スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

日本でニッケルハルパを弾く人は何人いるのか?(北欧フェア演奏のお知らせ)

2021-08-27 14:25:28 | ニッケルハルパ
今日の話題は3つ。
1.日本のニッケルハルパの人数
2.Grind Hans Jässpôdspolskaとは
3.9月の北欧フェア、演奏のお知らせ
 
1.日本のニッケルハルパの人数
よく日本でどのくらい普及しているのか人数を聞かれるのですが、適当に100人くらいと答えていました
 
たまたまニッケルハルパ協会(関東)の会長さんから私の知る範囲で何人いるかを聞かれ、他の人にも聞きながら1人、2人...と、数えてみました
 
ただし、一人で趣味で弾いている人(北欧音楽のコミュニティに参加せず)、専門の職人以外が作った楽器を所有してる人(無名の作家だと噂が入ってこない)など、そういう場合はカウントから漏れてしまいます。ニッケルハルパの特殊性から(専門の職人が10名くらいしかない、独特の演奏法、メンテナンス面など)、漏れがあっても少ないのでは?と思います。
 
フォークダンス関係者は人脈から入手しやすく、ダンス関係者が多くて、西日本では約28名です。
(兵庫、大阪、奈良、京都、和歌山、滋賀、三重、福岡)
 
※引っ越した場合、私が知っている居住地でカウントしています。(数字としては同じ)
※手放して他の方が所有している可能性もあります。(数字は同じ)
※一人で2-3台持っている、使わないから貸している等、カウントに迷うものは状況で振り分けています。
 
会長さんによると、東日本は48-50名とのこと。
全国トータルで、およそ78名。
でも...そうはいっても...
 
私の周辺ではライブをしたり、ワークショップ、セッションに参加される方は10名くらい。
東京でダニエルが指導した時は20数名の参加者だったかと。
弾く機会がなく保管しているという話もチラホラ聞くので、実際にアクティブに演奏を楽しんでいる方は、半分以下、35名くらいかもしれません。
 
それでも、日本でよく増えたなーと思いました
よくビジネスでは、ニッチを狙え!と言いますが、この規模の人数では、大きなイベントを開催したり、マーケットと捉えるにはまだまだ難しそうです。
もちろん、ニッケルハルパに限定せず、フィドルや笛など色んな楽器による北欧音楽の愛好家だと、何倍もの人数がいます。
 
2.Grind Hans Jässpôdspolskaとは
今日は、もう一つ、マニアックな小ネタを書きたいと思います。
「Grind Hans Jässpôdspolska グリンド・ハンス・イェスポズポルスカ」という曲を知っていますか?
日本でスウェーデンの曲を弾く方には割と有名な曲で、「C i G セー・イ・ゲー」とも呼ばれています。
 
Keyが「C」の曲ですが、フィドルで弾きやすいよう「G」で演奏するスウェーデンのグループがいます。
そのグループの一人が日本でこの曲を教えたのがきっかけで「C i G セー・イ・ゲー(Cの曲をGで)」というニックネームで広まりました。
セーイゲーは曲名ではありませんので、曲紹介の時には注意が必要です。
 
本当の曲の名前は、見ただけでクラクラしそうになりますが、「Grind Hans Jässpôdspolska グリンド・ハンス(人名)のイェスポズ・ポルスカ」です。
 
Triptykというトリオの演奏リンク(Youtube)を貼っておきます。初めて聞く方のために、イントロ50秒カットした位置からにしています。
https://youtu.be/T6hrS1eMxm4?t=51
 
曲名の言葉が辞書にない!
どういう曲なのかを調べると、結婚式のダンス曲、結婚式のパーティのダンス曲、と書かれています。
ですが、「Jässpôds」という言葉は辞書を引いても出てきません。
以前、スウェーデン語の先生(ヨーテボリ出身のスウェーデン人)に聞いてみましたが、分からないと言われたんですよね。
方言や古い言葉ではないか?と。
「Jäss(イェス )と聞くと、gäst (イェスト)という言葉(英語のguest。ゲスト、お客さん)が浮かぶ」とだけ。
 
そのまま忘れていたのですが、ダーラナ地方のフィドルを弾く方に会った時に、尋ねてみました。
やっぱり、方言なのだそうです。
jäss(イェス )は、 gäst (イェスト)、英語のguest(ゲスト)のこと。
pôd(ポッド)は、bord(ボード)、そのままだとテーブルのことですが、smörgåsbord スモーガスボード料理(テーブルにごちそうが並んだビュッフェスタイル)というように、料理が並べられた食卓のことでもあります。
つまり、この曲名は「結婚式の宴会、披露宴パーティ(英語なら、ウェディング・バンケット)」という意味です。
 
結婚式の宴会とは?
ちなみに、昔のダーラナ地方の村の結婚式の宴会というのは、自宅で2週間~1か月ほど続いたそうです。
1950-60年くらいまでは、Orsaあたりではまだ風習が残っていたと聞いたことがあります。
ですので、豪華な会場やお祭りのイメージではなく、田舎の伝統的な赤い家で土地の民俗衣装を着て集まり、毎夜、大勢集まり食べて飲んで踊る、というものです。
ちなみに、昔は教会の中で伝統曲が演奏されることはなかったので、brudmarschブルドマルシュ(ウェディングマーチ)といえば、教会で式を終えて自宅まで歩く際に演奏される行進曲のことです。

ブルーノート(半音の半音、微分音)が特徴的
スウェーデン、ダーラナ地方のレトヴィック Rättvikに伝わる伝統曲です。
さらに曲名をさらに詳しく、「Grind Hans Jässpôdspolska efter Petters Erik」とも書けます。
efter~の後に人の名前が来て、その人が弾いていた、という意味です(作曲者ではありません)。
この場合、ペテシュ・エリックが弾いていた、ペテシュ・エリックが伝えた、という意味になります。
 
Petters Erik ペテシュ・エリックは、1899-1976年のレトヴィックの有名な伝統音楽奏者です。
※調べると複数のバージョンがありそうです。
このPetters Erikが弾くこの曲は、「ゆっくり、リズムをはっきり出さず」弾いていたそうで、「F(ファ)の音がブルーノート(微分音、半音の半分)で、メランコリックなトーンに聞こえる」のが特徴です。
残念ながら、YoutubeやCDで探して聞けるのは、ブルーノートを使わない「普通のCメジャー」の曲です。
完璧に、ブルーノートで弾きこなしているのはPer Gudmundsonだけじゃないかなと思います。
Perは、現役の凄腕、伝統音楽奏者です。
 
3.9月の北欧フェア、演奏のお知らせ
さて、私の近況ですが、肩関節の調子が悪くハードそうな演奏はお断りしたり、コロナ禍でキャンセルとなったりが続いています。
生駒で始めたセッション会も再開の見通しはたっていません。
 
そんな中ですが、博多阪急の北欧フェアで、感染対策をした上で、ニッケルハルパのソロ演奏をすることになりました。
先の読めない状況のため、急に変更となる場合もあります。
 
9/11(土)、9/12(日) 13時~、15時~
博多阪急 催事サイト https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/h/event_schedule/index.html
 
北欧フェアは、9/9~9/14です。
演奏は土日の2日間のみ、各日2ステージです。
 
共鳴音の響きを静かに楽しんでいただけたらと思います。
コメント (2)
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「ニッケルハルパ演奏の基本」動画3/3 -マイクの聞き比べ

2021-05-21 17:53:41 | ニッケルハルパ

前回の予告から時間があいてしまいました。撮影の都合を合わせたり、ミスが判明して撮り直して…、やっと動画をYoutubeにアップしました。

コロナの流行も2年目になり、皆さんはいかがお過ごしですか?

私の姉は、コロナ禍で転職し、皆がマスクだから顔が覚えられない!と嘆いていました。私は春に演奏の予定がありましたが、この状況なので中止に...。そんな中、知り合いが仕事を回してくれているのですが、私が最近手伝ったのは、いろんな国の参加者がいるオンライン会議の議事録作成とその翻訳というものでした。英語ネイティブではない人たちが自由に発言する英語って…ホントに、ホントに無茶苦茶でびっくり。単語の羅列、主語や目的語なし!時制もない…とにかく思いつく順に単語の羅列で発言するんです。割と専門的な内容なのですが、単語だけのマシンガントークで、しかもお互いに分かりあってるんですよね、不思議。そして、よくしゃべる!!タンゴ・マシンガンなので、どこがピリオドなのかもわかりゃしない。日本人は英語が下手と言いますが、「発言量の差」であって、「英語レベル」とは無関係なんだなーと実感。苦手意識あっても関係ない、単語で叫べー!ってことですね。

さて、今日の話題に戻り、ニッケルハルパのマイク比較です。

「良い音とは何?」

・ステレオだと良い音?モノラルだと劣る?

・リアルに近い音ほどいい?それとも、編集でバランスを整え人工的に完成された音がいい音?

・「リアルな音」「臨場感」とは、演奏者の立場での音?、客席側の音?、さらにホールなど音が立体的に包む空間で聞く音…?

こう挙げていくと、良い音とは好みに左右されます。私は、ステレオであっても、右からこちらの奏者、左からあちらの奏者の音がよく聞こえるというステレオ音は好きではありません。ホールで聞く弦楽器の音も柔らか過ぎてちょっと苦手。カーテン越しのような、自分の耳が遠くなった気がしてしまいます。弦楽器なら、よく響く小さめの部屋で弓が弦をつかむ音が分かるような音が好きです。私の祖父がオーディオ機器が好きで(オーディオシステムのために家まで改造するほど)子どもの頃から聞き比べについて行っていたので、マイクによる違いは割と昔から気になっていました。また祖父はコンサートもよく連れていってくれ、ブラスのフルバンドでも最前列中央~3列目までくらいの爆音の席を好んでいたので…それも影響していそうです。

<ニッケルハルパはどんな音?>ニッケルハルパを知らないという方のために...

