スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

演奏ウィークを終えて(ダンス伴奏の感想など)

2023-06-12 11:40:42 | お知らせ

5月下旬の怒涛の演奏ウィークを終えました。

松阪のハレステンマでは懐かしいいつもの方の顔も見れて楽しく過ごしました。(出店フードも激ウマ、おいしかった!)雨予報だったのに今回も晴れて毎年すごいです。参加者みんなが一体感のあるイベントで、これからも続いてほしいなと思います。

阪急のほうは、色々と書くことはあって話題が飛び交うので、それぞれ太字見出しをつけました。

「地味やな!パーカッションないん?民俗音楽で!?」

と言われました。失礼な方ではなく、良かったよ~と言いながら本音がぽろっと出たような。地味ですか 弦楽器2本、ゴージャスで重厚感とグルーブもすごく出る編成で、日本ではあまり聞く機会がないスタイルなのでオススメだと思っているのですが。「地味」と思われるのが不思議で仕方ありません。でも、そんなにはっきりと感想を聞けることがないので逆に良かったです。だからといって、今後の演奏に影響はしませんが...

はじめて?言葉で入っていけないという経験

「英語の会話に入っていけず居心地が悪い」と聞く話はこんな感じなんだな~と実感スウェーデンからのダンサーは家族4人だったので、家族同士はスウェーデン語でやりとりをしていました。そこに、ダンスのひろみさん、フィドルのりりかさん、ハーディングフェーレの樫原聡子さんもスウェーデン語で話すので、私だけ入れず(聡子さんはノルウェー語ですが、通じ合うんですよね。6割くらいしか分からないと言ってましたが会話は成立しています)。英語で話しかけてもスウェーデン語で返され、その上に被るようにみんながスウェーデン語でしゃべるので再び黙る私、みたいな

スウェーデン語は演奏に関してなら割りとわかるし、資料を頑張って読むので読む方もまだ分かりますが、日常会話は習ったことなく(現地でも英語でした)10年以上前に初級文法だけスウェーデンで2週間習いましたがそれだけです。去年から東海大のオンライン講座でやっと基礎から学び始めたので「今度こそものにする!」って気合入っていますがまだまだ初級。例えば、kroppenって知ってる単語が聞こえても「それが何?」と盛り上がっているところに入っていく勇気がない...。という訳でテンション低めで始まりました

始まれば言葉は不要

ダンスの伴奏合わせ(リハ)を始めると、言葉でわざわざ説明するほうがまどろっこしいくらいお互いよく分かります。音楽やダンスを介して通じるものがある、同じゴールに向かってまとまるこの感じ、やっぱりいいな~!って思います。

今回は、りりかさんリードで私はステンマ(伴奏)。本人はあまりダンスの伴奏に慣れていないと心配していましたが、少し早くなりがちな曲があるものの完璧で、今回はフィドルリードしたことで、ダーラナ地方らしさが全面に出ていたと思います。ダイナミックで、りりかさんの音の作り方がすごーくスウェーデンらしくて、好きなんですよね。(少し早くなる曲についても、1度こうしたら?と伝えると飲み込みが早くて、勘がいいのだと思います)ひろみさんの、MCと全体の段取りの良さも本当に毎回関心します。ひろみさんのMC入ると、全て委ねていいんだなって気持ちになります(あの落ち着きがほしい!)。今回PAは苦戦しましたが、何回か回数あったので毎回調整してくれてやりやすさアップ。PAさんに感謝です!

ダンス伴奏で慣れていないと「早くなりがち」というのは実はよくある

1つは、ポルスカなどターンが始まると勢いが出ることがあり、それに合わせてしまうと、ターンが終わる頃には前より早くなっているというパターン。合わせすぎると良くない例です。勢いが欲しそうだなと思った時はぐっとこらえてペースを保ちます(ダンサーに踏ん張ってもらう)。もしくはターンだけ合わせて、その後は元のテンポに戻します。

