靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

「柔らかい心」を大切に育てるということ

2014-03-16 05:53:44 | 子育てノート
繋がり(connection)についての研究を続けたストーリーテラー兼研究者のブラウン氏(Brene Brown)は、関係を築く壁となるのが「恥」や「不安」であり、その根幹に「傷つき易い柔らかい心(vulnerability)」があるとします。

そして、その「柔らかい心」とは、確かに恥や恐れ 自己肯定感などについての苦しみの中核であるのだけれど、同時に、 喜びや創造 帰属や愛情といったものの根源でもあると。

現代の多くの人々は、様々な問題を抱えた厳しい社会を乗り切るために、傷つかないようその「柔らい心」を麻痺させていると氏は言います。そうすることで、内面の奥深いところに感じる幸せ・創造・喜びにも蓋をしてしまっていると。


関係性の海の中で、「柔らかい心」をさらけ出すこと、それがまた、幸せ・創造・喜びへの道でもあると言う氏。Courage(勇気)とは、ラテン語で元々「心をさらけ出す」という意味でもあるそう。

完璧であろうと、がちがちに固めた防備を脱ぎ捨て、不完全さをさらけだし、「柔らかい心」を解きほぐしてみる。そこから、創造・喜びを可能にする、本当の関係性も始まる。


子供達に伝えたいのは、

あなたは完璧で貴い存在、私はあなたを完璧に育てて見せる、ではなく、

あなたは不完全で、苦しみを背負った存在、それでも愛に帰属意識に値するのよ、

というメッセージだとするブラウン氏の考え、とてもよく分かります。


「柔らかい心」を麻痺させず大切にできる子育て、

それは、完璧であることを突きつけ続けるのではなく、

足りない欠けている部分を認め、変わらぬ愛情で包み込み、

その上で、より良くなろうと励ましサポートし続けていくこと。


心がけていきたいです。



参考資料:

ブラウン氏の「柔らかい心(vulnerability)」についてのスピーチ、子供達の「不完全さを包み込む」ことの大切さを、教えてくれます。
http://recommend-ted.blogspot.com/2013/01/blog-post.html

氏のホームページ:http://brenebrown.com/my-blog/

高校のホームスクール その一

2014-03-16 05:52:07 | 子育てノート
米国では、学齢期の子供達の3-4パーセントがホームスクールをしているとされ、その数は、年々増えていると言われています。

長男、高校をホームスクールするか、まだ決まってはいないのですが、調べていることなど少しずつまとめていきたいです。


高校のホームスクールのカリキュラムを組むには、まず高校卒業後、何を目指すのかで随分と違ってきます。

1.大学に行かない
2、大学にストレートには行かず、ひとまず社会に出て体験を積んでみる
3.大学にストレートに行く

長男は、今のところ「2」か「3」を選んでいるので、大学入学に必要なカリキュラムについての情報を集めています。以下、メモ:

・高校卒業には最低19単位、大学進学には24単位以上必要になりますが、大学入学審査には、より多く難しいレベルの単位を修得していることが望ましい。

「必要以上の単位」は、その子がパッションを持っていることを突き詰めていくなら、本人が熱中している内に積み重ねていける。長男の場合は、ロボティックス、コンピューター関係など。

・高校に必要な単位を早くに取り終え、大学の単位を取っておくこともできる。より深い内容を学ぶこともでき、大学側には大学レベルの授業でやっていけると示すこともでき、また大学の単位としても振り返られ、大学入学後の学費節約にもなる。

アカデミックだけでない活動を組み込む。社交性、チームワークでの活動、リーダーシップなどを育むため。大学側も、全体的なバランスの取れた人材を欲している。

・実際に企業などで働かせてもらうインターンシップ制度の活用もできる。

・四年間のカリキュラム・活動記録を細かく整理し保存することが大切。この整理保存の方法について何冊も本があるほど!

読書記録をつける。自らの学びを整理し、後に知識の出典にも当たりやすい。また古典だけでなくポピュラーまで広い範囲の読書幅を、大学側は望んでいる。

現在、ほとんどの大学でホームスクーラーが受け入れられている。スタンフォード大学のマガジンには、「ホームスクールをしてきた学生に、大学側が欲する『特別なマインド』を見出しつつある」などとも書かれている。
”It’s the spark, the passion that sets the truly exceptional student – the one driven to pursue
independent research and explore difficult concepts from a very early age – apart from your typical bright kids. Stanford wants students who have it. Looking very closely at homeschoolers is one way to get more of those special minds, the admission office have discovered.” 
“Homeschooled students may have potential advantage over others in this, since they have consciously chosen and pursued an independent course of study.” by Christine Foster

・大学側は、パッションを持っている学生が欲しい。取り組みへのパッションこそが、未来の技術開発への道を開いていくことに繋がると。



最大限の力を発揮できるのは、自分が自分の手綱を握り、パッションを注ぎ込んでいる時、子供達を見ていて本当にそう思います。

長い間の学校生活で染み付いた「させられている」という思い込みから、「自分がしている」へ。

ホームスクールをするかどうか未定ですが、パッションを呼び起こし継続させる習慣、それを身につけていってくれたら、そう思っています。



参考資料:

“The HomeScholar Guide To College Admission and Scholarships”by Lee Binz

“College- Prep homeschooling”by David P. Byers, Ph.D. and Chandra Byers

長女と私とピアノ、子育ての醍醐味の一つ

2014-03-15 23:59:17 | 子育て風景
ピアノの練習、毎晩長女の隣に座り、と続けている。ピアノの先生には、長女が弾く様子のあまりの違いに驚かれ、「やっぱり目を放すのが早すぎたんですよ」と。

以前はたまに練習、触ったとしても一人でささっと済ませる「練習でない練習」だったから、隣から直されたりあと五回!など声をかけられながら「しっかり練習」するのとはやはり随分と違う。

長女とのピアノ二人三脚が始まり、自分のピアノについて思い出している。

長女は三年生の時から始めたピアノを五年生が終わる頃に止め、そして中学に入ってどうしてももう一度習いたいと戻った。私自身、幼稚園の時から続けていたピアノを一旦小学高学年になって止め、中学生になってもう一度弾きたいと戻ったのだった。

それでも、私自身日々の練習がままならず、一年で止めることになる。弾きたいという気持ちはあるものの、思春期日常の様々なあれこれに翻弄され、練習どころではなくなってしまった。そして音域も広くなり、見慣れない音符が増えるにつれ、楽譜を読むのも億劫になっていき。

こちらは日本の私の子供時代のように「バイエル」などなく、初めから曲らしい曲を弾く。どこかで聞いたことのある民謡やクラシックやブルースなどをより簡単にアレンジしたものを習い初めから弾くことができ、なかなか楽しい。三年半ほど続けた長女だけれど、そんな練習過程の違いもあり、結構今のレベル程でも、何オクターブも上や下の音符が出てくる。

