にわたずみ

松岡永子
日々のことなど

伎楽「獅子奮迅」

2010-10-21 08:01:30 | 舞台
聖徳太子が日本で最初に劇場(と演劇人養成所)を設けた場所とされる、奈良・桜井市の土舞台。その顕彰記念の公演が桜井市立図書館であった。

昨年までは能楽だったそうだが、今年は伎楽。
伎楽は舞楽よりも早く日本に伝わったが、廃れてしまい、今に直接は残っていない。
舞楽のように代々伝えてきたお家や集団はない、ということだ。
今回上演されたのは、残っている資料などをもとに復元されたもの。

舞楽や能楽は時間によって極度に洗練されている。
そんな洗練を経なかった伎楽は、そのぶん現代的に軽やかで、様式などから自由な感じがする。
演じるのが天理大学雅楽部の人たちで、若いからかもしれない。

客席後ろから、まず鼻の高い面をつけた「治道」(まあ、露払いみたいなもの?)が登場、それに楽師、面をつけた演者の行列がつづく。
まさにパレードで、舞台に上がるまでにもいろいろな所作がある。後の方に登場する酔胡従などが酔ってふざけるようすは、アドリブらしい。

童子に曳かれて登場する獅子の動きは、新春祭の獅子舞を思わせる。復元の時に参考にしたのかもしれないが、もとをたどれば伎楽が源泉なのだろう。
舞台に上がった獅子は、端のほうで居眠りを始める。

呉公(色白で男前の王様)が笛を吹きながら登場(もちろん音は出ていない)、次に出てきたその奥さんと侍女にちょっかいをかけた昆崙(ほんとに抱きつく。わかりやすい無礼者)は金剛・力士につまみ出される。

宴会をしていて酔っぱらった酔胡が、獅子をむりやり起こし、盃の酒を飲ませる。
暴れ出した獅子を呉公が鎮めようとする。王の権威でも宗教的権威(幡を見せる)でも獅子は鎮まらない。最後に牡丹の花を差し出しくわえさせると獅子はおとなしくなる。

演者の動きは速く、滑稽なものも多くわかりやすく、たぶん子どもにでもうける(昆崙のシーンなどは大人向きかもしれないが)。
途中登場した迦楼羅(鳥みたいな神様)は衣を翻して跳び、舞う。
今回の面は和紙で作られていて軽いんです、との解説も有り。でも、どのくらい見えてるんだろう、と思って終演後に解説をしていた天理大学の先生に聞いてみたら、「あんまり見えません」
それであんなに軽やかに動けるんですか。
「練習してますから」
動きの切れがいいのは若いということもあるだろうが。やるもんだ大学生。


舞台の写真は(わたしのカメラの都合で)撮れなかったので、伎楽の写真を見たい方はこちらへ。まだ工事中のようだが。
http://gigaku.info/gallery/index.html

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