もう一つは、踊ったことが無いダンスの場合にあります。そういうと、私もOrsapolskaやMalungpolskaなど踊ったことないのに弾いていますが、もっと大きな特徴のあるダンスの話です。例えば、3拍子のhamboです。大きく沈むあのノリを体感できていないと、そのままさらっと弾いてしまい、踊る人がタメの部分(沈む動作)の余裕がなくなってしまうんです。schottisもそうです。早くノリよく弾いても若い人は元気に踊ってくれますが、やっぱり膝のタメの部分のゆとりが欲しいなって思います。ワルツもそうですね。ワルツの場合は早くなるというよりも、どこでタメるか(女性が大きく動く部分は1拍目。2と3拍目も少し違う)。この部分がないと「楽譜みて弾いてる」感や、「スウェーデンのワルツではない一般的なワルツ」のような気がしてしまいます。それと、Orsapolskaやワルツは、メロディの美しさにつられて、ゆっくり過ぎるという逆の現象も起きがちということに今回気づきました。

あまり色々書くと「よく分かっている人」風ですが、毎回失敗もするし新しい発見もあります 人に聞いて(主にダンスのひろみさんですが)、自分なりに感じたことをまとめました。でも、これを伝える場がないともったいない!と思うので、ここに記録しておきます。ぜひ参考にしてください。

久々にfiss(フィス)でミニコンサート

演奏者を名前で提出していたのですが、「ユニット名で」とリクエストがありfissにしました。fissの名称は多分10年くらい使ってなかったと思います。

fissを使っていた頃はお互いが歩み寄っていました。樫原聡子さんはノルウェーのハーディングフェーレ奏者ですがノルウェーでも私が弾きやすいようフィドル曲を選んだり、私もヴェルムランド地方やフィンスコーグなどスウェーデンの中でもノルウェーよりの、お互いの中間のような選曲が多かったです。fissの名称を使わなくなった頃からは、ノルウェーはハーディングフェーレの曲、私は、ウップランド地方だと偏りが激しいので、スウェーデンらしい曲(ノルウェー寄りじゃない曲)を選んでいます(チューニングの関係で、そこから選択肢がさらに狭くなります)。でも、ユニット名にそもそもこだわりがなく、使い分けている訳でもありません。今回は百貨店ということもあり、聞きやすいメロディを中心に選びました。halling、Springar、ポルスカもあり、個人的には、Kristian Oskarssonのワルツが一番好きでした。ノルウェー独特のリズムを入れてくれて、それがとっても新鮮でした。

前の記事で、30曲用意するのでしんどい!と書いていましたが、本当にきつかったです。

この1年半で私の生活は激変しており、この生活で演奏時間を確保して30曲用意するのはかなり難しい。計画的にやろうと思えばやれる。でも...今までのやり方では無理だなって大きな反省点が。それは…

key(調)や臨時記号か、転調したんか、訳わからん!

状態になったことです。認知症か?とも思いました。スウェーデンの伝統音楽は楽譜を使いません。よほど展開していくアレンジを書く場合には使いますが、人に弾かせるためじゃなければ「楽譜」よりも「メモ(言葉)」を使います。で、私は楽譜もメモも使わず今までやってきたので、今回も30曲の大変さはそこじゃないと思っていました。が、しかし、本番中にミスタッチを何度かし、「なんのkeyだっけ?」に始まり「臨時記号?フリジアン?転調した?」みたいな混乱が起きたのでした。例えばOrsapolskaは、DmからGmと前半後半でkeyが変わるのですが(さらに臨時記号あり)、今まではその意識なく弾けたのに今回は頭を切り替えるのが難しく。前奏をGmで弾いた後、Dmの伴奏に回るというのも無意識に出来ず。ダンスの伴奏では、ふと、りりかさんのメモを見ると、出だしの4小節を楽譜にして持ってきていて...ああこれがいったんだなって。そして、何度見たって私のパートは書いてないのにのぞいてしまうのでした。メモ必須。

最近体調を崩して家にこもっているのでやっと落ち着いて読書したり、Groupaの40周年ライブ(1時間の動画)をみたりできました。

スウェーデンダンス一家の、あのおおらかさを思い出して、なんとか日常にも心の余裕を取り戻したい今日この頃です。

 

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