靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

近況整理、火を焚いた春休み

2014-03-16 05:56:36 | 今週の整理
1.春休み、毎日のようにぞろぞろと出かけ走り回って。夜、夫が帰り、次の日の予定など打ち合わせていると、次第に目の焦点が怪しくなり、そのまま椅子の上で口を開けたまま寝てしまうこと何度か。十五分ほどして目が覚めると、出張準備で早朝から寝る前まで怒涛の日々を送っている夫も、ソファで眠り込んでたり。(笑) その周りを、ノンストップに飛び回る子供達・・・。ああ春休み!



2.休みに入り、朝からボードゲームなんて上の子達がしてたりするものだから、下の子達、何だかホリデイ気分で、サンタクロースの衣装にジングルベル歌ってたり。春の陽だまりに響くクリスマスキャロルかな




3.ふ~ふ~言っていた「ホームページ制作」。知り合いの一人に、こんな活動を考えているのだけれどと声をかけると、興味を持って下さり、なんとホームページ制作を仕事にしていたことがあり、そちらも手伝ってあげるよと! 並々ならぬセンスの持ち主 & 技術知識体験豊富な彼女、ありがと~~!



4.木曜夜は、友人と夕飯作り、食べ、子供達遊ばせながら打ち合わせ。人との繋がりについて、完璧な人などいなくて、どこかしら皆足りなくて欠けていて、だからもうその至らない部分ばかりつつき合うのでなく、できることを差し出し合って、何かを築いていけたらね、そう頷き合いつつ。



5.金曜夜は、友人家族とファミリーディナー。ラボで働くエンジニアの友人、チベット人の同僚について話してくれる。三月十日はチベット侵攻の日。その同僚は、子供時代、山を越えチベットからインドへと亡命。例え侵略の手を逃れたとしても、何日間も歩き続ける「山越え」はとても危険で、多くの人が命を落としてきたと。アンカレッジでも近々「プロテスト」を計画しているそう。

大学院で瞑想状態についての科学的な研究をし、今はエンジニアとしてラボで働くそのチベットの方、「どんな緊急事態やトラブルに出会っても、とにかく穏やかでね」と友人。「でね、聞いてみたの、どうしたらあなたのようにあれるかって。瞑想?って。そしたら瞑想は今の職が手に入りますようにと祈った時しかしてないよ、と笑うの。ホント謙虚でね。それで、福祉関係の仕事をしていた時に、メンタルな問題を抱えた人の世話をしていたのだけれど、様々な緊急事態に出会う度、『感情』が咄嗟の判断行為を誤らせないよう訓練されていったのが大きいかなって。瞑想状態を、繰り返し現実の実践の場で試されることによって、きっと身についていったのよね」

その同僚さんの、静かな微笑を想いつつ。



6.週半ばから夫十日間の出張へ。いつもは自宅からタクシーなのだけれど、春休みということで空港に皆で出かける。夫を助手席に乗せ、空港に近づくにつれ、あの懐かしい感覚が蘇る。十七年前、籍を入れて一週間でアラスカと日本とに別れ、そのまま二年間、時々行き来する別居婚をしていた時のこと。別れの度、辛くて、心が痛くて。まるで身体のどこかに傷を負い、その切り口から血がどくどくと流れているような感覚を、目に見えない「心」に感じていた。こうして今五人の子供達に囲まれ、そんな感覚を思い出している自分に、少し驚きながら。

 空港に立つと、今までの、たくさんの別れを思い出す。両親、親戚、別れたまま二度と会うことのなかった祖母、友人達。ゲートへと顔を上げ、新しい一歩を踏み出し。

 もう別れは、本当に嫌なのだけれど、それでも必ずやってくる。私にできるのは、共にいられる今この一瞬一瞬を、大切に過ごしていくということ。家族と、友人と。新しい旅立ち、その日まで!


今日は、長男長女のNPOも春休み。昼から上の子達をジムに降ろし、夕方から友人達が集まるので掃除。昨夜は久しぶりに雪もたっぷり降り、雪かきもやりがいありそう!明日は春休み最後の日曜日、雪こんもり春の日差しを楽しみます!

皆様の一週間が素晴らしいものとなりますように!
Have a wonderful week!




春休みな風景:

幼馴染Z君の誕生日会。


ロッククライミング場にて。

説明聞き。

登る!