何だか私自身、ピアノを止めた地点から再び習い始めているような気持ちになっている。かつて投げ出した「見慣れない音符」を一緒に覚え、新しい曲に取り掛かった時のあの「億劫さ」を繰り返しの練習で超えていき。長女の練習が終わると、しばらく一人で残って弾いてみたりも。

私自身が「ここまで」と止まった壁を、今こうして一緒に乗り越えているかのよう。そして、ああそっか、毎日少しずつ繰り返すなら、乗り超えられるんだ、そう今更ながら実感し。自分にとって、一つの「ブレークスルー」を体験しているかのようです。


子育ての醍醐味の一つには、こうして「自分がつまづいた地点から再び足を踏み出す機会が与えられる」、というのがありますね


こつこつと向き合うことで、壁を越えていく感覚・喜び、こうしてピアノの練習を通し、長女に体験させてやりたい、そう思っています。

一つまた一つと壁を越え広がる「新しい景色」に、共に感動しつつ。

近況整理、年を経るごとに強く明るくたくましく

2014-03-09 09:59:14 | 今週の整理
1.金曜日から、一週間の春休み始まりました! 初日は早朝長男ジム送り迎え、朝ごはん食べて皆でボードゲームして部屋片付けて、昼から図書館にスケート。車の窓全開、春の空気を吸い込んで。来週一週間、ノンストップで賑やかです!



2.ホームページを作成しようと、取り組み始めているのですが、これがなかなか難しいんですね。「ホームページ作成・管理を請け負います」という業者の方がなぜ必要なのか、よく分かりました。時間がかかりそうですが、少しずつ整えていきます。



3.ひとまず何冊か本が届き、高校のホームスクールについて調べ中。今のところ本人かなりその気になっているのですが、夏休みの間、他州やアラスカ内でのサマーキャンプなどで留守にすることも多いけれど、実際試してみて、秋からどうするかを決めようと話してます。

 まだ本人も私もざっとしか目を通していないのですが、マジョリティーでない様々な道を模索してきた人々がいっぱいいるのだなと。こうした多様な道筋からの声にどんどん触れていきたいです。



4.「ドクター・スースの生誕を記念して朝食を食べましょう会」が毎年この時期小学校で。「緑の卵とハム」(この物語「Green Egg and Ham」はこちらではとても有名ですが、日本語訳されていないよう。ドクタースースの本は韻を踏んでいるものが多く、意味を訳しても独特の面白さが伝わらず難しそうですね)をいただき、ドクタースースの歌(アイラブドクタース~ス~)を歌って。

 以前ご近所でカープール(学校送り迎え分担)をしていた友人が、「Cat in the Hat」の猫のコスチュームを着て、子供達に話しかけて回り、ステージに立ってゲームをして下さる。

 いつどこで会ってもエネルギーの塊のような彼女、その前向きさにいつも学ばされる。彼女にとって、目の前の「問題」とは、「どう越えていくかを考え動くことでパワーアップする機会」のようなもの、これまで数年近くの彼女の歩みを見てきてつくづくそう思う。

 アートクラス、リーディングサマーキャンプ、ファミリーアルバム作りなど、子育て中の家族を対象とした様々なビジネスを続けてきた彼女、最近、ミッドタウンのモールの一角に、「子供が遊べるアートスタジオ」をオープンした。
 
 年を経るごとに強くたくましく明るく元気になって行く彼女の姿に、力をもらい励まされつつ。



5.世界中の民族紛争を調査し「リーダーシップ」「外交」「制度のデザイン」が平和を築く鍵だと活動を続ける人々、アフリカ大陸に科学・数学者を育てようと学校を建て運動する人々、ネパールの環境問題に無人飛行機を用いて取り組む人々、TEDを通し世界中の様々な問題に奔走する人々の姿やスピーチに触れ、そのスピリットに感動し。世界中にそうした活動を地道に続ける人々が、例え人目に触れることがなくとも無数にいる、それが大きな希望です。



6.週の半ば、長女が「ゴールデン・ナゲット・トライアスロン」に参加申し込み。お友達と出るのだそう。走る、泳ぐ、自転車こぐの全過程を個々人でするものの、友人とのチームとして、それぞれのベストタイムを合併して扱ってもらえるのだそう。

なんと、夜八時にオンライン・レジスターオープンして、千五百人女性のみのスポットが、 五分で一杯に! 毎年家族で参加のそのお友達によると、去年は二十分程で一杯だったと。年々参加希望者増えているんですねえ。

長女、八時前からお友達とテキスト交換しながらコンピューターの前で待機。送られてきた四台のコンピュータを並べて待機するお友達宅の画像を、「これ見て!」と興奮して見せてくれながら。

そのお友達、毎日一マイル走るというのをここ何年か続けているのですが、長女、五月の大会に向け、走って泳いでこれから準備です。(笑)

元々「母と娘のためのトライアスロン」として2003年に始まったこの「ゴールデン・ナゲット・トライアスロン」。「運動競技を通し女性と少女の人生を改善する」ことを目的としているのだそう。頼もしいアクティビティーに誘ってもらったこと、感謝です。



今日は、朝NPOに長男を降ろし、残り四人連れてロッククライミング場にて友人君の誕生日会。昼からは三女、クラスメート宅でスリープオーバー。夕方長男を迎えに行き、残り組みで散歩。明日は、家族で出かけ、春の日差しを満喫します!

皆様の一週間が素晴らしいものでありますように!

Have a wonderful week!



日常風景:

ファーランデブー祭の雪彫刻展示会へ下四人、友人と息子君二人と共に。


橋くぐる?


アニメのキャラクターなど。


ホットココアが無料で振舞われ、


熱い熱い!と叫ぶ子供達、

何しているかと思えば、


埋めて冷やし、


ストロー差して、飲む・・・。

通りかかった観光客がこの様子を写真に撮ってました。「アラスカの子供達はこうしてココアを飲む!」と語り伝えられるのでしょうか・・・。(笑)

その後、祭会場近くの小学校校庭にて、


おっとっと、


一斉にこぐ!


春休み前に、三女一年生クラスで学習発表会。


ヒトデに、


カニに。

かなり詳しい身体の部位まで習ったようです。

帰りに空を見上げ。

また明日から、頑張ろうね。


次男、Kちゃんとの午後。

ジャンプジム。


「ドクタースースの誕生記念朝食会」、廊下にはどのドクタースースの本が好きかという投票結果。

「ロレックスおじさんの秘密(The Rolex)」が一位!映画の効果もあるのでしょうね。

「緑の卵」だね。


猫な友人。

 

春休み初日。

次男に作ってやりつつ自分がかなり楽しむ長男。


スケート!

