スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

moll, moll, そしてmoll

2007-03-16 23:14:56 | 授業 その他
友人Mは修士課程を後1年残して休学し、この学校に来ている。
この夏休みはアルバイト予定で企業に申し込みをしていて、ダメだった場合も想定し複数申し込んでいるそう。スウェーデンの新卒就職状況は悪いらしく、彼女は就職時に少しでも有利に持って行くためにと頑張っているのだ。

そんな彼女と夕食時に、「この学校を終了したらニッケルハルパを使って何ができるか?」というたわいのない雑談をしていた。そして、「ただの趣味でしょ?」と周囲の理解がなかなか得られない話、日本のワーク・スタイル(残業当たり前、長期休暇はほぼ無理など)について、色んな話をした。
その時の彼女のセリフは印象的。
「人生を椅子に例える話を聞いたことがあるよ。椅子の足それぞれが、”家族”だったり、”友人”、”音楽”、”仕事”など、人それぞれ。椅子の通り4本(4つ) の必要はないけれど…。でも、どれか一つにばかり体重がかかるとその椅子の足に負担がいって壊れるかも。どれか足が一本足りなくてもバランスが悪くって座れないでしょ。
仕事だって、欠けてはいけない一本の足だけど、そのうちの一つにすぎないし、そればっかり集中したらバランス悪くて座れない椅子と同じよね。趣味だって、一本の足と捉えている人には欠かせない大切なもの。どうやって人生を豊かにしていくかって難しいことだけど、このバランスって大事なポイントだと思う。」
そう言って、さわやかに笑っていた。

さて!タイトルの本題!
mollです。mollとは、「マイナー」つまり「短調」のこと。
暗い、くらーい調子ということ。

今日は、タンゴを練習した後、フィンランドのくらーい曲を習った。

タンゴはなぜか好きになれない。
この曲には「♪君が欲しくてたまらないのに~」と報われない恋を歌った歌詞があるそう。
「あぁ、かわいそうな僕(男の人の歌)!」と気持ちを込めて情熱的にジャジャン!と弾いてって。
そう言われても。ちっともそんな気になれない。
多分、主役が男ということもあり「アナタね、さっさとアキラメナサイよ」と他人事に思ってしまうせい?私とタンゴの相性はよくないみたい。
スウェーデン人にはエキゾチックな感じがするのかな。
みんなは気に入っていて、自分達のコンサートでダンスつきでやりたいと本気で言っている。
フィンランドで1900年初頭にタンゴ・ブームが到来したことと関係があるのかもしれない。

そうそう、フィンランドに話を戻すと、フィンランドのフォーク(民族音楽) は詩的なタイトルを持つ曲が多いそう。
ちなみにスウェーデンの場合、曲名は地名のままのことがほとんどで(その地方の曲という意味で)、とても実用的というか現実的というか…。

といっても、今日習った曲は「コオロギ」という名前。
正直、どこが詩的なのか!?
それともスウェーデン人に「まあ、コオロギってロマンチックね」と思う国民性があるのだろうか。

それはさておき、フィンランドの曲は、詩的な曲名を持つくらいだからメロディアスな曲が多い。なのでmoll(短調)の曲ともなると、暗い街道まっしぐらに突き進む。
ある人が「mollの種類には、”ren moll”、”harmonisk moll”、“melodisk moll”、そして”finsk moll”(フィンランド短調)がある」という名言を発したほど。(もちろん、フィンランド短調なんてそんなモノ、ありゃしない)
やはり、タンゴと同じで極端だからか今日の曲は私にはしっくりこない。

そんなくらーい曲を練習した後、もう一つ面白いことを聞いた。
ミクソリディという調。
日本語(カタカタ)では、ミクソリディアンだったかな?
例えばソから始まると、ソラシドレミファソ(ファはファ#でない)。

この調で適当に弾くと、澄んだ音がどこまでも高く遠く響く…そんな雰囲気。
(日本でのこと。以前アイリッシュでこの調のジグ(jig)を習ったことがあり、どんな感じがするか聞かれ「地に足のついた感じ」と答えた。
今思うと「調」の雰囲気ではなく、このジグ特有の「リズム」に対する印象だった気がする)

「さて、この調はどこで多用されているでしょう?」と先生ディッテ。
ハイっと友人E。
「ノルウェイ!」
なるほど。確かに。
ノルウェイって「谷を超え遠く響く」雰囲気の曲、多いもんね。

ということで、mollな一日でした。
コメント
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