冷蔵庫の悪魔

仕事から帰って来てキッチンで簡単な食事を作る

駅前の西友で買って来た冷凍のチャーハンと餃子

手際よく強火でフライパンのご飯を炒める

確か冷蔵庫に玉子が２個残ってたはずだ

アレをトッピングしようと思い手に取ろうとするも

玉子ホルダーからくっ付いて離れないのだ

割れて中味が出ているのかも

どちらにしても取り除かねばと強く引っ張ったら

玉子が割れてとんでもない汁が床に滴り始めた

しかも割れた途端にシューッと音がしたのだ

まるで映画「エイリアン」のワンシーンの様に

煙まで出たのではないかと錯覚するくらい不気味な光景だった

黄身は真っ黒に変色していて何か邪悪な様相すら窺わせるものだった

一体この玉子、いつ買ったものなのだろう

とにかく大急ぎで片付けなくては…

火を止めたフライパンのチャーハンはとっくに冷めているが

今はこの悪魔の死体の後始末で頭はいっぱいだ


２重にしたビニール袋の中にソレを収め厳重に口を縛りゴミ袋に捨てた

幸運にも今日は生ゴミの日だ


ところで玉子ホルダーにはもう一個残っている

まさかこちらも同じ状況なのか

意を決して取り出すと割れてはいなかった

でもまだ油断は出来ない

慎重に殻を割ると中の黄身は既に形を失ってボウルの中に落ちた

さすがにそれを調理する気にはならなかったが

一人暮らしだと玉子って必ず一個や二個は冷蔵庫の中に残ってしまう

今朝、西友で買って来たばかりの玉子を見て

あんたたちは悪魔にならないでねと願う私なのだった