鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<730> オヤジの肺ガンが発覚したので

2018-11-19 19:03:15 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 唐突だが、親父が肺ガンに。
 
 まあ、日本人の二人に一人はガンになるというのと、今年82歳になる老体だということで私は至って冷静である。この話を聞いて「ふーん。」という感想しか持たなかった。母親がショックを受けたらしく早速手術だ放射線治療だと騒いでいる。
「まあ、お袋さん、親父も今年で82歳だ。十分好きなことをやってきた人生だし治療しなくてもガンの進行も遅いよ。」となだめる。

 母親の手前かかりつけの医者に相談したのだが、検査入院の段階で十分に辟易して「もういやだ。帰りたい」と言い出す始末である。それほど大きな病巣ではないらしいので、医者も選択肢の一つとして「定期的な検査のみで静観する」というものを提案してきた。
 
 それでも最近テレビなどで仕入れた「どうやらオプジーボなる薬が肺がんに効くらしい。」という情報を元に本を買ってきたり医者に「オプジーボを処方しろ!」などとぐずぐず言っているようだ。かかりつけの医者から私あてに、「オプジーボと言っても副作用がありお勧めできない。」という電話があった。やはり命が惜しいらしい。なんとかなるものならなんとかしてやりたいが、医者もこう言っていると親父をなだめすかす。

 まあ、オヤジもお袋もかなりの歳なので、あとは人生をゆっくり振り返って「ああ、あんな事もあった。こんな事も。」と懐かしく笑って欲しいものである。思い立って大量に保管してある家族のアルバムを持ち帰った。スマホで写真を写してスライドショー仕立てにして年の瀬に家族で見てしみじみしよう、と考えつく。

 戯れにページをめくり始めたのだが、兄貴や私が生まれた頃の大量の写真に対して一枚いちまい丁寧にコメントを入れているのに今更ながら気づいた。オヤジが写真を撮るのを趣味にしていたせいもあるだろうが、本当に大量に残されている。
 見ているうちに涙が止まらなくなった。こんなにも両親に愛されていたのかを人生51歳にして改めて再認識する。

 もちろん我が家に限ったことではなく全国の親たちは自分の子供に対して色んな方法で愛情を注いでいるだろう。無償の愛である。恩を着せるでもなく決して報われるでもなく、それでも親は子供に持てるすべての愛を注ぐ。その過程をつぶさに確認した気がした。

 世の中のひねくれた思春期のガキ共は、こっそり家族のアルバムを見返すが良い。「臭いから選択は別々にしてよ!」と毛嫌いする父親がどんなにお前たちを愛しているか考えてみるが良い。「朝から晩まであれやれ、これやれって五月蠅いんだよ!」と反抗している母親がどんなにお前たちのことを心配しているか、反省するなら今のうちだ。そのうち死ぬほど後悔する日が来るぞ。

 ええっとなんの話だっけ。そうそうオヤジが肺ガンになったという話だった。

 とりあえず痛いのは嫌だろうから治療なんかしなくて良いよ。

 じゃ!