スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

エリック・サルストレムについて

2006-10-06 23:29:01 | 授業 その他
今日は実技はなく講義でした。
この学校の名前にもなっている、Eric Sahlström(エリック・サルストレム1986年死去)について。
娘であるソニアが写真やDVDを用いて、さかのぼることひいおじいちゃんの代まで(ひいおじいちゃんも弾いていた)話してくれました。

ごくごく簡単に話題をピックアップします。

1900年代初め
ニッケルハルパを弾く人は1900年代前半、5、6人だったとか、10人程度だったとか言われている。つまり、衰退の一途をたどり絶滅寸前。ニッケルハルパという名前すら知られておらず、もし知っていても年寄りの古い楽器のイメージだったそう。

エリックとニッケルハルパの出会い
農家に生まれたエリックはくじで当てたアコーディオンに夢中になるも、そのアコーディオンを借りて弾いた友人が壊してしまう。そこでニッケルハルパに転向。

エリックの活動
ギターその他なんでも弾きこなす才能と実力で、若いうちから評判は急速に広まる。若者達は、踊りたいときはプレーヤーがいるからとエリックの住む村に集まってきたらしい。1939年頃からニッケルハルパを改良し、作り方も含め各地で講義。国営ラジオでの収録、ソ連や日本を始め国内外で評価を受ける。

年配の頃の写真はよく見るけど、結婚式の写真や世界大戦中の写真など若い頃の写真は初めて見た。結構、カッコイイ。そして、ソニアのお母さん(エリックの奥さん)、やさしい表情の美人でソニアにそっくり。写真のアンティークなベールもすごくキレイ。

世界大戦中はエリックは国境警備隊で、もちろんニッケルハルパを持参しらしく、軍服で弾いている写真も見せてもらった。
軍隊の中でも"ミュージシャンがいる!"と人気者で、いろんな面でヒイキされていたそう。ある日、休暇を終えて実家から楽器を持たずに来たエリックに、「家まで楽器をとりに戻りなさい!」と命令されたこともあったとか。

ミュージシャンとしての生計
ただ、評価をされても生活は楽ではなかったらしい。ソニアのお母さんが小さな農場を持っていて、エリックの音楽活動の重要性をしっかり認識していて、エリックに頼ることなく切り盛りしていたのだとか。でも、小さすぎて生活には十分ではなく、エリックはその後、(今もここToboにある)モナークという会社の工場でも働いていた。50歳のときには、工場は閉鎖され、仕事を見つけるには難しい年齢だったため、政府からお金がもらえるよう友人が努力してくれたらしい。
数々のメダル、リクスペルマン(国が認めたミュージシャン、称号のようなもの)、国内外での講義、コンサート。どんなに評価があろうと、メダルがあっても食べていくのは大変。
家族がエリックの才能や活動を支援し続けたから今があるのだろう。

DVD(1977年頃の映像)エリックや、ハッセ(9/15参照。若かりし頃の映像のはずなのに、こないだ会った時と全く一緒。演奏はめちゃめちゃ上手い。こないだの授業で、激ウマと書かなかったけど年齢のせいなのかもね)、ヴィクスタ・ラッセ(バイオリン)、その他大勢が登場する。
ヴィクスタ・ラッセの演奏はCDで聴くより、このDVDのほうが比べ物にならないほどうまい。(ピッチやリズムにしても録音状態の良し悪しが影響していたのかも)
映像では、みんな本当に楽しそうに弾いている。ヴィクスタなんか、弾く前も弾いたあともしゃべりながらも、常にウシャウシャ、ウヒウヒ笑っていてしゃべってるんだか笑ってるんだか。でも、とっても楽しそう。

昨日の講師、アンダシュも言っていた。練習しすぎて「楽しむ」ことを忘れてはならぬ、と。フォークミュージックは、他のクラシックなどと違って、「社交」のためのもの。みんなで楽しくしゃべりながら弾いたり踊ったりするコミュニケーションの場だと。もし、誰か一人でも自分は下手だとか、居心地悪く思う人がいてはならぬ、と。誰に対してもオープンでみんなで楽しく弾く、これがフォークミュージックだ、と。
今日の映像からも伝わってきました。
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そしてその夜(10/5追加)

2006-10-06 05:03:07 | 授業 その他
夜、寮ではなく通学している(といっても学校の目の前に住んでいる)あるクラスメートのアパートへ皆でお茶しにいくことに。
アップルシナモンケーキを焼いてくれていた!

やっぱり言葉が分からないとねー…こういうおしゃべりのみの時とってもツライ。
我慢もそろそろ限界、と思ったところで、誰かが歌を歌い始めた。
もちろんフォーク。
(フォークソングというと違うものを連想する人がまだいると思うので補足すると、伝承歌のこと)
やっぱ、こうこなくっちゃね!

それにしても次から次へとマイナーチューンばかり。とってもキレイだけど、知らない人がばっと聞いたらホラー映画でバックでなってそうな中世風の歌。
即興でハーモニーを歌える友人にコツを聞くと、grund ton(基本になる音)の一音のみで歌って、たまにもう一音たしてみて、慣れてきたらもう一音、二音と足していけばそのうちできるよ、だってさ。でも伴奏ならまだしも、メロディーの上下にあわせたきれいなハーモニーの即興は難しくない!?
この歌唱法、実は先日歌の特別講師が来た日にもやったのです。その時の録音はないけど、使用した歌をそのうちHPのほうにアップします。

昨夜、久々に姉に電話をしたら、「楽しい?」「夜なにしてんの?」「どこか遊びに行ったりとか?」「飲みに行った?」
いーえ。とんでもない。
ビールを飲む人は2,3人いるくらいで他の人はお酒も飲まないし(年齢の関係じゃなく)。
夜は、練習してるか、皆一緒にDVDみるか、たまにセッション&ダンス。夜の9時はfika(ティータイム)なのでみんなでチーズやクネッケブロド(乾パンみたいの)をかじってます。
よく考えるとこんな生活、私には珍しい。
そして、一般スウェーデン人からしてもここの生活はフツーじゃない気がする…。
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