その前にニッケルハルパってどういう音?という方のために説明すると、鍵盤があり、バイオリンのように弓で弾ます。鍵盤のカタカタ音や振動するザーっというノイズも聞こえます。メロディ弦とは別に、ベース弦(ドローン)がついていて低音もよく響きます。短い弓で弾くので、バイオリンのように(長い弓で)艶っぽい滑らかな表現はできません。はっきりしたクリアな音に、共鳴弦の音が絡みつきます。マイクを通すと高音がナイフのよう、とよく言われ、高音をカットします。

<手持ちマイクの聞き比べ>

マイクを買う時、ニッケルハルパ用マイクというレビューや記事はないので、他の楽器のレビューやサンプル音源を参考にしました。ちなみに、ピアノ、ギター、バイオリンでは、クラシックギターが一番参考になりました。

・5~10万円くらいのマイク(安い、中くらい、高価、でいう真ん中レベル)

・20畳ほどの部屋で収録

・DPAとリボンマイクは接近して、それ以外は1m離してマイク設置。

・マイクスタンドが足りないので、何回かに分けて収録

・音は原音のまま未編集

それぞれのマイクの簡単な特徴と、なぜそれを買ったのかも下に書いています。周辺機器、音の編集、演奏場所、マイク位置でも劇的に音は変わりますが、今回のテーマは同じ環境下でのマイクの音の違いです。

Youtubeにアップする前の動画はもう少し違いが聞いて分かるのですが、Youtube上で音が劣化するのか?違いが分かりにくくなってしまっています。

マイクを通した音は生の音とは違いますし、機会があればニッケルハルパの生の音を目の前で聞いてみてくださいね。(ヘッドフォン推奨)

Mic for nyckelharpa -DPA 4061, Golden Age Project, Soyuz 013 FET, Neumann KM183, KM183 Stereo Pair

1.DPA4061(低感度、無指向性、楽器に付けるミニチュアマイク)※4061は廃盤で、今は後継機種が出ています。

スウェーデンで、講師やミュージシャンに勧められたステージ用マイクがDPAです。DPAはデンマークの会社で、色付けなく原音を忠実に再現してくれると言われています。どのライブ会場に持っていっても、やっぱりDPAはいいね、と現場の方に言われ、いじっても音の芯が崩れない安心感があります。よくステージで使われるのは「高感度、指向性マイク」。私が使うのは「低感度、無指向性」です。高感度マイクは少し音がきついという話も聞きますが、私は試したことがなく分かりません。無指向性マイクはハウリングを心配する人もいますが、楽器編成(ドラムやエレキギターはいない)、立ち位置、他の人は指向性マイク、といった調整で問題なく使えています。ただ、レコーディングで使う場合は、すっきりサウンドで好みがある気がします。

DPA公式Youtubeで、バイオリンのセッティング方法が見れます。動画の最初のセッティングがグースネックです。私の使うタイプは、動画の後ろのほうで登場する弦の上にのせるタイプです。

2.Golden Age Project(低感度、双指向性、リボンマイク)

留学中の先生でもあり、数多くのライブをしてきたウロヴ・ヨハンソンのおすすめマイクです。ウロヴは、一度気に入ったら廃盤になっても浮気せずずーっと使い続けるタイプの人で、このウロヴがベストと言うのだから失敗はないだろう、と買いました。なぜ低感度?と尋ねたると「そのほうが良い音だと思ったから」とのこと。リボンマイクは10万を超すものが多いですが、これは5万円以下で買えます。音色は温かみがあり、今まで試し撮りの感想を人に聞くと、このマイクがベストだと言う人が多いです。ただ、実際の音より温かみを感じるので、自分の楽器の音じゃないような気がしてしまいます。また、リボンマイク自体の特性でもありますが、リボンが繊細で保管や使用に気を使うこと。それと、ホワイトノイズがかなりあり、機器との相性?編集でどうにかできるのか?頭を悩ませています。

ウロヴ・ヨハンソンがこのGAPのマイクを使用している動画があります。

3.Soyuz 013FET(指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

ロシアのハンドメイドマイクです。真空管マイクに興味があり前から試したかったのですが、どの記事を読んでも「あたたかみ」「色づき」「シルクのような」というのを強調していて、一つ前にあげたリボンマイクのように、「みんなは好きと言うけど本当の音とは違って聞こえる」かもしれない、と思っていました。この「真空管」と「FET」はよく比較されていて(FETは真空管に代わるものと開発された技術)、「FET」は真空管のようなあたたかみがあり、且つ、真空管よりも正確に音を捉えると聞き、気になっていました。無指向が欲しかったのですが予算オーバー。指向性マイクを買ってみました。使ってみて、中音域の音色が良いなと思いました。指向性だから共鳴弦の音が物足りない、とも感じません。ちなみに、アメリカのVintage Kingでセールで日本より安く購入できました。2日で届いたので国内の買い物のよう…。

バイオリンのサンプルですが、Soyuz公式リンクを貼っておきます。

Soyuz 013FET(モノラル)、 Soyuz 013FET(ステレオ)、ちなみにFETではなく真空管TUBEはこちらSoyuz 013Tube(ステレオ)

4.Neumann  KM183(ノイマン、無指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

Neumannノイマンは高価な定番マイクがありますが、10万円クラスでは「KM184、指向性マイク」がよく知られています(艶感、ふっくら、と聞いて気になっていました)。ですが、私が買ったのは「無指向性、KM183」です。前にも書きましたが、ニッケルハルパは、無指向性の音のほうがふくよかに録れる気がして…個人的に好きです。指向性マイクにある近接効果もなく使いやすいと思います。でも、無指向性マイク自体が日本では人気がないのでしょうか。レビュー記事もあまりなく、店舗在庫もなく…。海外では、弦楽器やコーラスで無指向をよく使うので英語ではレビューが色々と出てきます。比較したマイクでは、Neumannの高音が良いように感じます。Thomannというドイツのサイトで、こちらもセールで日本より安く買えました。(同じく注文後2日で到着。早い!)

5.Neumann  KM183 ステレオ・ペア(ノイマン、無指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

動画では、ノイマンのマイク2本でステレオ録音も撮影しました。2本になると豊かな音色です(ヘッドフォン必須)。ですが、鍵盤ノイズも増幅して聞こえます。録音方法など違う工夫が必要だったのかも。

皆さんの好みのマイクはどれでしょうか?

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「ニッケルハルパ演奏の基本」動画2/3

2021-03-03 16:45:23 | ニッケルハルパ

前々から作りたいとあたためてきた「ニッケルハルパ演奏の基本」動画を作りました。

<内容について>

日本で、初心者や独学の方とお話する機会があると、弓の持ち方や楽器の構え方に不安があったり、体が痛い、弾きにくいと言う方がいます。対面レッスンを受けていると1-2年のうちに安定してくるのですが、独学の場合は左手の親指で楽器を支えないといった大事な情報が漏れている場合もあります。

実は、ニッケルハルパはそんなに演奏が難しい楽器ではありません。元々庶民の楽器です。他の楽器をしている方なら特に、ニッケルハルパでメロディを弾くだけであればすぐに出来ます。ただ、他の楽器の癖で弾いたり、後から弾きにくさが出たり、体を痛めることがあります。私が初めてニッケルハルパを手にした時、癖がつかないよう、スウェーデンで習うまで弾きこまないと決めていました。ですので、スウェーデンで基礎を習ってから練習を始めました。

そうやって学んだ内容をまとめようと何年も前から思っていたのですが、まとめたものを作るとなると、特にネットで拡散することを思うと、大きな責任を感じます。今までリクエストがあれば個人レッスンをしてきましたが、教室を開いて継続的に沢山の方にに教えた実績がある訳でもありません。

ニッケルハルパのプロミュージシャンで思いつく名前の人には今までほぼ全員習いましたが、何をまとめても、そうして習ってきた誰かの受け売りなんじゃないか、誰かの引用なだけじゃないかと、どこかで引っかかってしまって。考えるばかりで年月が経ってしまいました。

ですが、思い立ってから、手持ちのDVD、動画、ノートを見返すと、どれも分かり切った同じ内容ばかり。結局、誰に習おうと、基礎は同じ。人が変われば説明する言葉が変わるだけ。基礎は既に自分の中にあって自分の言葉で語れると改めて確認でき、一気に計画を立てました。

今回作った動画の内容(演奏の基本)は、スウェーデンでスウェーデン人から習う内容と同じものをお伝えできていると自信を持って言えます。ぜひ活用していただけたらと思います。

<動画の内容>

実際の演奏に入る前の基本的な内容です。シリーズ6本、youtubeで公開中。

0.イントロダクション(楽器の紹介)

1.楽器の構え方(立って弾く、座って弾く)

2.弓の持ち方とボーイング1

3.音の出し方とボーイング2

4.チューニング(演奏弦、共鳴弦、タンジェント)

5.左手の使い方

<ステレオ、モノラル録音>

イントロダクション、3の音の出し方、5の左手の回はステレオ録音ですが、音量レベル以外は未加工で何も触っていません。他はモノラルです。

ニッケルハルパの音に聞きなれていない方へ補足すると、共鳴弦の音はそのままの音を収録し未加工です。エフェクト、リバーブなどかけていません。マイクの話は次回書きたいとます。

<ダウンロード・テキスト版>

動画の内容で十分だと思って作っていますが、口頭で説明していることを文字で読みたいという方のために、テキスト版も作りました(こちらはPDFの文書データで、有料ダウンロード販売です)。

テキスト版は、動画に準じたもので楽譜や練習(ワークブック)などの内容は無く、写真を交えた説明や解説が中心です。動画で話すには説明が長すぎると省いたもの、後で思い出して追加したものなど、動画より少し内容が多くなっています。

では、次回は、マイクのお話。聞き比べ、です。

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「ニッケルハルパ演奏の基本」動画1/3 - 弓の話

2021-03-01 11:09:58 | ニッケルハルパ

大事なニッケルハルパの弓を2本、電車でなくしてしまいました。

そんなに忘れっぽいほうではなく(家族は激しく否定)、普段の生活でうっかりとかあんまりないタイプです…。と言いつつ、書きながら思い出してきました。ランドセルを持たず登校して教室について「あ、手ぶら」と気づいたこと(でも、6年間の小学校生活で1度だけです!)受験の時に電車に乗り間違えたこと(日本からわざわざスウェーデンまで行って受けた試験の日も反対方向の電車に乗ったなぁ…)。靴をなくしたのは生涯で1度きり、服をなくしたのもの1度きり、いや、2回、じゃなくて3回(パーカーを電車に、とか)。JR高槻と阪急高槻と、駅を勘違いしたのも1度だけ。子どもが幼稚園で抹茶をたててくれるお茶会の日、「おかーさん、今日は欠席ですか?」と電話がかかってきたこと。傘は、常にどこかの異次元に吸い込まれるようです。ああ…この生涯1度だけ(?)、というのがやけに多いなと気づいてきました

