スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ニッケルハルパ、演奏用のクッション

2018-12-21 23:31:31 | ニッケルハルパ

今年も残り少なくなりました。冬至のお祝いルシア祭は12/13ですが、実際の冬至は今年は12/22です。やっぱり冬は暗くて寒いのが良いですよね。お出かけはコートにミトンをして、ほかほか温まるお茶を飲んだり、冬の薄暗い夕方につける間接照明も好きです。そんな薄明かりで誰かと会話すると距離が近づく気がするのは気のせいでしょうか。でも、冬至を過ぎると急速に明るくなって、暗がりを楽しめる季節は一瞬で過ぎてしまいます。

1月にはLiricaさんと、初のニッケルハルパ・デュオライブです。前は「フィドル×ニッケルハルパ」のデュオだったので、ニッケルハルパ2台は初めてなのです。Liricaさんのニッケルハルパは、実はエスビョンの楽器です。エスビョンの楽器は、80年代~、90年代後半~で明らかに音色が違います。80年代は、パーンと張りがあって明るい音。90年代は基本は同じでも繊細さを含み、最近の作品はクリアな中に暖かみも含んでいます。私の楽器は2000年代。リリカさんは80年代の華のある明るい音。違いをぜひ聞き比べてみてください。

以前から紹介しているニッケルハルパ弦(Primのメロディ弦)、次回取り寄せは1月です。私は発注済みです。ご入用の方はお急ぎください。I love stringsサイト内のお問い合わせメールで依頼します。(年に1-2度の仕入れ時に取り寄せてくれます。)


さて、この写真ですが、11月に来日したダニエルに見せてもらった、ニッケルハルパのクッション。真ん中のくびれは長年使ったことによるへたりです。

ダニエルは首からストラップをかけて弾くのは好きじゃないそうです。体への負担だけでなく、椅子に座って楽器がきちんと安定していれば右ひじを浮かすこと(大きな弓使い)ができ表現が豊かになると言います。服や楽器が滑らないスウェード(革)で、中にはTシャツを詰めて高さをだしたそう。私の場合は、座るより立って弾いたほうが弾きやすいのですが(人によります)、でも、クッションがあれば、ストラップから解放され疲れにくく右腕も自由に使えて良いかも!と思い作ってみました。

まずは、手芸店で売っているPVCコート(ビニールコート)で、布地がざらざらして滑りにくいもので作ってみました(上)。中は古いタオルです。テノールハルパは重量があるのでくいこんで滑らず高さもでて良い感じです。通常のニッケルハルパでは楽器が軽いためか滑ります。滑り止めに、余りもののスウェードを帯状に巻いてみました。

そのスウェードですが、別の手芸店で本革の端切れが売っていて、中でもミシンで縫えそうな薄いものを選んで買いました。小さく作ろうと思ったけど、前のと変わらない…(写真下)。

使ってみたところ、スウェードクッションは服や楽器は滑りませんが、中にタオルを詰めすぎたようで楽器が食い込まず反発でぱーんとなって滑るというか…楽器がひっくり返りそうになります。Tシャツだったらよかったのか。(いわゆるクッションの中綿を使うと、高さがでず弾きにくいです)「角度をキープする程度に凹んで高さをキープできる」というのがポイントです。3つ目を作ったら今度こそうまくいくかも…年末にお時間のある方、トライしてみてくださいー。


去年、一昨年、年の終わりの記事は、北欧以外の音楽や本の雑談で締めくくりました。ということで、今年も番外編。

普段、テレビは見ない代わりに、本はたくさん読むんです。笑える系(さくらももこ先生のエッセイ等)から色々と。そのうちいくつか紹介します。(画像は全てamazonリンクです)

音楽の進化史(ハワード グッドール) 2年前に読んで以来、辞典のように一家に一冊置いておきたいと思った本です。記録に残る最も古い音楽から現代までどうやって音楽が進化、複雑化していったのかが分かり面白いです。クラシック界の人々がどういう視点でフォークミュージック(民俗音楽)を見ているか、視点が明らかにあちら側にあるのですごく良く分かりました。この本である必要はないけど、一度は読んでおきたい内容です。

