博多から帰還しました!
う~~ん、みんなに「えーっ!八月の博多?。。暑いだろうに」なんて言われるけれど、やっぱり若干東京の方が暑く感じる気がする。。湿気の問題かなあ。。
ところで博多の結婚式というのは、当地ではあたりまえなのだろうけれど 生まれ育ちとも東京で帰郷するべき田舎というものを持っていない ぬえとしては不思議な習慣がありました。洋装姿の新郎新婦なのだが、乾杯は「鏡割り」でしたねー。シャンパンでの乾杯しかほとんど見たことのない ぬえにはなんだか意外でした。
そう言えば、今回は能楽師の結婚式でしたので、恒例の出席能楽師全員による「四海波」の唱和が行われました。「四海波」とは「しかいなみ」と読み、『高砂』の初同の全文「四海波静かにて、国も治まる時つ風、枝を鳴らさぬ御代なれや。あひに相生の松こそめでたかりけれ。げにや仰ぎても、事も疎かやかかる代に、住める民とて豊かなる。君の恵みぞありがたき、君の恵みぞありがたき」を謡うもので、能楽師の結婚式では乾杯に先立って必ず行われます。出席の能楽師が全員起立して大声で謡うのだから新婦さん側のご親戚やご友人はビックリされるでしょうね。
ところがこの「四海波」、流儀によって文句に微妙な違いがあるのです。いわく、下掛リでは最後の句が「君の恵みぞありがたき」ではなくて「君の恵みはありがたや」なのです。今回は「四海波」の「発声」(冒頭の一句を謡う当座のリーダー役)は観世流の方だったので ぬえも安心して謡いましたが、時により下掛リの能楽師の方が発声される場合もあって、そのときには ぬえなど観世流の能楽師は他流の謡につき合うのではなく、必ず自分が属する流儀の文句のままで謡うのです。当然最後の一句は唱和にはならないのですが、やはり発声を勤められる方が他流であっても、そのお流儀に従う、ということはないのです。その文句では師匠から習っていないのですからね。(^。^)
それでも ぬえも以前は混乱した事がありました。どなただったか、囃子方の結婚式の際に金春流のご宗家(当時)の信高師が発声を勤められました。その時には出席した能楽師は属する流儀ごとに丸テーブルを囲む席次になっていたので、ぬえの周囲は観世流の若手ばっかり。そして「四海波」が始まり、ぬえらも気持ちよく、仲間の囃子方を祝福し、幸多かれと思いながら謡っていました。ところが例の部分にさしかかり、発声の信高師が「君の恵みは。。」と謡い出したとたん、それまで大声で謡っていた観世流のテーブルでは全員「うっっ。。」と絶句。。そのときは誰も金春流の謡の文句が観世流と違う、という事を知らなかったのです(!)
かくて。。観世流のテーブルだけ「し~~~ん」としたままで「四海波」が終わってしまって。。(~~;)
司会の方が「ありがとうございました。ご着席くださ~~い」と号令を掛けて、一同着席しましたが、なんとも気まずい空気が。。そのうち誰かが「うちは観世流なんだからうちの文句でいいんだよ!」と言って、みんな「そ。。そっか~~」と、今気がついてもあとの祭り。覆水盆に返らず。落花枝に帰らず破鏡ふたたび照らさず。
【今日のお題】
結婚式の翌日は博多の水族館「マリンワールド海の中道」に行ってみました。じつは ぬえは水族館マニア。。
謡がある結婚式についてはブログの本文の方に書いておきました。
>>お謡やお仕舞のない結婚式なんていらないや!と思っておりましたが、
>>俄然やる気が出てきました(笑)。
ははあ。。おめでとうございます。。
するてえと、近々「ね、結婚しよ!」「な。。なんだ突然」「俄然やる気が出てきたの!」というやり取りが。
。。カレシはまさかそれが『高砂』のせいだとは知らずに。。南無阿弥陀仏。(._.)/チーン
ところで、今日 例の、ぬえが『高砂』を舞う広島での結婚式の招待状が、新郎となる友人から届きました。
あー、これだけブログでも盛り上げといて、彼とは何度も打合せをしていましたが、こうやって招待状が実際に届くと、ついつい悪ふざけをしたい気持ちがムラムラと。。
ご出席
(どちらかを○でかこんで下さい)
ご欠席
。。あああ~、「ご欠席」に○をつけて「所用あり、残念ながらお伺いできません。ご多幸をお祈り申し上げます」とついつい書きたくなる~~ 悪魔のささやきが~~っ
お察しの通り、私はぬえ様のリアルな御友だちではございません。それなのに不躾なコメンと失礼いたしました。で、でも!見所の民として、お舞台は拝見しております。お許し下さい。
頬を何度もつねって読み返しましたが・・・、真に受けてしまっても宜しいですか?プリントアウトして大切に保管しておくことにします(^ー^)v
お謡やお仕舞のない結婚式なんていらないや!と思っておりましたが、俄然やる気が出てきました(笑)。
コッソリとウケて頂きましたようでありがとうござりまする。
なるほど、それでは『Kさんの結婚式(予定ナシ…)』は ぬえの方で予定しておきましょう。(゜-゜)b
謝礼などはとくに要りませんし。いやまあ、出費してまでの出演はちょっと苦しいので、交通費ぐらいは頂けるとありがたいですが。。それと。。結婚式で『翁』はちょっとキビシイかなあ。。『高砂』が順当なところで、謡のほかに仕舞を舞うこともありますし、ぬえはそのほかにも『羽衣』の仕舞や、能で『高砂』や『石橋』を舞った事もあります。これは囃子方もお呼びするから大変ですが。。
ただ、ひとりで仕舞を舞う程度ならば ぬえは友人の場合は気さくに「結婚式で『高砂』舞ってくんない?」「ん、いいよー」というやりとりだけで出演が決まることもよくあります。まあ、これは旧知の友人の場合だから当然かしらん。
事実、この秋にも広島でパソコン通信時代の友人の結婚式に出席・出演しますが、飛行機代はご用意頂くけれども、謝礼は固辞して、その代わりに ぬえからもご祝儀を失礼させて頂く、という事にしました。友人の結婚式にプロとして出演する、というもので、判断は難しいところですが、まあお祝いの席であんまり金儲けにような事はしたくないですもんね。ずいぶん長いこと友人関係はこの方法で出席しています。Kさんが ぬえの友人かどうかは ぬえは良く分かりませんが、ブログで親しくお話しさせて頂いてるんだから、友人でしょう。(^^;)
友人関係の結婚式では、ぬえ、ちょっと感動的なお話もあります。すでにニフの時代に書き込みで報告はしたのですが、ブログでは初めてなので次回にでもそのときの顛末を書いてみましょう。博多での結婚式の報告からはちょっとズレてしまうけれど。。
いつも楽しくコッソリ(笑)と拝読しておりましたが、結婚式でお謡!羨ましすぎてつい書き込みしてしまいますm(_ _)m
自分の式(予定ナシ・・・)では上司・知人のスピーチ等いらないので、お謡が出ればいい!と夢見ています。ぶっちゃけ新郎新婦入場もケーキカットや乾杯等もいらず、どうせなら『翁』付きで何か一番を結婚式でやってもらいたいくらいです(苦笑)もちろん、玄人の方々に!
何のコネもカネもない一般市民なので、夢のまた夢ですが・・・。