他にも無くす方がいるかもしれないので(いるか!?)参考に経緯を説明しますと、その日はテノールハルパでレコーディングの日でした。テノールハルパのケースの弓ポケットはマチがなくピッタリした作りで、高価なフランスの弓を入れるとポキっと折れそうで。以前知り合いからいただいた弓ケースに入れました。フランスの弓2本です。そして、駅のベンチで楽器と弓ケースと自分の荷物を置いて、スタジオまでの駅徒歩の道順をスマホで確認して立ち上がり…、その後、出口を出て、弓ケースを持っていないことに気づいて同じ道順で落としていないか確認しながら駅ベンチまで戻ったのですが、無くなっていたんです。わずか20分以内の出来事です(盗難の可能性もあります)。駅員さんに20分以内にあったものが、と説明しましたが、2-3日後に遺失物センターに電話してくださいとのこと。スタジオの方がとても親切で警察にも届け出をしました。

交番でコントのような展開になったのですが、それはともかく、無くしたものが「弓」ではなく、「ケース」や「鞄」という登録になるそうで、膨大な数があがること、見つかってもデータ入力する人が楽器の弓だと見て分からない可能性がある、と言われました。それから1か月半、データベース検索を続けましたが発見にいたらず。もし見つかっても売れると見込んで、先にフランスに弓を注文しておきました(事情を伝えると同情して急いで制作してもえました。ありがたい…)。

<弓のタイプ> 今までも時々書いていると思いますが改めて…

スウェーデンの伝統的「オールド・ボウ」:棹が大きくカーブしていて、ウップランド地方の曲を弾くのに適しています。慣れれば早い曲でも難なく弾けますが、弓の重さ、バランス、バウンス感に独特感があります。ニッケルハルパはウップランド地方の伝統楽器ですから、スタイルにこだわったり、最初からこの弓が楽器についてきた、といったことで良く使われています。現代のものはスクリューがありますが、本式はスクリューなし、弾く時に指で握って毛を張ります。

バロックボウ:バロックバイオリン用のバロックボウと同じスタイルで、直線的で先端が尖っています。イギリスのものやスウェーデンのものなど、バロックボウのお気に入りの作家にニッケルハルパ用の長さを注文して好んで使う奏者もいます。おそらく10万円前後だと思います。ただ、あまり広がらない理由は、ウップランド地方の曲は逆に弾きにくいこと(何でも慣れれば問題ないですが)、多様すぎて、絞ってこの人となりにくいのでは?と思います。

フランスの弓作家、ジャン・クロード・コンディJean Claude Condiの弓:ニッケルハルパの弓として最高と言われています。ヴェーセンのOlov Johanssonはじめ、多くのプロミュージシャン、ニッケルハルパの講師陣、皆が口をそろえてジャン・クロードが良い、払う価値があるといいます。ウップランド地方の伝統楽器なのにフランスの弓が良いというのです(珍しい)。価格帯が手ごろなもの作っているようですが、みんなが良いと言っているのは10万円ほどの弓です。掲載した写真にも映っていますが、オールドボウほど大きくカーブしていませんが、ほどよくカーブがあります。ウップランド地方の曲も早い曲も両方とも問題なく弾けます。そしてバランスと重量が非常にいいのです。脱力して弾くと、共鳴弦がよく鳴ります。基本のボーイングで「プンッ」というような共鳴弦の立ち上がりを鳴らすのですが、とても自然にできるのです。初めてジャン・クロードの弓で弾いた時に「あれ、出来た?」と思った衝撃を覚えています。練習して言われた通りにやろうとして成功率がまだまだと思っていた頃です。ジャン・クロードの弓に慣れてから、昔の安い弓に戻ったら出来るようになっていましたが、要は、成功体験の積み重ねでコツをつかんだ、ということだと思います。

私の演奏の45%は楽器のおかげ、45%は弓のおかげ、自分の力は10%未満じゃないか、と思っています。

今回、「ニッケルハルパ演奏の基本」という動画を作っている途中で新しく作ってくれた弓が届いたので、一部新しい弓で撮影しました。撮影に間に合わず安い弓で弾いてる箇所があるのですが、分かる方には分かると思います。安いほうの弓は金属音のような音がします。

ジャン・クロードの弓が買いたいという場合、本人のウェブサイトがあるのでそこからメールしましょう。Google翻訳を駆使して、フランス語でメールを書きました。弓はarchetです。希望する毛の長さを伝えます。2-3か月で弓を受け取った話も聞きますが、半年待ちと言われて忘れた頃(8~10か月後)に連絡がきた、というのがよくあるパターンです、支払いは銀行振り込みで、私は楽天銀行から手数料1750円でネット口座から送金しています。弓の送料は、1~2万円で、輸入消費税10%がかかる場合があります(10万未満と、複数弓を注文して数十万になった時で、計算が異なる)。

楽器に無料でついてきた弓は何本か持っていて、

固くて軽い弓:早弾きしやすいけど、初心者には共鳴弦を鳴らす基本ボーイングや、ウップランドの曲を弾きにくい。

軽くて柔らかい弓:共鳴弦は鳴るけど、軽すぎて腕の重みのほうが勝つのか?金属的な音色に偏りがち。

固くて重い弓:弓の重みでしっかり鳴るので曲を選ぶとOK。でも…固くて重いので思ったように操作できない。腕が棒になったような感覚が。

ちなみに、なぜか私のテノールハルパは軽くて柔らかい弓が弾きやすいのですが、これはテノールハルパの弦のテンションが柔らかすぎることが理由だとやっと気づきました。(弦のテンションが緩いのは未解決の大きな問題)

ところで、最近、続けて撮影している動画を見て、今頃自覚したのですが、私は薬指が内向きに曲がっています。伸ばすと真っすぐで、曲げると中指側に曲がり、薬指と中指でVサインになります。写真だと分からなかったけど動画で見ると弓を持つ指が不思議な感じに見えます。

次は、「ニッケルハルパ演奏の基本」動画の話を中心に。

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年始の色々、雑記

2021-01-12 14:28:22 | 番外編

年末は、クリスマス動画撮影、ルシアコンサート、オンライン生配信、レコーディング、個人的なことでも忙しく、慣れないことが続きました。年明けには投資の見直し&勉強しなおしをして、一息ついたところです。

1年の終わりに番外編で無駄話を書いて終えていましたが、今年はバタバタして時間がとれなかったので今更ですが一つずつ。お暇な方は雑談にお付き合いください

それにしても日本のアニメはすごいことになっていたんですね。長いこと、幼児向けやディズニーばかり見ていたせいか、「鬼滅の刃」に逆カルチャーショック状態です。子どもが折り紙の裏に「きめつ、ぜったいみてね」と書かれたお手紙を持って帰ってきたのがきっかけで子どもと全話みました。静と動の緩急、カット割り、特に素晴らしく美しい構図、絶妙なタイミング(間合い、呼吸と言うのでしょうか)。原作の良さがあってこそですが、あんな巧の世界になっているとは。作品の完成度に息をのみました。世界からみた日本アニメの独特さ新鮮味もひしひしと感じます。

話は変わって、皆さんは投資はしていますか?音楽好きの投資好きってあまりいないような…?私は、家族の退職金が全額、自分で投資運用する制度に変わった時に、代わりに勉強&運用をして以来、自分でもほんの少しやっています。リスクは最小限に。株は勉強不足で怖いのでしてなくて、ETFと投資信託だけです。年に1回は見直します。少額で長期保有なのでボロ儲けとはいきませんが、おかげでハープが買えました。「人は欲深いので戦争や危機で大暴落しても経済は乗り越えてきた。親から子へ孫へと取り崩しながらも解約はせず長期保有で運用をしていく」という考え方がよく紹介されていて、人間が強欲という点になるほどな、と思います。興味がある方は、今年始めては?

話題が飛び続けていますが、12月に動画撮影をしました。

前回、10月は機材の問題でアップ中心の映像になってしまったので、今度こそ全体が映るような奥行きと広さがある映像にしたいと思っていました。ですが、巨大な業務用エアコンが映り込み背景をカット→人が大きくなる、という同じ結果になってしまいました。こうしたいという思いがあっても状況に対応する力はまだまだです…!

日本は外の風景も(電柱、看板、木々の隙間から雑居ビルなど)、室内も狭いせいか、いろんなものが映り込んでしまいます。音もそうです。バイクやトラックの音、飛行機、外遊びの子どもの声…良い会場があっても色んなものが近くて音が防げません。以前、ネットの記事で、海外の家は大きいので子どものもは子ども部屋にあり、リビングに子どもの気配のするものが置いていない(生活感がない)という内容を読みましたが、やはり家や収納もサイズが大きいからリビングはリビングと分けることが可能なのかなと思います。

今回は、教会の好意で、落ち着きがあり自然な反響音のある聖堂をお借りすることができました。参拝者の邪魔にならないよう手短に終えるつもりで、マイクセッティングもなしの簡易撮影。ですが、隣の幼稚園から太鼓が聞こえて中断、指先の感覚がなくなるほど寒く楽器のチューニングが落ちる、鳥が狂ったようにけたたましく鳴く、窓から人がのぞく姿が写る…等々、何度も撮りなおすと難しい…。慣れていけば完成度があがると思いますが、今のところの背一杯。結果はYoutubeでご覧ください。音は、教会の自然な響きに任せて音量以外さわっていません。

 ・スウェーデンのクリスマス曲 https://youtu.be/GsLUBBlVMRM

 ・ノルウェーのクリスマス曲 https://youtu.be/QkfS7sMCdE0

もう一つ12月には初めての経験でしたが、12月にオンラインの生配信をしました。

定期的に開催している東京北欧セッションが、コロナ禍でオンラインに切り替え活動を継続しています。スウェーデンからのゲストやお話、セッションなど内容も盛りだくさん。私は20分枠をいただいて、自宅から参加しました。家族がコロナで在宅勤務しているので、やたらパソコンやモニターが(モニター単体だけでも4台くらい)。いっぱい機材をつないだら見た目だけはスタジオっぽいです(笑)

20分の枠で、1曲「Polska efter Knuter Jon」を教えるワークショップをしました。

Magnus Stinnerbomに8年くらい前に習った曲なんです。実は、昔、間違えてSDデータを消去してしまい何を習ったか思い出せず、参加していた人に聞いても「さあ?」と言われて分からなくて。それから数年後、またやってしまいました。同じSDカードで今度はJosefinaとNiklas来日時のワークショップデータを消去してしまいました。SDってパソコンと違いゴミ箱にもいかないし、指が滑って消去を選んだ瞬間に消えてしいます。ほんとに残念。2回目の消去の時に、データ復元ソフトにかけてみたのですが、復活したのがなぜかMagnusのデータのみ、ほかのデータは戻らず、でした。おかげでMagnusに習った記憶が戻りました。

この曲はGmの曲ですが、Dmのようにも聞こえます。メロディも単純なのに覚えにくく(リズムが独特)、飽きない曲です。(古くて装飾音の多い曲なので奏者により細かい部分がかなり異なります)
みなさんも、ぜひ試してみてください。

こちらにズーム配信の動画が残っています。私は開始から32‐3分くらいで登場しますが、ちょうど曲を弾いているところあたり54分あたりのリンクを掲載しておきます。

https://youtu.be/1knIJ6TJofU?t=3270

ということで、皆様に良い1年となりますよう!

