スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

スウェーデンの伝統音楽は明るい?暗い?

2023-09-27 16:24:00 | ニッケルハルパ

やっと!3か月ぶりに予定のない日がやってきました(朝と夕方以降は予定ありますが、日中フリー!)そういう日に限って眠くなってきて...いやいや、寝ると一瞬で夕方になるので耐えます!

9月に、LUFTのコンサートのゲスト出演を予定していてお知らせせねばと思っているうちに、都合により延期となってしまいました。3月頃の予定です。お楽しみに!

さて先日、小学校の音楽クラブでニッケルハルパを紹介しました。正課クラブなので授業の1時間枠。「3曲くらいで終わってもいいし、1時間やってもいいしお任せします」とのこと。私にとって小学生相手は初めて。何をするかちょっと悩みました。楽器紹介はいつもいつもやっているものの、「興味をもって聞きにきた大人向け」がほとんどです。特に興味があるかもわからない小学生向け...一人だとソロ演奏をしてもパッとしないし悩みます。

悩みながら、いくつかピックアップしてみました。(楽器紹介の機会がある方は参考にどうぞ)

・スウェーデンの紹介動画(地図や風景、ニッケルハルパの学校、楽器制作の様子やごはん等)

・口伝の村の曲とは?ダンス曲とは?そして、歌の曲や羊飼いの曲など。

・代表的な曲や、昔話がセットになった曲の演奏

・明るい曲か、暗い曲か分からない不思議メロディの紹介

・伝統音楽のドローン・ミュージックとは?

・ロングダンスを踊ってみる!

挙げるといっぱいですねでも、どれも捨てるにはおしい。

結局、整理してこうしました。

 0.1曲聞いてもらう(Dansa flickor)

 1.動画でスウェーデンの紹介

 2.代表的な曲、昔話がセットになった曲の演奏(Byss-Calleなど)

 3.口伝で村人が弾く説明。ダンスの紹介(回転するポルスカと、歩くメヌエット)。実際に私が伴奏した時のダンスの動画を見せて、ダンスをイメージして弾く場合と、ダンスをイメージせず楽譜通りを意識した弾き方を聞いてもらう。

 4.伝統音楽によくあるドローン・ミュージックとは?(歌で紹介)「私がメロディを弾くので、皆はドローンを弾いてみよう!」(Näs Ingars polska)

(5.時間があれば、ロングダンス)※結局、時間がなくて4の「みんなで~」で終わりました。

当日。いちばん最初に「スウェーデンってどこにあるか知ってる人~?」 →「…。」ゼロ!はじめてのゼロです(予想はしてた)この白紙状態の子どもたちに初めて紹介する人と思うと、ちゃんと魅力が伝えられるといいな~と思いながら進めました。小学校高学年はお行儀が良すぎて反応があまり分かりませんでした。楽しんでくれたらいいのですが。終わった後、校長室に呼ばれ、家に帰って「人生初の校長室~」と言うと、「友だち、3回くらい呼ばれてんで。親も一緒に。」あーいや、それは違う用事じゃない!?

北欧の伝統曲、明るいのか、暗いのか問題

今回、小学生には難しいかなと思って省いたのですが「明るい曲か、暗い曲か分からない不思議メロディの紹介」というもの。スウェーデンの伝統曲の特徴をよく表しています。曲がdur(メジャー)から途中でmoll(マイナー)に変わる分かりやすいものもあれば、メロディの中でメジャーとマイナーが入り混じった曲も多いです。はたまた、dorisk(ドリアン・スケール)、myxolydisk(ミクソリディアン・スケール)などメジャーでもマイナーでもない「モード」の話もあります。この世は明るい音楽と暗い音楽だけでできている訳じゃないって伝えたくて「不思議系のHallingを聞いてもらって『明るいと思う?暗いと思う?』と問いかけたるのはどうか」と思ったのですが、「小学生はメジャーやマイナーの存在をそもそも理解してないし、ドリアンとか聞いただけで脳がストップする」という家族のアドバイスに従って、この話題はやめたのでした。

ただ、これ、改めて考え始めると奥が深くて面白いのです。日本では語りあう相手もいなくて、一人で「深いな。沼だな。」と感心するばかりです。誰かと共有したいな~と思って、ここに書くことにしました。

neutral intervalとは?

少し昔に、伝統音楽奏者のAnders RosenがSNSで「neutral interval」について書いていたのを思い出しました。フィドルは音程がはっきりしないまま弾けることもあって、「どっちなんだろう」という思う音がよくあります。「本人もどちらにしようか弾く度に決めかねている」「忠実にこの音程と決めている」「適当に弾いているだけ」など色々と思うところがあります。(※伝統的にこの曲は間違いなくこの音程、という曲はちゃんとあります)

このニュートラル・インターバル、ニュートラル・サードneutral thirdという言葉もありますが、理論的に理解しようとすると難しくて、簡単に例えるとドミソ和音のミが「ミbとミの間の音(マイナーの音より高く、メジャーの音より低い)」ということです。だから、明るいと思えばそう聞こえるし、暗いと思えばそう聞こえます。

1オクターブを12音階ではなく24音階にすると、スウェーデン語でkvartstonクヴァッチ・トン(クオーター・トーン)、4分の1の音と言いますが、それでいうと「マイナーの音よりkavrtston一つ高く、メジャーの音よりkvartston一つ低い」と言えます。

そういう風に古くは演奏されていた曲を現代の一般人が演奏すると、上がると明るく、下がると暗く、のように、ミなのかミbなのかどちらかに決めて弾いていると思います。そうすると、dur(メジャー)とmoll(マイナー)が決まってしまい、両方が入り乱れる曲になります(それはそれで面白い)。もちろん、忠実にこのニュートラルな音程で演奏する人もいますが、かなりツウな人のイメージ。

(※さらに、フィドルはピアノのような平均律では演奏しないため、本当はもっと複雑な話になります。ですが、伝統的にはソロ演奏が主流だったので純正律を意識していたとも思えず...。ニッケルハルパもチューニング方法が独特で、フォークチューニングと呼ぶ人も。 →沼ですね。誰かと語りたい...

このSNSで話題にあがった中で、ノルウェーの歌をSNSであげている人がいました。明るいのか暗いのかはっきりしない曲だな~と、とても面白い曲だと思ったのでURLを載せておきます。

Aslak BrekkeのStåle Storli

https://youtu.be/dW-cmYEd24k?si=E1hv8tEfmIbgO-KI

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