なぞの旅人スーのブログ

鉄道、旅行、花祭り、その他日記にしたい事を書いていきます。実際の面識が無い方からのコメント、歓迎。荒らしや誹謗中傷は×。

「風立ちぬ」鑑賞(ネタバレ注意)

2013-08-18 23:42:13 | 日記

 堀辰雄の小説「風立ちぬ」と零戦を開発した堀越二郎氏の半生記を融合したアニメ映画ということらしい。2時間位上映時間あったし、二郎と菜穂子が初夜を迎えることに繋がる描写もあったし、子ども向けではない映画である。始めは非現実的な構造の飛行機や震災の描写などジブリらしいと思ったが、後の方は一般的アニメっぽいと思った。上司黒川を見た時、偏屈な上司っぽそうと思ったが、そうではなくて情のある人だった。菜穂子、二郎が外国語で一言声を掛けたり、ドイツ人がピアノを弾きながらドイツ語の歌を唄ったりし、しかも日本語訳の字幕無しで、宮崎氏は夏目漱石みたいだなあ。
 ジブリ映画には監督の考えや自己を投影したメッセージが台詞や表現に含まれていると思う。僕が気になったのは①夢の中で飛行機に乗った二郎少年がグラス(普段掛けているメガネか軍人のメガネのどちらかだったかは失念)を掛けたら、歪んで見えてしまい、ポヨンポヨンした爆弾を抱えた軍用機の群れの方に突っ込んでいくシーン②カプローニ男爵の「ピラミッドがある世界と無い世界、どちらを選ぶか」という二郎への問い③青年になった二郎の夢の中でも、カプローニ男爵は「日本の少年よ」と声を掛けるところ である。
 僕には映画を観ただけであれこれ思える頭はない。色々な鑑賞した人のブログを見た。その上で、上記3点について考えてみる。それにしても、頭のいい人が多いねえ(汗)
 ①これは冒頭にあるシーンで、映画をこう観て欲しいというメッセージではなかろうかと思う。現代の考え方、元になった作品、これまでの宮崎作品、次元の異なるフィルターを通さず、自然にこの作品を受け入れて欲しいという願いではなかろうか。もしかしたら、タバコの物議は想定内だったのかも。でも、このメッセージ通りだったら、他人の感想ブログ漁っててはダメだね(苦笑)
②これは一番の関心どころであろう。多くのブログで考察がなされている。2つの着目点がある。1つ格差社会を表したもの、もう1つはピラミッドが持つ特質である。前者については、昨今は格差社会についての問題が取り上げられることが多いので、宮崎氏も関心持っていただろう。格差社会は否定というより壊すことはできない。ただ、そんな社会の中でできる限りあらゆる階層が寄り添っていける社会になって欲しいという願いであろう。二郎が貧しい姉弟にシベリヤという菓子を渡そうとするシーン、汽車の三等車に乗っている二郎と二等車に乗っている菜穂子が出会い、結ばれること、そして二郎はこの問いに「美しいものを見たいだけだ」と答えたところが繋がる。
 後者については、ピラミッドは権力の象徴、二郎が開発している飛行機=軍用機は国の軍力の誇示であり、大衆には益をもたらさない。しかし、ピラミッドは後の建築構造の基礎になり、建築の発展に繋がった。飛行機は今は軍用機の開発であるが、夢の中で飛んでいる様な人を愉しませる乗り物の登場に繋がるはずだというカプローニ男爵から二郎へのメッセージであろう。
③美しい飛行機を作りたいという夢を追い続けている心についてを「少年」と例えているのであろう。

 後にDVD化されたり、テレビでやることであろう。また観てみたい。

コメント
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