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動画配信と撮影裏話

2020-10-30 17:15:08 | おススメCD~Swedish folk

ここ3-4ヶ月、腕と肩の痛みに耐える日々でしたがやっと半減してきたところです。

左肩の激痛で腕が動かせなくなって、6月に病院で原因不明(無関係のヘルニアを指摘)、7~9月は痛くて寝てすごす感じでした。左肩の腱?スジ?何かわかりませんが内側に巻き込むようにねじれて固定された感じです。手の甲を表、裏と回すと、手首はまわるけど肘はまわらず絵的にホラー 横に腕を上げようとすると親指下向き(手の甲が前)。普通は親指上向きに腕をあげると思います。ニッケルハルパは腕をあげないので無理しなければ弾けますが、そのうち左側鎖骨付近がぱんぱんになって指がもつれて動かなくなります。

そんな中、3月のポルッカでのライブが6月、9月、とずるずる延期が続き、無理に開催するよりも動画配信をしようということに。リアルタイムの生配信は、私がお客さんとして見た分でストレスなく視聴できたことがなく(画面や音声の途切れ、停止など)、自分が主催して対応できる自信がないなと思い、収録動画の公開という形にしました。

ハーディングフェーレ&スウェーデンの伝統音楽デュオライブの収録です。以前はfissというデュオ名で活動していましたが、ノルウェーとスウェーデンは隣同士の国でスカンジナビアと見れば似ていますが、言葉も文化も音楽も違います。以前はお互いが歩みよったアプローチでしたが、今はそれぞれの国の伝統はそのままにソリストとソリストが一緒に二つの文化を紹介するスタイルをとっています。

楽器の持ち変えやチューニングはカットしてMCも極端に減らし、45分とコンパクトに編集しました。編集といっても、演奏は一曲目からプログラム通りに無観客ライブということで撮影をしていきます。

実は選曲は3月に予定していた曲目は直前のリハーサルも済んでいました。ですが、何か月も経つと弾きたい曲が変わってしまうもので、新たに曲を選びリハーサルしました。テノールハルパも1曲だけ弾くことに。

撮影は当初ライブを予定していたポルッカにて。ドアを開けると木の香りがふわっとします。アトリエは天井も高く、とても心地よい空間。楽器は以前も試させてもらいましたが、壁側よりも中央付近でよく響くので撮影も真ん中あたりで。ハーディングフェーレは音量でニッケルハルパに負けることがありますが、どちらの楽器が本当に良く響いて、お客さんに生で聴いてもらえないのがもったいないくらいです。

いつもは音量バランスに気を使いながら演奏していましたが、自然な演奏になるよう今回はマイク収録で後で音量調整することに。「では1曲目から」…と弾いて、2人で顔を見合わせて苦笑いカメラに向かって演奏って、意外に緊張します。手に汗かきました。そうはいっても時間もないので、どんどん進みます。鎖骨付近が痛み始めると指もだんだん動かなくなる中、なんとか最後まで撮り終えました。(ちなみに、電子レンジでチンするジェルパッドがあれば痛みが和らぐのに、持ってくるのを忘れてしまいました)

さて、そこから編集作業。映像編集は初めてです。

固定カメラは悪くないものだったのですが、10年前のものなのでファイル形式が違い編集で画質が落ち、また、逆光や色飛びや2人が写っているかとか色んなチェックを1曲ずつしなかったので、あまり良い絵が撮れてませんでした。もう一つのカメラは今回購入した高いカメラですがかなりの手振れ。編集が初めてなのに素材が微妙とは…結構ツライ作業です。でも、頑張りました。オープニングだけ、ちょっとやってみたら面白かったので作ってみましたが、プロモーションビデオ風にしたかった訳ではありません… 映像や編集は、今回の失敗で学んだことも多く、これからの課題です。面白いなと思ったのは、カメラワークや編集で、あんなに撮影者や編集者は語れるんだなって実感したことです。ついでに自分の好みも分かりました(何も語らないこと)。ブログではこんなに語ってるのにね。撮影、またやりたいです。

さて、肝心の動画の紹介です。映像自体はあたたかい目で見ていただけたらと思います。最後の曲Femtolenのハーディングフェーレのステンマ(伴奏)が圧巻で、本人はそんなことないと控えめなのですが、低音も効いてとってもおすすめです。

収録ライブ(12曲、約45分)、vimeo動画サイトにて期間限定で公開(2020/11/22まで)、1600円にてパスワードと曲解説プログラムを販売しています。

パスワード販売: https://nyckelharpa.stores.jp/items/5f9562699a06e5305f41cf8d

ストアトップ: https://nyckelharpa.stores.jp

12曲中、3曲を切り出してYoutubeにアップしています。サンプル試聴としてどうぞ♪1曲目のSvängrumpaがオープニング付きです。

Svängrumpa  https://youtu.be/6t4yU5PqOtw

Halling-Jorån  https://youtu.be/sd3SgS4OStE

Polska efter Munkberg  https://youtu.be/sj6ASTEjgBU

そして、最後に一つ、別の話題なので次の記事で書きますが、弓の動きについてです。映像を編集している時に気づいたのですが、ニッケルハルパの弓の動き(ボーイング)が斜めに見えること。

ニッケルハルパはまっすぐ弾かないのか?と聞かれたことが今まで何度もあり、何を言ってるのかよく分からなかったんです。ブリッジに平行に、まっすぐ弾いています!!皆まっすぐ弾いているけど入り方が斜めなのです。それは次の記事で。

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オンラインあれこれの続き(楽譜集のID番号)

2020-07-06 23:31:52 | ポルスカについて
7月最初の水曜日。スウェーデン最大の伝統音楽の集まり、ビングシュー・ステンマの日ですが、1969年より続くこのイベントも今年初めてキャンセルとなりました。
 
さらに残念なことに、スウェーデンを代表する偉大な伝統音楽奏者、ペシュ・ハンスPers Hansが金曜に77歳で亡くなりました。お父さんのPers Erik、祖父のPers Olleと続く伝統音楽の家系で(ソーン金メダル、文化賞受賞歴)、70年代伝統音楽ブームを牽引した1人です。私が初めてスウェーデンに行った時、あまりに伝説的奏者だったので過去の亡くなった人だと思いこんでいまして(白黒写真しか見たことがなかった)。すると、目の前で本人を紹介され…「!!」とびっくりしたのでした。演奏も録音で聞いていたとおりの流麗さで、ダーラナの伝統美を隅々まで感じる演奏だったのを思い出します。時は流れ、次の世代に引き継がれる。分かっていても、悲しいですね。
PERS HANS OLSSON
 
さて、話を変えて、日本では6月、オンラインイベントが二つありました。
北欧のおうちでピクニック、約4時間半、一気に見てしまいました!
途中お客さんが来たりスマホやPCや場所を移動しながらですが、一人ずつが個性豊かで目が離せませんでした。
その前夜祭かのように東京北欧セッションがズームで開催。ズームを初めてダウンロードしてログインしたものの、夏至のディナーと被って見れませんでした。ごめんなさい!こちらも、ワークショップなど濃密なプログラムを組んでいましたね。
 
前回の続きです。
頸椎ヘルニアを指摘されてから姿勢を正して過ごしています。
背筋が反りすぎないよう、顎を上げすぎないよう…。3週目過ぎた頃が一番辛かったです
身も骨も、一夜干しのホッケになった気分でした。
 
さて、伝統曲のセッションを現地でする時、自分とメロディ、装飾、リズムに違いがあると、誰に習ったの?と聞かれます。楽譜もないので、教える人が違えば少しずつ違いが生まれ、これが伝統曲の豊かさにも通じます。
 
では、楽譜の曲はどうでしょう?皆同じように弾くと思いますか?
※ここでいう楽譜は、最近の人が楽譜に書いてネットにあげたものではなく、古い楽譜集で伝わった曲のことです。
 
そもそも楽譜の曲というのが特殊です。ブログで何度か書いたことがありますが、ここで簡単におさらいを。
---楽譜についてのおさらい---
口伝の伝統曲は楽譜がありませんでした。今も習う時には使いません。
1900年代に収集/出版された有名なSvenska Låtarスヴェンスカ・ロータル(スウェーデン曲集)という楽譜集がありますが、これは資料です。「それを見て弾いてね」というものではありません。
主に1600-1800年代、楽譜を書く知識のあった人がnotbok(ノートブック、楽譜集)という、自分用に曲を書き留めたものがあります。ほとんどが現代に伝わっていない曲で、作った曲、習った曲、街の流行曲もあり、作曲者にも触れていなかったり、いわば私的な覚書です。そうした古い楽譜集をのぞくことは、現代の伝統音楽奏者にとっては、「新曲」発見のツールでもある訳です。
 