そりに出かけたら、

雪ほとんど解けてたり、


氷坂になってたり。

それでも、そりで、足で、滑る!


パビリオンへもぞろぞろと。


バトミントンに、縄跳びに、サッカーに、皆汗かいて。


スナックタイム!


Rちゃんにメロメロな三女に次男。


可愛い可愛いRちゃん、二歳誕生日おめでとう!



スケート!


くねくね繋がって。



子供達の友人も毎日のように誰かしら訪ねてくれて。

ゲーム。


三女のクラスメートちゃん、サイエンスプロジェクトに励む次女に、給仕。



長男ランチ担当。


グリルローストビーフチーズ!


ぐつぐつ煮ているので何の料理かと思えば、

Tシャツ煮てた。

縮めて「フィット感」を出したいのだそう。


夜になると裏庭に火を焚き、


火守り。


マシュマロ焼き!


雪に囲まれ、炎見つめて。



空港にて。

いってらっしゃい!

全部一人で飲む!「条件付け」と「無条件の受け入れ」

2014-03-16 05:55:02 | 子育てノート
「全部自分で飲むの!シェアしたくない!」

ヨーグルトスムージーを手に、泣きべそ顔で言い張る次男四歳。

冷蔵庫に見つけてそれはそれは嬉しそうに手にしたものの、最後の一つ。私昨日飲んでないよ! 私なんて三日ぐらい飲んでないもの! 私なんて十二個入りの二箱買って以来一つか二つしか飲んでない! そんな声が周りから。

「じゃあ皆で分けて飲みなさい」と言ったところ、この次男の反応。

五人で分けると、確かに「おちょこ」くらいの大きさの器に半分程になってしまう。(笑) 


スムージーを握り締め、いよいよ泣き出しそうな次男の様子に、「まあ、私はいいわ」、と言いだす子も。その様子を見て、ますます、一人で飲む!が強くなる。

「あなたも飲みたいけれどね、皆も同じくらい飲みたいのよ。あなたは毎日のように飲んでいるけど、しばらく飲んでない子もいる、最後の一つは皆で分けようね」

という私の言葉に、うわ~んと泣き叫ぶ次男。床に突っ伏して足をばたばたさせて。

「ぼ、ぼく一人で飲むの~、の、飲みたいの~、シ、シェアしたくないの~」しゃくりあげて。


泣き叫びのピークから少しおさまりつつある頃、傍に座り、「おいで」と言うと、泣きながら膝に乗ってくる。抱っこして背中とんとんしてユラユラ揺れて。

思い通りにならない!と泣き叫び癇癪を起こす。そんな時、「もうなんて我がままなの!」とこちらもき~となって、と何度も繰り返してきたけれど、

1.こうした方がいいのよと(なるべく静かに落ち着いて)伝える 

2.やり切れない感情を出させる 

3.少しピークが去った頃、抱っこゆらゆら


この流れが、一番すんなりとおさまる。

膝から立ち上がり、姉に「分けて」と渡す次男。


リミットを示し、感情むき出しの反発を受け、こちらも感情むき出しモードにスイッチ、と引きずられることなく、リミットは動かさずとも、その子の苦しい辛い感情に共感し包み込む。すると、次第に落ち着いて、そのリミットを受け入れるようになる。

この流れは、子供が大きくなっても、有効だと感じている。「抱っこゆらゆら」は、カフェに出かけたり、美味しいものを部屋に差し入れたり、ハグだったり。



「条件を付け」「無条件に受け入れる」、その一見相矛盾して見える働きかけのバランスが、「子育ての鍵」とつくづく思うのだけれど、これが一つの具体的方法だろう。

それは、「利き手でない方で導き、利き手で抱える」ことでもある。より力の入る利き手で、常に抱えているということ。


 

「絶対」はないという前提の下、目指したい方向

2014-03-16 05:54:02 | 子育てノート
AさんとBさんが違う意見を持っている時:

