スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

Danish string quartet, Jan Johansson quartet...

2015-11-25 15:13:33 | おススメCD~Swedish folk

追記(2018年2月):2018年6月に関東で来日コンサートがあります。6/7神奈川(サルビアホール)、6/8武蔵野市民文化会館、6/9名古屋(宗次ホール)

良い音楽はおいしい水を飲むよう。そして、私の中で音楽は、folkと、それ以外という二つのカテゴリーがあります。

※folkフォーク -北欧トラッド曲のこと。スウェーデンで、folkフォークやfolkmusikフォルクムシーク(フォークミュージック)と呼ぶのが一般的。

今までど真ん中フォークではない「ちょっとフォーク」は、あまり紹介したことがありませんでした。

今日は、デンマークのクラシック出身の若者カルテットと、スウェーデンの巨匠ジャズピアニストの話です。

一つは、Danish String Quartet。「デンマーク弦楽四重奏団」と日本語訳されることもあり(ユニット名を訳すのって違和感ありませんか??)、検索で見落とすこともあるかもしれません。北欧音楽のツウ、josanに色々と教えてもらいました。何か知ってるのでは?と思ったら案の定、詳しかったです、さすが!

最初に知ったのは、12月のイベント用の選曲していてLybyのワルツがやりたいと思ったのがきっかけです。でも、セットリストにはめようにも、どうにもはまらないんです。シンプルで切なく美しいメロディで、この余韻の後に何をもってきたらいいのか。何を持ってきても世界観を壊すようで…結局、ボツにしました。ボツにしたのが心残りで、適当に検索して「これ、やりたかったけど、また次回!参考に動画のせときます」と送ったのでした。それで、後から送ったリンクを聞いて「なんだ!この若者は!」とひっくり返った訳です。

元々クラシックのカルテット。髭ヅラとか、Tシャツというのが良い感じです。クラシック出身者のフォークの演奏は時折ききますが、華があって艶があって音色に張りもあって伸びやかに…それはそれは美しく弾くので、田舎の納屋のダンス曲ではないな、と違和感がぬぐえないものです。ですが、このカルテット。元々フォークをやっていたとしか思えません。クラシックを弾く時と、あきらかに違います。そして違和感がない。もちろんクラシック風の正確無比な感じと多少のビブラートはありますが、あー、この人、分かってる!と思いました。とっても、素直で素朴な弦楽器の「木」のぬくもりの音がするのです。音色(おんしょく)が曲で異なるというのは、私には、どちらのジャンルも尊重している、と聞こえるのです。

このカルテットのCDはクラシックが多いですが、「Wood works」が全曲、北欧トラッドです。数年前クラウドファンディングのようなことをやって資金を集めてフォークCDを出したようで、そのお金のなさと(笑)、クラシック界から批判があったんじゃないかと思うのですが、自分たちの意志をつらぬいたところに、久々の感動です。こんなことやったら先生たちは怒らないのかと心配してしまいますが、異質なもの(他ジャンル)に対して寛容な国なのかも。Wood works の中でもReinlenderは、HarjedalのSchottisのノルウェーバージョンで(やたらとバージョン違いが多い曲ですが)このリズム感と緊迫感はクール!

デンマークの作曲家、カール・ニールセンの生誕150周年ということで、クラシックのほうに興味のある方は、彼らのニールセンのCDも今年は注目されているので聞いてみては?

実は、これもjosan情報で知りましたが、11月23日よりスウェーデンラジオで(116分も!)このカルテットのライブが放送されます。(リンクページ右側のLyssna(Listenのこと)をクリック)しばらくアーカイブ保存され聞けるので、早いうちに聞いてみてください。クラシックで始まり、40分過ぎたあたりからアルバムWood worksの曲も。

youtubeも貼って置きます。彼らのオフィシャルサイトでもまとめて見れます。

Danish String Quartet: NPR Music Tiny Desk Concert  アメリカの知る人ぞ知るNPRのミニ・ライブシリーズから。2:40秒あたりくらいで雰囲気がガラっと変わって、お!っと思いました。9分~のアクセントの付け方とか、それに足踏んでますよね(クラシック出身で!?)優雅にまとめた楽しい伝統音楽!

Danish String Quartet on Performance Today - "Valse from Lasse"

もう一つは、知っている方も多いと思います、1930-60年代のスウェーデン人ジャズピアニスト、有名なヤン・ヨハンソンJan Johanssonです。

Jan Johansson quintetは、「jazz på svenska」というCDなら今でも容易に入手できます。

が、私が名作中の名作だと思うのは、実は1965年の、Äventyr I Jazz Och Folkmusikです。

スウェーデン留学中、図書館にレコードが置いていて、学生は鍵を自由に使えたので夜中に行ってはヘッドセットで静かに楽しんでいたのでした。実は私は中学時代、放送部でして、学校で古くから所有しているレコードなど音楽を流すのが仕事(いや、部活動)だったのですが、その中学生ぶりにレコード針をそっとのせてドキドキしたのを覚えています。

CapriceからCDになっていますが簡単には手に入らないので忘れていました。このLPからの曲を、これまた偶然、Youtubeで見つけました。実際の伝承音楽の歌い手の録音を変にいじらずそのまま使い、そして曲が展開していって最初に戻る…とびぬけて新鮮なのです。フォークをジャズに水彩絵の具を溶かすように混ぜるのではなく、モザイク的に存在してくっついてるのがお互いがベストで良い感じなのかなー?って。ここでも他ジャンルへの尊重が感じられます。