そして、先ほどの「楽譜があれば皆同じように弾くのか?」の答えですが、「イエス」でもあり、「ノー」でもあります。
(私の個人的な意見ということを断っておきます)
古い楽譜集から曲を探した人は、楽譜から解釈をすることがあります。バロック的なアプローチだったり、楽譜に間違いがあったり、あきらかな簡略化の楽譜に音を足して…等々、理由はそれぞれ。そうやって譜面から自分のものにした曲を人に教える際は、伝統にのっとり楽譜を使いません。そして、その人のバージョンが広まるという訳です。楽譜集の掘り出し物調査は最近の流れなので、バージョン違いが生まれるほど年月も経っていません。ただ、楽譜の曲は分かりやすい曲が多いので、編曲され色んなアンサンブルに使われます。
このため、「楽譜集掘り起こし曲」の多くは、古い楽譜とはなんだか違う、でも誰もが同じバージョンを弾いている、アレンジしやすくアンサンブル向き、という「イエス」でもあり「ノー」でもあるということになりがちなのです。
 
さて、こうした古い楽譜集のうち、スウェーデンのvisarkivetが管理している分については、1曲ずつID番号を割り振っています。
以前は、直接行かないと見せてもらえませんでしたが、2000年代に入ってからデジタル保存され、今はネットで見れるようになりました(システム統合などで2019年以前のリンクは古くなり、あちこちのサイトでリンク切れになっているので注意)。
 
このID番号から見えるスウェーデン伝統音楽の話を書きたいと思います。
 
Sven Donatの楽譜集
この中の一曲を例に紹介したいと思います。
Sven Donat(1755-1815)は兵士で伍長になったフィドル奏者で、200曲以上ノートブックに書き留めました。
私の知らない、ある1曲が流行っていて、聞くと、Youtubeでマグヌス・ホルストレムが弾いていて人気になったようです。その動画を見ると、アドリブ的な部分も感じたので原曲の譜面がみたいなと思い、ネットで検索しました。folkwikiという自由投稿の楽譜サイトがヒットし、タイトルに「Polska efter Sven Donat (Ma5 42)」とあります。ノートブックのID番号が複数掲載、そして、「マグヌスの動画参照。ヨハン・ヘディンを通して有名」という一言が添えられています。ヨハン・ヘディンは、バロック音楽(バイオリン)にも精通したニッケルハルパ奏者です。最初にヨハンが広めたとしたら、独自の解釈をしてそうな気がします。
 
掲載されていた、ID番号はこちらです。同じ曲がこれだけの楽譜集(5冊)で見られるということは、古くからの人気曲だったのでしょうね。
 
Sven Donatと、以下4つが掲載されていました。楽譜集のIDを調べて、その名前も付け足しました。
Ma5:042, Sven Donat
Sö12:064, Malcolm Åhlander
Sm2:007, Lars Sundell "Lasse i Svarven"
Ma10:050 nr394,  Sam Wåhlberg
Ma7:025 nr.62, Andreas Dahlgren
 
それぞれの楽譜をネットで見ると、4つはCm(動画はGm)、メロディラインの印象も動画とは異なります。
唯一、Lars Sundell(1874-1923)はGmで、メロディが動画に似てると思うところも、違う箇所もあります。
時代でいえば、Lars Sundellが一番最近の人で、Sven Donat(1755-1815)、Sam Wåhlberg(1700年代)、Andreas Dahlgren(1758-1813)は同世代。だからこの3人の譜面はそっくりなのかも。(Malcolm不明)
動画のメロディを「Sven Donatのポルスカ」と呼ぶには、どの譜面とも違うし、どういう経緯だったのか…ぜひ知りたいところです。
感慨深いのは、当時の楽譜をこんなに簡単に見比べることができる時代になったことですね。
 
Ma、M、MMD、地名、SvL
Spelmäns böcker(フィドラーの本)の分類には3つあります。
Mはmelodibokメロディブック、aはavskrift原書からの写し(ただし、Maとあっても原書のことがある)、MMDは旧・音楽歴史博物館(現・パフォーミングアーツミュージアム)が所有していたダンスブックの曲集です。
それ以外では地方名の略語が24種類あります。は、Södermanland、DrはDalarnaなど。Svenska Låtarの楽譜集はこの膨大なコレクションをもとに出版されました。この楽譜集の曲に言及する場合、SvLという略語を使います。(SvL Skåne nr80とあれば、”Svenska Låtarのスコーネ地方の巻、80番”)
CDの曲解説で、こうしたID番号が掲載されていることが多いです。
 
アルファベットの後の数字
楽譜集ごとに割り当てた番号です。Mには1-189まで(189冊)あります。
コロンの後の3桁の数字はスキャンした写真の番号です。025は25番目の曲ではなく、25ページ目でもなく、スキャナー画像の42枚目です。
nr62のようにさらに番号が書いてある場合は、原書に書かれている曲番のことです。
 
検索はこちら
 
検索サイトの組織について
 
-FMK(Folkmusikkommissionen )
直訳するとフォークミュージック(伝統音楽)委員会、FMKが1908年にできました。
創始者は弁護士でフォークミュージシャンのニルス・アンデション(1864-1921)。最初のメンバーにはアンデシュ・ソーンもいます(著名な画家で、最初の伝統音楽の集まりを始めた人)。活動は、曲の収集や保存です。1910年代には地方ごと、奏者ごとにまとめられた楽譜集「Svenska Låtar」の出版に着手しましたが、1921年にニルスは亡くなりました。その後、残ったメンバーで毎年出版を続けたそうです。FMKのメンバーではなかったのですが、当時、ニルスの助手として活躍していたウロフ・アンデション(1884-1964)がその後、FMKの収集、編集業務を委託される形で活動を続けました。スキャナー画像の譜面でもウロフによる膨大な写しが見れます。1936年に、FMKのコレクションは、当時の音楽歴史博物館(後の音楽博物館、現・パフォーミングアーツミュージアム)に預けられ、引き続きウロフ・アンデションが作業を行いました。彼は、エストニアのスウェーデン語を話す地域の曲も調査し、本を出版しています。FMKのコレクションと、博物館のノートブック・コレクションと、合わせるとスウェーデンで一番大きなアーカイブとなりました。彼の死後1976年にFMKは解散、2003年よりVisarkivetがコレクションを管理しています。
 
-MusikverketとVisakivet
Musikverketは、スウェーデンの官庁の一つで音楽と劇場芸術を司り、パフォーミングアーツミュージアム(旧・音楽博物館)、Visarkivet、Capriceレコードなどもあります。
Visarkivetは、伝統音楽とジャズの収集/保存、研究、出版をする機関です。分かりにくいのですが、Visarkivetには、バラッドや子供の歌、録音資料など様々なコレクションがあり、FMKがかつて所有してた古い楽譜集のコレクションも含む、ということです。この関係が分からないと、サイトの中でMusikverket、ミュージアム、visarkivetのコレクションと、ぐるぐるさまよいがちです。

FMKが収集した曲
対象は、文化的、歴史的に保存する意義のある古い曲です。ウェブサイトの説明によると、1880年頃までを目安にしているそうです。アコーディオンの流行に伴い新しい音楽の時代になったのがその頃で、「ありとあらゆる奏者の全てのレパートリーを記録することを目的としていない」とのこと。ですが、1900年代に写しなど記録/編集されたものも多数あります。1930年代にプロシアやリガの曲を音楽歴史博物館のために写したもの(原本は世界大戦で消失)もあるそうです。
また、バラッドなどの膨大な物語歌は対象とせず、ほぼ全て器楽曲(羊飼いの歌や村の讃美歌など多少あります)、それもほとんどがフィドルの曲というのが特徴です。バラッドは、FMKではなく、Visarkivetのコレクションとしてあります。スウェーデンの伝統音楽は、歌をのぞいても現在10万曲あると言われ(収集により今も増加中)、これは他国と比べても膨大な数なのだそうです。FMKの現在のスキャンデータは3万ファイルとも4万5千ファイルとも記述がまちまちですが(まだスキャンされていないもの多数)、1イメージに複数の曲が書かれているので、合計でいうとかなりの曲数がネットで見れる状態です。
 
全ての楽譜集は所有していない
ただし、FMKと旧・音楽歴史博物館所有のコレクションがスウェーデンの伝統音楽の全てではありません。
例えば、よく聞く有名なEinar Övergaardの収集も、ブログでも書いたグスタフ・ブリドストレムの楽譜集も(ロシアで捕虜で過ごすうちに300曲書き留めた)、Himlens Polskaとよばれるあの名曲の書かれた楽譜集も別の組織が所有しています、
ヒムレンス・ポルスカは、フィンランドの曲とされていますが、スウェーデンのセルムランド出身、アドルフ・フレドリック・スターレの楽譜集の曲です。1806年、二十歳そこそこでフィンランドに留学し自分のノートブックを置き忘れて帰国してしまい、その2年後に亡くなりました。忘れ物を回収する人もいず、以降、現在まで200年もの間、フィンランドのシベリウスミュージアムに保存されています。
 
こうして書いていくと、スウェーデンでは自国の伝統音楽を守るために、国家予算を割き、国をあげて自国の文化を保存・継承する姿勢がすごいな、という印象があります。
ですが、実際には、強く訴え、働きかけ、組織を立ち上げたのは一般の人の力です。政府は、活動が軌道にのったなと気をゆるめるとすぐに予算削減まっしぐらです。私が知る、この10年、20年でも、様々なせめぎあいがあり、個人の活動家の熱意で成り立ってきたと感じます。
FMK創始者のニルス・アンデションの記事を読んでも、組織を作り、資金調達し運営をし、また資金調達してSvenska Låtarを出版し、一つずつ起業家精神で活動をしていたことが感じられます。
 
スウェーデンの伝統音楽の黄金時代を造った、偉大な伝統音楽奏者、Pers Hansの死亡記事ひとつ、文化ニュースにとりあげられないことに伝統音楽の愛好家は憤りを感じ、メディアへ働きかけをしていると聞きました。
私はこうして、聞いたこと、読んだことをここに書くだけしかしていません。スウェーデン人の行動力にはとても及ばないと情けなく思いながら、それでも一つでも誰かの記憶に残るストーリーを伝えていけたらと思います。
 