気がついたら椅子が・・・。

長男、「次男用」にと持参。

椅子ね、壊さないでねと、横からママ。


僕も押すね。



夜は焚き火しよう、と準備長男。



長女トライアスロン申し込み八時前。

お友達とわくわくな瞬間!

歯を失くしちゃった、親の成長

2014-03-09 09:57:05 | 子育てノート
「見て、あの顔」、助手席の長女に声をかける。歩道に沿って停めた車に向かって、三女が目を輝かせ満面の笑顔で走り寄ってくる。その姿に、長女と顔を見合わせ、ふふふと笑い。

車に乗り込むなり、「歯が抜けたんだよ~!」と叫ぶ三女。「今日ね、○○君にね、ぐらぐらなのって見せたらね、ひっぱりなよっていうから、ちょっとひっぱってみたらね、抜けたの!」

ここ最近、毎日のようにその「ぐらぐら度」を家族に見せて回っていた。やっと抜けた二本目の歯!とそれは嬉しそう。

ハイウェイに乗って、そのままピアノ・レッスンに向かう。兄姉弟一人一人に歯を見せ終わり、「歯の妖精」がその夜訪ねてくれるのを楽しみに、ティッシュに包んで。

一時間後レッスンが終わり、車を発車させようとすると、ごそごそと車の床に這いつくばっている三女。どうしたの? 歯をね、失くしちゃったの。どこにおいておいたの? ティッシュに包んでおいたんだけどね、どこかに落ちちゃったみたい・・・。しばらく兄姉が探すも、見つからず。ため息をつきながらうつむいて座席に座る。

歯を失くした!という出来事、これまでも何度か。袋に入れて皆に見せて歩き、そのままどこかに置き、誰かが捨ててしまったとか。ティッシュに包んでポケットに入れそのまま洗濯してしまったとか。誤って水道に流してしまい、泣き叫ぶ横で、夫が配水管をはずして管の曲線のところに運よく止まっていた「歯」を見つけたこともある。

この世の終わりのように泣き叫んだのを覚えている姉達、ちらちらと三女の様子を見ながら、私の方を向き「あーあ」という表情をする。

家も近くなり、黙ってうつむいていた三女が顔を上げ、「歯の妖精さん、お手紙書いたら分かってくれるかなあ」と。「そうそう、絶対見てくれるよ! 私もしたことあるもの!」すかさず答える姉達。

帰宅した途端、ガレージから家の中に駆け込み、お手紙を書く三女。

歯の妖精さんへ、車の中で歯を失くしちゃいました。

手に持っていた歯が床へ、の図。

その夜、枕の下に、お手紙を入れて眠り。朝、手紙の間に挟んであったコインを見つけ、大はしゃぎ。



今回のことでも思ったのは、子供によって同じような物事に対しても反応の仕方が本当に様々だということ。三女は普段からどちらかというとおっとりほんわりしていて、こういった時にも、「困ったなあ」という様子で一人ごそごと動き、「お手紙書こうかなあ」とぽつり言ったり。一方、「これで全てが終わりました」という様子で荒れ狂い悶え泣き叫ぶ子もいる。

三女のような場合は、その健気に見える姿に、自然と周りにも微笑みが生まれもする。そして後者のような場合は、周り緊張走り身体強張り、振り回されへとへとになることもある。そんな体験が積み重ねられ、その子に対する周りの印象のようなものもできていく。

親として気をつけたいのは、その都度リセットし、どちらにも同じ深さのケアと愛情を意識してかけ続けるということ。意識せずとも愛情たっぷりの微笑がこぼれる相手もいれば、自身の内に潜り、積み重なった塊を取っ払うことで、溢れんばかりの愛情が流れ出す場合もある。

そして、そうコンスタントに自身の内に潜るチャレンジを与えてくれる子ほど、親を、親として人として成長させる存在はない。そうしみじみ思います。


子供達一人一人の、泣き顔に、怒り顔に、笑い顔に、感謝しつつ。

努力の方向を見直す

2014-03-09 09:56:07 | 子育てノート
才能や能力は生まれ持ったもので変えることはできないと考える「固定型マインドセット」

才能や能力は努力の継続によって伸ばしていけると考える「成長型マインドセット」


こちら米国では、心理学者Dwek氏の研究を基に、近年、「成長型マインドセット」こそが、子供達を伸ばす鍵だと、学校現場でも目指されている。


それでも言ってみれば、「成長型マインドセット」というのは、アジア諸国では、より行き渡った当たり前とも思われる考え方ではないだろうか。努力すればできるはず、努力してないからできないのよ、そう親は、子供たちの背中を小さな頃から押し続ける。「できる子」を見れば、こちらなら、「与えられたギフトね」で終わってしまうことも、アジア諸国では、「あなたにもできるはずよ」と、叱咤する機会になるのではないだろうか。

アジア諸国では、才能や能力は生まれ持ったものだから、努力したってそうそう変わりはしないよといった「固定型マインドセット」は、そう一般的ではない。

特に東アジアでは、努力と継続こそが成功への鍵だと信じられているという研究もある。 (Chen and Stevenson 1995) だからアジア諸国の子供達は、アカデミック面でも高い結果を出すのだと。




それでは、なぜアジア諸国の子供達が、皆やる気満々で学校が大好き!とはならないのだろう? 「成長型マインドセット」が行き渡るならば、子供達は生き生きと自分の能力を伸ばすことにやる気を持つだろうと、こちら米国の研究者が予想するように。

それは、アジア諸国の「努力の方向性」に、決定的な違いがあるためだと思い当たる。

アジア諸国では、「努力するならより『彼ら』になれる」

一方こちらで理想として目指されるのは、「努力するならより『自分』になれる」

だからいくら努力しても苦しくてしょうがない。必死で「彼ら」になろうとする空しさ。



アジアでは、「努力して成長できる」よりも、「努力してより『自分』に成長できる」が強調されていく必要があるのではないだろうか。



参考資料:

“The right mindset: How a child's theory of intelligence can change the way she learns”http://www.parentingscience.com/theory-of-intelligence.html

Dweck CS 2006. Mindset: The new psychology of success. New York: Random House.

Chen C and Stevenson HW. 1995. Motivation and mathematics achievement: a comparative study of Asian-American, Caucasian-American, and east Asian high school students. Child Development 66(4):1214-34.

