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量子宇宙論へ(量子論4)

2003-10-24 | 科学
ここまで様々な話を載せてきたが、量子論というジャンルがかなり混沌とした未整理なモノであることを感じられたと思う。逆に言えばかっちりと固定されてないことでいろいろな可能性やらを内包した発展性の高いこれからの分野であることも言える。事実原子の中における電子の様子を考えることから出発した量子論は今や量子力学、量子化学、物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学などあらたな分野を生み出し発展させた。

そして、理屈だけでなく半導体製品は量子論から発展した物性物理学によって生み出されたといえる。ダイオード、トランジスタ、IC、そしてLSIなど現代のハイテク機器のほとんどが量子論が元となっているわけだ。我々の暮らしを支えているのだ。

さて、理屈のほうに戻ると、空間を量子論に基づいて考える場の量子論は「真空」の概念を大きく変えてしまった。我々は真空を何も存在しない空間だと考えるが、これはすべての状態は不確定であるとする量子論に反する。つまり量子論は「何もない」という状態を許さないのだ。概念的物理的意味での「無・ゼロ」は物理的にありえないということも量子論が明らかにした真実のひとつである。

何もなくないとすると真空には何があるのか?真空では粒子と反粒子が絶えず生成消滅を繰り返していると考えられている。反粒子というのはマイナスのエネルギーを持つ粒子で、実験でその存在が認められているそうだ。で、その粒子と反粒子が生成消滅を繰り返している状態を「真空のゆらぎ」呼び、真空は「有」と「無」のあいだを揺らいでいるのだと。

量子論はもちろんミクロの世界だけにはとどまらない。宇宙の謎にも答えを出そうとしているのだ。
宇宙は140億年前にミクロのサイズで生まれ、ビックバンという大爆発を起こし暴走を続け現在の広大な宇宙になっていると考えるのがビッグバン理論、すべての銀河が地球から遠ざかっていることが観測されたりかつて宇宙が熱かった頃の名残の電波が発見されることでビッグバン理論はほとんどの科学者に信者られている。そしてミクロのサイズの宇宙即ち初期宇宙を説明するには量子論が欠かせないのだそうだ。いうなれば宇宙は無から生まれたことを説明するために量子論が一役買っている、これがビレンケンという学者の「無からの宇宙創生論」、さらにホーキングは虚数の時間に生まれたという「無境界仮説」を唱えた(虚数が絡むとぼくはまったく理解不能)。

こうした理論は「量子宇宙論」と呼ばれ、すべて説明できるわけではないが様々な観測結果を説明できるためにその正当性を高く評価されている。


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