お知らせ
-数年前に書いた、浜松の楽器博物館の図録に寄せた個人的なエッセイ、とうとう出版となったようです。様々な楽器の奏者が書いたそれぞれのエッセイがおさめられています。
-3月にキャンセルとなった、アトリエ・ポルッカでのハーディングフェーレ&ニッケルハルパ、樫原聡子さんとのデュオライブ、秋開催の可能性を探っているところです。
興味のある方、もう少々お待ちください。
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オンラインあれこれ

2020-06-12 14:42:31 | 未分類

「実力の差は、金の差じゃないかー!」と本日の一言。
下品ですみません。

この度のコロナ禍で、図書館の本を常に40冊ほど借りていました。1人12冊、4人で48冊借りられます。
返却期限がきて、借りっぱなしで読んでいなかったな、とやっと開いた本があります。

「CDでわかる ヴァイオリンの名器と名曲」
内容は、名器について、名曲の解説、ヴァイオリニストの紹介と続き、最後に、ストラディバリウス、モダンバイオリンでガッダ作(おそらく500万クラス)、ヴィットリオ作(価格帯不明)、この三挺の聞き比べ4問が付いていました。演奏は漆原啓子さん。

結果、全問正解。そして本を閉じて、思わず叫んだのが冒頭のセリフです。

モダンバイオリンは平坦な音で、同じ人が弾いていると思えませんでした。
もし自分が頑張って500万だして楽器を買って、ある日、ストラディバリウス持っている人と同じステージに立つと想像して… 絶望的な気持ちになりました。


今日の話題はオンラインあれこれ。
・音楽のレッスン
・オンラインのコンサート
・古い楽譜集のID番号、楽譜のスキャン画像をオンラインで閲覧(長くなるのでこれは次回)

ところで、その前にニッケルハルパを演奏する方へ伝えたいお話しがあります。
対策をとらなければ頸椎ヘルニアになりますよ」ということです。

先日、肩と手が痛くてかかりつけの整形外科に行ったのですが、レントゲンを見ながら「首のここが潰れて中身が飛び出してトゲになっています」と言われました。「10年前のレントゲンではこの部分が潰れかけてましたが、今日のレントゲンで見るとその箇所が完全に潰れています。」と。え?10年前、異常はないと言ったのは、あなたですけど…?

昔、フィドルで首を痛め指がしびれ飲みこむのも辛く、いくつか整形外科や耳鼻咽喉科で見てもらいましたが、レントゲンやCT(MRIかも?)では異常が写らず、痛みは気のせい、ストレスでは?とまで言われました。西洋医学は、科学的根拠がなければ治療はできないという考えです。
今回も結局、「レントゲンでは神経を圧迫していないので、今ある痛みの原因は不明です。」とのこと。
病院では以前も今回も楽器の話をしているので、潰れかけていますよとか何か助言があれば改善できたかもしれないのに…今回も楽器を弾いて良いと言われましたが本当に?神経を圧迫する画が撮れたら対応が変わるのかも。

ストレートネックや頸椎ヘルニアの治し方をネットで探すと、タオルを首にかけて〇秒引っ張るといった方法が紹介されています(効果は不明です)。
つまり、2-3kgあるニッケルハルパのバンドを首にかけて、〇秒どころか何時間も演奏することは、骨の矯正以上の力が首や骨にかかるということです。

最近よく聞く、スマホ首やストレートネックのことは知っていましたが、セルフチェックでひっかからないので自分は違うと思っていました。
レントゲンでは、私の首はストレートどころか歯並びの悪い感じの骨がゴロゴロ、古い遺跡の石が散らばったらこんなかな、みたいに見えました。お医者さんからは、普段の姿勢が悪いのでしょうというコメントのみで、今後どうすべきという話はありませんでした。

スウェーデンでは楽器の演奏と体作りはセットで、言われた通り、ストレッチなど続けていました。
思い返すと、「首や腰を痛めることが多い」という漠然とした理解では、具体的な腰や頸椎のヘルニア(仕組みや予防含めて)へ考えが及んでいませんでした。背中のS字カーブが大事だと分かっていても、明確な理由や目的なければ、そのストレッチは本当の意味では機能しないと思います。

皆さんも、頸椎ヘルニア防止を具体的に意識したストレッチ、そして演奏していない時の日常生活での頭の位置や姿勢等、お気を付けください。
サックス奏者も頸椎ヘルニアの方が多いようで、ストラップ含め、参考になる情報が多そうです。
試して効果があったものは紹介していきたいと思います。

さて、オンラインの話題といいながら違う話ばかりで詐欺みたいですね!
レッスンやコンサートなど思うことをつらつらと書いていきます。

<音楽のオンラインレッスン>
ダニエル、トルビョン、ウロフなど、リアルタイムの個人レッスンや、レッスン動画の再生まで、オンラインレッスンの機会がどんどん広がっています。

良い面もありますが、弦楽器は特に音質面で課題があります。
音色や運弓、音圧など、見て学ぶ、聞いて学ぶ、そのための情報が動画ではごっそり抜け落ちます。
目の粗い写真を拡大して本を読むような感じで、無い情報は見えないし、聞こえない。
小さな音で弾けば「小さい」と視覚からも気づきますが「どのくらい小さいのか」、また講師が体を使って大きな音で演奏しても「どのくらい大きい音なのか」もよく分からないのです。
できる対策としては、できるだけ実際のサイズに近づけ(スマホよりタブレット、タブレットより大きなテレビ画面)、そして、できるだけ実際の音量まで上げることでしょうか。
※イヤホンで大音量は、耳を傷めるので気を付けてください。

ニッケルハルパの共鳴弦、バイオリンの倍音、豊かな響きも電子的な音に変換されれば聞こえません。
では、良いマイクだと、どうでしょう?
高価なマイクは「良い」音になりますが、言い換えると、フィルターを通したような音。
冒頭で紹介したバイオリンの名器の本でも、録音の音は「蒸留水のよう」と書かれていました。「本来の音色は、清流でノイズなど色んな音の成分が含まれている」と。目の前で聞くと、弦を弓がこする時のサーッという音にならない摩擦音も聞こえます。特にレッスンでは、そうした余計な情報があるからこそ、演奏のヒントにつながるのだと思います。
生音に近くなるような撮り方の工夫はあると思いますが、オンラインレッスンであれば、リアルタイムよりも「レッスン動画や録音の再生」のほうが音の劣化が少ないかもしれません。

音色が気にならない場合は、活用例は沢山!色々と学べます。
・レパートリーを増やす。
・リズム、指使い、伴奏など技術習得。
・コツ、ノウハウなどの質疑応答も出来て、海外の講師からも手軽に習える、等。

<オンラインのライブ>
レッスンとは違い、ライブは音質がまあまあでも途切れなければ楽しめますよね!
リアルタイム配信で世界中の人とその瞬間を共有できてる実感もあります。

ただ、私は細切れ時間しかないので、先日見たオンラインライブでは、「私は外出して家にいないと思って」「夜ご飯ができらた呼んで」「お風呂はいったら一声よろしく」と言い残して2階へ引きこもり。でも…外出よりも不評です。何回もやったら家庭内暴動が起きそうです。

次に見たのは、Dreamers circusのガーデン・ライブ。約2時間。午前中2時間ちゃんと予定を開けていたのに中断。続きをみれたのは、午後と夜です。
映画は途中で止めてもストーリーや世界観に引き戻す強い力があるけど、コンサートは中断したら、同じ感覚、同じ気分、同じ空気には中々戻れなません。

「気軽に、いつでも、スマホやPCで一人で」という楽しみ方は、私には合わないようです。

それと、演奏する側として気になることの一つに、収益面があります。
ライブ配信は、配信トラブルや個々の機器のクオリティ差を考慮して、金額を自由に決めて払ってもらう寄付や投げ銭制が多いようです。でも、払う側が金額を決める、パフォーマンスに値付けをするというのは、日本で一般になじむのかな?どうでしょう?普段からチップや金額自由の寄付に慣れていないせいか(日本は、ご祝儀でも妥当金額があり、寄付も一口いくら~が多いと思いません?)、チラホラ聞こえるのは「何円だと妥当か」「相手に名前と金額が分かるのか」「周囲がいくら払ったか分からないから不安」、という声です。

集金方法は色々ありますが、最近はPaypalを多く見ます。
paypal.me/○○というリンク先に行くと、金額を入力する画面になるシンプルな仕組みで、要はクレジットカード払いです。

さて、次回ブログの内容ですが、Folkmusikkommissionen(伝統音楽を収集する委員会)はご存知でしょうか?以前はこのFMKが集めた1700年代の楽譜を見るには出向かないと行けませんでしたが、現在ではオンラインで閲覧できるようになっています。また楽譜にはIDがつけられていて、CD解説でも見かけます。近いうちに、この話の続きを書きたいと思います。


お知らせ
北欧の音楽ピクニック2020に参加しています。

過去3回行われ大人気のイベント、オンラインで復活です。演奏の配信は6/21ですが、夏至のコラムなどコンテンツも充実。

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Wesslén ヴェスレン

2020-03-25 17:20:20 | ニッケルハルパ

それにしても最近は、どの角を曲がっても回遊魚のように自転車でぐるぐるしている子ども達に遭遇します。ぐるぐる、ぐるぐる、人の本能なんでしょうか。以前はゴーストタウンのようでしたが休校になって今は住宅地に人の気配がします。

こうして家に居て、ずっとフィンランドのオーガニックティーを飲んでいます。紅茶、緑茶、ブレンドティー…。なぜかと言うと、ネットショップ販売用に仕入れたのですが、システムが色々と変わってしまい、対応せずにいると毎月の注文がゼロになってしまいました(結局は、追加オプションに加入して払え、ということです)。そして、全て賞味期限切れになったので自分で飲んでいるのですが、良いのか、悪いのか、すごく美味しくって。もう他の紅茶は飲めそうにありません。リンゴンベリーの実と緑茶、オスロという名のスモーキーなコクのあるストレートティ、シナモンブレンド等々。(ストレートティで言うと、和紅茶の「紅ふうき茶」と似ていると思います。これも結構すきです。)