「四つの子育てスタイル」

2014-03-09 09:55:07 | 子育てノート
子育てについて様々調べる中で、押さえておきたいポイントなど、少しずつまとめていきます。


心理学では、子育てのスタイルには主に四つあるとされています。

1.Authoritarian (独裁・権威主義タイプ)
2.Permissive   (消極・受身タイプ)
3.Authoritative (権威ありつつ信頼できるタイプ)
4.Uninvolved   (無関心タイプ)

1は、子供に有無を言わせず従わせるスタイル。従わない場合は罰を持って接する。

2は、子供の意向中心に物事を進める受身スタイル。リミットを設定し守らせることに消極的。それでも温かみがあり子供の感情的ニーズを包み込む。

3は、子供の意向を尊重しつつも、リミットを設定し、ルールの理由を示し、子供の感情的ニーズにも責任を持って接するスタイル。
4は、衣食住の供給といった最低限のニーズを満たすものの、リミットの設定にも感情的ニーズにも無関心スタイル。


そして、世界中様々な地域での研究を通し、少しの例外はあるものの、普遍的に「3」のスタイルが、子供の能力や感情面を最も健やかに育てることができるという結果が報告されている。
(元々は、心理学者Baumrind 氏が米国白人家庭の調査を通し1966年にまとめた1-3に、1983年にMaccoby氏と Martin氏が4を付け加え、その後、世界中様々な地域での研究が続けられている。)

また、片親のみが「3」のスタイルであっても、全く「3」のスタイルが取られない場合よりも大きく違ってくるとされる。



1,2,4のスタイルで育った子供達には、以下のような特徴が指摘される。

1は、行儀良くいい子に見えるけれど、社会的なスキルが欠けていたり、不安感、鬱、自己評価の低さに悩むことが多い。

2は、不安感や鬱なども少なく、自己評価も高い傾向にあるけれど、様々な誘惑に負け易く、何かを成し遂げるということが難しい。

4は、あらゆる面に凹みが見られる。非行に走る子供の多くが、4のスタイルの家庭で育っている。



3の「権威ありつつ信頼できるタイプ」とは、1と2の間でバランスを取りつつ、見出す着地点でもある。子育てを通しつくづく思うのは、まさしく「条件に従うようにさせる」と「無条件に受け入れる」との「バランスが鍵」だということ。

1と2の間を揺れながら、その場その時の最善に思われる着地点を見つけていく。そんな時、3の「権威ありつつ信頼できるタイプ」として挙げられる項目をより具体的に見ていくことで、その着地点がどういったものかというヒントにもなる。

・何かをするよう尋ねる前に、子供の望みや感覚感情を考慮する。

・子供に自身の感覚感情について話すよう励ます。

・子供が恐がっていたり動揺していたら助ける。

・何かをして欲しい場合はその理由を示す。

・親とは異なっているとしても、子供の意見を尊重し、子供が子供自身の意見を表すことを励ます。

・頼んで同意したことを途中やりのままにさせない。

・親の望みを満たすために「報酬」を与えることをしない。

・怒りの感情をぶつけない。

・「愛情を減らす」というかたちの罰を与えない。


完璧なバランスとはいかずとも、1と2のバランスを取りつつ、3を心に留め子供に接することで、随分と違ってくると感じています。



メモ:

・一つ興味深い研究に、ヒスパニック文化についての最近(2009年)のものがある。2の「消極・受身タイプ」が、3の「権威ありつつ信頼できるタイプ」と同じように、子供達に良い結果をもたらすというもの。

 これについては、調査においてどんな 「権威ありつつ信頼できるタイプ」の定義が用いられたかによって、結果も異なってくるといった意見もあるけれど、周りのヒスパニックの人々を見ていても少し頷ける部分がある。

 理性的で自己主張の強い欧米の子供達に比べ、どちらかというと情緒的なヒスパニックの子には、リミットを設け、理性的に説明してというよりも、感情面を包み込むことにより重きをおくことで、うまく育っていくという面もあるかもしれない。

そして、これは日本についても、当てはまる面があるのではないかと思う。


・一昔の前の日本では、1の「独裁・権威主義タイプ」を父親が、2の「消極・受身タイプ」を母親が受け持つことで、ある意味バランスがとれていたともいえるかもしれない。それでも、ジェンダーそして家族のあり方も変わりつつあり、これからは父であろうが母であろうが、個々人がバランスを心がけていくのが大切だろう。



  
参考資料:
Baumrind, D. (1966). Effects of Authoritative Parental Control on Child Behavior, Child Development, 37(4), 887-907.

Maccoby, EE and Martin, JA. (1983). Socialization in the context of the family: Parent–child interaction. In P Mussen and EM Hetherington,editors, Handbook of Child Psychology, volume IV: Socialization, personality, and social development, chapter 1, pages 1–101. New York: Wiley, 4th edition

”Parenting styles: A guide for the science-minded” 
by Gwen Dewar, Ph.D.,

http://www.parentingscience.com/parenting-styles.html

García F and Gracia E. 2009. Is always authoritative the optimum parenting style? Evidence from Spanish families. Adolescence. 44(173):101-31.

「もっと野を駆け回り、星を見つめて」Diana Loomansの詩

2014-03-09 09:54:07 | 引用
作家でスピーカーのDiana Loomans氏の詩、訳してみました。
子育てをしながら、思い出したいこと。

If I had my child to raise over again,
I'd finger paint more, and point the finger less.
I'd do less correcting, and more connecting.
I'd take my eyes off my watch, and watch with my eyes.
I would care to know less, and know to care more.
I'd take more hikes and fly more kites.
I'd stop playing serious, and seriously play.
I'd run through more fields, and gaze at more stars.
I'd do more hugging, and less tugging.
I would be firm less often, and affirm much more.
I'd build self-esteem first, and the house later.
I'd teach less about the love of power,
And more about the power of love.
It matters not whether my child is big or small,
From this day forth, I'll cherish it all.

by Diana Loomans


もし もう一度初めから子育てをやり直すことができたなら・・・


指をさして注意してばかりでなく
その指を一緒にお絵かきすることに使うでしょう

間違いを正す(correction)よりも 
もっと繋がりを持つ(connection)ようにするでしょう

時計から目を離し
その目をあなたを見ることに使うでしょう

知るということを思いやるよりも
思いやるということを知ろうとするでしょう

もっと一緒にハイキングして、もっと一緒に凧を飛ばして

真面目であるという遊びをやめて
真面目に遊ぶでしょう

もっと野原を駆け回り もっと星を見つめて

引っ張る(tugging)のではなく
もっと抱きしめる(hugging)でしょう

頑なである(firm)代わりに
もっと肯定的(affirm)になるでしょう

あなたの自信を築くのが先で
家を築くのは後でいいのです

力を愛することより
愛の力についてもっと話すでしょう


あなたが大きかろうが小さかろうが 関係なく

今日というこの日から これらのことを大切に抱いていきたい

長男と二人の時間

2014-03-08 23:59:48 | 子育て風景
いつもは子供達が課題に取り組んでいても、私は十時過ぎには寝る。それでも学期も終わりに近づき、山盛りの課題にここ連日家族の中でも「最後にベッドへ」の長男、この夜は何だか珍しく、傍にいて欲しそうで。