The Jan Johansson Quintet: LAPP NILS POLSKA

The Jan Johansson Quintet: I FJOL SÅ GICK JAG MED HERRARNA I HAGEN

あったかい飲みモノをもって窓辺で聞きたくなる音楽ばなしでした。

追記です

12/11(金)に阪神百貨店の北欧フェアで、ステンマ(セッションのような皆で演奏する集まり)のような企画があります。ここで、長靴下のピッピのテーマ曲を用意していて初めて知りました。この曲、スウェーデンで老若男女知ってるアニメソングなのですが、Jan Johansoonが作曲したのだそう。

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松脂が焦げました(それと演奏のお知らせ)

2015-11-19 23:54:18 | ニッケルハルパ

「暖炉であぶる」

ノルウェー在住のKさんに聞いた話です。

ソーセージではありません。楽器の弓にぬる松脂の話です。(松脂バナシの後に、演奏のお知らせ書いてますー

あれって、割れたら皆さんどうしてますか?一度割れると、ぽろぽろと小さなかけらが出て自宅の部屋では使いたくなくなり、自然とそのまま放置松脂が増えていくんです…。

ニッケルハルパの弓の毛は水で洗うという衝撃の話をスウェーデンで(それも授業で)習ったので、松脂もきっと北欧スタイルがあるだろうと思って聞いてみたら、冒頭のセリフへとなった訳です。

そこで!暖炉がないのでチャッカマンでメラメラやってくっつけたらどうかと思ったのですが、調べてみると

・溶けだす融点が低く焦げやすい。

・鍋で湯煎にかけるか、トースターの余熱であぶる。

・完全に溶けて固まると、性質が少し変わる。

とのこと。まあ、どうせこのまま使っても端からボロボロボローっとなってイライライラーっとするので、実験してみることにしました。

まずはアルミ・カップをつくります。

そして、トースターを弱にして表面が溶けるのを待ちます(完全に溶かすのではなく)。

すると、表面が溶け始めたと思ったら、あっという間にふつふつ泡が…。

固まるのを待って出してみると、あー!端が焦げてる!

しかも、松脂のグリーンがもっともっとグリーンでツヤツヤになってます。これは…使いたくない。もったいなくて泣けてきました。

次は、割れたらどうすりゃいいのー?

やっぱり暖炉がベストなのか!?たき火!?火からの距離(つまり温度)が自在ですからねぇ…。

お知らせ

12/25 阪急百貨店 北欧クリスマスマーケット(無料ライブ) Ljusblå (岡崎泰正さんとのデュオ)

2016/1/10 北欧の教室vol.4 @金沢のカフェ&バー・ヤギヤ (ドレークスキップの浦川裕介さんと)

さて、11月は演奏の選曲、リハ、そして今日はイベント出店(最近そういうこともやってます)と終え、今月の山場を超えてホッとしました。

※金沢ライブのフライヤーで使った、背景(雪の森)写真はToboの学校から5分の散歩道です。

前も書きましたが、私の場合、選曲に一番時間がかかります。例えて言うなら、富士山に登る準備や買い物や手配をする一番気を遣うところ、みたいな。選曲が決まった後を例えるなら、後は黙々と頂上めざして歩くって感じです。今回は、12月は「北欧のクリスマス」がテーマで、1月は「スウェーデンの冬」がテーマ。どちらも、同じテーマで選曲が似ていて、でも、一緒に演奏していただく方は違うので、できるだけ被らないよう頭を抱えていました。

結果、今やりたい(私の中で)旬な曲を12月にもってきました。まだ音合わせもしてないので、全くどうなるか未定ですが、西暦300年くらいに作られた(かもしれない)とっても不思議なメロディのクリスマス聖歌をテノールハルパで弾いたらどうかなー?とか。Vrigstadのポルスカが切なく美しい系でめちゃめちゃ好きなんですが、これにNiklas(12月に来日しますね!)に習った曲をメドレーにくっつけたら、ぱっと華やかで。これにギターがのってきたらどんな風か、これからのリハが楽しみです☆

1月のテーマ「冬」。ひたすら暗い北欧の冬。考えても考えても暗い曲ばかり浮かびます。10年以上前、フィドルで弾いていた曲など(私の中で)懐かしのあの曲、みたいな選曲になりました。まだ音合わせしてみた段階で、やるかどうかも決まってませんが、Blind Mattis lekenなど、あーこんな狂った曲、弾いてたな!って感じです。ギター(12弦!)と合わせてみて、弾きながら大爆笑です。はあああ??って感じのメロディで。ちなみにNiklasに10年前?昔ならったスコーネ地方のおかしなワルツも合わせてみて大爆笑。変な曲すぎる!!(でも、そこがいいんです)浦川さんは柳笛と口琴もやるそうで、結構ディープな感じの「北欧の教室vol4」になりそうです。

Blind Mattis Leken、Youtubeでみつけました。狂ったメロディを、きれいにまとめあげていますね。

Ellinor Fritz & Leonor Palazzo - Polska (cours de danses de Suède)

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