コーヒーも最近は、2つのお店のものばかり。一つは、富雄でお世話になっているバイオリン工房の方のおススメで、大和西大寺のCAUDA。スウェーデンから帰ってきて一度もおいしいコーヒーを飲んだことがないと思っていました(一度お土産でもらったノルウェーコーヒーはおいしかったです)。今では、日本で、このお店よりおいしいコーヒーは飲んだことがありません。粉で買ってきてプレスで飲んでいます。もう一つは、オアシス珈琲。コーヒー豆を水洗いしていて(汚れや薄皮まで取る)、香り、コク、ともに少し落ちるのですが、スッキリ、あっさりして、飲みやすいのです。変な味がしない、というのでしょうか。実家がずっと昔からこのコーヒーなので、私には飲みなれた普段の味という感じです。

時間もあってのんびり、お茶とコーヒーの話を書ていますが、今日は、Wesslén の話をしたいと思います。コーヒー片手にゆっくり読んでくださいね。

マッツ・ヴェスレン Matts Wesslén 1812-1878

Wesslénは、ヴェスレンと読みます。スウェーデン語のWとVは区別がないと聞きます。今でこそ外来語としてWを使う時は「ウ」のような発音になりますが、古い地名や人名では(例えば、ヴァ―サ王はWasa/Vasa)、WはVの音です。入り江を意味する「vik ヴィーク」も、古い地名の固有名詞では今も「wik」と表記されています。

ヴェスレンに話を戻すと、スウェーデン、ウップランド地方のオルガン奏者でクロッカレでした(日本語に訳せないのですが、街の、つまり教会の時計台の管理者です)。クロッカレと呼ばれる職業の人は大抵、教会の音楽を担当しておりオルガンを弾いたり聖歌を指導したりもします。ヴェスレンもそうでした。彼の住む町から25kmほど離れたところに、伝説的なニッケルハルパ奏者ビス・カレ(Byss-calle 1783-1847)が住んでいました。(このビス・カレもクロッカレにちなんだ曲、ベルタワー(時計台)のワルツなどがありますね。)ヴェスレンは地域の伝統音楽に興味があり、ビス・カレの評判ももちろん知っていました。ビス・カレやウップランド地方の伝統曲を採譜し、自身もシルベルバスハルパ(楽器の説明については以前の記事)を弾いていました。

残念ながら最初に書きため出版用に送った楽譜は火事で消失。その後、記憶を頼りに楽譜を書きなおします。今度は無事に、A.G.Rosenberg(ローセンベリ)の420曲の楽譜集の中に94曲が収められ1879年、出版されました。この楽譜集は、ローセンベリがピアノ曲としてアレンジしたもので、実はこのローセンベリの楽譜はネットでダウンロードできます。

ローセンベリのアレンジが、どれだけヴェスレンの書いたメロディに忠実か、今となっては誰にも分かりません。また、ヴェスレンのどの曲がビス・カレの曲で、どれが地域の作曲者不詳の伝統曲なのかも分かりません。ですが、ビス・カレが弾いていた楽器のチューニングや、ヴェスレンの弾くシルベルバスハルパのチューニング、他から伝わったビス・カレの曲などから、この曲はビス・カレらしい曲だなとか、ヴェスレンが弾くシルベルバスハルパ向きの曲だなとか、ある程度、感じとれる部分があります。

さて、コントラバスハルパやシルベルバスハルパといったニッケルハルパの古いモデルですが、今でも演奏されています。ただ、楽器の構造上ノイズが多く、人によって粗い、うるさい、と感じるかもしれません。ですが、最近は、音楽教育の基礎を積んでベテランへと育つミュージシャンが出てくる中で、楽器を厳密に自身の手で調整し、端正に演奏するミュージシャンが出てきました。粗い演奏ももちろん面白いですが、ヴェスレンのことを知れば、こうした端正な演奏をしていた人も当時いたはずと思えます。実際に、ヴェスレンの弾くシルベルバスハルパは、とても豊かな響きで巧みに演奏したと言われています。

私のお気に入りCDの紹介です。

Markus Svenssonマルクス・スヴェンソン 2020年リリースのCD「Wesslén」

全曲、シルベルバスハルパとコントラバスハルパによるソロ演奏です。アンサンブルやアレンジなどなく玄人向けかも。ですが、歴史的に掘り下げている、弦楽器の名手、最高にダンサブル、という3拍子揃った名盤中の名盤で、1曲終わるごとに思わず拍手してしまいました。マルクスは有名なミュージシャンなのに元々ネットでの露出がほとんどなく、CDと違う曲の動画を貼ると誤解を招きそうなのですが、どんな人なのか、マルクスのオリジナル曲の演奏のYoutubeリンクをここに貼っておきます。

マルクスは、実は私の好きなニッケルハルパ奏者5本の指どころか、3本の指くらいに入るお気に入りミュージシャンです。本人から直後買いましたが、他に買う方法は今のところなさそうです。(送料が4枚まで同じと言われて複数枚買って知り合いと分けたのですが、欲しいという人が何人かいれば、また送ってもらいます)

他にも、ヴェスレンの曲を収録したCDは色々とあり、ヴェーセンもそうです。

シルベルバスハルパ奏者でニッケルハルパの制作者Thor Pleijelも、ヴェスレンの曲を含むCDを出しました。

Höstpolskan

ちなみに動画右手のニルスは実は日本に縁があり、よく来日しているんですよ。とはいえ、日本で会ったことはなく来てたよと後で聞くばかりで残念…。

Thorは楽器制作者でもあり、横浜のダルシクラフトが彼の楽器を販売しています。私が個人レッスンをしている方が2019年トールの楽器を購入したので触らせてもらいました。

ほんの少し小さめのボディで軽く扱いやすいです。メロディ弦はガツンとしていない柔らかい音で、共鳴弦がよく鳴るので、全体が柔らかく包まれるような音色です。大きな派手な音ではなくソフトな印象で、ヴェスレンをはじめ1700-1800年代の端正な曲が好みの方に特に合うと思います。写真右が私の楽器、左がThor制作のもの。表面の装飾は普通のニッケルハルパにはなく、トールのオリジナルです。聞くと、今年もThorの楽器を入荷予定だとか。普通はオーダーを取ってから1年ほどかけて制作する楽器なのですが、ダルシクラフトに連絡したら在庫がある、なんてこともあるかもしれません。

個人的にも、ヴェスレン・ブームが来ていて、もっと落ち着いて品よく弾こうと思っているのですが、先日、笛のヨーランとやすこさんのウェディング・パーティで、1曲ダンスでスウェーデンの方と一緒に弾かせていただきました。後で動画をみたら…やっぱり落ち着きがなかった。目指せ、上品レディ!

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ニッケルハルパの歴史と種類、その2

2020-01-18 18:54:23 | ニッケルハルパ

先日イギリスから、4/26のワールド・ニッケルハルパ・デーの案内動画を送ってっと言われて、急遽、撮影。和室でニッケルハルパ持って正座して…なんか絵的に変!?でも、なぜか日本的にしないといけない気がしてしまいます「4/26にニッケルハルパの写真投稿やセッションなど何かやってSNSにあげようね(ハッシュタグはWorld Nyckelharpa Day)」というものです。今や世界に広がった愛好家、世界のどこにどんな仲間が?皆さんもぜひ参加してみてください。

さて、その1では、大まかなニッケルハルパの歴史についてでした。今回は、ニッケルハルパの種類についてです。(ニッケルハルパは、木の鍵盤があり、ギターのように構え、バイオリンのような弓で弾く楽器です。現在はスウェーデンの伝統楽器とされています。)

●Enkelharpa エンケルハルパ、Mixturharpa ミクストゥールハルパ、Gammelharpa ガンメルハルパ

enkelというのは、英語のsimple、簡単なという意味です。メロディ弦1本、鍵盤が一列というシンプルな構造のハルパです。ミクストゥールは、話が難しくなるので省略します。ガンメルハルパのgammelは古いという意味で、古楽器の総称のこともあれば、通常は、後で出てくるコントラバスハルパとシルベルバスハルパを指します。

●Moraharpa ムーラハルパ

1680年頃スウェーデンのダーラナ地方で作られました。どういった曲が演奏されたか、チューニング等、何も伝わっていないので地域に根差した伝統楽器ではないと言われています。ドイツの本を見て作った試作レプリカだという説が有力です。メロディ弦1本、ドローン弦2本、共鳴弦はありません。見た目と音色がユニークでファンも多く、演奏弦や共鳴弦を増やしたモデルが最近作られています。ムーラハルパ奏者は、Niklas Roswall、Anders Norudde、Daniel Petterssonなどが有名です。この3人が演奏するYoutube動画を挙げておきます。

●Kontrabasharpa コントラバスハルパ 

スウェーデン、ウップランド地方の伝統楽器はここから始まります(厳密には違いますが、プロトタイプに一貫性があります)。「ニッケルハルパの女王」とも呼ばれています。1600年代後半以降、100年にわたりスウェーデンのウップランド地方で演奏され、奏者や音楽、制作方法など、現在に受け継がれてきました。今でもたくさん当時の楽器が残っています。写真は私のコントラバスハルパで当時のものではありません。日本語の資料がほとんどないため、もう少し詳しく紹介していきたいと思います。

<コントラバスという名前>

紛らわしい名前ですが、低音の楽器ではありません。コントラというのは、「対、ペア、対称」という意味です。フォークダンス関係者なら、コントラ・ダンスと言えば、ぴんとくると思います。スクエアダンスともいいますが、こちら側と、あちら側、対称に向き合って踊るダンスのことです。kontra-bas、英語でcontra-droneというこの名前は、ドローン弦を真ん中に、その両側にメロディ弦が1本ずつあるためです。どちら側のメロディ弦を弾いても、真ん中のドローン弦を一緒に弾きます。

<特徴や仕組み>

サウンドホールはオーバル(楕円)で顔のようにも見えます。バイオリンは渦巻側を上に吊るしますが、スウェーデンのニッケルハルパはテールピース側を上に吊るすので、ますます顔に見えてきます。

鍵盤は一列のみ、メロディ弦は2本で、共鳴弦があり、どんな調も弾けるクロマチック楽器です。鍵盤をおさえる木片を英語でタンジェント(スウェーデン語löv)といい、一つの鍵盤に弦をおさえるタンジェントが2つあります。例えば、鍵盤を押さえて「ソ」の音を弾き、そのまま、もう一本の弦を弾くと「レ」の音がする、という仕組みです。