どうも、長女のピアノ練習に付き合って隣に座り、あと何日でこの曲弾けるようにしよう! などと結構盛り上がっているここ最近の様子を隣の部屋で聞きながら(ピアノは長男の部屋のすぐ横に)、そんな気持ちにもなったよう。十四歳男の子でもそういうこともあるんだなあと新鮮に思いつつ、ネットサーチを手伝ってやり。

「八年生になって手伝ってくれるのって始めてだよね」と。七年生の時は、月に一度ほどのボキャブラリーテストの前日に、問題を出してやるというのを担当していた。周りには、課題宿題など、本格的に手伝う親御さんも多いと聞く。こちらは塾というものが一般的ではないので、家で親が教える担当になっている場合もあるよう。


・システム内での熱の移動におけるエネルギー変化について説明しなさい。三つの伝熱機構について説明しなさい。

七つの主なエネルギー変化の一つThermal エネルギーの変化の説明、Conduction, Convection, Radiationの三つの伝熱機構について話し合い。

・雪だるまに一つは服を着せ、もう一つは裸で、気温が上がるとどうなるか、気温が下がるとどうなるか、この雪だるまの服を家の構造に喩えると何か?

服は熱を保つ役割を果たすから、熱を発する人が身につければ暖かいままだけれど、雪だるまなら冷たいままで解けにくいよね。でも服の色や材質や太陽の日差しの強さでまた変わってくるよね、などと話し合いながら。氷を布で包んだものと包まないものを室温に出して真夜中の実験してみたり(やっぱり包んだ方が解けない)。


こういった熱についての課題が三ページほど、上の一ページ分話し合い、あとは「家の構造で屋根裏というのは熱をどうする役割があるのかネットサーチしてみて」など頼まれたらサーチし、私自身の興味課題について読んだり調べたりもしながら、何時の間にかソファでうとうとし始めたところ(毎朝四時過ぎ起きなので、こうしたちょっとの「超過」時間結構きつい)、隣で「できた!」と。

ハグして、お休みと寝室へ。ベッドに倒れこむ。


長男との久しぶりな二人の時間、目しょぼしょぼだったけれど、「熱く」楽しい時でした。

近況整理、休みになったら戻ってきてさ

2014-03-02 06:14:15 | 今週の整理
1.週の半ばは日中五度近くまで気温上昇! ぽっかぽか日差しにスケート。さすがに氷表面も溶け始め。水の浅い人工リンクだったので、「落ちる」心配はなかったのですが、大人の体重だと表面が削れてけつまづく。軽い子供達のみ、す~いすい。



2.四歳次男がやけに静かなので、台所から居間を覗いてみると、足の指の間の掃除に夢中。彼はこの指の間に見つける「もの」を、「ブジー」と呼んでいる。「なんでブジーなの?」「何となくブジー」なのだそう。この日の「ブジー」は、靴下の繊維やほこりや。

私自身小さな時、時々掃除したのを覚えている。砂がきらきらしてたりして。ブジーと名付けはしなかったけれど。(笑)



3.「視覚空間的学習者」の傾向を見る質問項目をプリントアウトしておいたら、十歳次女が、いつの間にか一つづつマークをつけていた。「人の気持ちが分かりますか?」の項目、「NO」のところにマーク。

「例えばさ、悲しんでたり、喜んでたり、そんなお友達の気持ちって何となく分からない?」と聞いてみる。すると、「表面的なことはね、表情や仕草を見れば分かるよ。でもね、その子が泣きながらも本当は怒ってるとか、笑いながらも本当は悲しんでいるとか、静かにうつむいていても実は苦しんでいるんだとか、そういったことがどうしたら分かるっていうの?」



4.昨日は友人宅に二時間ほどお呼ばれ。子供達を遊ばせながら、久しぶりにお茶の時間。アラスカの冬は暗くて本当に永遠に続くかのように長くて。故郷を遠く離れての子育て生活、沈んでしまうこともあるもの。どうやってその沈み込んだ穴から出る? というような話に。

 長い子育て生活を振り返り、何とか走り抜けてこられたのも、やっぱり一緒にこうして子供達を遊ばせられる気の置けない友人達の存在が大きい。あと身体を動かすこと、子供達と友人達と一緒に走り回る。子供が小さな時分は、確かにトイレに行く時間もままならないことがあるけれど、それも一時のこと。少しずつ、少しずつ、楽になっていくから、そんな言葉を掛け合って。



5.週の半ば、次女を昼から目医者に連れて行くため、担任に「早引きします」とメールを送ったところ、すぐに返信。いつもニュースレターやメールの最後に、様々な引用文を載せてくださる先生なのですが、今回も Thank you for the FYI, Machika! :-) の後に、こんな言葉が添えられてありました。

"How people treat you is their karma; how you react is yours." - Wayne Dye
人々があなたをどう扱うかは彼らのカルマです。あなたがどう反応するかはあなたのカルマなのです。


私はこのWayne Dyer氏の「There's a Spiritual Solution to Every Problem(どんな問題にもスピリッチュアルな解決法がある)」という著書に、どん底に苦しい時に救われたことがあります。公立の学校で、こういった言葉を交わせられるなんてと、少し驚きました。この言葉、覚えておきます。



6.最近長男もTEDをちょこちょこと見ているよう。寝たきりや、身体が思うように動かないなどの障害を持つ人々に、科学技術がどれほど希望を与えられるかという内容のクリップ、心に響いたようです。「ヘンリー・エヴァンズ&チャド・ジェンキンス: 人類のためのロボットを」



7.次男が組み立てたばかりのレゴの飛行機を手に、ぶ~んぶ~んと居間を走り回っている。ソファに座り学校の課題書から顔を上げ、眺める長男十四歳。隣で次女の宿題を見ている私の方を向いて、言う。

○○(次男)が今の僕の年くらいになる頃にはさ、僕は多分家を出ているだろうけれど、冬休みや春休みに戻ってきて、色々なところに連れて行ってやるんだ。映画館やカフェやね。服なんかも買ってやってさ、僕のお金でね。

十歳違いの兄と弟。次男幸せ、そして、そんな気持ちを体験できた長男も、幸せです。




今日は朝から長男長女はNPO。迎えに行き、今週末で最後の「ファーランデブー」祭を覗いてきます。明日は、課題宿題、そして友人家族と春の日差しを楽しみます!

皆様の一週間が素晴らしいものでありますように!

Have a wonderful week!



