銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

猿之助とペン習字

2013年01月05日 | のほほん同志Aの日常

2013年、明けて初日の営業日となった昨日、
さっそくたくさんのお電話をいただきました。
ありがとうございました。

そんななか、こんなお電話がありました。

あるお客様、開口一番、
「2月の旅行、どこかお勧めある?」

この方、実はその前日、1/3に猿之助襲名披露ツアーでもご一緒したばかり。
なので、新年のご挨拶はもう済んでいます。

はいはい、2月ですね…と言いかけた私にこう重ねられました。

「私、まだまだ悲しいのよ」

だから旅行に行きまくるのだ、と。


このお客様、昨年、大切な方を失われました。
私も、何度かご一緒させていただいた方です。

――連れていってくれた夏の旅が最後の旅行となりました――
そんなお手紙もいただいておりました。


ご本人は、とても気丈な方です。
気丈であるだけでなく、常に「手厳し」く、いつも私に

「ねぇ、あなたのへろへろ文字なんとかしたら?
 せっかく葉書もらっても嬉しくないのよね」

と、あまりに率直なアドバイス(?)をくださる素敵な大人の女性です。

そんな方ですから「悲しいのよ」の電話の声もカラリとしていました。
だから私もウェットにはならずに答えました。

「2月でしたら、東北か北海道はどうでしょう?
 北海道は、童心にかえって思い切りキラキラ遊べるコースですし、
 逆に東北は、しんみりした味わいのコースですね。
 そう、昨日の歌舞伎の『キツネ忠信』みたいに」

う~ん、と一瞬考えられて
でもキツネはやめとくわ…ということで、
北海道にお申込みをいただきました。

ところで、「キツネ忠信」とは、
その前日、猿之助が「義経千本桜」で演じた子ぎつねのこと。

静御前が義経より預かった「初音の小鼓」。
その小鼓を打つたびにどこからともなく現れる義経の家来、佐藤忠信。
実はその正体は子ぎつねで、鼓の皮にされてしまった親狐が忘れられず
忠信に化けて静御前のそばにいるのです。

猿之助演じるキツネ忠信の、親への情愛、
引き裂かれそうになるときのもだえんばかりの哀しみ、苦しみ、
そして義経のはからいで一緒にいられることになったときの
子どもらしいなんとも無邪気な大はしゃぎ。

客席のあちこちからすすり泣きが聞こえていた、そんなシーン。

それにしても…
猿之助さんの手の動きひとつにわたる繊細な表現力、
そしてバネのような体で繰り広げられる
一門ならではの仕掛け、早替り、宙乗り狐六法。
静と動の入り混じった、あまりに心をぐらぐらっと揺さぶられる舞台でした。

正月ぼけもあり、その余韻に思いっきりひたっていると…


そのお客様からメールが来ていることに気づきました。

「歌舞伎のときはお疲れさまでした。

 キツネ忠信のあの思い。
 私も大切なモノへの愛情や喜びや苦しみを、
 あんなふうに全身で思いっきり表現したかった。
 理解あるふりをして、クールにオトコマエに振る舞ったことが悔やまれます」

いつになくストレートな言葉に、
「私、まだまだ悲しいのよ」の声がこだましました。


でも最後まで読んで…あんぐり。

「ところで私は今年、ヨガを始めるんだけど、あなたはペン習字でも始めたら?」

あぁ、この方はどこまで、
オトコマエに気丈に振る舞われるのでしょう。
…いや、それとも本音ですか。

何にせよ、かっこよすぎです。
(でもペン習字は断固拒否!いたします)



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