雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

すべてをお金で買えるのか

2012-06-16 | 日記
 夕餉の仕度をしながらニュースでも見ようとテレビを点けたら、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の公開講義が放送されていた。 テーマは「すべてをお金で買えるのか」、途切れ途切れに聞いていたので、詳しくは憶えていないのだが、興味ある例え話が幾つかあった。 

 ある国、ある村(実は、詳しく憶えていないのだが…)に原子力発電の放射能廃棄物処理場を建設しょうと、村人にアンケートを取った。 反対する者が51%、賛成するものが49%だったので、「もし、受け入れてくれたら、相当額の金を村人に出そう」と付け加えて、再度アンケートを取った。 「さあ、結果はどうなったと思うか?」との教授の問いかけに、自分は賛成者が90%以上になったのではないかと想像した。 結果は違っていた。 なんと、賛成者の数が、28%に減ったのだ。
 これは、いづれかの土地に建設しなければならないものだから、自分たちの土地に受け入れようと犠牲心から受け入れようとした賛成者が、お金で取引しょうとする建設推進派に自尊心を傷付けられ、反対意見にまわった所為であると分析されていた。 
 自分は似たような話を覚えている。 原子力発電所の建設にあたり、国から各地方に打診したところ、民意を反映して「自分のところでは受け入れることはではない」「他を当たってくれ」みたいな回答ばかりだった。 そこで国は「受け入れた地方に金をだそう」「原子力発電所が建設されたら、地方の経済効果も上がる」と餌をぶら下げてきた。 とたんに、「私共の方に、ぜひ建設を…」と。 教授の話と真逆だが、何処とは書かないが、そんな国もあったのだ。
 
 もう一つ、教授の話が頭に残っている。 ある国の、ある保育所(またか…)で頭を悩ましていることがあった。 子供を迎えに来る親たちが、決められた時間までに来ずに遅刻する者が絶えない。 保母さんは親の迎えが全員来るまでは帰れない。 保育園としても、保母さんに超過勤務料を払わなければならないので、遅刻した親から「罰金」をとることにした。 これで、遅刻者がなくなるだろうと思っていたら、更に増えてしまった。 つい仕事などで迎えに行くのが遅くなって申し訳けないと思っていた親たちが、お金を払えばいいのだと思うようになり、遅刻を助長することになってしまったのだ。

 いずれも、お金で解決しようとして、逆効果になってしまった話であるが、日本人に当てはまるかどうかは別として、面白い話だと思った。

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