日常風景:

リンクまで、這って。よいしょよいしょ、


ふ~。正座。


さてと、


きもち~。


リンクの真ん中で遊ぶ。


よしっ、また滑るぞ。


あったか帽子かぶろうね。



昨日は、パビリオンでs君と走り回り。

おにぎり休憩。

友人宅へ。


子供用テーブルも用意してくださる。


いいなあ。




友人家族と散歩。

湖へ!


寝転び、


その周りを、

きゃ~、


ひゃ~、


チキンスープで暖まる。





十二歳長女もサイエンスプロジェクト!

異なる物質を用いた吸熱反応、発熱反応の実験だそう。

長女の診断を前に

2014-03-02 06:12:55 | 子育てノート
十二歳長女、四年ほど前気管支炎になり、吸入器にお世話になったことがあるのだけれど、それ以来、時々痰がからまったような軽い咳をすることがある。全く出ない日も多いけれど、一時間おきほどの日も。より重い症状のある夫が、「ハウスダスト・アレルギー」と診断され、「アレルゲン免疫療法」を始めてからすっかり症状がなくなったので、試しにと、アレルギー検査に出かけた。

医師助手(Physician Assistant)という男性が、診察して下さる。長女の胸と背中の音を聞き、その後受付のお姉さんが、肺活量を調べて下さる。

お姉さん:これ口にくわえて、吸って吐いてを繰り返して。
長女:深い呼吸? 
お姉さん:そうねこれくらいかな、ふ~。(実際に吐いて示してくださる)
(真似をする長女)
お姉さん:次はこうやっては~って。
長女:それは強く吐き出すということ? 
お姉さん:そうそう強くね。
長女:長くということでもありますか? 強く短く?
お姉さん:う~ん強くね。
(は~と長女)
お姉さん:じゃあ次はこんな感じで、ふ~、できるだけ長くもうこれ以上吐けないと出しきったところまで。
長女:弱くてもいいから長くということですか?
お姉さん:そう、長くね。
(ふ~と長女)
お姉さん:じゃあ初めからもう一回繰り返してみようか。

隣でお姉さんと長女のやりとり見ていて、わ、分かりくい・・・と思わずつぶやく私。

診察室に戻ると、医師助手の男性が、不快な症状を一から五までのスケールで表してね、と様々な質問。咳で診察に来たのだから、この不快度は高いだろうねえ、胸の辺りに痛み感じることあるでしょ? 苦しくなったりすることもあるに違いないね。長女、「そういえば、この前、そういう風に感じることもあったように思う。」

そして長女の顔をじっと見つめて、「君はね、喘息なんだよ」と。さっき聴診器をあてた時も、かなりぜーぜーという音(wheezing)が聞こえたしね。(そう言いながら受付のお姉さんがしてくださった肺活量の結果に目を通す)ああ!なんて数値だ! 今すぐ吸入器を出すからね。まずは、このぜーぜーを取り去るために、一日四回吸入器を使って下さい、念のため胸のレントゲンを一週間以内に撮ってくださいね。まあレントゲンは念のためであって、引っかかることはないと思いますけど。あとレスキュー吸入器というのも出しますから。呼吸困難に陥ったら用いてください。一週間して肺の雑音がきれいになったら、アレルギーがあるか調べてみましょう。

「一日四回」と書かれた吸入器とレントゲンを撮るための紹介状を持って車に。長女、「私喘息だったんだねえ」とぽつり。「近いし、予約なしでOKだって言ってたし、レントゲン今撮りに行こうよ」と。

う~ん、ママね、しっくりこない・・・。肺活量検査のややこしさ、四年前気管支炎になった時、最後の手段といった様子でかかりつけの小児科医が吸入器を出して下さったこと。楽になったら止めていいからねと。そんな話をしつつ、この医師助手の指示に従う前に、かかりつけの小児科に相談してみようということで同意。

帰宅し、長女の話を聞いた長男、「その人に今日『喘息』と言われなかったら、きっと自分が喘息だなんて一生気がつかなかっただろうね」と。そう、それほど喘息らしくない喘息。



翌日、小児科医へ。かかりつけの小児科医と同じ小児科グループの医師、前日いただいた吸入器を見て一言、「これは慢性喘息の薬です。例え喘息であっても、私だったら初めからこんなものは出しません。あなたがこれを娘さんに与えなくて、本当によかったです」と。四年前の気管支炎以来、吸入器を使ったこともないこと、それ以来風邪をひいてもそこまで重くなったことはないこと、時々少し痰絡み咳以外は、毎日スポーツもし、いたって元気に過ごしていることなど確認し、胸と背中に聴診器。「何のぜーぜーといった音も聞こえませんよ」

この女医さん、持参した吸入器、ゴミ箱に投げ捨てたあああ~! 

そして私の方へ振り返り、「同意しますか?」と。大きく頷く私。

鼻や喉も調べ、「何の薬もいりません」ときっぱり。

そして、様子を見守り、もし不快感がひどくなるようなら、また診察に来てくださいね、アレルギーテストを受けてみるといいですよと。

最後、「さあ、よかったわね、思いっきり週末楽しむのよ!」と長女の背中を叩き、診察室から送り出してくださった。



これほど極端な見解の違いもすごいことですが、「何だかおかしいな」と思ったら、二度三度意見を聞いて回ることの大切さを、身にしみて思いました。



印象的だったのは、

その医師助手の診察室、日本人形や中国の置物や、オリエンタルなものがたくさん置かれていて、場所も「ウェルネスセンター」というような名前で、西洋医学バリバリとはまた違う対処局所でないホーリスティックなアプローチを目指しているようでもあり。また評判もいいようで、医師二人もいるそのセンターの待合室は満員、実際、夫もその男性による「アレルゲン免疫療法」で、症状が消えたのです。

一方この小児科医は、こちらの一般的な医者、それでもいつも薬をほとんど出さず、「自然治癒力」の力を最大限用いたいという姿勢。

「バイアス」を脱ぎ捨てて、その時その場の「より本当のこと」を見つめていけたらなと思わされました。





その後、長女本人が、女医さんの「全く問題なし」というのにはどうしても同意できない、やっぱり不快感があるので、第三の意見が聞きたいと。

そこで「アレルギーセンター」に連絡すると、予約を取るには「小児科医の紹介」が必要ということで、再びかかりつけの小児科グループへ。今度はまた別の女医さんが診て下さった。

聴診器をあて、「少しぜーぜー聞こえますね」と。

ということで、「アレルギーセンター」に診てもらうまでには多分二ヶ月近く待つことになるだろうから、その間にもし不快感が強くなったら使ってくださいねと、吸入器(慢性喘息用とはまた違う種類のもの)を出して下さった。そして、鼻の通りをよくするために、薬局などで購入できる鼻スプレーもいいですよと勧めて下さった。



