
 
私の周辺ではライブをしたり、ワークショップ、セッションに参加される方は10名くらい。
東京でダニエルが指導した時は20数名の参加者だったかと。
弾く機会がなく保管しているという話もチラホラ聞くので、実際にアクティブに演奏を楽しんでいる方は、半分以下、35名くらいかもしれません。
 
それでも、日本でよく増えたなーと思いました
よくビジネスでは、ニッチを狙え!と言いますが、この規模の人数では、大きなイベントを開催したり、マーケットと捉えるにはまだまだ難しそうです。
もちろん、ニッケルハルパに限定せず、フィドルや笛など色んな楽器による北欧音楽の愛好家だと、何倍もの人数がいます。
 
2.Grind Hans Jässpôdspolskaとは
今日は、もう一つ、マニアックな小ネタを書きたいと思います。
「Grind Hans Jässpôdspolska グリンド・ハンス・イェスポズポルスカ」という曲を知っていますか?
日本でスウェーデンの曲を弾く方には割と有名な曲で、「C i G セー・イ・ゲー」とも呼ばれています。
 
Keyが「C」の曲ですが、フィドルで弾きやすいよう「G」で演奏するスウェーデンのグループがいます。
そのグループの一人が日本でこの曲を教えたのがきっかけで「C i G セー・イ・ゲー(Cの曲をGで)」というニックネームで広まりました。
セーイゲーは曲名ではありませんので、曲紹介の時には注意が必要です。
 
本当の曲の名前は、見ただけでクラクラしそうになりますが、「Grind Hans Jässpôdspolska グリンド・ハンス(人名)のイェスポズ・ポルスカ」です。
 
Triptykというトリオの演奏リンク(Youtube)を貼っておきます。初めて聞く方のために、イントロ50秒カットした位置からにしています。
https://youtu.be/T6hrS1eMxm4?t=51
 
曲名の言葉が辞書にない!
どういう曲なのかを調べると、結婚式のダンス曲、結婚式のパーティのダンス曲、と書かれています。
ですが、「Jässpôds」という言葉は辞書を引いても出てきません。
以前、スウェーデン語の先生(ヨーテボリ出身のスウェーデン人)に聞いてみましたが、分からないと言われたんですよね。
方言や古い言葉ではないか?と。
「Jäss(イェス )と聞くと、gäst (イェスト)という言葉(英語のguest。ゲスト、お客さん)が浮かぶ」とだけ。
 
そのまま忘れていたのですが、ダーラナ地方のフィドルを弾く方に会った時に、尋ねてみました。
やっぱり、方言なのだそうです。
jäss(イェス )は、 gäst (イェスト)、英語のguest(ゲスト)のこと。
pôd(ポッド)は、bord(ボード)、そのままだとテーブルのことですが、smörgåsbord スモーガスボード料理(テーブルにごちそうが並んだビュッフェスタイル)というように、料理が並べられた食卓のことでもあります。
つまり、この曲名は「結婚式の宴会、披露宴パーティ(英語なら、ウェディング・バンケット)」という意味です。
 
結婚式の宴会とは?
ちなみに、昔のダーラナ地方の村の結婚式の宴会というのは、自宅で2週間~1か月ほど続いたそうです。
1950-60年くらいまでは、Orsaあたりではまだ風習が残っていたと聞いたことがあります。
ですので、豪華な会場やお祭りのイメージではなく、田舎の伝統的な赤い家で土地の民俗衣装を着て集まり、毎夜、大勢集まり食べて飲んで踊る、というものです。
ちなみに、昔は教会の中で伝統曲が演奏されることはなかったので、brudmarschブルドマルシュ(ウェディングマーチ)といえば、教会で式を終えて自宅まで歩く際に演奏される行進曲のことです。

ブルーノート(半音の半音、微分音)が特徴的
スウェーデン、ダーラナ地方のレトヴィック Rättvikに伝わる伝統曲です。
さらに曲名をさらに詳しく、「Grind Hans Jässpôdspolska efter Petters Erik」とも書けます。
efter~の後に人の名前が来て、その人が弾いていた、という意味です(作曲者ではありません)。
この場合、ペテシュ・エリックが弾いていた、ペテシュ・エリックが伝えた、という意味になります。
 
Petters Erik ペテシュ・エリックは、1899-1976年のレトヴィックの有名な伝統音楽奏者です。
※調べると複数のバージョンがありそうです。
このPetters Erikが弾くこの曲は、「ゆっくり、リズムをはっきり出さず」弾いていたそうで、「F(ファ)の音がブルーノート(微分音、半音の半分)で、メランコリックなトーンに聞こえる」のが特徴です。
残念ながら、YoutubeやCDで探して聞けるのは、ブルーノートを使わない「普通のCメジャー」の曲です。
完璧に、ブルーノートで弾きこなしているのはPer Gudmundsonだけじゃないかなと思います。
Perは、現役の凄腕、伝統音楽奏者です。
 
3.9月の北欧フェア、演奏のお知らせ
さて、私の近況ですが、肩関節の調子が悪くハードそうな演奏はお断りしたり、コロナ禍でキャンセルとなったりが続いています。
生駒で始めたセッション会も再開の見通しはたっていません。
 
そんな中ですが、博多阪急の北欧フェアで、感染対策をした上で、ニッケルハルパのソロ演奏をすることになりました。
先の読めない状況のため、急に変更となる場合もあります。
 
9/11(土)、9/12(日) 13時~、15時~
博多阪急 催事サイト https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/h/event_schedule/index.html
 
北欧フェアは、9/9~9/14です。
演奏は土日の2日間のみ、各日2ステージです。
 
共鳴音の響きを静かに楽しんでいただけたらと思います。
コメント (4)
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