スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

5月演奏

2023-05-13 21:27:49 | お知らせ

5月は演奏が続きます。イベントは2つですが、私の演奏準備としては3つです。1つが恒例のハレステンマ(後日リンク切れになるかも)。2つ目、3つ目が、5月最終週にある阪急北欧フェアでのミニコンサートとダンスの伴奏。

1つ目の松阪のハレステンマは、5/20(土)開催のスウェーデンスタイルの参加型音楽イベント。去年はハルステンマ、その前はホクモリ(北欧の森音楽会)という名前でした。屋外の緑いっぱいのスペースで本当にスウェーデンのステンマ(伝統音楽のイベント)のような、音楽やダンス、セッションなど楽しめるイベントです。フードスタンドも出ていたり、毎年私自身、内容盛りだくさんで楽しく参加しています。今年はソロで1,2曲弾いてからダンサーに入ってもらいコラボ予定。天気が心配ですが、雨天は屋内になります。

もう一つのイベント、大阪の阪急北欧フェアは、コロナ禍の数年は音楽イベントを中止していたため、久々に演奏が入ることに。ダンサーはスウェーデンから来日の4人。ダンスの伴奏は、私とリリカさんでダーラナ地方の曲を中心に演奏予定。ミニコンサートのほうは、ハーディングフェーレhardingfeleの樫原聡子さんと。ダンス、コンサート、それぞれ土日に2回ずつ、計4回です。お楽しみに

私の準備としては3つと最初に書きましたが、全て曲が違うので、25~30曲くらい同時進行で準備中 かなりいっぱいいっぱいです。

「同じ曲が重なるようにすればいいのに」と以前からよく言われるのですが、本当にいつも選曲の仕方が非効率的で… 今回は曲が被るようにしないとヤバい!...と思ったものの、どうしても無理でした。ただの1曲も被りません!それぞれ、演奏目的が違う、相手が違う、という理由でこうなってしまいました。半分の15曲くらいは私がステンマ(伴奏)に回るので、そうするとさらにステンマを考えたり、内容をブラッシュアップして仕上げていくので弾く回数は増える一方。ソロも1曲くらいかなと思っていたらスケジュールの都合で増えそう。ソロは細かいチェックが必要なんですよね(いつも弾く定番曲がない、というのがそもそも非効率)。

30曲を一通り通して弾くと、ぐったり。「もう無理~」状態 ニッケルハルパは左の指から首にかけて痛みが走りやすく、ホットパックで温めながらの練習です。非効率な自分を猛省しながらもクオリティ上げていきます!


不均等なリズムのポルスカ、ダンス伴奏の仕方を考える

さて、ダンスの伴奏も不慣れながら何度も経験するうちに、なんとなく(少しだけ)見えてきた部分があり、ちょっと嬉しいです 割と自信を持って弾けるダンスもあるのですが、苦手意識のあるダンスもあって。Orsa, Rättvik, Boda(ダーラナ地方のウッシャ、レトヴィック、ボーダ)のような、自分が踊ったことがなく、不均等なリズムと言われるポルスカは、どう弾いたら正解なのか分からずモヤモヤしていたんです。

「演奏では不均等なリズムと習うだろうけど、それでは踊れない。ダンスでは均等な拍で弾いてほしい。」とよく言われるので、そこがイマイチ分からないんですよね。

「こんな風にと習ったのになぜ?」と。でも「均等に」と何度も言われるうちに気づきました!Youtubeのおかげでもありますが、ダンスの参考動画をLiricaさんに送ろうとしてテンポを測ったりしている時に気づきました。不均等なリズムでも本人とパートナー、2人のうちどちらかの足が着地しているんですね。今までは、自分が女性なので女性側の足にばかり注目していました。確かに2人ともの足(ステップ)を足せば、各拍で足が踏めるはず。