ウップランド地方の伝統的な制作方法は、スプルースの一本木を半分にし、くりぬいて作ります。年輪が美しですね。太い木はなかなか取れないので細く小ぶりで、トップの板に膨らみがあるのが特徴です。鍵盤にはカバーがあり、古くは絹弦を使っていたので弦を保護するためとも言われていますが、本当のところは不明です。木のそのままの美しさ、ナイフを使った工芸美、スウェーデンのニッケルハルパの美意識は、このコントラバスハルパから受け継がれたのだと思われます。バイオリンのようなピカピカした仕上がりはあまり好まれません。

<音色と共鳴弦>

共鳴弦は、インドからイギリスにもたらされヨーロッパで流行し、このコントラバスハルパにもつけられました。ドローン弦を常に鳴らしますが、同じドローン楽器のバグパイプやハーディガーディのような大きな音はでません。共鳴弦の余韻と木のぬくもりが感じられる音色です。また、当時、活躍していたコントラバス奏者Byss-Calleの曲は端正な曲が多いです。現代のコントラバスハルパ奏者は、Daniel Pettersson、Markus Svenssonなど、他にも沢山います。粗い音色が好みの方には、ロックなアタックで弾くVasenのOlov Johanssonがおすすめ。JosefinaとDavidの演奏も勢いがありフレッシュな演奏です。Polska efter Jeppsson

<楽器の購入>

古楽器(レプリカですが)の部類に入り、制作方法が受け継がれているとはいえ、愛好家も一定数いるとはいえ、やはり需要が極端に少ないので作り慣れている人は少ないです。以前はHasse Gille(1931-2012)などが作っていましたが亡くなってしまいました。今の職人さんは、自分が作り慣れたモダンタイプを応用していたり、相談すれば作ってくれるという感じでしょうか。まずはモダンタイプの職人さんに、作ってくれるか尋ねる、もしくは誰か紹介してもらうのが良いと思います。私の場合、モダンタイプの応用で作っていた職人さんが、伝統的な制作方法を経験したいから職人2人の共作ではどうか、と言ってくれたのでお願いしました。このエピソードは長くなるので、その3番外編として書くかもしれません。

●Silverbasharpa シルベルバスハルパと、kontrabasharpa med dubbellekコントラバスハルパ・メド・ドゥベルレーク

舌を噛むような名前が続きますが、この2つは1800年代以降人気のあった楽器です。コントラバスハルパがウップランド地方全体で見られたのに対して、時代を経てこの2種類からは、徐々にウップランド地方北部の狭いエリアに集中していきました。

<silverbasharpa シルベルバスハルパ>

1830年頃からみられます。Silver-bas、銀のドローン(銀巻ガット弦)のハルパという意味です。伝統の中心地の名前から「Tierps harpa ティエルプ・ハルパ」とも言います。新たな変更は、メロディ弦の間に合ったドローン弦が端へ移動しもう一本追加(CとGの2本)、それによりメロディ弦2本(CとA)が隣同士に並びます。また鍵盤が一列増え、初の2段構造となります。和音が弾けるようになり、ソロ楽器として豊かな響きになりましたが、Cメジャーの曲しか弾けなくなりました。コントラバスハルパのような鍵盤も残り、ハイブリッド型の鍵盤ともいえます(そうでないものあります)。ここでは、Thor Pleijelの演奏を紹介しておきます。彼の演奏は丁寧で味があります。また、腕の良い楽器職人でもあり日本でもダルシクラフトで入手可能で、その話はまた次回に。演奏は1:30くらいから。 Thor Pleijel Riksspelman 2015 på silverbasharpa

<kontrabasharpa med dubbellek コントラバスハルパ・メド・ドゥベルレーク>

1860年後半以降見られる楽器です。シルベルバスハルパからの発展型ではなく、並行して存在していました。伝統の中心の村の名前をとって「Österbyharpa オステルビ・ハルパ」とも言います。これは、シルベルバスハルパでいうドローン弦(G)がメロディ弦になり、メロディが弦3本へと増えたものです。鍵盤は2段ハイブリッド型で特定の調しか弾けません(C、F、Gメジャ―)。興味深いのは、メロディ弦の並びが今と同じ、G-C-Aとなったことです。

これらの楽器は1930-40年代までよく演奏されていた楽器です。クロマチックではないので、次世代モデルへ移行する橋渡しのような印象があるかもしれませんが、豊かな和音、素朴で力強く、明るい農村の曲というのは今でも多くの人を魅了します。現在のニッケルハルパでも、伝統的な奏法、ニッケルハルパらしい曲という時は、この時代の奏法と曲を指します。

●現代のニッケルハルパ

現在のニッケルハルパはクロマチックで、メロディ弦3本、鍵盤3段、ドローン弦1本、そして共鳴弦12本、全部で弦は16本あります。鍵盤一つに対し音も一つ、分かりやすい構造になりました。前のモデルと比較して、クロマチックとか、モダンタイプといいますが、単に「ニッケルハルパ」と言えば現在のモデルを指します。

<現在のモデルの誕生と変遷>

1900年代に入って、代々、伝統音楽奏者の家系だったアウグスト・ボーリンがストックホルムの野外博物館スカンセンでの演奏を依頼されました。1929年の夏のことです。すると、クロマチックでないシルベルバスハルパでは他の地域のミュージシャンと一緒に弾けないという経験をするのです。この経験から、クロマチック楽器に改造する着想を得たと言われています。ですが、実際に誰が3段構造の鍵盤にしたかは分かっていません。当初、改造されてもボディは、まだシルベルバスハルパのように丸みを帯びていました。後に、エリック・サルストレムがバイオリンのストラディバリウスをヒントにトップのカーブをよりフラットにする等々、手を加えていきました。演奏活動、楽器制作など普及に貢献し今ではエリックの名前を冠したニッケルハルパの学校があります。白黒の動画でも尚新鮮な、本人の演奏をアップしておきます。 Trollrikepolska av o med Eric Sahlström

伝統的な、木をくりぬいて作る制作方法は大変な作業で、今では多くの人がより簡単に作れるように横板、裏板、表板それぞれ作って接着し、表板のカーブも曲げて作るようになりました(職人による秘密の技を伝授というよりも、現実的で普及しやすくオープンで参加型というスウェーデンらしいマインドを感じます)。シルベルバスハルパ後期(1800年代の終わり)には、スプルース以外の色んな木が使われていましたが、やはりコントラバスハルパのように、全てスプルースのボディのほうが音色が良い、大きくなっていったボディもコントラバスハルパのようにやや小ぶりのほうが音色が良い、といったように、原点へと戻りつつ新しい形へと変わってきました。

●今も生み出される新しいニッケルハルパ

民俗楽器の面白さでもありますが、こうしたい、こうあってほしい、そんな望みに合わせてすぐに作り変えてしまいます。ここでは、ある程度、認知されたもののみ紹介します。

<Altnyckelharpa アルトニッケルハルパ、Oktavharpa オクターブハルパ>

通常タイプはソプラノ、アルトはヴィオラの音域です。オクターブハルパは1オクターブ低い楽器です。アンサンブルの要望から90年代以降に作られました。構造は同じでサイズが大きくなったものです。ニッケルハルパ・オーケストラNyckelharporkesternのByss-Calleというアルバムでどちらの楽器も演奏されています。

<ヨハン・ヘディン考案のTenorharpa テノールハルパ>

Johan Hedinが考案し、バイオリン職人のPeder Källmanが作りました。オクターブハルパと同じ音域なので混乱してしまいますが、ヨハンヘディン考案モデルのこと、とすると分かりやすいです。オクターブ低く、メロディ弦4本(バイオリン・チューニング)、鍵盤は4段、ドローン弦なし、微分音の鍵盤付き。私も違う職人ですが、Olle Plahnに作ってもらいました。テノールハルパはオクターブハルパよりボディが少し小さく扱いやすいです。Pelle Björnlert & Johan Hedin - Polska från Östra Ryd (live, 2006)

<多様なハルパ、4弦4段のニッケルハルパ、elharpa エレキ・ニッケルハルパなど>

ニッケルハルパの分類では、よく最後に、メロディ弦4本に鍵盤4段のタイプが掲載され、まるでこれが最新のモデルだと言うような印象を受けます。ですが、今も昔もそんなに盛り上がりをみせていませんし、様々なタイプの一つという位置づけに思えます。また、エレキのニッケルハルパという面白い楽器も作られました。その他、中世に描かれた楽器の復元モデル、リュートニッケルハルパ、色んなニッケルハルパが生み出されてきましたが、定着するのか、消えていくのか、ニッケルハルパの将来が楽しみです。

ニッケルハルパに限らずスウェーデンの伝統音楽は、古くは男性奏者ばかりでした。昔のスウェーデンでは、女性は楽器を弾くものではないと言われていたそうです。今では、伝統音楽のジャンルにとらわれず、現代の音楽シーンで活躍する奏者は、国籍、性別問わずたくさんいます。最後に、エネルギッシュな性奏者、エミリア・アンペルを紹介して終わりたいと思います。Emilia Amper - Spelpuma LIVE Nationaldagen Skansen 2015


お知らせ

・2020年6月にKaunanが来日、全国ツアーします。ここで紹介したコントラバスハルパをはじめ、ハーディガーディやマンドーラなどを駆使し、中世、バイキング、神話、色んな古いものをぎゅっとつめこんだ面白い多国籍バンドです。古(いにしえ)の響きに魅かれる方、なんだか面白そうと思った方、この機会をお見逃しなく!Kaunan来日情報はこちら。

・ノルウェーのハーディングフェーレ奏者、樫原聡子さんとライブします。ニッケルハルパとハーディングフェーレ、それぞれソロを中心にデュオ演奏も織り交ぜ。終演後にお茶の用意がありますので、ほっこりして帰ってただけたらと思います。私のコントラバスハルパ、まだ調整中ですが調子が良ければ持っていくかもしれません。

3/7(土)14:00open, 14:30start、予約2500円、当日3000円、木のぬくもりのあるアトリエ・風のポルッカにて(伊丹市)※下記の画像をクリックすると大きく表示されます。

※3/7は中止(開催時期をみて延期)とさせていただきます。

 

 

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