私喘息だったんだ、から、私喘息なんかじゃなかったへと一日でがらりと変わり、それでも何だか不快感はあるしと再び診てもらうと、再び吸入器をいただき。長女もたった数日間でのこの診断の移り変わり様に、衝撃を受けてました。将来、彼女本人や彼女の子供や身の回りの人々が様々な診断を前にした時、どう動いていったらいいのか、学ぶ機会になったかなと思ってます。



周りの喘息持ちの方に聞いたり、少し調べてみると、喘息の軽いものや、咳喘息といわれるものは、本人も周りも気づかないまま過ごす場合も多いとのこと。それでも徐々に重くなり肺に負担がかかり過ぎる前に、しっかり治しておいた方がいいという意見も。また夫の例のように、アレルゲンを薄めたものを身体に取り入れ抗体を作るよう働きかける「免疫治療」で、すっかり喘息のような症状がなくなることもあり。

また遺伝が大きいというのも定説のようです。夫の家系には喘息持ちが何人か。

またアレルギーについては、片親がアレルギー持ちだと50パーセント、両親だと75パーセントの確率で子供にアレルギーが出る、また何らかのアレルギーを持っている人は、目の下に「くま」が出易いというようなことを、最初の医師助手の方がおっしゃってました。夫も私も軽いアレルギー持ち。


念のためにと出していただいた吸入器は、今のところ使うことはなさそうですが、四月終わりの「アレルギーセンター」での診察まで、様子を見守っていきます!

「人には二種類あります」ケン・ロビンソン氏

2014-03-02 06:12:40 | 子育てノート
クリエイターであり教育学者でもあるケン・ロビンソン氏は、「人には二種類ある」と言います。

1.今取り組んでいることを楽しんでおらず週末を待ち望んでいる人

2.今取り組んでいることを楽しんでいる人


そして、教育のあり方が、大多数である1の人々を生み出していると。一人一人の心の底からの情熱と、取り組みとが繋がる時、社会は変わる。それには、教育のあり方が変わる必要があると。



氏の描く「教育のあり方」の根幹とは、

1.幅の広いカリキュラム、学習過程の個別化による多様性の促進
 
2.創造的な教え方を通した好奇心の促進。それには高度な質を持つ教師の育成が不可欠。

3.統一テストなどが重視されることのない、オールタナティブな演繹的プロセスを通し、子供達の創造性を呼び起こすこと。



以下は、学校教育に対して私自身が思っていることを、まさに言葉にしてくれていると感じるスピーチです。

ケン・ロビンソン卿: 教育に革命を!

ケン・ロビンソン「学校教育は創造性を殺してしまっている」


教育とは、オーガニックなシステムであり、メカニカルなシステムではないと氏。

とても納得。

では、実際に今この日常で何をしていけば? それを見つめていきたいです。





参考資料:

以上の二つのテッドスピーチの他に、

Ken Robinson - Wikipedia

"Finding Your Element" by Ken Robinson



学習方法の違い、より伸ばしていくために

2014-03-02 06:12:15 | 子育てノート
学習の仕方の違いに、Auditory Sequential Learner(聴覚継次的学習者)とVisual Spatial Leaner(視覚空間的学習者)という分類がある。

以下、聴覚継次的学習者をASL、視覚空間的学習者をVSLと略します。

ASLは、ステップに順次沿い、主に言葉により学ぶ。一般的学校での伝統的な学習方法で、花開くタイプ。

VSLは、ホーリスティック(全体的)に、主にイメージ・絵・図によって学ぶ。伝統的学習方法には、フィットしない場合がある。

特に強い特徴を表すASLは全体の23パーセントほど、特に強い特徴を表すVSLは、30パーセント程という統計がある。


以下両者の具体的特徴について:

AUDITORY-SEQUENTIAL      VISUAL-SPATIAL
Thinks primarily in words             Thinks primarily in pictures
Has auditory strengths                Has visual strengths
Relates well to time                 Relates well to space
Is a step-by-step learner              Is a whole-part learner
Learns by trial and error              Learns concepts all at once
Progresses sequentially from easy        Learns complex concepts easily;
 to difficult material                struggles with easy skills
Is an analytical thinker               Is a good synthesizer
Attends well to details             Sees the big picture; may miss details
Follows oral directions well               Reads maps well
Does well at arithmetic              Is better at math reasoning
                               than computation
Learns phonics easily                 Learns whole words easily
Can sound out spelling words          Must visualize words to spell them
Can write quickly and neatly           Prefers keyboarding to writing
Is well-organized                 Creates unique methods of organization
Can show steps of work easily             Arrives at correct
                               solutions intuitively
Excels at rote memorization          Learns best by seeing relationships
Has good auditory short-term memory      Has good long-term visual memory
May need some repetition             Learns concepts permanently;
  to reinforce learning               is turned off by drill and repetition
Learns well from instruction          Develops own methods of problem solving
Learns in spite of emotional reactions      Is very sensitive to teachers’ attitudes
Is comfortable with one right answer       Generates unusual solutions to problems
Develops fairly evenly                 Develops quite asynchronously
Usually maintains high grades             May have very uneven grades
Enjoys algebra and chemistry              Enjoys geometry and physics
Learns languages in class            Masters other languages through immersion
Is academically talented              Is creatively, mechanically,
                               emotionally, or technologically gifted
Is an early bloomer                     Is a late bloomer



まず、こういった分類を前にいつも思うのは、「そうでもあるけどそうでもないし」や「こちらもあちらも当てはまる」という箇所が必ずあるということ。「千差万別の人」を、紋切り型に分類する方が、元々無理があるのだろう。

私自身は、こうした分類は、特に子供が小さな時分は、本人に知らせないようにしている。「自分はこうだ」という思いが、可能性を狭めることにならないように。

子供が小さな内は、その子になるべく合った環境を整えるための参考として、活用できる部分は活用していけたら。それでも中学生くらいにもなると、本人が自分の「強み・弱み」を自覚し、意識的に調整するために活用することもできると感じている。強い部分をより深め、弱い部分により注意努力を払うための参考として。

長男はASLの特徴もところどころあるけれど、VSLの特徴を強く持っている。小さな頃からとにかく「組み立てる」のが大好き。目の前のもの何もかもが、組み立てる部品に変わっていった。機器を見れば、どうしてそうなるのか知りたくて分解したがる。文章の読解や複雑なコンセプトを理解するのは得意だけれど、スペルミスや計算ミス多発。ドリルや繰り返し練習を極端に嫌う。突拍子もないアイデアが頭を駆け巡っている。人の態度や表情に敏感。教室内に座って学習よりも、外に出て様々な体験を通し、繋がりや文脈のある「イマージョン的」環境でより伸びていくように感じる。「遅咲き」というのも納得してしまう。

