雑文の旅

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短い物語「能見数馬」シリーズ解説

2013-07-05 | 日記

 短い物語「能見数馬」シリーズが、のんべんだらりと回を重ね、15回になった。 主人公能見数馬は、当年数え年の14才、水戸藩学江戸分校に通う学生で、将来は長崎で西洋医学を学び、心医(心療科医)を目指している。 父能見篤之進は水戸藩江戸屋敷勘定方詰めの旗本。 兄篤馬は水戸城主徳川斉昭の家来で、勘定方のエリート、いずれは能見家を継ぐことになる。 兄以外は水戸藩江戸役宅に数馬と父母、そして姉一人と使用人二人と暮らしている。


 数馬は彼が関わった事件や心的病の治療などで知り合った人々を、「友達」にしてしまう魅力を持った少年で、大名である武蔵の国関本藩の藩主関本義範(よしのり)から、江戸北町奉行遠山左衛門尉景元、経念寺の僧亮啓、同心長坂清三郎、少年目明し仙一、医者の松吉などに交えて、物語の途中から知り合って一番親密なのが木曾生まれの中乗り新三である。


 彼は新三郎と言い、堅気で材木の川流しをしていた。 材木を筏に組み、水棹(みざお)と呼ばれる竹の棹で筏を操る職人である。 筏には先端に乗る人を舳(へ)乗り、真ん中を中乗り、後ろが艫(とも)乗りと呼ばれる三人で息をあわせて材木を搬送する。


 彼は、他の数馬の友達とは、ちょっと変わったところがある。 人間ではなく、数馬に憑りついた幽霊なのだ。 と、言っても、勝手に憑りついた悪霊ではなく、人恋しくて人里の廃屋に棲み着き、人に恐れられていた新三郎を、自分に憑りつきなさいと数馬が誘ったものである。 


 新三郎は、恩ある材木商の主人を救う為に逸れてやくざ者になり悪者を退治するが、卑怯な闇討ちに遭って中山道の宿場町鵜沼で殺害された。 その上、成仏への道さえも外れ、阿弥陀如来の怒りを買い、逸れ幽霊となってしまったのだ。 


 今の数馬は、新三郎に頼りがちではあるが、いずれは新三郎も成仏して浄土へ去る日が来る。 おそらく。数馬が長崎へ旅立つ前に・・・



 これは、ギャグ漫画レベルのフィクションである。 面白半分の突っ込みは歓迎であるが、マジ突っ込みには、対応する技量は当方にはない。 また、SF系ショート・ショートも当方が主張する論理ではない。 フィクションであることをよく理解してお読み頂きたい。    (猫▽爺)