日本人の9割が知らない遺伝の真実(安藤寿康) これも読んだのは最近ではなく去年ですが、衝撃的でした。音楽の才能はほとんど遺伝という例が書かれています。数学や体育もそうらしいです。外国語は意外にも環境の要因が大きいとか。古くから人間が移動しながら社会で生きていくことを思えばそうかもしれませんね。以前「1万時間でプロレベルになる」という話を紹介しましたが、「やってもダメな人はダメだ」という真逆の話。受け入れるかどうかは別にして、一読の価値はあります。この分野では「言ってはいけない残酷すぎる真実」という本がベストセラーになりましたが、こちらはノンフィクション作家が書いたもの。こちらの「日本人の9割が知らない~」は慶應の教授、つまり専門家の書いた一般書でこちらのほうがおすすめです。

オンネリとアンネリのおうち(マリヤッタ・クレンニエミ) ピッピやニルス、ムーミンと有名な北欧の児童文学は色々とありますが、これは知りませんでした。1966年の作品。今年映画化されたので早速読んでみると…なんて夢があって楽しいんでしょう!そして大人の視点でも読める本です。大人の不都合な都合。真っすぐな子どもたち。幸せとは何か。最後は感動で泣けました。


さて、次は音楽編。年末最後の記事は北欧以外と思っていましたが、ずっと書く機会がなくて(忘れてて…)思い出したところで書いてしまいます!

STOMP 昔からの北欧ファンにはなつかしいDraupnerのGörgenをメイン奏者に、イェーブレのシンフォニー・オーケストラが奏でる伝統音楽です。2015年リリーズで去年か一昨年かに買いましたが飽きません。クラシックアレンジされた伝統音楽はどれも意図が透けて好きになれないのですが、これは伝統音楽奏者がメインだから外していません。極上のエンターテイメント、映画のサントラのようなドラマチックな作りです。昔、Görgenにフィドルを習ったことがあって、レッスン中、二日酔いでジーンズもずり落ちそう…みたいな感じでしたが、立派なミュージシャンになりましたねぇ。(当時も才能あふれるミュージシャンでしたが、大御所感が出てきたという意味です)後半、床がまわってます。お金かけてるなー!

Symphonic Stomp of Sweden - PROMO


北欧以外だと、去年、一昨年紹介したウクライナDakha brakhaと、ジョージア(グルジア)の歌が今も興味津々です。ジョージアの歌はいつまで聞いても飽きません。西洋の影響を受けず独自に発展したポリフォニーでユネスコの無形文化遺産だそうです。(ポリフォニー:複数の声部が対等に絡みあう。いわゆるハーモニーとは違います。ジョージアのポリフォニーの楽譜リンク

当然ですが、ジョージアの歌にも地域性があり、この20分程度の動画で地域ごとに実例を挙げて紹介しています。

A 3D lesson in Georgian polyphony with IRIAO and Dr. Eurovision

子どもも成長とともに音楽を楽しむようになりました。映画のサントラから入ったせいか、歌ありも、歌なしも、どちらも好きみたいです。

下の子がはまった今年一番はなぜか「吉幾三」。

上の子は、ウクライナのDakha Brakha、ロシアのotaba yo(物まね動画まで撮りました)、チェロの二人組 The Cellos、猛烈ヘビロテしています。

そして、最近は、私が偶然みつけたこの鍵盤ハーモニカのデュオを見ています。見てたら欲しくなりますね。すると、子ども①「イオンに売ってんで」子ども②「無駄遣いしたらあかんで」。そうです。音楽好きは浪費してしまうのですよ。CDとか、楽器とか、機器類とか。ホースと口だけ買って本体は借りようかな。

 The Nutcracker

良いお年を。

コメント
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