長女は、VSLもあるけれど、どちらかというとASLかなといった様子。ある意味満遍なくバランスよく、一般的教室設定の中でも伸びていけるように感じる。


ちなみにVSLの適職としては、 芸術系、建築、エンジニア系、物理、航空学、ビジネス、コンピューター・プログラミングなどが挙げられる。コンピュータに関わる仕事がますます増える将来、VSL的才能がより必要とされるとも言われる。




 今の一般的学校教育はASL向けのものと言われている。言語重視で、時間軸に沿い、簡単なものからより難しく複雑なものへと順次習っていく。VSLは単に「できない子」と見なされることも多いという。


 画一的な教え方で一斉に何十人にも向かって働きかけ、この子はできるできないと振り分けるのではなく、一人一人が「より学べる方法」にフォーカスしたフレキシブルな教育環境が目指されて欲しい。

五人個性様々な子供を育てつつ、そう実感しています。
              

参考資料:

"The Visual Spatial Learner" by Linda K.Silverman, Ph.D., and Jeffrey N. Freed M.A.T.
http://www.dyslexia.com/library/silver1.htm

"The Right Tool for the Job"
by Alexandra Shires Golon http://www.visualspatial.org/files/rttool.pdf

"It Takes One to Know One:
Counseling Needs of, and Suggestions for, Visual-Spatial Learners"
by Michael Davis
http://www.visualspatial.org/files/michael.pdf

Gifted Development Center http://www.gifteddevelopment.com/Visual_Spatial_Learner/vsl.htm

「一人ではまだ大変なんですよ」

2014-03-02 06:10:24 | 子育てノート
夏、ピアノをまた始めたいと言い出した十二歳長女。これから毎日練習できるようだったら考えてみようねと言ったところ、一ヶ月程毎日のように練習し、何とか一年半前にやめたレベルまで戻し。そこでレッスンを秋から再び始めたのだけれど、中学生活、蓋を開けてみれば、宿題課題プロジェクト盛りだくさん、その上運動部も二ヶ月ごとにあれこれ続け、ダンスもありと、夏休みとは打って変わり、なかなか練習時間が取れない。

 いつしか優先順位の下の下になっていったピアノの練習。リサイタルなどで気持ちが盛り上がり、よしっとしばらくコンスタントに練習してみるものの、再び日常の嵐の中で、「他事」が上に積み重なっていく。

 傍から見ていても、普段の睡眠時間を過ぎてまで、ピアノの練習時間を盛り込むのはなあという日も多く、たっぷり時間がありそうなときだけ、「ピアノは?」と思い出させるなどしてきた。



 今週のピアノレッスン、クロスカントリースキーの試合に向けての練習で長女は休み。三女のレッスンが終わり、先生とお話しする機会があった。

 何とか将来的に長女にコンピティションに出る機会をもたせてあげたい。長女はピアノを始めたのも遅く、今まで三年半ほどしかしてないので、幼い頃からしている子のようなハイレベルのものに出ることはできないけれど、それでも、もししっかり練習するのなら、高校生くらいになった頃、また違ったレベルのものへ出られるチャンスもある。それには、今が踏ん張りどころ。今頑張るか頑張るないかが、最後の分かれ目。

 そして、「いくら中学生といっても、まだまだ子供。一人で計画立てて毎日しっかり練習というのは、特に他の事で忙しい場合は、やっぱり、一人ではとても難しいことなんですよ」

 何年もの間、何百人もの親子を見てこられた先生、流石だと思った。長女に対して、「全くの本人任せ」という我が家の親子関係が、すっかり見て取られている。長女には生活から勉強面からほとんど口を出すことのない私、ピアノの練習も、長女の普段の「他の事への頑張り」から、まあしょうがないかなと思うようになっていた。

 毎日最低三十分でもピアノの前に座る、そして中学生になったとしても隣から「もう五度弾いてみて、そこのリズムを直してみよう」など声をかけつつ、一緒に座る習慣を保ってみること、それで随分変わりますよと。

 家に帰り、二人で話し合ってみますとお伝えし、レッスンを後にした。先生のおっしゃることが本当によく分かった。小学中学年の頃は必ず隣に座っていたものの、大きくなるにつれ、全くノータッチに。「まだ大人として扱うには早いんですよ」という言葉に、はっと目が覚めたような気分だった。




 長女の部屋で、ドアを閉め、二人で話し合ってみた。ピアノをどうしていきたいか。今が踏ん張りどころと先生がおっしゃっていること。そして、もしあなたが頑張りたいという気持ちがあるのなら、ママがまだあなたが小さかった頃みたいに、隣に座って一緒に練習してみようと思うと。

 黙って壁を見つめる長女。「まだまだ一人では大変なんですよ」という先生の言葉を伝えた時の、長女の表情が、私の心に突き刺さった。ほっと力が抜けた微笑。ああ長女も、そう感じていたんだなあ。

 
 その夜、何年ぶりかに二人で座って練習。ふざけておどけてはしゃぐ長女、四十分があっという間に過ぎた。そういえば、こうして二人だけの時間というのさえ、久しぶりだったかもしれない。練習が終わり、しばらくして「ありがとうママ」と。そして寝るまでの間中、ハイテンションで冗談を言いはしゃいでいた。その一つ一つの仕草が、嬉しく、そして切なく。

ピアノの練習を、毎晩の二人だけの時間としよう。

先生の言葉を、手のかかからない長女の全般にわたって、覚えておこう。



稲妻のような瞬間を、心に刻んでくださった先生に、感謝を込めて。

六歳三女サイエンスプロジェクト発表

2014-03-02 06:09:29 | 出来事や雑感や (行事)
温度と風船の実験内容をまとめ、


前夜は兄、姉、友人家族の前で練習。


いよいよ教室で発表!



一通りの説明が終わると、先生、では皆立ち上がって、分子になってみましょう!

空気が暖まると?

教室中動き回る子供達。


空気が冷えると?

一箇所に固まる子供達。


何度か繰り返して。

さすがだなあ、先生。


質問の時間。

一年生、話題があちらこちらにとんで、面白かったです。(笑)

空気の成分は何ですか? 
どうしてこの実験を選んだの?
水素結合っていうのはね、(詳しく説明を始め、先生に止められる男の子)
この教室に分子はいくつある?
僕の実験はね、(詳しく説明を始め、先生に止められる男の子)
ボードの文字の大きさや色はどうやって決めたの?


最後に各自学んだことをまとめる。



二週間続くサイエンスプロジェクト週間。毎日三人ずつ発表。

どんな形のミニカーが速い?
クリスタルってどうやって作るの?
どの色のm&mチョコレートが溶け易い?
磁石にひっつくものとひっつかないもの?
蛍光色はなぜ光るの?

などなど、毎日様々なトピック。

三女、迎えの車に乗るなり、今日はね!と 興奮して話してくれます。