1.どちらか一方が「正しい」と思うか、

2.どちらも「正しい面を持っている」と思うか。

もし、どちらも正しい面を持っていると思うならば、

3.どちらかが、どちらかよりも「より正しい」と「説明」できるか。



心理学者Kuhn氏によると、以上のような場面に出会ったとき、どう思うかによって、人は三つのタイプ(or 発達の段階)に分けられると言います。


1は、絶対主義者(absolutist)。現実とは、直接的に確かなものとして観察できると考えている。灰色はなく、白か黒。子供というのは、この状態にある。


2は、多様主義者(multiplist)。現実は直接的に観察することはできず、情報は必ず誤ることのある人々の感覚によってフィルターされ、知識というのは人の思考によって作られており、疑うことができるものと思っている。そうして何もかも決して「確か」ではないのだから、どちらか一方のみを選ぶ客観的な土台は存在せず、断言されている全てのものも、「単なる意見」に過ぎない、全ての主張が「同等の重み」を持っていると。子供達は成長するにつれ、こうした多様主義の考えを、少しずつ理解するようになる。

多様主義的考え方は、自分とは異なる意見を尊ぶ姿勢を生み、素晴らしいこと。子供達にも至らせたい地点。私自身、文化人類学を学び、多様な文化に触れる中で、この「2」のスタンスをとても身近なものと感じている。

Kuhn氏は、「2」を土台とした上に、次へと進む立場として「Evaluativist」を提示する。


3、評価主義者(Evaluativist)。「確固とした正しさ」は手に入れることができないかもしれない、それでも、「区別」をつけることはできると思っている。調べ、学び、考えることで、一方の説明は、他より「メリットがある」と区別していくことができると。



「2」から「3」へと踏み出していくこと。それまでの議論について調べ、証拠として出されたものを吟味し、考え、不確かさの中に「より良い」を築いていくこと。それは、私自身多様主義にどっぷりと浸った時代から、子供を育てる親となり、日常的に必要な姿勢として、学びつつあることでもある。

これからの世界、通信技術や交通手段がますます発達する中で、多様な考え方や価値観が、地球上のどこに暮らしていようが、ますます身近な日常に入り交ざっていくだろう。そんな中、異なる立場を尊重する「2」の多様主義を土台としつつ、「3」の評価主義を身に着けていくことは、とても大切になっていく。



心理学者Caren Walker氏は、次のような「ディスカッションの六つのルール」を小学校の高学年の子供達に学ばせていくことが、「1」から「2」へ、そして「3」へといった姿勢を培うことへと繋がるかもしれないとする。

立場を示す(State a position)

自分が同意するかしないかを考える(Figure out if you agree or disagree)

実際の事例を提示する(Present a real example)

差し出された主張に対する反例を提示する(Present a counterexample to a claim that has been proposed)

それまでに得た情報を基に、主張を練り直し、示す(Offer a revised version of the claim)

自身の主張を証拠と論理でサポートする(Support your claim with evidence or logic)



「絶対的な確かさはない」という前提の下、異なる立場や意見を尊重しつつ、その上に、「より正しく役に立つ」情報を模索していけたら、親としての自身と共に、子供達にも、そんな姿勢を身につけていって欲しい、そう思っています。




参考資料:
“Can We Raise a New Generation of Critical Thinkers?”by Gwen Dewar, Ph.D. Psychology Today

Kuhn D, Cheney R, and Weinstock M. 2000 The development of epistemological understanding. Cognitive Development 15: 309-328.


Walker CM, Wartenberg TE, and Winner E. 2012. Engagement in philosophical dialogue facilitates children’s reasoning about subjectivity. Developmental Psychology. 2012 Sep 3. [Epub ahead of print]

「柔らかい心」を大切に育てるということ

2014-03-16 05:53:44 | 子育てノート
繋がり(connection)についての研究を続けたストーリーテラー兼研究者のブラウン氏(Brene Brown)は、関係を築く壁となるのが「恥」や「不安」であり、その根幹に「傷つき易い柔らかい心(vulnerability)」があるとします。

そして、その「柔らかい心」とは、確かに恥や恐れ 自己肯定感などについての苦しみの中核であるのだけれど、同時に、 喜びや創造 帰属や愛情といったものの根源でもあると。

現代の多くの人々は、様々な問題を抱えた厳しい社会を乗り切るために、傷つかないようその「柔らい心」を麻痺させていると氏は言います。そうすることで、内面の奥深いところに感じる幸せ・創造・喜びにも蓋をしてしまっていると。


関係性の海の中で、「柔らかい心」をさらけ出すこと、それがまた、幸せ・創造・喜びへの道でもあると言う氏。Courage(勇気)とは、ラテン語で元々「心をさらけ出す」という意味でもあるそう。