そうは言っても、「それぞれの拍が均等ならメトロノームを鳴らしながら弾けるか?」というとそんなことないのです。「各拍で足が踏める=拍が均等」というイメージで弾くと確かに上手くいきます。でも、女性側、男性側はそれぞれ、やはり遠心力のかかる回転をしているんです。(そして、円回転の速度は一定ではない。)2人のステップを足した時にリズムが均等に「思える」だけじゃないかと思います。ダンスと合わせるリハの時に試してみたところ、今回はNGがでませんでした。

「直線状に均等にリズムの点をうっていく」のではなく、「速度が一定ではない円運動に均等になるように点をうつ」イメージ。これは、私の意見ですが、リズムを刻んだり、はじいたりする楽器では表現が少し難しく、弓でこする楽器では遠心力を表現しやすいのだと思います。(と言いつつ、Mattias Perezのふわっとしたギターはその表現ができている気がします。)

しかも、ダンサーはメロディを聞いているんだなと思ったのが、ダンス動画でテンポを測っていると、曲のある部分のフレーズでは間延びして、ある部分では少し早くなったりしていました。でも、ダンサーは踊りにくそうな様子はなくて。そこがメトロノームのようにリズムを刻むと踊りにくくなるもう一つの理由かなと思いました。曲のメロディに合わせてダンスの回転を合わせているのだと思います。

それでは、なぜ演奏ではリズムがもっと不均等になるのか?

まだもう少し考えないと答えがでそうにありません。リズムを強調しているのか、メロディの美しさやフレーズのほうを強調しているのか。ただ、一つ言えることは、地方や奏者の型というものがあるということです。

今は、もしかしてコレ!?と思った段階なので、もっと経験して、よりダンサーをのせるにはどうしたらいいか?というコツもつかみたいなと思います。

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日本を代表するカンテレ奏者

2023-05-10 17:39:50 | 未分類

日本を代表するフィンランドのカンテレ奏者、あらひろこさんがお亡くなりになり、ショックで言葉もありません...。

90年代から活躍していたそうですが、私があらさんの存在を知ったのはスウェーデンから帰国後。「あらさんのように集客できるなら」ということを方々で聞き、どんなすごい人なんだろう?っと思いネットで調べたのが最初。カンテレは音も小さく控えめで派手さがあまりない楽器。どうやったらそんなに集客できるんだろう?と不思議に思ったのを覚えています。同時に、あらさんと共演した方からは「それはそれはとてもお美しい方で」と聞いていました。「所作や立ち振る舞い、話し方、演奏、全てが美しい」のだと。

段々と分かってきたのは、あらさんはカンテレを通して自分自信を表現をしていて、そして常に自分らしくあり、その上品で優しい人柄が音の一粒一粒にあらわれてファンや共演する人を魅了していたのだと。

その後、SNSでつながってからは気軽にコメントをいただいて、会ったことがあるかのような距離感を感じていました。実際にお会いしたのは三田の音楽祭と去年の11月。個人的にお話がちゃんとできたのは去年1度きりなのに、ずっと前から知っているような雰囲気をまとった方でした。最初に聞いていた「所作も何もかもが美しい方」もその通り。あの時は、10年以上ぶりに再会したSunnivaとはしゃいでしまいましたが、次の機会にあらさんとゆっくりお話ししたいなと思っていたのに。

日本の北欧音楽の第一人者でもあり、この音楽に関わる方や、私よりもっと濃いお付き合いをされていた方は、皆さん一様に大きな穴があいた気持ちになっていると思います。

小さいころは身内が亡くなると、お葬式をして、法事で集まっては故人を偲んで少しずつ少しずつ残された家族と心を整理をつけて、そうして一歩ずつ進んでいました。

大きくなり、親友を亡くしたり、こうした身内じゃない方が亡くなると、ご家族とはお付き合いがないので、法事などで故人を偲んだり集まる場もなく、心の整理を一人でつけないといけなくなってしまいました。残された家族に伝えることができませんが、すぐに前を向いて気持ちを切り替えることもできないし、ふと手をとめると思い出します。このブログの性質上、宣伝をしたり、違う話題を書いたりしますが、本当は次々と発信する記事のように心は切り替えられません。

今はただ、ずっと忘れない、と言うことしかできそうにありません。

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