完璧であろうと、がちがちに固めた防備を脱ぎ捨て、不完全さをさらけだし、「柔らかい心」を解きほぐしてみる。そこから、創造・喜びを可能にする、本当の関係性も始まる。


子供達に伝えたいのは、

あなたは完璧で貴い存在、私はあなたを完璧に育てて見せる、ではなく、

あなたは不完全で、苦しみを背負った存在、それでも愛に帰属意識に値するのよ、

というメッセージだとするブラウン氏の考え、とてもよく分かります。


「柔らかい心」を麻痺させず大切にできる子育て、

それは、完璧であることを突きつけ続けるのではなく、

足りない欠けている部分を認め、変わらぬ愛情で包み込み、

その上で、より良くなろうと励ましサポートし続けていくこと。


心がけていきたいです。



参考資料:

ブラウン氏の「柔らかい心(vulnerability)」についてのスピーチ、子供達の「不完全さを包み込む」ことの大切さを、教えてくれます。
http://recommend-ted.blogspot.com/2013/01/blog-post.html

氏のホームページ:http://brenebrown.com/my-blog/

高校のホームスクール その一

2014-03-16 05:52:07 | 子育てノート
米国では、学齢期の子供達の3-4パーセントがホームスクールをしているとされ、その数は、年々増えていると言われています。

長男、高校をホームスクールするか、まだ決まってはいないのですが、調べていることなど少しずつまとめていきたいです。


高校のホームスクールのカリキュラムを組むには、まず高校卒業後、何を目指すのかで随分と違ってきます。

1.大学に行かない
2、大学にストレートには行かず、ひとまず社会に出て体験を積んでみる
3.大学にストレートに行く

長男は、今のところ「2」か「3」を選んでいるので、大学入学に必要なカリキュラムについての情報を集めています。以下、メモ:

・高校卒業には最低19単位、大学進学には24単位以上必要になりますが、大学入学審査には、より多く難しいレベルの単位を修得していることが望ましい。

「必要以上の単位」は、その子がパッションを持っていることを突き詰めていくなら、本人が熱中している内に積み重ねていける。長男の場合は、ロボティックス、コンピューター関係など。

・高校に必要な単位を早くに取り終え、大学の単位を取っておくこともできる。より深い内容を学ぶこともでき、大学側には大学レベルの授業でやっていけると示すこともでき、また大学の単位としても振り返られ、大学入学後の学費節約にもなる。

アカデミックだけでない活動を組み込む。社交性、チームワークでの活動、リーダーシップなどを育むため。大学側も、全体的なバランスの取れた人材を欲している。

・実際に企業などで働かせてもらうインターンシップ制度の活用もできる。

・四年間のカリキュラム・活動記録を細かく整理し保存することが大切。この整理保存の方法について何冊も本があるほど!

読書記録をつける。自らの学びを整理し、後に知識の出典にも当たりやすい。また古典だけでなくポピュラーまで広い範囲の読書幅を、大学側は望んでいる。

現在、ほとんどの大学でホームスクーラーが受け入れられている。スタンフォード大学のマガジンには、「ホームスクールをしてきた学生に、大学側が欲する『特別なマインド』を見出しつつある」などとも書かれている。
”It’s the spark, the passion that sets the truly exceptional student – the one driven to pursue
independent research and explore difficult concepts from a very early age – apart from your typical bright kids. Stanford wants students who have it. Looking very closely at homeschoolers is one way to get more of those special minds, the admission office have discovered.” 
“Homeschooled students may have potential advantage over others in this, since they have consciously chosen and pursued an independent course of study.” by Christine Foster

・大学側は、パッションを持っている学生が欲しい。取り組みへのパッションこそが、未来の技術開発への道を開いていくことに繋がると。



最大限の力を発揮できるのは、自分が自分の手綱を握り、パッションを注ぎ込んでいる時、子供達を見ていて本当にそう思います。

長い間の学校生活で染み付いた「させられている」という思い込みから、「自分がしている」へ。

ホームスクールをするかどうか未定ですが、パッションを呼び起こし継続させる習慣、それを身につけていってくれたら、そう思っています。



参考資料:

“The HomeScholar Guide To College Admission and Scholarships”by Lee Binz

“College- Prep homeschooling”by David P. Byers, Ph.D. and Chandra Byers